トップページ | 2011年9月 »

2011年8月

2011年8月16日 (火)

原発はストレステストで安全か

原発はストレステストで安全と評価され、再稼動してもよいのでしょうか。

政府側の発言「ストレステストの結果、安全性が確認できれば原発の再稼動を認めるべきだ」に不信感を感じます。

事故後、保安院は電源車の配置等をもって原発は安全であると宣言し、これを以って、早々に経産相は玄海原発の再稼動を依頼するために佐賀県を訪れました。再稼動ありきの安全宣言に不信感を抱いた国民は多かったと思います。この国民の声を受け、政府はストレステストの実施でもって安全が担保できると言い出しました。

電源車の配置等をもっての安全宣言となんら替わることはなく理解できません。政府は、ストレステストの内容を、抽象的でなく、具体例で国民に説明し、判断を仰ぐべきだと思います。判りやすく説明した場合、その実態が明らかにされ、国民の反対が予想されるので、抽象的な言葉で国民を騙しているようにも受け取られます。政府の言うストレステストとは、現行の安全基準に対する原発の耐震余裕度であると理解しています。これであれば、福島原発でも安全であると評価されかねません。抽象的なストレステストという言葉で、なし崩し的に原発が再稼動するのではないかと心配します。

現行の安全基準を上まる事故が起こっているのです。福島原発事故の原因を明らかにし、それに対する新たな安全基準を作り、ストレステストは行なわれるべきであると考えます。現行の安全基準が甘いということが露呈したと思います。

 原発が再稼動しなければ、電力不足がおきると経済界は盛んに発言しています。反原発論者は、再生エネルギーで十分賄えられるとも言っています。この賛否についてはここで問題にしません。そもそも、電力不足だからという理由で原発の再稼動をするとは、何か可笑しくありませんか。新たな安全基準によるストレステストでもって、原発は再稼動すべきです。以下、提言します。

1 新たな安全基準に基づいたストレステストをする。

2 どの程度の余裕度で以って安全とみなすのかを明確にする。

3 原発立地での地震規模、その震度及び津波高さを見直す。特に、活断層の長さを過小に見積もる傾向があった。地震学者の声に耳を傾けるべきである。

4 30年を超えた老朽化原子炉は、各所にヒビが存在し、緊急停止の場合、原子炉が破壊されるとも言われている。原子炉学者の多面的な意見を聞くべきである。

 このような手順を経て、安全に余裕があるものから再稼動を立地自治体にお願いすべきです。

 自然災害は常に想定外であり、一旦事故が発生すれば人間が制御できるものでないことは福島原発事故で立証済みです。又、高濃度放射性廃棄物の半減期は数十万年です。中長期的には廃炉とすべきです。その廃棄物の存在を数十万年にわたってどのように伝承していくのでしょうか。その時点で、人類は消滅しているかもしれません。新たに発生した生命体は当然高濃度放射性廃棄物について無知であり、被曝する可能性も高いでしょう。そもそも、新たな生命体に現在の言語と高濃度放射性廃棄物の危険性をどのように伝えるのでしょうか。まさか、数十万年後の生命体は知ったことではないと思っているのでしょうか。

2011年8月19日 (金)

政府は原発防災計画を立てよ

 政府は原発事故を想定した防災計画を立案してほしい。原発の安全神話が壊れた今、国民を放射能の被曝から守ることは政府の使命です。福島原発事故が発生したとき、政府は適切な情報公開をしなかったため、住民は浴びなくてもよい放射能に被曝してしまいました。

 全国に54基もの原発があり、いつ地震が起きてもおかしくない状態です。国策により原発政策を進めてきた政府にとって住民に対する以下の対応は当然です。

1 住民に対する情報伝達の方法の確立

  変化する事故の正確な情報を迅速に、かつ包み隠さずに

2 事故発生の連絡と予想される被曝地区の公表

  スピーディーによる放射能の拡散マップ等

3 住民の退避手段

  被爆しないよう、住民の速やかな退避を行う。移動手段として民間バス、自衛隊車両、ヘリコプター、船等の手配

4 住民の避難住居の確保

  避難する住民の人数に応じた住居をあらかじめ確保しておく

5 汚染状況の把握と、自宅へ帰れる時期の明確化

6 被災地の不動産や動産の政府による買い上げ

7 避難民の移住地域の確保

  何十年も帰ることのできない住民には移住先を提供する

8 移住した避難民の働き場所の確保

9 物理的、精神的、肉体的な被害に対する慰謝料

 上述のように、事故直後の避難、短期避難、永久避難に対する措置が必要です。又、住民が憲法で保障された生存権、財産権を侵された場合、国は住民に対して賠償する義務があります。 

