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2011年8月30日 (火)

緊急時避難準備区域解除へ ?

 福島原発から20~30キロ圏内の緊急時避難準備区域の指定が9月にも解除される見通しです。

 これに対し、町長は「徹底した除染後でないと町民に自信をもって帰宅を進められない」、「現状では解除と帰宅は別」と言っています。住民は「住んでいた地区は放射線量が高く、戻るつもりはない。子供の健康を守るためには仕方がない」、「子供が広野町には絶対行かないと言って放射線を怖がっている」と言っています。

 「緊急時避難準備区域」は、年間累積放射線量が20ミリシーベルト以上の地域です。20ミリシーベルト以下となる可能性があるから解除するのでしょう。20ミリシーベルトという数値が一人歩きしています。町長、住民の声からは、不安が感じられます。政府の言うことが信用できないのでしょう。

 年間累積放射線量について考えて見ましょう。国際放射線防護委員会(ICRP)は07年に勧告を出しています。その中で、一般の人に対する放射線量の指標を3つの範囲で設定しています。

 緊急時は年間20~100ミリシーベルト、

 緊急事故後の復旧時は年間1~20ミリシーベルト、

 平常時は年間1ミリシーベルト以下としています。

これによると、年間1~20ミリシーベルトは緊急事故後の復旧時に許容される数値です。永久に、生活できるとは言っていません。これでは、町長、住民が不安がるのも当然です。1ミリシーベルト以下に除染しなければ安心できません。

ここで、5/26現在の福島原発周辺の空間放射線量(地上1m)と地表面への蓄積量を示します。文部科学省及び米国エネルギー省航空機による航空機モニタリング測定結果です。

 セシウム134と137の空間線量(マイクロシーベルト/時) 地表面への蓄積量(ベクレル/平方メートル)                      

20km圏内            19以上~0.2                      300万以上~10万以下

20~30km圏内         19以上~0.2                      300万以上~10万以下

30~60km圏内            19以上~0.2                       300万以上~10万以下

60~80km圏内        9.5~0.1以下                         100万~10万以下

80~100km圏内       1.0~0.1以下                          30万~10万以下

このように、同一圏内でも放射線量や蓄積量に大きな差異があります。

 一方、京大の今中助教は、「土壌のセシウムで汚染の程度を評価した。汚染土を表面2センチの土と仮定すると1平方メートル当たり326万ベクレルで、1986年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故で強制移住対象とした148万ベクレルの2倍超、90年にベラルーシが決めた移住対象レベルの55万5千ベクレルの約6倍だった。」と言っています。旧ソ連は148万ベクレルで強制移住対象とし、ベラルーシは55.5万ベクレルで移住対象レベルとしました。ベラルーシの基準によれば、福島原発から80km圏内の一部が移住対象レベルとなります。 

 政府は過去に起きた原発事故の数値を参考に、住民の避難基準を早急につくり、住民の不安を取り除いてほしい。今は政府の言うことが信用できません。以下希望します。

1 チェルノブイリ原発に関する住民の避難基準

 公的な数値として、国民に示してほしい。

2 チェルノブイリにおけるガンの発生率

 避難した各地区におけるガンの発生率を明らかにし、退避基準の是非を検討してほしい。発生率が上昇していないなら、住民は安心できます。

3 上記に基づく福島への対応

 ここまで書いて、日本政府の思惑が見えてきました。

 旧ソ連政府は事故から36時間後にチェルノブイリ周辺の区域から住民の避難を開始した。およそ1週間後の1986年5月までに、当該プラントから30km以内に居住する全ての人間(約11万6000人)が移転させられた。その他、チェルノブイリから半径350km以内でも、放射性物質により高濃度に汚染されたホットスポットと呼ばれる地域においては、農業の無期限での停止措置および住民の移転を推進する措置が取られ、結果として更に数十万人がホットスポット外に移転した。

といわれています。

旧ソ連は広大な国土を持っています。除染するより移住させるほうが、安上がりだったのでしょう。

 チェルノブイリの基準を用いるならば、福島原発事故での移住範囲は80km圏内にまで達します。該当する地域の住民は移住しなければなりません。とても不可能なのでしょうか。不可能であるから、国民の健康に目をつぶっているのでしょうか。避難可能な程度で、20ミリシーベルトが決まったような気がします。このような疑心暗鬼を国民に抱かせないためにも、政府は、正確なデータを正直に公表すべきです。

 このデータは文部科学省のHPで6/16に公開されており、同時に報道発表したとの記述があります。新聞、テレビ等はなぜこの事実を発表しなかったのでしょうか。政府に慮って控えたのでしょうか。国民、特に福島周辺の住民にとって重要な情報です。過日、新聞報道された「緊急時避難準備区域解除へ」の直後の発表になります。不自然さを感じます。そうであれば、報道関係者の存在は何なのかと思わざるを得ません。失望します。

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