« 2011年8月 | トップページ | 2011年10月 »

2011年9月

2011年9月 1日 (木)

EPZを拡大せよ

 原子力安全委員会は防災指針において、「防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲」(以下「EPZ:Emergency Planning Zone」という。)をEPZと定義している。

 EPZのめやすは8~10kmと定められています。

 EPZと、福島原発事故を照らし合わせてみます。

1 (EPZ) 原子力施設においては十分な安全対策がなされているため、事故は起こりえないとしています。・・・本来はEPZは不要ということでしょうか(ものぐさ)。

 (現実) 事故が発生しました。

2 (EPZ) 起こり得ないような事態が起き、放射性物質が放出されても、この範囲の外側では、屋内退避や避難等の防護措置は必要ありません。

 (現実) 当初3kmであった避難範囲は、10km、20km(警戒区域)、30km(緊急時避難準備区域)、30km以上の計画的避難区域と拡大しました。

3 (EPZ) その範囲は8~10kmです。

  (現実) 事故の影響範囲は30kmを超え、一部の地域では50kmにまで達しています。

 EPZに該当する地域は、原子力安全協定を電力会社と締結しています。その概略内容を示します。

1 「電力会社は原発の設置、運転等に万全の措置を講じなければならない」といっています。もちろん、再稼動時の安全に対し、EPZ該当地域は異議を唱えることができ、防災対策について、電力会社はEPZ該当地域との協議に応じなければなりません。

2 EPZ該当地域は立ち入り調査することができ、安全確保のための措置を電力会社に求めることができます。

3 EPZ該当地域に損害を与えたときは補償しなければ」なりません。

 このように、電力会社にとっては、責任の伴う、わずらわしい協定です。できるだけ範囲は小さく抑えたいでしょう。EPZ該当地域を決めるにあたって、当該地域外は万が一事故が起きても住民生活に影響を及ぼさないと、電力会社は言い切っています。それゆえに、EPZ該当地域を8~10kmに定めたわけです。

 福島原発事故で見るように、EPZの概念がまったく否定され、事故による影響は50kmにも及び、放射性物質を撒き散らし、住民は避難しなければなりませんでした。

 原発立地自治体の周辺市町村はEPZの拡大を要請しています。なぜか、政府の反応は鈍いようです。ウヤムヤのうちに再稼動してしまおうという魂胆でしょうか。速やかに対応し、再稼動においては、EPZ拡大地域を含め、安全性を議論すべきです。

 

2011年9月 2日 (金)

東電賠償に異議あり

 8/31、東電は賠償基準を明らかにしました。原子力損害賠償紛争審査会の中間指針に基づいての発表です。いくつかについて見ていきましょう。

1 「4人家族の請求例」では451.5万円だ。

 この金額が妥当かよくわかりません。この支払い対象者は政府指示による避難者に限られています。8/30の(ものぐさ)記事「緊急時避難準備区域解除?」において、ベラルーシは55.5万(ベクレル/平方メートル)の住民を強制移住の対象としています。これを福島原発事故に当てはめると、80km圏内の一部の住民が避難の対象になります。政府の指示がなく自宅に住み続けた人は、将来のガンを心配しながら生活しなければなりません。精神的苦痛を考慮して損害賠償をもらいたいくらいです。政府はスピーディによる放射能拡散データから速やかに住民を避難させることができたはずです。米国は米国人を直ちに80km圏外に速やかに移動させました。日本政府は「直ちに健康に影響はありません」といって、住民を被曝させてしまいました。

 土壌汚染度55.5万(ベクレル/平方メートル)の住民まで支払い対象とすべきです。結果的に正しい判断で自主避難した人が支払い対象者に該当しないとは、おかしくないですか。その他、就職ができなかった場合や、できても低い賃金であった場合はどうするのですか。自己責任でしょうか。事故前の会社がズット続いて給料があがっていくと仮定した場合との差額を永久に支払い続ける事が東電の誠意でしょう。

2 避難による営業損害も支払い対象だ。

 この支払い対象者も政府指示による避難者に限られてるのでしょう。土壌汚染度55.5万(ベクレル/平方メートル)以上の住民まで支払い対象とすべきです。

3 政府の中間指針「セシウム汚染牛は損害賠償の対象」は、東電の独自判断で対象にするか見送った。

 風評被害により、牛肉の価格が1/3となりました。価格下落の原因は東電の起こした原発事故です。速やかに支払うのは当然です。安全基準(500ベクレル/kg)以下であったとしても、風評被害で価格下落した食品(魚介類、茶、野菜、果物、しいたけ、米等)はすべて賠償の対象とすべきです。

4 観光業の賠償は「解約、予約控え」を重点に。

 風評被害により、会津の「白虎隊記念館」は前年度の4割、土産物店も客足は激減、原発周辺の商店街の売り上げがゼロ等悲惨な状態です。昨年実績からの売り上げ減少額を賠償すべきです。

 結論として、事故がなかった場合に稼げたであろう金額との差額を支払い続ける必要があります。全体的に、事故を起こした当人である東電の冷たい対応が見えます。

 業界団体に属する関係者は、その団体を通して、支払い交渉や裁判ができます。サラリーマン等団体に属さず、弱い立場の人達が不利益を被りそうです。地方自治体、慈善団体、善意の弁護士等が手助けできないものでしょうか。

 8/22の(ものぐさ)の記事「福島原発損害額366兆円」において、ヴァルター・ヴィルディ教授は366兆円と見積もっています。政府の試算は4兆円です。適正な賠償額を受け取ることができるよう、世論を高めてほしいものです。

2011年9月 4日 (日)

町に武田教授がやってきた

 わが町で、武田教授、山本教授による、原発講演会が行われました。メモ書きで不正確ですが、話の内容を書いてみます。趣旨は間違っていないと思います。

 まず武田教授の講演。

 原発事故が発生したら、遠くに逃げるな。原発からの放射能は風に乗って流れていくが、100km離れたところの、風向きは、原発周辺の風向きと同じとは限りない。まず風向きより外れて横に逃げよ。

 放射能粒子は大きく、新型インフルエンザマスクで除去できる。

 福島原発事故では放射能は奥羽山脈にぶつかり南下した。気象庁による正確な風向きでの避難が重要。その気象庁は、事故翌日、風向きを外国には発表したが、日本では報道されていない。1日前に爆発はわかるので、自治体は、事故が起きたら、バスを用意し、住民を避難させなければならない。まず119に連絡せよ。

 電力会社に「安全か」と聞いてはいけない。「安全だ」というに決まっている。

 震度6で東北の原発は6基壊れた。原発は安全でない。震度6で必ず壊れる。「2006の新耐震指針では、原発は必ず壊れ、住民は多大な被曝を受ける。これを前提に審議会での議論をしてくれと」言われた。今回、青森では震度4で壊れた。

 事故前は1年の被曝量は1ミリシーベルトで管理され、これを超えると保安院からしかられた。事故後は1年の被曝量は20ミリシーベルトに増やされた。原発稼動前は人工放射能はなかった。原発が稼動すると、放射能が出始め、世界的な基準を作ろうということになり、学問的には証明されていないが、1ミリシーベルトの基準ができた。ドイツでは1年間で0.3ミリシーベルトである。要するに、電気を必要とするため、1ミリシーベルトで我慢してくれということだ。科学的にわからないから、1ミリシーベルトを死守しようということだ。チェルノブイリでは最近ガンの発症が見られる。

 1年の被曝量20ミリシーベルトはX線を年間400回浴びたことに相当する。しかも全身である。子供に400回もX線を浴びせられますか。安全かどうかわからないが、納得性に欠けるということだ。東電からの毒であるが、20ミリシーベルトは我慢せよということらしい。このことを学校に訴えると、モンスターペアレントだという校長もいる。

 空間から20ミリシーベルト、埃からの内部被曝10ミリシーベルト、食物からの被曝量5~20ミリシベルトとすると、年間被曝量は30~50ミリシーベルトとなりX線を1000回浴びることに相当する。

 日本人は「原発は必要だから安全である」という思考をする傾向がある。フランスでは安全と必要という概念を分ける。だから日本では「安全」といいながら、人のいないところに建設し、フランスは街中でも建設する。

 化石燃料の埋蔵量は8000年あり、当面困らない。1970の石油ショックでは40年で枯渇するといいながら、40年たった2010には43年で枯渇するといっている。これは石油会社がもっている石油の平均値だ。