 ここまで、書いてきて、暗澹たる思いになりました。これらの対応はどこまで可能なのでしょうか。できないでしょう。福島原発事故以降の政府対応を見ればあきらめに近い状況です。

 前記の1~9項目が実行できないなら、原発は廃炉とすべきです。電力会社が原発事故に備えて損害保険をかけていることは聞いたことがありません。被害がどこまで及ぶかわからない状態で保険料の算定などできないでしょう。

 福島原発の被害状況はチェルノブイリ原発事故と同程度であると聞いています。直下型地震に見舞われ、原子炉の制御棒が入らない場合や原子炉が水没した場合等の最悪事態を想定した浜岡原発の被害状況はどうなるのでしょう。風下70km以内の地域は全数死亡、半径110km以内の地域は半数死亡、半径120km以内の地域は著しい急性障害、半径数百km以内の地域は晩発性障害になると言われています。

 急性障害は、白血球の異常や脱毛,皮膚の異常,脱毛など早期にあらわれる健康障害です。ガンなどによる健康被害ははるか遠くまで及びます。

 このような最悪の事態を想定しての原発防災計画の策定は可能なのでしょうか。まさか、勝手に避難してくれと考えているのではないでしょね。

  

 

 

2011年8月20日 (土)

原発廃炉交付金の新設をせよ

 原発の営業運転が開始された66年以降、周辺自治体に対し、交付金や税金の形で国や電力会社からもたらされた「原発マネー」の総額は少なくても2.5兆円に上るといわれています。

 原発を廃炉にした場合の問題点が新聞等で盛んに報道されています。以下、検証します。

 一点目は、電力不足です。現在、節電や土日出勤で対応していますが本当に不足しているのでしょうか。過去にも同じ風景がありました。73年に勃発した第4次中東戦争を契機に原油が高騰しました。危機感を強めた政府や電力会社による節電キャンペーンが行われ、東京、銀座でネオンを消灯し、オフィスでエレベータを停止し、電力不足の危機感を煽りました。これを契機に交付金法案が国会を通過し、70年代前半から原発の着工が顕著となりました。電力不足は火力や揚水発電所の稼動、民間の有する埋蔵電力、節電、省エネ機器の導入等で賄えます。また、自然エネルギーの推進によっても不足電力は賄えるともいわれています。電力関連予算のうち原子力予算は97%にも上ると言われています。そのうちの何割かを自然エネルギー関連予算に振り替えることができれば、画期的な発電装置の開発も可能でしょう。

 二点目は、「電気料金の上昇により企業の海外移転が進み、産業の空洞化を招き、ひいては失業率が上昇する」と経団連会長は脅しとも取れる発言をしています。海外移転の主な理由は、76円/ドルにもなっている円高の影響が大きいと感じます。円高の影響を原発停止によるかのように、論点をすり替えているような気がします。電気料金は、送配電分離により大幅に下落します。競争相手が電話事業に算入し、電話料金が大幅に下がった事例が良い見本です。送配電分離に反対する人は独占事業で旨味を享受している原子力村の人々(政治家、経産省官僚、電力会社、発電所建設関連業者等)であるといわれています。安全、安心をお金で買えるなら、短期的な電気料金の値上げを、国民は甘受するでしょう。

