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2011年8月20日 (土)

原発廃炉交付金の新設をせよ

 原発の営業運転が開始された66年以降、周辺自治体に対し、交付金や税金の形で国や電力会社からもたらされた「原発マネー」の総額は少なくても2.5兆円に上るといわれています。

 原発を廃炉にした場合の問題点が新聞等で盛んに報道されています。以下、検証します。

 一点目は、電力不足です。現在、節電や土日出勤で対応していますが本当に不足しているのでしょうか。過去にも同じ風景がありました。73年に勃発した第4次中東戦争を契機に原油が高騰しました。危機感を強めた政府や電力会社による節電キャンペーンが行われ、東京、銀座でネオンを消灯し、オフィスでエレベータを停止し、電力不足の危機感を煽りました。これを契機に交付金法案が国会を通過し、70年代前半から原発の着工が顕著となりました。電力不足は火力や揚水発電所の稼動、民間の有する埋蔵電力、節電、省エネ機器の導入等で賄えます。また、自然エネルギーの推進によっても不足電力は賄えるともいわれています。電力関連予算のうち原子力予算は97%にも上ると言われています。そのうちの何割かを自然エネルギー関連予算に振り替えることができれば、画期的な発電装置の開発も可能でしょう。

 二点目は、「電気料金の上昇により企業の海外移転が進み、産業の空洞化を招き、ひいては失業率が上昇する」と経団連会長は脅しとも取れる発言をしています。海外移転の主な理由は、76円/ドルにもなっている円高の影響が大きいと感じます。円高の影響を原発停止によるかのように、論点をすり替えているような気がします。電気料金は、送配電分離により大幅に下落します。競争相手が電話事業に算入し、電話料金が大幅に下がった事例が良い見本です。送配電分離に反対する人は独占事業で旨味を享受している原子力村の人々(政治家、経産省官僚、電力会社、発電所建設関連業者等)であるといわれています。安全、安心をお金で買えるなら、短期的な電気料金の値上げを、国民は甘受するでしょう。

 三点目は「原発マネー」で財政を賄っている地方自治体です。地方自治体のうち原発が立地する市町村への影響はとりわけ大きい。原発立地地域にはこれといった産業もなく、工場誘致にも失敗しました。そのような市町村に声がかかったのが原発建設です。国が絶対安全であるといえば、背に腹は変えられなかったと思います。それ故に、立地自治体は被害者でもあります。原発を受け入れた自治体は交付金によりハコモノ、インフラを整備し、関連業者は潤い、ようやく中都市並みの暮らしができるようになりました。しかし、状況は変わりました。原発の安全神話が壊れ、地震国での原発は不適合であることが福島原発の事故で立証されました。原発は廃炉しかありません。ここで、立地自治体が受ける交付金等の概算を示します。原子炉1基の建設費4000億円、出力は135万キロワットで環境評価期間3年、建設期間7年、40年間の運転と仮定します。

評価期間の交付金          3億円×3年=9億円(概略)

運転開始までの7年間の交付金          465億円

運転開始からの40年間の交付金         800億円(概略)

合計                         1,384億円

となります。これを50年間で単純平均すると、1年間の財政収入は27億円となります。

原子炉一基の固定資産税収入は

初年度     35億円/年

5年後      17億円/年

16年後      1億円/年

となります。この税収体系により、立地自治体は15~20年間隔で原発を次々に作り続けることになります。そうしないと財政が破綻してしまいます。このような状態に陥った自治体を救う方法はあるのでしょうか。原発の営業開始から45年間が経過しています。その間に支払われた「原発マネー」2.5兆円を45年間で単純平均すれば、1年間では555億円となります。原発廃止後、この555億円を45年間、原発廃炉交付金として立地自治体に交付したらどうでしょうか。その間に、立地自治体は工場誘致、観光産業、自然エネルギー導入等に努力し、原発依存からの脱却を果たしてほしいものです。原発事故後、原発立地自治体からの移転を検討している企業が私の周辺でも何社かあります。企業が離れ、観光客は遠のき、雇用は減少する事態になる可能性も大きいでしょう。原発がないほうが企業も、住民も安心であると感じ始めたと思います。福島原発損害額は予想すらついていません。原発事故が再度起きることを想定すれば、45年間での2.5兆円など安いものです。

 注) ジュネーブ大学ヴァルター・ヴィルディー教授は、「もし、スイスで福島レベルの原発事故が起きたなら、損害額は366兆円」と見積もっています。     

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