 地球温暖化で水面が上昇する。これは、小学生でもわかるウソだ。南極の大地はー40℃、温暖化で5℃上昇しー35℃になっても氷は溶けない。仮に海水が5℃上昇した場合、海水の蒸発が増える。蒸発した水蒸気は、地上に落下し、一部は雪となり、氷となる。ICPPの報告書には同様の記述がある。

 武田教授、山本教授、市長による討論会。

(市長)静岡の茶は安全か。

(武田)安全だ。データが出ないことが問題だ。ベクレル値での公表が肝心だ。

(市長)専門家の公表値を信用できるか。

(武田)学者による。

(山本)国民の安全安心を守るために学者はいる。原発関係以外の学者の知識は低い。

(武田)原発に携わった者としての償いのため、こういう話をしている。

(市長)福島のような原発事故の可能性があるといわれていたら、浜岡原発の誘致はなかったであろう。止めた後の浜岡原発の安全性は。

(武田)現在の原子炉の放射能は3000京ベクレル、80京ベクレルを切れば安心。約2年程度か。中電に、現在の濃度を出してもらったらいい。それまでに、地震が起きないことを願うのみ。

(武田)今回の地震で東海第2原発は、水没により、全電源が喪失し、爆発寸前であった。防潮堤は6.1m、津波高さは5.4m。防潮堤にに穴が開いていて浸水した。安全性を脅かすものはどこにあるかわからないものだ。

(市長)福島の除染プロセスは。

(武田)土を1cm、コンクリを0.2ミリ剥離すれば、安全だ。これに要する金額は10兆円。どうするかは自治体が決める。

(山本)自治体は判断できない。そこの暮らし、生業をしている人がいるということだ。これをどうするかは、政府も報道も伝えていない。

(市長)導入時は安全と判断した。

(武田)原発軽水炉の事故は1万年に1回といわれた。現在までに、世界で7基の原発が壊れている。

(山本)原発は地域振興に貢献していない。お上が交付金で導入を強要し、地域に選択の余地はない。地域は衰弱し、、高齢化が進んでいる。工業と農業の共存を目指し、地域自ら考える自立的な組織体が必要。

(市長)新しい産業。

(武田)オーストラリアのホーエン炭鉱には1000年分の埋蔵量がある。労働者は3時間働いて、年収1500万円だ。やるなら、石炭による火力発電か。

(武田)自然エネルギーは自然を壊す。水力発電で川下はだめになった。黒部ダムだ。

(山本)交付金で特定の地域に大容量の発電所ができる。地域のリスクは大きくなる。

(市長)使用済み核燃料による貯蔵は。

(武田)再処理すると、低、中、高レベルと廃棄物は3倍になる。そのまま埋めるほうがよい。

(市長)原発に対する意識調査。4割が反対していない。6割が反対といっている。

(武田)「安全確認できれば再稼動」は16%ある。安全は確認できないから結局やめることになる。

(市長)再稼動は。

(武田)安全指針、耐震指針の見直しが必要。震度8に耐えうる必要がある。現在の保安院は事故発生の当事者であり、人も変えないと、安全審査などできない。

(武田)4/24以降の記者会見に、外国記者は一人も来なくなった。外国人はウソは信じない。だから出席しないということだ。だれ一人いないのに、「ご質問はありますか」といった。形式主義に陥っている組織を如実にあらわしている。耐震指針、保安院を疑え。

(山本)審査基準も耐震基準もダメ。震度8に耐えうる投資はできない。再稼動はできない。しかし、核の安全管理は必要。その意味で、18mの防潮堤はぜひ作ってほしい。

(市長)電力は足りるか。

(武田)中電は関電に、東電は東北電に供給した。十分足りる。

(山本)中電の余剰89%はきつくない。余剰は8%もあればよい。

(武田)東電の供給能力 7700万kw。今回の事故での減少分1000万kw、差し引き6700万kwで、今年の最大使用電力は4000万kw(聞き間違いかも知れません)。火力発電所の稼働率は30%。火力発電所を作るという手段があり、化石燃料はある。30~50年、故郷を捨てなくてはならないなら、原発は稼動してはならない。

 関連記事(ものぐさ 内部被曝評価はシーベルトではなくベクレルで)。

2011年9月 5日 (月)

自然エネルギーは 「自然を壊す ?」

 武田教授は「自然エネルギーは自然を壊す」と言っています。原発推進派は自然エネルギーは変動が大きく、電力が不安定になるといって、自然エネルギーに否定的です。推進論を展開するときは、必ずこの問題を持ち出します。そのためにも、自然エネルギーの本当のところを国民は知りたがっています。

 武田教授の言い分を紹介します。

1 風のエネルギーを100として、風力発電で50使えば、風下のエネルギーは50と弱くなる。生態系が変化し、果実の収穫は半分になり、植物も減る。洗濯物だって乾かなくなる。これはエネルギー保存の法則に合致している。

2 ダム建設前の川のエネルギーを100として、せき止めた水で発電した電力のエネルギーを20とすると、電力を作るときの損失は30となり、建設後の川のエネルギーは50に減少する。その結果、水が淀み、水が腐り、生物は死滅する。

3 自然の破壊は、エネルギーのバランスが壊れたときに発生する。

4 太陽光パネルを敷き詰めれば、その下は日陰となり、死滅する生物ができる。

5 ダムの下流には、砂利が流れてこず、セメントの原料が不足する。

6 環境破壊することを住民に説明して納得してもらう。

 本当にそうでしょうか。なぜか釈然としないものがあります。

 ドイツの自然エネルギー事情を見てみます。このことにより、ドイツの自然が破壊され始めたとは聞いていません。

「ドイツの全電力に占める自然エネルギーの割合は、過去10年で6%から16%になり、今後10年で35%に伸ばす。」

と言われています。上記数値から3.3%を除く必要があるかもしれません。(注2)

 日本における自然エネルギー(注1)の比率をみましょう。せっかく調べたので細かい数字を挙げておきます。2009自然エネルギー白書より。

              設備容量 Mw    発電量 GWh     全体比率 %

太陽光発電       2,821        2,966         0.26

風力発電         2,186        3,830                    0.33

地熱発電           535        2,765         0.24

小水力発電       3,234       17,280         1.51

バイオマス発電     3,159        11,624         1.01

合計            11,936       38,464         3.36

日本全体の発電量1兆1,146億GWhの3.36%が日本における自然エネルギーの比率となります。ドイツ並みに増やしても自然は破壊されないのではないでしょうか。

 確かに、武田教授の言うように、自然エネルギーを使用すれば、風下なり、日陰となった植物やダムの下流は、影響を受けるでしょう。どの程度が自然に対して悪影響を及ぼすか、見極めが必要です。ただ、ドイツに比べ、日本の自然エネルギーの割合は大きく下回っています。菅元首相が言うように20%程度までは可能でしょう。

「自然エネルギーを使って発電するために自然に影響が生じますが、住民の皆さんは許容してくれますか」といって住民の許可をもらう必要があります。

原発が放射能を撒き散らしたり、高濃度放射性廃棄物を10万年も管理するよりましでしょう。

 以上は、推測であり、間違っているかもしれません。間違っていれば、教えてください。

(注1)再生可能エネルギー(自然エネルギー)の定義

 太陽光や太陽熱、水力(ダム式発電以外の小規模なものを言うことが多い)や風力、バイオマス(持続可能な範囲で利用する場合)、地熱、波力、温度差などを利用した自然エネルギーと、廃棄物の焼却熱利用・発電などのリサイクルエネルギーを指し、いわゆる新エネルギーに含まれる。

(注2)2010ドイツ環境省データ

              最終エネルギー総量に占める再生可能エネルギーの割合 (%)

太陽光発電                  2.0

バイオマス発電                  5.5

風力発電                      6.0

水力発電                      3.3

合計                       16.8

             

 

   

  

2011年9月 6日 (火)

疑問、中電の原発事故防災訓練

 去る9/1、中電は浜岡原発で、社員ら1000人が参加した防災訓練の様子を報道陣に公開しました。前提条件は、M8、震度6強の地震発生、外部電源喪失、海水ポンプによる冷却機能停止です。その訓練内容を見てみましょう。

1 非常用ディーゼル発電機起動。施設が浸水。

2 発電機から配電盤まで、100mの電源ケーブルを接続。

3 津波による漂流物(自転車等)のがれきを大型重機で撤去。

4 外部への放射性物質漏れや水素爆発は想定せず。

以上です。疑問点を列挙します。

1 福島原発事故を見れば、この訓練はお遊びです。以下のことが、これを証明しています。

2 津波による漂流物は自転車程度ですか。

3 福島原発事故を想定して、放射性物質の漏れや水素爆発を、さらに最悪事態である水蒸気爆発も想定すべきです。何せ、直下型地震の可能性が大ですから。以下は行政の役割だと言いたいのでしょう。事故原因の当事者です。原発周辺市町村を含めた合同訓練の必要性を感じます。