 三点目は「原発マネー」で財政を賄っている地方自治体です。地方自治体のうち原発が立地する市町村への影響はとりわけ大きい。原発立地地域にはこれといった産業もなく、工場誘致にも失敗しました。そのような市町村に声がかかったのが原発建設です。国が絶対安全であるといえば、背に腹は変えられなかったと思います。それ故に、立地自治体は被害者でもあります。原発を受け入れた自治体は交付金によりハコモノ、インフラを整備し、関連業者は潤い、ようやく中都市並みの暮らしができるようになりました。しかし、状況は変わりました。原発の安全神話が壊れ、地震国での原発は不適合であることが福島原発の事故で立証されました。原発は廃炉しかありません。ここで、立地自治体が受ける交付金等の概算を示します。原子炉1基の建設費4000億円、出力は135万キロワットで環境評価期間3年、建設期間7年、40年間の運転と仮定します。

評価期間の交付金          3億円×3年=9億円(概略)

運転開始までの7年間の交付金          465億円

運転開始からの40年間の交付金         800億円(概略)

合計                         1,384億円

となります。これを50年間で単純平均すると、1年間の財政収入は27億円となります。

原子炉一基の固定資産税収入は

初年度     35億円/年

5年後      17億円/年

16年後      1億円/年

となります。この税収体系により、立地自治体は15~20年間隔で原発を次々に作り続けることになります。そうしないと財政が破綻してしまいます。このような状態に陥った自治体を救う方法はあるのでしょうか。原発の営業開始から45年間が経過しています。その間に支払われた「原発マネー」2.5兆円を45年間で単純平均すれば、1年間では555億円となります。原発廃止後、この555億円を45年間、原発廃炉交付金として立地自治体に交付したらどうでしょうか。その間に、立地自治体は工場誘致、観光産業、自然エネルギー導入等に努力し、原発依存からの脱却を果たしてほしいものです。原発事故後、原発立地自治体からの移転を検討している企業が私の周辺でも何社かあります。企業が離れ、観光客は遠のき、雇用は減少する事態になる可能性も大きいでしょう。原発がないほうが企業も、住民も安心であると感じ始めたと思います。福島原発損害額は予想すらついていません。原発事故が再度起きることを想定すれば、45年間での2.5兆円など安いものです。

 注) ジュネーブ大学ヴァルター・ヴィルディー教授は、「もし、スイスで福島レベルの原発事故が起きたなら、損害額は366兆円」と見積もっています。     

2011年8月21日 (日)

高濃度放射性廃棄物は安全に保管できるか

 政府は、青森県6ケ所村において、核燃料の再処理を計画しています。再処理することで、ウランとプルトニウムの混合物質であるMOX燃料を製造します。福島原発3号炉にもMOX燃料が使われています。炉心溶融が生じればプルトニウムが空中に飛散します。また、再処理の過程で膨大な量の高濃度廃棄物(核のゴミ)が生成されます。そのプルトニウムの半減期は2万年といわれており、1/4になるには4万年、1/8になるには8万年の期間が必要ですます。その間、核のゴミは放射線を出し続けます。原発が営業運転を開始してから45年しかたっていません。たった45年間のために人類は8万年という気の遠くなる期間、核のゴミを安全に管理しなくてはなりません。なぜか釈然としません。

 政府は、そのプルトニウムを含む核のゴミを地中埋設しようとしています。そのことについて、NUMO(原子力発電環境整備機構)はホームページで詳しく説明しています。ガラス、ステンレス、鉄が発明されてから何年たつでしょうか。せいぜい100~1000年程度でしょう。その材料も100~1000年もてば良いほうでしょう。あとは土になります。半減期2万年と比べてあまりにも短期間ではありませんか。中・高校生レベルの科学的知識から判断しても奇妙に感じられませんか。また、人類が経験したことのない2万年という長期間にわたっての安全保障について、断定的な見解を述べるなど、自然現象に対する謙虚さが足りません。かつて原発の安全神話を学者が唱え、福島原発事故で見事その見解が間違っていたことと同じように思えます。

 1 放射能レベルの高い廃液をガラスで固化します。ガラスは水に溶けにくく、化学的に安定しており、放射性物質はガラスと一体化しているので、ガラスが割れても放射性物質だけが流れ出ることはありません。

 (反論) このガラス固化体はステンレス容器で覆われています。これは地下水と接触すると腐食し始め、数十年で壊れてしまうといわれています。ガラスは割れても放射性物質だけが流れ出すことはありませんといっているが、2万年という長期間にわたって保証できるのでしょうか。 

 2 ガラス固化体を更に鉄製の円筒型容器(オーバーバック)に密封し、ガラス固化体と地下水が少なくとも1,000年間は接触しないようにします。

 (反論) 鉄は100~1000年程度でボロボロになります。さらに可笑しいのは、「ガラス固化体と地下水が1000年間は接触しないようにします 」といっている点です。鉄は1000年で壊れると自ら認めています。また2万年以上保管しなければいけないのに1000年という基準はどこから来るのでしょうか。

 3 更に、オ-バ-パックの周りを水をとおしにくい粘土で取り囲み、オ-バ-パックが腐食しガラス固化体から放射性物質が地下水に溶け出ても、緩衝材が吸着し、その場所から放射性物質を移動しにくくします。なお、工学的対策を「人工バリア」、地下深部が持つ物質を閉じ込める力を「天然バリア」と呼び、これらを組み合わせた物質の閉じ込め機能を「多重バリア」と呼んでいます。

 (反論) 最終バリアが「水を通しにくい粘土 」という点にも不安を覚えます。

 全体から判断すると、NUMOは1000年程度で容器から放射性物質が流れる可能性があるといっているようです。

 また、地殻変動に対するリスクについても言及していません。地球は表面から5~60kmの地殻、600kmの上部マントル、それより深部にある下部マントル、核で構成されています。地殻と上部マントルの一部はプレートと呼ばれ、ゆっくりと地表面を移動しています。地震は地殻内で発生し、地振動として建物を壊し、地面には大きな断層が隆起します。溶岩プレートが表面に噴出したものが噴火です。このような地殻内のごく浅い300mの地点に核のゴミを埋設しようとしています。常識的に考えて可笑しくありませんか。また、核のゴミ埋設直下で活断層の亀裂が生じた場合、核のゴミ容器は安全でしょうか。

 皆さんの生活感覚から想像して、政府の言う安全に保管するという説明は納得できるでしょうか。中学、高校で勉強した範囲でもって素朴に考えて見ましょう。

 原発の安全神話を作り上げるために、専門家は難しい言葉を使い、また、とんでもないたとえ話で原発の安全性を説明します。その一例を最後に紹介します。

 某大学教授はメディアで

 「塩の致死量200gで半分の人間が死亡する。一方、プルトニウムの致死量は32gであり飲み込んだ場合の毒性は塩とかわらない。プルトニウムは紙一枚でとまる物質であるからして、プルトニウムを使った燃料を作るときは・・・」

 等のとんでもない発言をしています。ほんの一部の正しい部分を引き合いに出しして、さも全体が安全であるかのように説明しています。詐欺罪に近いですね。

2011年8月22日 (月)

福島原発損害額 366兆円

 ジュネーブ大学のヴァルター・ヴィルディ教授は「もし、スイスで同じような福島原発事故起きたならば」という想定で、損害賠償額を見積もっています。福島が現状復帰するまでに要する金額であろうといわれています。政府試算は4兆円であるようです。この乖離は何なんでしょうか。

 現状復帰に必要な金額は、失われたすべての資産の損失、土壌等の除染、所得保障、風評被害等の合計額であるといわれています。

 「それが巨額なため自主避難要請にしたのではないかと推測する。避難しようとしまいとそれは個人の責任だということだ」とも言っています。

 政府は原発の安全神話を作り上げ、住民の反対を押し切ってまでも国策で原発を作り続けてきました。被害者である住民は土地や財産を失い、故郷を捨て、家族もバラバラになり、精神的苦痛を受け、長期にわたる健康不安を抱きながら生活をしなくてはなりません。その代償を4兆円で済まそうとしているのです。被害関係者は正当な保障額を請求してください。遠慮は要りません。

 アンケートによれば、74%の人が「原発は時間をかけて削減」と言っています。この数字でもって、一部の人は脱原発が徐々に進むであろうと安堵しているでしょう。一方、原子力村住人(政治家、経産省官僚、電力会社、メーカ、関連会社)はシメシメと感じているかも知れません。その証拠に、ポスト菅の候補者は、誰一人として脱原発を唱えていません。むしろ、減原発、現状維持、推進と変化しかねません。何しろ、東電から巨額の金額が原子力村住民に流れ、官僚は天下りポストを確保でき、政治家は選挙でお世話になるのです。