4 なぜか住民が除外されています。住民軽視もはなはだしい。原発自身を守るための防災訓練のようです。中電にとっては当たり前か。

5 スピーディによる放射能拡散情報を住民に公表し、住民避難の是非を通報すべきです。

6 福島原発事故発生の翌日、水素爆発は起きました。住民全てを避難させるべく輸送の実施訓練が必要です。具体的には大型バスの手配、御前崎港への輸送船の着岸、被害者の病院搬送等です。

7 最悪事態を想定すれば、風下70km以内の地域は全数死亡、半径110km以内の地域は半数死亡、半径120km以内の地域は著しい急性障害、半径数百km以内の地域は急性障害といわれています。住民避難のシミュレーションをしてみてください。

8 訓練実施4項目以外は知ったことではないというようです。 

2011年9月 7日 (水)

デタラメ 原発ストレステスト

 7/15 、「第53回原子力安全委員臨時会議」において、ストレステストの詳細が明らかになりました。

  「第53回原子力安全委員臨時会議」における、ストレステストの指針

1 評価対象  

 自然現象        地震、津波
 安全機能の喪失   全交流電源喪失、最終的な熱の逃し場(最終ヒートシンク)の喪失

 一次評価は「定期検査中で、起動準備の整った原子炉」に対して実施する。

 二次評価は「全ての既設の発電用原子炉施設」に対し実施する。

2 内容

 一時評価

 安全上重要な施設・機器等について、設計上の想定を超える事象に対してどの程度の安全裕度が確保されているか評価する。また、多重防護になっているので、必要な安全水準に一定の安全裕度が上乗せされていることを確認する。

 二次評価

 設計上の想定を大幅に超える事象の発生を仮定し、原発が、どの程度まで燃料の重大な損傷を発生させることなく耐えることができるか、安全裕度(耐力)を評価する。また、燃料の重大な損傷を防止するための措置について、多重防護の効果を示すとともに、潜在的な弱点を明らかにする。

3 以上です。疑問点を列挙します。

 再稼動時でも、運転中でも危険度は同じなのに、一時評価、二次評価と区分した意味がわかりません。

 「設計上の想定を超える事象」、「設計上の想定を大幅に超える事象」との差異がわかリません。

 今回の指針においても、土木学会「原子力発電所の津波評価技術」(平成14年)を用いて評価した設計想定津波の高さ(設計津波高さ)が設計上の想定なのでしょう。これでは、第二の福島原発事故が起きます。

 地震についても、「設計上の想定を超える程度」としか言っていません。これも従来の耐震設計基準でしょう。ものぐさブログ「町に武田教授がやってきた」にあるように、震度6程度で原発は壊れます。

 地震と津波の重畳についての評価は、二次評価でしか行いません。

  全交流電源喪失と最終ヒートシンク喪失の重畳についての評価は、二次評価でしか行いません。

 津波の多重防護について、

 敷地の高さというものが第一の防護、通常の扉、浸水防止対策のパッキンが第二の防護、更に高い津波に対しての水密性をもった扉が第三の防護

 だといっています。

 ストレステストというのは、

 予め合格点みたいなものを定めて実施するものではない。むしろ、自分自身の弱点を把握するためのものなので、むしろ、安全審査を通っているという意味では、もう合格しているのであると。ただし、このストレステストをやった結果、あまりに余裕がない場合に、当然改善が必要ですねということのなる。そういうものだと理解しております。

 といっています。

 「従来の安全基準に従って、安全審査は行われ合格しているのだから、ストレステストは形式です。」と、私には聞こえます。全体的に枝葉末節な議論をしているようにも聞こえます。こんなテストで再稼動すべきではありません。

 わかりにくい指針を私なりに解釈したので、間違っているかも知れません。報道機関は、ストレステストについて、やさしく説明し、国民が正しく判断できるようにしてください。

 最後に、政府の安全宣言の経緯を上げておきます。

1 保安院は、安全対策の実施を要請

 福島第一原発の事故を踏まえ、平成23年3月30日に、電力会社に対して、津波により3つの機能(全交流電源、海水冷却機能、使用済み燃料貯蔵プール冷却機能)を全て喪失したとしても、炉心損傷等を防止できるよう、緊急安全対策に直ちに取り組むように指示した。

2 玄海原発に関しては海江田経産相が6月29日に佐賀県を訪れ、地元自治体に「国が責任を持つ」と再稼働の受け入れを要請

3 全原発に対するストレステスト実施は、菅首相が7/6日の衆院予算委員会で唐突に表明した。

4 9/4、鉢呂経産相は原発の再稼動について、「安全評価(ストレステスト)の結果を(IAEA)に再チェックしてもらうことも含めて、立地自治体の住民の理解を得る作業を丁寧に行う」との方針を示しました。

 保安院は安全対策として、「津波により3つの機能(全交流電源、海水冷却機能、使用済み燃料貯蔵プール冷却機能」強化を要請しただけです。

 これについて、国民が納得しないものだから菅首相は、何の根拠もないストレステストを持ち出しました。

 これでも国民は納得しないので、結局、IAEAのお墨付きをもらって、再稼動しようとしているだけです。

 保安院が3/30に要請した対策のみで、

 海江田経産省は「国が責任を持つ」といい、

 菅首相は「ストレステスト」で安全だといい、

 鉢呂経産相は「IAEAのお墨付き」をもらえば安全だといってます。

 デタラメだと思いませんか。

2011年9月11日 (日)

残余のリスク

 耐震設計審査指針の基本方針において、次のような記述があります。簡略化してあります。

 (1) 耐震設計における地震動の策定について

  「極めてまれな地震動が起きても、住民に著しい放射線被曝を与えないようにしなさい。」と言っています。

 (2) 「残余のリスク」の存在について

 「(1)で想定された地震動を上回る強さの地震動が起きる可能性は否定できない。」と述べ、想定外の地震があることを認めています。この想定外を「残余のリスク」と言っています。

 「設計に当たっては、(残余のリスク)があるので、それを可能な限り小さくするための努力をしなさい」と述べています。

  「残余のリスク」とは、

 「想定された地震動を上回る地震動が施設に影響及ぼし、重大な損傷が発生し、大量の放射性物質が放散され、住民に放射線を被ばくさせるリスク」

 と定義しています。

 これを更に簡略化すれば「想定外の地震があるので、それによる被害を可能な限り小さくするよう努力しなさい」ということです。最後は、努力目標になっています。努力目標だから、原発が壊れても責任ありませんといっているようです。

 このような、指針になったのは、

 反原発派の言う「原発は絶対壊れないか」との質問に対して、「絶対壊れない」とはいえないので、「残余のリスク」と言う表現でごまかしたのだといわれています。そして、国民を原発は壊れないという「安全神話」で洗脳してきました。

2011年9月12日 (月)

原発事故とロシア

 鉢呂経産相は、報道陣の一人に近寄って防災服をすりつける仕草をし、「放射能をつけたぞ」という趣旨の発言をし、就任9日で大臣を辞任しました。その行動を、目をつぶって思い浮かべてください。なんと子供っぽい行動でしょうか。「福島原発事故で苦しんでいる人の心情が理解できていない」、「今後のエネルギー政策に対する問題意識があるのか」等、情けない気持ちになってしまいます。こんな大臣しかいないのでしょうか。

 野田首相は、原発事故、減原発やエネルギー政策について、なんらビジョンを述べていません。

 原発事故については、移転の範囲、除染の目途、具体的な損害賠償の範囲と補償額等を住民に伝える必要があります。一部の住民は、「住めないなら、住めないとはっきりいってくれ」、「補償が決まり、次の生活設計ができる」と言っています。住民の生殺しです。あきらめている住民もいることでしょう。

 減原発については、「いつまでに」、「何を」、「どうするか」を明確にし、国民の理解を得る必要があります。

「国策で進めた原発は間違いでした」。

「高濃度のガレキ、焼却灰の処分をしなければなりません」。

「莫大な負の遺産を残してしまいました」。

「負の遺産の処分は国民全体で何とかするしかありません」。

といって、国民に納得してもらうしか手段はありません。失敗の総括がいつもウヤムヤです。総括をしていないから、各自治体は、焼却灰の引き受けに不安を持ち、反対しているのでしょう。