 私の近くにも原発があります。反対デモや、反原発講演会、署名運動がたびたび行われ、原発停止訴訟も提訴されました。また、反原発学者の発言も大きくなり、多くの書籍が販売店に並んでいます。

 被害関係者は損害額をきちんと請求してください。その行為が脱原発を進めていく大きな力となります。まともに計算すれば被害額は国の借金1000兆円の1/3にもなります。この数字を前にすれば、国民はもとより、原子力村住人ですら、原発推進をためらうでしょう。個人の犠牲の上に原発が稼動しているなどあってはならないことです。

 最後に、悲しく、唖然とする話をします。

 37年間骨肉の争いを続けた「芦浜闘争」があり、当時の北側知事は原発を白紙撤回しました。昨年から、中電は、原発再計画に舵を切り始め、地元住民に対して、金銭面での働きかけをはじめたようです、その後、原発事故が起きました。それでも、地元は「このままでは町は滅びる。安全性を確認してから立地すればいい。原発と町の滅亡、どちらが怖いんだ」といったそうです。

 

 

2011年8月25日 (木)

再生エネ法案に後ろ向きな経産省

 再生エネ法案が衆議院を通過します。風力発電など再生エネ事業者が発電した電力の買取りを、電力会社に義務づける法案です。再生エネの普及に弾みをつけることが狙いです。

 ところが、この法案を骨抜きにしようとしている原子力村住人がいます。

 この法案を実行するためには、電気料金の値上げが必要になります。経産相はこの値上げ分を1キロワット当たり0.5円を超えないように制度を運用するようです。標準家庭の場合、10年後の負担増加額は1ヶ月当り150円のようです。なんと国民思いの経産相ですね。ペットボトル1本分ですよ。この試算によると、再生エネの発電比率は、現行の10%から4~5%増えるだけです。20年代の半ばで、20%超に高めるといった菅総理の思いは実現しないでしょう。

 経産省は太陽光発電の価格を1キロワット当たり30円台後半と想定しています。ソフトバンクの孫社長は「40円を下回れば、多くの事業者は笛吹けど踊らず」となり、結局再生エネの普及は進まないと見ています。官僚の見事な知恵ですね。

 また、法案には例外規定があり、電力会社の思惑で買取りしないことが認められています。これも大きな骨抜きです。

 当初、民主党は「経産省が固定買取価格を決定する」という原案を提示しました。、自民党と公明党がこれに意義を唱え「経産省以外の関係省庁も加えて決定する」と、民主党案を修正させました。これが、唯一評価できる点です。これで経産省の思惑は若干後退しました。

 1世帯当たり、10年後の電気料金は1ヶ月当り300円を超えてもよいと思ってます。再生エネの普及が進むなら。

 城山三郎「官僚たちの夏」のストーリーが頭をよぎりました。経済成長が始まろうとしている時代でした。外国の経済的進出から日本を守るために奮闘した通産省官僚たちの物語です。コンピュータ、車等、保護主義的な政策を推し進めました。小説からは、その当時の官僚たちの熱い志が伝わってきます。

 翻って、現在の一部の官僚はどうでしょうか。原子力村の住民に成り下がり、天下りポストに期待し、日本のことを本当に考えているでしょうか。省益あって国益なしです。熱い志が伝わってきません。

 現状を見てみましょう。脱原発の機運が高まり、一般国民の74%がそれを望んでいます。放射性廃棄物は危険極まりないものです。どうして、原子力にしがみつくのでしょうか。再生エネ法案が可決し、日本は新しい方向に進もうとしています。欧米は、脱原発を宣言して、太陽光発電、風力発電等を推し進め、スマートグリッドというシステム構築に積極的です。日本においても歴史的な岐路です。莫大な設備投資を必要とする再生エネ事業は景気の好循環をもたらし、新たな産業、雇用が生まれるでしょう。経産省の発想の転換を期待します。

2011年8月27日 (土)