「自分の思い」はないのでしょうか。福島原発発生直後、ドイツ首相が発信した国民へのメッセージを見習ってください。国民の3/4は減原発です。国民の思いを政治に反映するのが、国民に選ばれた政治家の務めではないのでしょうか。

 また、気になる人がいます。小沢一郎です。自分の選挙区である陸前高田を、一度でも訪れたのでしょうか。聞いたことがありません。料亭で密談し、民主党代表選に向けての議員の囲い込み工作に、現を抜かしていました。陸前高田の人はどう思っているのでしょうか。

 田中角栄の言った「数は力だ」は政治を実現していく上で、ある程度必要でしょう。しかし、小沢一郎に限っては、いまだに何をしたいのかが見えてきません。代表選敗北の後は、自分を支持してくれた3グループの締め付けをさらに強めるため、一つにまとめ派閥を作ろうとしています。

 野田首相は小沢一郎に気を使った人事を行いました。この人のロボットとして政治を行うのでしょうか。以前、自民党時代の小沢一郎は「担ぐみこしは、バカで軽いほうが良い」といったそうです。真意はわかりませんが、その言葉が本当であるかのように聞こえてきます。

 一方、ロシアの爆撃機が日本周辺区域を周回し、このことが、9/10報道されました。中国は尖閣諸島周辺に、漁業監視船を配備し、日本領海周辺を頻繁にうかがっています。日本が原発問題で右往左往している中、政治家の優柔不断さにつけ込んだ行動だろうと思います。国内問題を一刻も早く解決し、外交に毅然とした態度で臨んでもらいたい。

 以上、見てきたように、今の政治家は、ビジョンを持っているのでしょうか。国民の現状を直視せず、腹の探り合いをし、自らの身の安定しか考えていない。政経塾出身のエリート議員、世襲のお坊ちゃん議員に政治は任せられません。しかし、こんな議員でも政治を任せざるを得ないことが国民の悲劇です。

 原発問題については、あらゆるしがらみを捨て、国民のためを思い、熟考したのち、国民にきちんと説明しなければならないでしょう。いくら演説がうまくても、「心」がなければ、その人の言葉は信頼できません。「誠意」が感じられれば、国民は納得し、政治家を支持するでしょう。

 いろいろ問題はあったでしょうが菅首相の決断は見事です。浜岡原発停止しかり、再生エネルギー法案しかり、ストレステスト導入しかりです。菅首相の退陣は、虎(原子力村住人)の尾を踏んでしまったことが原因といわれています。

 原発事故発生時の東電幹部と菅首相とのやり取りを紹介します。「国際社会が当然、日本になんとかしろと圧力をかける。黙って指をくわえてみていて、日本が何もやらないなら、国際社会だって黙っていない。」と菅首相は発言しています。日本が自らの行動を放棄し、解決能力がなければ、ロシア、米国、中国等の周辺国は黙っていないでしょう。自国の安全を口実に、日本への侵略も辞さないかもしれません。

 こんな軟弱な政治家では、国民に馬鹿にされ、国際的にも馬鹿にされます。ロシアの日本周辺の周回がその一例でしょう。ゴーン社長が日産を立て直したように、マッカーサーが新憲法を作り、日本を民主国家にしたように、もはや、外国人に日本の政治を任せ、日本を立て直してもらう方法しかないようです。

2011年9月14日 (水)

原発事故避難訓練とはこういうもの

 住民参加の原発事故避難訓練が、9/12に、南相馬市で行われました。福島原発から、再び大量の放射性物質が放出されたことを想定した訓練です。以下、その内容をまとめます。

1 想定事故  炉心が溶融し、4日以内に累積放射線量が20ミリシーベルトまで上昇。

2 対象範囲  30km圏内の住民。

3 参加人数  陸上自衛隊員 400人。

          南相馬、田村、川内、広野、樽葉、富岡の6市町村の職員。

          住民 18人。

4 動員機材  車両120台。ヘリコプター6機。

5 訓練内容  自力で避難できない高齢者を、自衛隊員が車で退避。

          入院中の患者を救急車とヘリで病院搬送。

 評価できることは、

 住民避難を重点においた訓練であること。30kmへ範囲を拡大したこと。自衛隊員、車両、ヘリを動員したこと。

 です。

 しかし、これで、住民を守れるのでしょうか。訓練した関係者は、よかった点、まだ不十分な点を明らかにすべきです。以下、不十分な点を述べます。

1 30km圏内の住民は何人いるでしょうか。参加した住民18人は少なすぎます。サイズを小さくした模擬訓練ということなら納得できますが、その先を考えてみてください。

2 自力で脱出できる人の行動はどうするのでしょうか。マイカーでしょうが、避難場所の確保が必要です。

3 避難に当たって、スピーディのデータ(風向き)は考慮しましたか。

4 大量の人の搬送に、船舶は必要ないのですか。三原山大噴火では、当時の後藤田官房長官は、1万人以上を搬送するための船舶を用意しました。そのとき、住民は、沖合いに停泊する船舶を見て「本当に安心した」といっています。後藤田氏は、危機管理において、最悪の事態を想定して、ことに当たると言っていました。

5 福島原発でおきたことを想定した訓練ですが、原発爆発等は考慮しないのでしょうか。

 以上不十分な点です。政府は、今まで原発事故に対する、防災訓練の計画や実施をしてきませんでした。

 その理由は

1 原発の「安全神話」があり、訓練すること自身が矛盾していること。

2 防災訓練自身が、原発は危険で、住民に不安を抱かせる可能性があること。

3 大規模な原発事故に対しては、対応が不可能なことを住民が認識するのではないか。

 と推察します。このような理由であるなら言語道断です。  

2011年9月15日 (木)

ドイツ前首相 脱原発を

 ドイツ前首相は、脱原発への経緯を次のように述べています。

 ドイツにおける脱原発の動機

1 使用済み核燃料の最終処分場が決まらない。

2 チェルノブイリのような放射能汚染の可能性。

3 危険な状況を社会に強制できなかった。

4 テロや飛行機事故のような非現実的が起きる可能性がある。

5 ドイツの安全哲学は日本より確固だ。

 ドイツにおける抵抗勢力

1 電力業界の反発。官僚や側近任せでなく、自ら政治決断した。

 日本の脱原発の可能性

1 省エネを進め、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの拡大。

2 過渡的に気候変動への影響が少ない天然ガスの活用。

3 ドイツより日照時間が長く可能性大。

4 風力もきわめて大きな潜在力(日本の環境省)。

6 安全への哲学は日本国民の決断次第だ。

7 原発停止が、数年後か数十年後かの違いは、地震国では即、生命・財産に直結する。

8 原発停止は、政治にしかできない。

 チェルノブイリ原発事故、福島原発事故を見て、自国の事故でもないのに、危機感を抱き、脱原発を法制化し、全原発17基の22年までの停止を決め、議会も承認した。「ドイツの安全哲学は日本より確固だ」というのにも頷けます。

 それに引換え、自国で起きた原発事故であるにもかかわらず、再稼動を試みています。この鈍感さは何なのでしょうか。

 電力業界や経団連の言う、「電力不足」、「電気料金の値上げ」、「産業空洞化」は本当なのか疑ってみる必要があります。

 電力不足については、東電は電力需要の少ない3月に、計画停電を強制し、夏にかけては15%の節電を強要しました。電力需要の少ない原発事故直後の計画停電には疑問を呈する専門家もいます。夏には電力が余り、余剰電力を、他の電力会社に融通したと聞いています。

 電気料金の値上げについては、東電は化石燃料の輸入増を理由に、値上げを匂わせています。東電の財務状況を調査している経営・財務調査委員会は、「こんなものまで電気料金の原資にしているのか」と報道で述べています。固定資産総額の一定割合を電気料金算定の基準にしていることも民間ではありえません。原発のような巨大設備を作れば作るほど、電力料金の値上が可能となるシステムになっています。調査委員会で調べている隠れ資産が明らかになれば、合理的な電力料金が提示されるかも知れません。浅尾慶一郎氏は、「日本の電気料金は韓国と比べて3倍である」といっています。その反論として、資源エネルギー庁は、「原発稼働率が高い」とか、「政策的に安くしているからだ」と言っています。データをオープンにして、どちらが正しいか判断してほしいものです。

 産業空洞化は本当でしょうか。1ドル76円にもなる円高が大きな要因でしょう。遅かれ早かれ、空洞化するでしょう。再生エネルギー関連に投資すれば、新たな雇用も、製造業も生まれるでしょう。余談ですが、トヨタは可能な限り国内生産を継続するといっています。立派ではないですか。

 最後に、注目すべきは、日本の環境省が「風力も大きな潜在力だ」といっている点です。また、農水省は、耕作放棄地を太陽光発電、風力発電に使用できるように、農地法の改正を検討しています。

 エネルギー問題に関して、様々な意見が出始めています。

2011年9月16日 (金)

野田首相変節 減原発

 野田首相、あなたは代表選における発言をお忘れになったのですか。数日前、経団連会長とにこやかに、握手している情景が重なって映りました。方針を原発推進に変えたのでしょうか。比較のため「代表選におけるあなたの発言」を黒字で、今回の「所信表明演説の内容」を赤字で「心変わりしたと思われる点」を青字で示します。

1 電力は経済の血液。電力不足が日本経済の足かせになってはならない。原発の再稼動に積極的な姿勢。

  電力を「経済社会の血液」と位置づけ、安定供給重視の姿勢を強調。

  これは変わりません。

2 原発新設は事実上困難。

  なんら発言なく、原発新設もありうるのか。

3 寿命が来た原発は廃炉にする。

  なんら発言なく、廃炉は撤回か。

4 再生可能エネルギー普及や省エネを通じ、原発依存度を段階的に引き下げる。

  2030年までは原発を一定割合」で活用する。

  原発への依存度を可能な限り引き下げていく。

  「段階的引き下げ」から「可能な限りに」、と意欲がトーンダウン。

  「2030年まで」という文言の欠落等全体的に「減原発」のトーンダウン。

5 国が責任をもって現場に行って自治体の(再稼動の)了解を得る。

  停止中の原発を再稼動させて短期的な電力供給を確保する。

  安全評価(ストレステスト)による安全性の検証を前提に「再稼動」を進める。

  我慢の節電を強いられる状況からの脱却。

  変わりません。しいて言えば、「我慢の節電」と強調した点。

6 再生可能エネルギーの拡大と省エネによる(電力供給の)構造改革に取り組む。

  発電電力量の約9%(水力発電を含む)にとどまる再生可能エネルギーの割合を20年代までに20%に引き上げる。

 成立した「再生エネ法案」活用に加え、環境・省エネ分野の技術開発を経済成長につなげる「グリーンエネルギーイノベーション」を実現すべく、関連予算を積極的に計上する。

 発送電分離などの電力制度改革は中期的な検討課題。

 核燃料サイクルの見直し。

  エネルギー政策については、安全性やコスト、安定供給などを総合的に考慮する。

  中長期のエネルギー政策は安定供給の必要性も踏まえて「冷静に検討」する。

  再生可能エネルギーについては、最先端のモデルを世界に発する。コスト高などの課題を技術開発で乗り切る。                 

  「(電力供給の)構造改革」という前向き発言から、「総合的に考慮する」とトーンダうン。

 再生エネ割合を「20年代までに20%に引き上げ」という具体的な数値目標の欠落。

 「関連予算の積極的計上」の文言欠落。

 「発送電分離」、「核燃料サイクル見直し」の欠落。

 大事な所信表明演説です。下手なことをいって野党に揚げ足を取られかねないという首相の気持ちはわかります。しかし、これでは、首相がどちらを向いているのかわかりません。首相自身の意思はないのでしょうか。官僚の書いた作文との批判がありますが、まさに、努力目標を掲げ、具体的な、時期、目標、強い意志を感じ取ることができません。

 正心誠意

 これは勝海舟の言葉で、儒教精神から発せられたものです。外交においては、「ごまかしをすれば、かえって、こちらの弱点を見抜かれるものだ」と言っています。

 外交においては「正心誠意」の精神を持ち、知識と行為は一体であるという「知行合一」を肝に銘じなくてはいけません。

 「正心誠意」はあなたが所信表明演説で言った言葉です。原発問題にしても、外交問題にしても、「知行合一」で臨んでもらえませんか。美しい言葉やスローガンに終わらないで。

2011年9月17日 (土)

脱原発 有名人

 湖西市長は「浜岡原発廃炉弁護団」に名を連ね、作家雨宮処凛氏は「反原発デモ」に参加し、俳優菅原文太氏は「原発国民投票」を訴え、俳優西田敏行氏は「福島原発事故」に怒り、俳優山本太郎氏、女優の鈴木杏氏は「脱原発」を主張し、大江健三郎氏は「脱原発に向けた一千万人の署名」を呼びかけ、制服向上委員会は「ダッ ダッ 脱・原発の歌」を歌っています。想像していたより各界の有名人が多数脱原発を訴えていました。

 有名人の脱原発の発信がどの程度であるか調べたのは、世論の関心が薄れてきたと感じたからです。

 ドイツ前首相は、インタービューの中で「脱原発は日本国民の決断次第だ」と述べています。

 世論調査によれば、脱原発、減原発は75%を占めています。本当に脱原発・減原発を願うのであれば、その意思を、絶えず政府に訴え続けていかなければなりません。そういう意味で、ドイツ前首相も「日本国民の決断次第だ」と述べているのでしょう。

 国民が(心の中で思っていても)外に向かって発信しなければ政府は、「世論は原発維持もしくは原発推進に傾いてきた」と判断するでしょう。(誰かがやってくれるだろうと)思っているだけでは何もしないことと同じです。数十年もの長きにわたって発信し続けてきた反原発派(私はこの光景に白い眼を向けていた)にだけ任せるのであれば、どこかの地域が、第二の福島原発のような被害を被ることになります。

 私は原発の恐ろしさを風化させないために、ブログをはじめました。私のような無名な個人では、その発信力は、たかが知れています。その意味でも、有名人の多数が脱原発を発信してることを知り、心強く感じました。、

 「喉元過ぎても熱さを忘れるな」と願っています。

 

2011年9月18日 (日)

「核のゴミ」はどこに行くのでしょうか。

 菅首相は、福島県庁を訪れ「放射性物質に汚染された廃棄物や土壌の中間貯蔵施設を県内に整備することをお願いせざるを得ません。」といったそうです。

 これに対して、福島県知事は「何ですか、それ。突然の話じゃないですか」といい、福島県商工会議所の会頭は「原発の受益者は東京だ。お台場に作ったらどうだ」と言ったそうです。

 細野環境・原発事故担当相は「除染後の放射性物質を含んだ土が発生し、各市町村に仮置きしてもらわないとならない」と述べています。

 柏市にある埋め立て施設の住民が「焼却灰の搬入に猛反発した」といわれています。

 福島原発事故により汚染された瓦礫、土壌、焼却灰、浄化装置により生成した汚染物等、引き受ける自治体がありません。

 これとは別に、全国の「使用済み核燃料」の保管はどうなっているのでしょうか。以下、現状を述べます。

1 「使用済み核燃料」を再生処理する予定であった六ヶ所村は、稼動の見込みがなく、全国から受け入れた「使用済み核燃料」の貯蔵量は9割にも達し、受け入れる余裕はありません。

2 その結果、全国の原発敷地内に「使用済み核燃料」が留め置かれています。その保管容量は、約8万3千体ですが、原発敷地内の燃料プールに、その7割が既に保管されています。そのプールが燃料体で満杯になるには、2009年時点で、あと7.3年しかないとのことです。

3 溜まり続ける「使用済み核燃料」の保管場所を確保するため、リラックキングという窮余の策が編み出されました。設計値を越えた量を、燃料プールに密集して保管しようとするものです。原発29基でリラッキングが行われているといわれています。当然、燃料プールは「使用済み核燃料」で密集状態なので、過酷事故時には、燃料が損傷して臨界反応を起こす可能性は高くなります。

 浜岡原発2号機の燃料プールは、リラッキングにより、設計容量の840体から2倍以上の1820体に貯蔵量が増加しました。現在、当初設計容量の38%上回る1164体を収容しています。

4 この「使用済み核燃料」は行き場がないので、その保管義務を、各都道府県に負わせようとしています(注1 バックエンド)。原発が稼動すればするほど、都道府県に「使用済み核燃料」が増えていきます。

 今後、「使用済み核燃料」と、「核のゴミ」を貯蔵し続けていけるでしょうか。このような状況で、政府は30年も、40年も原発を稼動しようとしています。正に、トイレのないマンションで、うんこはたまる一方です。「使用済み核燃料」の処分方法がない状況で、原発を進める政府、電力会社は狂気の沙汰です。妙手があっても国民に黙っているのでしょうか。モンゴルに埋めればいいのでしょうか。