原発推進派の言う嘘

 原発立地候補地では、推進派と反対派が何十年にもわたって、骨肉の争いを繰り広げています。専門家の間でも同様の議論が行われています。福島原発事故以前、私は、この議論にまったく関心を持っていませんでした。また、私の近くでも原発が稼動しているのですが、その存在を気にも留めませんでした。反原発デモは遠い風景で、イベントとしての反対であろうと、白い目でこれを見ていました。なぜなら、大きな原発事故はちっとも起きませんでしたから。突如、未曾有の原発事故が起きました。その後、考えは一変し、各種本を読みはじめました。同時に、何十年もの間、反原発を唱えてきた人に対し、頭の下がる思いをしているところです。

 福島原発事故が起きてはじめて、原発推進派の言っていることが、原発反対派の説によってことごとく覆されている事実を知りました。最悪であると感じるのは、原発の危険性を知りながら、原発を推進し、屁理屈で、国民をだましている点です。これは悪意に満ちた確信犯です。今回は、原発推進派の言っていることと福島原発事故の現実を比較してみます。

 (推進派) 「多重防護」により原発の安全は確保されている。

 配管から冷却水が漏れるなど緊急を要する異常を検知した場合には、すべての制御棒を挿入し、原子炉を自動的に「止める」設計になっています。

 配管が破断し、冷却水が喪失するというような事故になった場合には、非常用炉心冷却装置(ECCS)、格納容器スプレー、非常用炉心冷却装置(ECCS)が働き、原子炉内部に大量の水が注入され、原子炉を「冷やす」しくみになっています。また、原子炉は密閉された原子炉格納容器の中に閉じ込められており、放射性物質が外部に出ないよう「閉じ込める」しくみになっています。

 (現実) 制御棒の挿入により原子炉は停止したが、冷却装置がことごとく作動せず炉心溶融、水素爆発を経て、放射性物質が外部に放出しました。 「多重防護」はことごとく破られました。

 (推進派) 非常用炉心冷却装置(ECCS)等、すべてが故障した場合、消火用に使うポンプで炉心に水を注水し、燃料を冷却するといった対策を考えます。原発の安全対策は十分に確保され、更なる安全規制は必要ないが、さらに事故に対するリスクを低減させ、安全性を高めるために、アクシデントマネジメント対策を行っています。アクシデントマネジメントとは、過酷事故に至るおそれのある事態が発生しても、それが拡大することを防止するための対策です。

 (現実) 冷却装置がことごとく作動せず、外部電源もすべて喪失し、消火用ポンプで炉心を冷却することもできませんでした。放水車で大量の水を注入しましたが、水素爆発が発生し、大量の放射性物質が外部に放出しました。幸いにも、水蒸気爆発は起きませんでした。現在は、外国製の循環冷却装置でもって進行を止めているが、いまだに冷温停止の状態に至っていません。過酷事故に対応するためのアクシデントマネジメントは、全く機能しませんでした。

 (推進派) ペレット、被覆管、原子炉圧力容器、原子炉格納容器、原子炉建屋の5重の壁(沸騰水型BWRの場合)で放射性物質を閉じ込め、外へ出さないしくみになっています。   

 (現実) 冷却装置が作動せず、崩壊熱により、ペレット、被覆管が溶け、原子炉圧力容器、原子炉格納容器、原子炉建屋を経て放射性物質が外部に放出しました。 

 このように、推進派の言い分が福島原発事故の前にことごとく否定されています。反対派の説が正しかったことを証明しています。今でも、訳知った常識派は、両極端な意見によって、それぞれが頑なになり、原発の安全性が損なわれたのだといっています。

日本人はどうして、このような中庸な考え方をするのでしょうか。問題をウヤムヤにしようとしている魂胆が垣間見れます。

欧米人のようにきちんと白黒つけないのでしょうか。ドイツ、イタリアの脱原発方針には政治の強い意思を感じました。

国際政治面において外国から信用されずバカにされている原因は、このようなあいまいな態度にあるのでしょう。内政面では腹の探りあいをして、自分の選挙のことしか考えず、国民をバカにし、国際的にはバカにされている。島国で農耕民族であるがゆえにこのような発想が身についてしまっているのでしょう。国際的に見て、情けない日本人ですね。このような思考から脱却しませんか。

2011年8月30日 (火)

緊急時避難準備区域解除へ ?