 原発は、地方の貧しい市町村に、住民の反対運動があるにもかかわらず、金をちらつかせることによって、導入されてきました。そして「使用済み核燃料は」行き場がなく、六ヶ所村や全国の原発敷地内に留め置かれています。地方住民にとっては、核爆弾と同居しているようがものです。この上、「核のゴミ」まで、貧しい市町村に押し付けようとしています。また、大金が流れるのでしょう。

 「核のゴミ処分場建設」に反対してみたらどうでしょうか。政府はこの矛盾した現実をどう解決するのでしょう。この解決方法がないことも、脱原発の大きな根拠の一つです。

 注1 原発のバックエンド

 原発を動かした後に発生する、使用済み燃料の再処理やMOX燃料加工、さらに工場の解体や廃棄物処分に係る費用をいいます。

 費用は合計で18兆8000億円にも達しており、中でも再処理事業が11兆円で、全体の59%を占めています。
 また中間貯蔵分の再処理コストを入れると、さらに10兆円程度は増加するとも言われています。
 

2011年9月19日 (月)

廃炉の基準は その1

 枝野経産相は、9/15に「原子力政策見直しの中で、老朽化原発の廃炉について何らかの基準を考えていく必要がある」と述べています。下記に述べる「脆性遷移温度」は老朽化原発の条件の一つと考えられます。

 原発寿命が30年とも、40年とも、60年ともいわれています。電力会社は、長く稼動すればするほど、初期投資の回収ができ、儲かるわけです。電力会社の都合により、どうにでもなります。その裏には、住民の犠牲があります。

 原発の寿命は、建設当時、40年と想定されていました。

 某東大原子力教授は、「大事に使う」は時代の要請だ」として原発の延命を主張している。個々の部品は必ず劣化するが、劣化を正確に把握して交換などの適切な「老朽化対策」をすれば30年、40年を超えて60年までの運転が可能であるという。国や事業者はそんなことは決めてないと今になって言う。

 それに対して、専門家は

 原子炉圧力容器やその付属機器は交換できない。圧力容器は、ある温度以下で脆くなる。その温度を脆性遷移温度という。原子炉炉心からの中性子を浴びると、圧力容器内部に微小な欠陥が生じ、その脆性遷移温度は上昇する。

 と言っています。

 圧力容器の脆性遷移温度は、当初、常温程度であるが、老朽化するにつれ、その温度は上昇していきます。脆性遷移温度というのは、その温度以下で原子炉が割れてしまう温度です。

 敦賀1号炉を60年間使い続けた場合、脆性遷移温度は80℃になるそうです。原発を安全に停止するはずの緊急炉心冷却で大量の水を急激に入れ80℃になれば、原子炉の爆発が起きるのでしょうか。そういえば、浜岡原発を停止する場合、1日以上時間をかけ、ゆっくり冷やしたのはこのためですね。

 原発の老朽化が始まります。敦賀1号炉は40年で廃炉にすることを電力会社も予定していたが、新規原発が建設できないので寿命延長を図るということのようです。

 原子炉圧力容器は、上部鏡板、複数の胴部リング、下部鏡板を溶接して作られています。均一な金属で作られていると想像していたのですが、溶接による張り合わせとは驚きました。

 この溶接部についても、熱や中性子による劣化はないのでしょうか。

 老朽化には、シュラウドや再循環配管のひび割れもあります。これについては、またの機会にします(ものぐさ 老朽化原発 シュラウド・再循環系配管類のひび割れ 配管の減肉)。

 

 

2011年9月20日 (火)

原発 他人事ではない。

 山口県・上関町では、82年に原発の構想が表面化して以来、賛成反対をめぐって町が2分されてきました。12年6月に本体工事に着手、18年3月営業運転開始の予定です。

 山口県・上関町長選が9/20に告示されます。現職の柏氏は原発推進派、新人の山戸氏は原発反対派です。賛成派町議は9人、反対派町議は3人、この両派の対決は9回目で、町長選では推進派が当選し続けてきました。

 推進派は「町活性化に原発関連の交付金は必要」と主張し、反対派は「原発前提の町運営はありえない」と主張し、この点が今回も争点となっています。

 ドイツ前首相は、「脱原発は日本国民の決断次第」と述べています。全国で「反対デモ」をやるのも、「1000万人の署名運動」をやるのも、「原発停止」の訴訟を起こすのも、国民の「決断、意思」を示す機会です。この上関町長選においても、住民の「決断、意思」が問われています。その結果は全国的に大きな影響を及ぼすでしょう。原発是非の試金石の一つとなるでしょう。全国国民の「決断、意思」の代弁者の一人になるわけです。

 福島原発事故でみるように、原発事故は、200~300kmに及ぶ地域にまで、その影響は及びます。現実問題として、地域における選挙結果で原発の是非を問うのもおかしな話ですが、「原発是非の国民投票」がなされない限り仕方ありません。全国には54基の原発があり、各地域で同じ問題を抱えています。そういう意味でも、上関町長選に注目する必要があります。

 野田首相は代表選で「原発新設は事実上困難(もっとも所信表明演説ではこの点に触れていない)」といっています。この原発が「新設」に該当するか否かは、解釈により、いかようにもなります。北海道電力、泊原発は稼動してしまいました。同原発は稼動前の調整運転中であり、とりようによれば、再稼動条件の「ストレステスト」による評価を待たなければなりません。これを待っていたら、数ヶ月遅れてしまいます。しかも再稼動できるかわかったものではありません。どさくさにまぎれて、再稼動してしまいました。

 静岡県の川勝平太知事は22日の定例会見で、北海道の高橋はるみ知事が北海道電力泊原発3号機(北海道泊村)の営業運転再開を容認したことについて、「ご自身が経産省出身ということもあり、独自の判断ができなかったのではないか」と批判しました。更に、川勝知事は「後援会長が北海道電力の会長で、社長、副社長以下から個人献金を受けている。電力会社と各県知事の関わりを洗い出さなければ、判断の独自性は保てない」とした上で、自身は「そうした影響から離れ、専門家の意見を聞いて再開を判断したい」発言しました。

 「原発は他人事ではない」との住民意識が強ければ、泊原発再稼動は違った結果になっていたかもしれません。不確かですが、北海道知事が「経産省は、頭ごなしで唐突だ。」といったことで安心してしまったのかも知れません。そうであれば高等戦術ですね。また、「後援会長が北海道電力の会長で、社長、副社長以下から個人献金を受けている。」との疑念が持たれている点も問題です。もし、知事と原発との関係がこのような関係であるとすれば、住民の意思はどこに行ってしまうのでしょうか。「知事の献金」の有無は、原発に対する知事の言動でわかるのですね。川勝知事は立派です。献金は受けていないでしょう。浜岡原発問題ばかりか、全国の原発に対しても意見を発信しています。安心して浜岡原発問題を任せられます。ちなみに、浜岡原発の安全性については、県独自の有識者会議を開き、その安全性を評価するといっています。余談ですが、こんなに良い知事が、次の選挙で、原子力村住民の手によって落選するのではないかと、心配しています。

 最後に、反原発派の山戸氏は「原発が(町長選の)争点ではない。町がどうやって生き延びていくかが問われている。」と述べています。上関町は、瀬戸内海に位置し、波が穏やかで、美味しい魚もたくさん取れ、風光明媚で、温暖であり、観光客にとっても魅力ある土地でしょう。この土地が、放射能で汚染され、魚が食べられなくなり、人が住めなくなることを想像してください。山戸氏は「自然エネルギー100%プロジェクト」と銘打ち、太陽光パネルを各戸に設置する運動を始めたようです。住みたくなるような町を作ってください。

 最後に一つ、

 「たかじんのそこまでいって委員会」で、政治評論家三宅氏は、田嶋氏の脱原発発言に対し、「そんな子供っぽい発言をすべきではない」と、一刀両断に、切り捨てました。その後「どこが子供っぽい発言」なのかの説明もありません。きちんと説明してください。

2011年9月21日 (水)

原子力学会 反省は形ばかり

 9/19、原子力学会が、開催されました。同会は、原子力村住人の集まりなのでしょうか。発言を列挙します。

1 想像力が乏しかった。

2 国民に多大な影響と心配をかけ、学会として大変遺憾に思う。 

3 安全神話が一人歩きして結果的に改善が遅れた。専門家もあれほどの事故は起きないと過信があった。 

4 想像力の乏しさを反省しなければ。 

5 想像力を働かせなくていい環境があったのでは。 

6 原子力エネルギーは必要不可欠。

7 放射能のリスクにばかり関心が向いている。(原発がないと)エネルギー資源が制約されるリスクを若者に教育すべきだ。

 あきれてしまいました。お詫び、反省の弁はあるものの、原発の危険性を問う発言は出ませんでした。「想像力の欠如」との発言がありましたが、そのような人が、危険な原子力に係わり、指導的立場に居てもいいのでしょうか。最後は、「原発がなくなるリスク」を若者に教育するんだと、原発推進の立場が見え隠れる発言をしています。