 福島原発から20~30キロ圏内の緊急時避難準備区域の指定が9月にも解除される見通しです。

 これに対し、町長は「徹底した除染後でないと町民に自信をもって帰宅を進められない」、「現状では解除と帰宅は別」と言っています。住民は「住んでいた地区は放射線量が高く、戻るつもりはない。子供の健康を守るためには仕方がない」、「子供が広野町には絶対行かないと言って放射線を怖がっている」と言っています。

 「緊急時避難準備区域」は、年間累積放射線量が20ミリシーベルト以上の地域です。20ミリシーベルト以下となる可能性があるから解除するのでしょう。20ミリシーベルトという数値が一人歩きしています。町長、住民の声からは、不安が感じられます。政府の言うことが信用できないのでしょう。

 年間累積放射線量について考えて見ましょう。国際放射線防護委員会(ICRP)は07年に勧告を出しています。その中で、一般の人に対する放射線量の指標を3つの範囲で設定しています。

 緊急時は年間20~100ミリシーベルト、

 緊急事故後の復旧時は年間1~20ミリシーベルト、

 平常時は年間1ミリシーベルト以下としています。

これによると、年間1~20ミリシーベルトは緊急事故後の復旧時に許容される数値です。永久に、生活できるとは言っていません。これでは、町長、住民が不安がるのも当然です。1ミリシーベルト以下に除染しなければ安心できません。

ここで、5/26現在の福島原発周辺の空間放射線量(地上1m)と地表面への蓄積量を示します。文部科学省及び米国エネルギー省航空機による航空機モニタリング測定結果です。

 セシウム134と137の空間線量(マイクロシーベルト/時) 地表面への蓄積量(ベクレル/平方メートル)                      

20km圏内            19以上~0.2                      300万以上~10万以下

20~30km圏内         19以上~0.2                      300万以上~10万以下

30~60km圏内            19以上~0.2                       300万以上~10万以下

60~80km圏内        9.5~0.1以下                         100万~10万以下

80~100km圏内       1.0~0.1以下                          30万~10万以下

このように、同一圏内でも放射線量や蓄積量に大きな差異があります。

 一方、京大の今中助教は、「土壌のセシウムで汚染の程度を評価した。汚染土を表面2センチの土と仮定すると1平方メートル当たり326万ベクレルで、1986年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故で強制移住対象とした148万ベクレルの2倍超、90年にベラルーシが決めた移住対象レベルの55万5千ベクレルの約6倍だった。」と言っています。旧ソ連は148万ベクレルで強制移住対象とし、ベラルーシは55.5万ベクレルで移住対象レベルとしました。ベラルーシの基準によれば、福島原発から80km圏内の一部が移住対象レベルとなります。 

 政府は過去に起きた原発事故の数値を参考に、住民の避難基準を早急につくり、住民の不安を取り除いてほしい。今は政府の言うことが信用できません。以下希望します。

1 チェルノブイリ原発に関する住民の避難基準

 公的な数値として、国民に示してほしい。

2 チェルノブイリにおけるガンの発生率

 避難した各地区におけるガンの発生率を明らかにし、退避基準の是非を検討してほしい。発生率が上昇していないなら、住民は安心できます。

3 上記に基づく福島への対応

 ここまで書いて、日本政府の思惑が見えてきました。

 旧ソ連政府は事故から36時間後にチェルノブイリ周辺の区域から住民の避難を開始した。およそ1週間後の1986年5月までに、当該プラントから30km以内に居住する全ての人間(約11万6000人)が移転させられた。その他、チェルノブイリから半径350km以内でも、放射性物質により高濃度に汚染されたホットスポットと呼ばれる地域においては、農業の無期限での停止措置および住民の移転を推進する措置が取られ、結果として更に数十万人がホットスポット外に移転した。