 9/18のNHKのETV特集「安全神話の形成から崩壊までの半世紀」が放映されました。その当時の学者は、原子力導入に対して慎重で、臆病でした。ノーベル賞を受賞した湯川秀樹氏は、「お墨付けを与えるだけの責任者にはなりたくない」といって、辞任したそうです。

 いつから、学者は、劣化し、節操がなくなったのでしょうか。

 うがった見方をすれば、原子力村住民である学者も、原子力を専門にして、「おまんま」を食べているわけです。脱原発などになれば、自らの「おまんま」がなくなってしまうと、心配なのでしょう。原子力村住民の「おまんま」のために、国民はセシウムを吸い込みました。

 原子力専門家にお願いします。「原発廃炉」、「高濃度放射性物質の減量化」、「セシウム無毒化」等、好きな研究テーマはたくさんあります。9/14原子力委員会から「廃炉完了までの必要な19項目の作業工程」が発表されました。その中には、研究開発が難航すると判断されるものが5項目もあり、それが解決するまで、廃炉はできないことになります。原子力の知識を生かし、罪を償うためにも、研究をこちら側に変更してくれませんか。

 

 

 

2011年9月22日 (木)

要監視 原子力安全庁

 来年4月に「原子力安全庁」が環境省の外局として新設されます。その人員配置は、経産省、文科省の寄せ集め人事であると聞きます。環境省には自前の専門家はいないと聞いています。したがって、従来の人員で原子力行政を行うことになります。この点が少し気になるところです。果たして、国民に目を向けた安全行政をしてくれるかと。

1 原子力安全委員会、原子力安全・保安院設立

 1974年9月の原子力船むつの放射線漏れ事故を契機として原子力行政体制を再検討し、78年に原子力安全委員会を設置し、旧通商産業省による一次的な原子力安全規制をダブルチェックする体制が構築されました。また、99年9月に発生したジェー・シー・オー(JCO)の臨界事故を踏まえて、経済産業省の中で、原子力安全・保安院が資源エネルギー庁の特別な機関として位置付けられ、一定の独立性を確保するという形態になりました。

 2 原子力安全庁への不安

 政府は原発事故が起きるたびに、もっともらしい組織をつくり、国民の目をごまかしてきたと聞きます。

 上記の組織は

 組織の独立性を唱えながら、実は原子力村住人として「誰も責任を取らない、馴れ合い規制」を行ってきた。

 津波の高さ、地震の大きさを低く見積もり、電力会社の採算に見合うように安全行政を行ってきた。

といわれています。

 そのい結果が、福島原発事故です。完全に言い逃れはできないですね。

 原子力船「むつ」の放射線漏れ、次はJCOの臨界事故、3度目の原発事故はどこでしょう。経産省から切り離され、形だけの組織を作り、今度は、環境省が原子力村の一員になるだけのような気がします。

 こんな心配が、頭をよぎりますが、ないよりましな原子力安全庁に、命を預けるしかありません。そこで、何をするかわからない組織の監視が必要になります。

1 組織は独立性を有しているでしょうか。経産省、文部省との人事交流は厳禁です。退職するまで、原子力安全庁で、国民の命を守るために頑張ってもらいます。

2 人事は、原発反対の学者を入れていますか。そして、その構成は、推進派、反対派各1/2づつでしょうか。どの人が原子力村住人かチェックしておきましょう。

3 その会議の議事録、内容は新聞、テレビを通して、国民の前に明らかにさせましょう。

4 霞ヶ関文学を駆使して、国民を煙に巻くことがあります。まず、難しい文章は疑ってください。よく読むと、拡大解釈できたり、抜け穴、骨抜きの箇所があります。高等戦術なので、専門家の解説が必要になります。

 これから、国民は原子力安全庁を監視していきましょう。

2011年9月24日 (土)

緊急時避難準備区域解除 疑問な復旧計画 

 緊急時避難準備区域の解除が9月にも実施されようとしています。

1 解除条件

 「水素爆発の可能性が低く、住民が受ける被曝線量が年間20ミリシーベルト以下になること」が条件でした。今回、「市町村から原子力災害対策本部に復旧計画が提出されること」が条件として加えられました。この提出をもって、政府は、解除を行うと言っています。

2 復旧計画

 この復旧計画とはどんなものでしょう。情報が少なくよくわかりませんが、推測してみます。

2-1 市町村は「住民が帰ることのできる条件」を政府に対し提出する。これが復旧計画なのでしょうか。

2-2 政府は「緊急時避難準備区域」を解除する。(この時、水素爆発の危険がなくなり、年間被ばく線量は20ミリシーベルト以下になっています。)

2-3 この時点で、「帰りたい住民は帰ってもいいよ」といっているのでしょうか。

2-4 政府は市町村が提出した項目(たとえば除染等)を実施する。そしてその項目が達成できたのち、住民は帰る。

 「復旧計画」 難しい言葉です。これが、霞ヶ関文学でしょうか。「解除」することと、「住民が帰る」ことはどう違うのでしょう。

乱暴に言えば、

解除したのだから、帰ってください。復旧計画は粛々と行います。除染等の「数値目標」が高ければ、項目の達成はできません。

と言っているのでしょうか。

3 復旧計画への疑問

 基準とする20ミリシーベルトの地域は、どこでしょうか。公共施設、住宅地、田畑、山林を含めるのでしょうか。

 政府の解除後、住民は帰れるのでしょうか。

 この時点で帰らなかった住民に対する損害賠償はどうなるのでしょうか。受け取ることはできるのでしょうか。 

 復旧計画に記載する「除染等」の数値目標はいくつに定めるのでしょう。1ミリシーベルトとすれば、復旧計画はなかなか達成できません。

 「帰る、帰らない」の判断を住民に丸投げしたことになります。住民の判断で帰ったと。

 原発設置に関して、推進派と反対派の骨肉の争いがあったように、「帰る派」と「帰らない派」の意見対立はどうするのでしょうか。村長の悩みの種でしょう。

 村長が「帰る」決断をした場合、「帰らない人」はどう扱われるのでしょうか。「村長が決めたのだから、政府は関与しない。帰らない人に対しては、土地の損失等損害賠償は認められない」と言い出しかねません。「帰らない人」は泣き寝入りです。本来は、「帰らない人」に対する損害賠償(土地等の損失)も行うべきです。

 具体的に、前に進むためのステップでしょうが、勘ぐれば、住民の分断を図ろうとしているように見えます。

 

 

 

 

  

2011年9月25日 (日)

原発訴訟 裁判所は機能したか

 原発停止、廃止等を求める裁判は、地裁、高裁、最高裁において、過去29件提訴されました。住民が勝訴したものは2件、残りの27件はすべて敗訴でした。

 原告勝訴の2件についても、最高裁判所で原告は敗訴しています。裁判において三権分立は機能したのでしょうか。 

 三権分立とは、「三権が相互に抑制し合い 、均衡を保っている状態をいいます。

 三権分立の目的は、三権が相互に抑制し合うことによって、「権力の濫用を防ぎ、国民の権利や自由を守る」ためです。

 国の権力は、次の三つに分かれています。これを三権と言います。

1 立法権 法律を作る権限。 国会が有する。

2 行政権 法律に基づいて政治を行う権限。内閣が有する。

3 司法権 法律に基づいて裁判を行う権限。裁判所が有する。

 裁判所の判決で特徴的な事項を列挙します。

1 政府側、電力会社の主張を全面的に認めて、住民敗訴の判決をしている。なぜ、原告側証人の言葉に耳を傾け、自らも勉強して、自らの判断で判決しないのか。

2 スリーマイル、チェルノブイリ原発事故、現実に起きた地震等による原発事故を直視していない。 

3 原発は国策という意識がある。

4 国内の原発事故が起き、裁判官自身が原発の危険性を認識しているのに、住民敗訴の判決がなされている。

 これらの裁判結果で原発は、作られ、稼動し続けてきたのですね。その結果、福島原発事故がおき、住民の生存権(注1)、財産権(注2)は奪われました。憲法第3章「国民の権利と義務」に書かれていますが、国民は権利がなく、義務だけ負わされるのですか。かつて、司法は、数多くの政治家の汚職にメスを入れてきました。厚労省元局長に対する冤罪も明らかにされつつあります。国民は、権力に立ち向かう司法を信頼してきました。そして、正義を守る最後の砦であると、思っていました。