といわれています。

旧ソ連は広大な国土を持っています。除染するより移住させるほうが、安上がりだったのでしょう。

 チェルノブイリの基準を用いるならば、福島原発事故での移住範囲は80km圏内にまで達します。該当する地域の住民は移住しなければなりません。とても不可能なのでしょうか。不可能であるから、国民の健康に目をつぶっているのでしょうか。避難可能な程度で、20ミリシーベルトが決まったような気がします。このような疑心暗鬼を国民に抱かせないためにも、政府は、正確なデータを正直に公表すべきです。

 このデータは文部科学省のHPで6/16に公開されており、同時に報道発表したとの記述があります。新聞、テレビ等はなぜこの事実を発表しなかったのでしょうか。政府に慮って控えたのでしょうか。国民、特に福島周辺の住民にとって重要な情報です。過日、新聞報道された「緊急時避難準備区域解除へ」の直後の発表になります。不自然さを感じます。そうであれば、報道関係者の存在は何なのかと思わざるを得ません。失望します。

野田首相 原発再稼動前向き

 首相就任おめでとうございます。8/30首相の原発に関する発言を列挙すると

1 電力は経済の血液。電力不足が日本経済の足かせになってはならない。原発の再稼動に積極的な姿勢。

2 原発新設は事実上困難。

3 寿命が来た原発は廃炉にする。

4 再生可能エネルギー普及や省エネを通じ、原発依存度を段階的に引き下げる。

5 国が責任をもって現場に行って自治体の(再稼動の)了解を得る。

6 再生可能エネルギーの拡大と省エネによる(電力供給の)構造改革に取り組む。

7 2030年までは原発を一定割合で活用する。

8 発電電力量の約9%(水力発電を含む)にとどまる再生可能エネルギーの割合を20年代までに20%に引き上げる。

9 今国会で成立した「再生エネ法案」活用に加え、環境・省エネ分野の技術開発を経済成長につなげる「グリーンエネルギーイノベーション」を実現すべく、関連予算を積極的に計上する。

10 発送電分離などの電力制度改革は中期的な検討課題。

11 核燃料サイクルの見直し。

と、菅政権の方針を踏襲しています。脱原発推進者にとって、一応、安心です。原子力村住民(政治家、経産省官僚、電力会社、御用学者、メーカ、報道機関)の巻き返しにも強い意志を持って対応してください。原子力村住民に配慮した、優等生的、バランスの取れた方針ですが、早急な脱原発を希望します

 新聞、テレビ等に流れる、原発避難民一人ひとりの声を聞いていますか。20年以上、故郷を離れなければならない住民の声を聞いていますか。その人たちの涙を見ましたか。住民の悔しさ、絶望感を感じる事ができましたか。自分の家族がこのよう状況になったらと想像してみましたか。経済、金等マクロな見方でこれを捕らえると、個々人の悲しみが伝わらず、政策は結果的に国民のためになりません。

 ここまで書いて、イラク戦争における航空機爆撃が思い出されました。爆撃機のパネルには、攻撃目標がピンポイントで示され、一瞬のうちに建物が破壊しました。あたかもゲームのように。そこには、その建物の下で死んでいった人の姿はありません。その人、家族、親戚の悲しみが伝わってきません。戦争の大義名分は、フセインの核保有でした。その後の調査では核は発見されませんでした。あの戦争は何だったんでしょう。

今の政治家は国民のためといいながら、国民一人ひとりの悲しみ、涙、悔しさ、絶望感を見ているでしょうか。個々人の幸せなくして、何で国民の幸せなんでしょうか。初当選直後の純粋な気持ちを思い出してください。

 これから20年もの間、一部地域では原発は稼動します。

 地震列島で、地震が起きないと確約できますか。

 原発事故が再度起きないと保証できますか。

 事故調査委員会の結果が出ていない現在、ストレステストのようなごまかしで再稼動してもよいのですか。

 新設の原子力安全委員会ができない今、原子力の安全が担保できますか。

 万が一おきても、住民に福島のような悲しみを与えないと言い切れますか。

 最後に、野田首相はこの責任を請け負うことができますか。「首相が辞任すればよい」、「国民税金で救済すればよい」程度の捕らえ方ではないでしょうね。

 

トップページ | 2011年9月 »