 原発については、何に遠慮していたのでしょうか。政治家ですか、電力会社ですか、経団連ですか、経産省ですか、それとも、日本経済の成長の足かせになることですか。少なくとも、住民の安全、安心については、重要視されていなかったように思います。。

 裁判所は司法権を放棄し、国民の権利や自由を守らないのですか。

 福島原発事故以後、裁判官は、自らが下した判決に対し、どのように思っていいるのでしょうか。

 野田首相は「減原発」の旗を降ろしたのでしょうか。民主党や自民党の政治家も沈黙を守っています。時間の経過とともに、世論は薄れていくでしょう。しかし、原発を抱える住民や福島原発事故で悲惨な目にあっている住民は今後の裁判を固唾を呑んでみています。司法は最後の砦です。

 注1 「生存権及び国民生活の社会的進歩向上に努める国の義務」
 
第25条すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

 注2 「財産権」

第29条財産権は、これを侵してはならない。
2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
3 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

 

2011年9月26日 (月)

原発 代替エネルギー

 原発はコリゴリです。では、その分を何で補うのでしょう。過日、NHKで、原発推進派と脱原発派の討論番組がありました。

 原発推進派は

 自然エネルギーで賄えるレベルの発電量ではない。

 原発の安全性(野田首相に言わせれば世界一安全)を高め、推進していくべきだ。

 原子力行政の甘さがあった。安全基準の見直しも必要だ。

 原発は津波による被害であり、津波対策をすれば大丈夫だ。

 日本が空洞化する。

 自然エネルギーは自然を破壊する。

 と言っています。

 脱原発派は

 太陽エネルギー、風力発電、発送電分離、スマートグリッド等で、電力は十分賄える。

 と言っています。

 時間の限られた討論番組の中では、双方が言いっぱなしで、どちらが真実かわかりませんでした。幅広い人の意見を聞くためか、対立者同士の論点や討論が「尻切れトンボ」で終わってしまいました。どちらも正しいことを言っているのでしょう。前提条件が違うと、真実は大きく変わってきます。

 例えば、「原子力発電が最も安く、クリーンなエネルギーである」と、私たちは信じ込まされてきました。しかし、各種報道から、バックエンド(再処理、放射性廃棄物の処理、使用済み核燃料の中間貯蔵)費用、原発事故対応費用、損害賠償費用を加えれば原子力発電は、決して安くないと知りました。

 娯楽番組の域を出ていません。データを公開し、双方の論点を明確にして、真実を国民に示してください。

 原発推進派は、「どうせできっこないから、やらせてみたらどうだろう。結局電力不足になり、世論は「やはり原発か」と思い知るに違いない。」

 と思っているかも知れません。。

 私は、自然エネルギーのみで賄えるとは思えなくなりました。「自然エネルギーは自然を壊す」との発言もある程度納得できます。どうもオールオアナッシングの議論のようにも感じます。

 日本における電力事情を見てみましょう。電力を何のエネルギーで賄っているのでしょうか。

原子力29%、  天然ガス29%、  石炭25%、  水力8%、  石油等7%、  新エネルギー1%

です。

まず驚いたのは、天然ガスの多さと、石油の少なさです。

 専門家は、天然ガス(LNG)は埋蔵量も多く、シェールガスという新しいエネルギーも世界には広く分布していると言っています。天然ガス発電のメリットは大きいとも言っています。詳しくは専門書を見てください。

 実感としては、第三の選択があったのかと思いました。原発か自然エネルギーかの二者択一ではなかったのです。天然ガスを加えたベストミックスが良いようです。

 原発を廃止し、天然ガスをメインとし、自然エネルギーは補完エネルギーとします。不安定な自然エネルギーは、天然ガス発電で調整することができると言っています。

 目から鱗が落ちたようです。私も賛成です。現時点で29%が天然ガスによる発電です。少なからずの人は、この事実を知っていたと思います。新聞、テレビをはじめ、報道は、なぜこの事実を伝えないのでしょうか。

 余談ですが、2000年初頭、サハリンからパイプラインで天然ガスを輸入する計画がありました。実現寸前まで来て、電力会社の抵抗により、計画が頓挫しました。電力会社は、天然ガスをタンカーで輸入して、自社の発電に使っています。4000km以上であれば、タンカーによる輸送が安く、2000km(サハリンー東京間)であれば、パイプラインのほうが安上がりであると言います。電力会社は、なぜ反対したのでしょか。北海道から東京までの輸送中に、所々で天然ガスを抜き取り、発電することが可能になってしまいます。電力会社以外が天然ガス発電所を建設し、電力会社の独占市場が壊れる恐れがあるからだと聞いています。了見が狭い。

 今こそ、天然ガス発電を強力に進める絶好の機会です。

2011年9月28日 (水)

浜岡原発は廃炉へ

 9/26の牧之原市議会において、「安全が担保されない限り永久停止すべきだ」との議案が、出席市議15人中、11人の圧倒的多数の賛成により決議されました。

 本当によかったと思います。「家や農地を追われる覚悟があって、原発を受け入れてきたのではない」、と市長は言っています。福島原発事故の現状を見れば、当然の決議でしょう。

 牧之原市は、気候温暖で、青い海、緑の台地、枝をわたる小鳥、黄金色に輝く稲穂など自然に恵まれた風光明媚な土地です。白浜からなる海水浴場は、県内外からの多くの人でにぎわいます。海岸から臨む富士山は春夏秋冬さまざまな顔を見せてくれます。牧之原台地は茶の生産地としても有名です。駿河湾で取れる地魚は新鮮で、おいしく、高級料亭に負けない味を堪能することができます。ビタミンBの発見で有名な鈴木梅太郎博士の生誕の地でもあり、歴史上有名な田沼意次が統治した場所でもあります。地元の人は、この土地に住むことに、大きな幸せと誇りを感じていることでしょう。さらに、東名インターチェンジ、富士山静岡空港、御前崎港、それらを結ぶバイパス道路等、新しい産業の息吹が聞こえてくるようです。このような土地を捨てなくてはならなくなる覚悟を住民はもてるでしょうか。土地、幸せを奪われてもかまわない。「日本が経済的に発展する礎になるなら喜んで犠牲になりましょう」と言えますか。

 浜岡原発は76~05年にかけて、1~5号機の運転を開始しました。1、2号機は老朽化を理由に09年に停止、廃炉が決定しました。福島原発事故を受け、11年/5月の菅総理の発言で、3~5号機は停止となりました。

 停止状態になっても、危険が去ったわけではありません。直下型地震に見舞われれば、原発直下の断層に亀裂が入り、各種配管の断裂が起きる可能性もあります。緊急炉心冷却装置などあっても何の役にも立ちません。冷却水が喪失すれば、核燃料の崩壊熱により、炉心は溶け、福島原発と同様な事態になることも予想されます。また、原発直下は、液状化するとの見解もあります。原子炉建屋、タービン建屋が傾き、配管や配線の断裂も起きるでしょう。また、1498年に発生した「明応東海地震では、沼津市において津波が36m斜面を駆け上がった」とも言われています。さらに、浜岡原発前の海底は遠浅(水深200m)で、原発周辺の津波高さは凸レンズが光を集光するように高くなる(回折現象)とも言われています。

 ちなみに、2009年の駿河湾地震は僅かM6.5(震度6弱)でした。その程度の地震で、5号機タービン建屋屋外では、10cmの地盤沈下が生じました。さらに5号機タービン建屋内部の壁には、ひび割れが発生しました。安政クラスの東海地震に見舞われれば、地盤は1~2m隆起し、タービン建屋は崩壊すると言われています。

 怖いですね。廃炉にするしかありません。いつきてもおかしくない地震ですから、明日にも来るかも知れません。

 現在、係争中の裁判は以下の3点です。

1 「浜岡原発運転差止め訴訟」は、東京高裁で係争中です。

2 「浜岡原発廃炉請求訴訟」は、11年5月27日に静岡地裁浜松支部に提訴されました。浜岡原発3~5号機の永久停止・廃炉を求める裁判です。

3 「浜岡原発運転終了・廃止等請求訴訟」は、11年7月1日に静岡地裁に提訴されました。浜岡原発の運転を終了すること(運転再開を認めない)、核燃料を最大限の安全を確保して保管・冷却すること、原子炉を解体撤去によらない方法で廃止措置することの3点を求める裁判です。  

« 2011年8月 | トップページ | 2011年10月 »