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2011年10月11日 (火)

脆弱な原発構造

 福島原発事故以降、原発の構造図を幾度となく目にしました。円筒状の圧力容器、その中には数本の燃料棒、圧力容器を囲む格納容器、それらをつないだ数本の配管類、タービン、復水器等です。手のひらサイズで、かわいいですね。シンプルで、制御も手の内であるかのように錯覚します。概略の寸法は格納容器の直径18m、高さ32m、圧力容器の直径4.8m、高さ20m程度で、その中にある配管本数は400本、配管についている弁の数は1000個を超えると言われています。手のひらサイズの構造図とだいぶ違います。

 さて、その内部を見てみましょう。

 原子炉圧力容器に溶接されている配管類は、宙吊り状態であると言われています。支持装置により固定されているものの宙吊りに変わりません。配管類は鉄骨の梁の上にあったとしても、地面に固定されているのではないのです。さらに配管には、ポンプやモータが接続されています。地震で揺れたらどうなるでしょう。配管を挟んで、重量の大きいポンプやモータが共振し、更に大きな振動にもなりかねません。それにより、最も弱い配管の付け根は断裂し、冷却材は喪失し、炉心溶融が生じかねません。

 更に驚くことに、卵形の圧力容器は、肉厚5cm程度の円筒状のリング(スカート)の上に乗っていると言われています。もちろんスカートの下は基礎と人工岩盤です。圧力容器は2000トンとも言われています。下からの直下型地震による突き上げと、2000トンもの圧力容器の重量により、このスカートは破壊される可能性があります。原子炉は傾き、配管は断裂し、冷却材は喪失し、炉心は溶融しかねません。運転時の圧力容器は熱膨張により縦方向に18mm伸びます。このことが配管類を地面に固定できない理由だそうです。、

 次に、耐震基準の違いによる影響を記します。

 原子力発電所に係る耐震設計の概要(原子力安全・保安院)によれば、(平成18年以前の旧耐震指針)

 原子力圧力容器、炉心や制御棒駆動装置など重要な機器・配管系、及び、それら重要機器を支持・収納している建物・建築物の耐震設計として、以下の規定があります。

1 設計用最強地震として、発電所周辺で過去に発生した地震と周辺の活断層から想定される地震。・・・ S1地震力といいます。

2 設計用最強地震よりも大きな設計用限界地震として、周辺の活断層や地震地帯構造から想定される地震、及び、マグニチュード6.5の直下地震。・・・S2地震力と言います。

3 建築基準法で規定される静的地震力の3倍。

耐震基準として、設備毎に以下の区分が示されています。

重要度       耐地震力                      該当設備

Asクラス      S2の地震           原子炉圧力容器、制御棒及び駆動機構、原子炉格納容器

Aクラス       S1の地震及び 一般建築物の3倍の地震  非常用炉心冷却系、非常用ガス処理系

Bクラス       一般建築物の1.5倍の地震力          タービン設備、廃棄物処理系 
Cクラス       一般建築物に対する地震            発電機、重油タンク

 ここでわかるように、各設備毎に耐震基準を変えています。すなわち、原子炉圧力容器はAsクラスで最も耐震力を高め、タービン建屋はBクラスで良いことになっています。このようにランク分けすることにより、原発の建設コストを低く抑えることができます。

 ここで、平成18年以降の新耐震指針をなぜ使わなかったか。理由は、記述内容があまりにも難しすぎて理解できなかったからです。しかし新耐震指針ではAsクラスをSクラスに、S1とS2をSsに読み替えているだけです。新旧であまり大きな違いはないでしょう。なぜなら、平成18年以前の原発を新耐震指針に適合するように、大幅に変更したとは聞いておりませんから。間違っているかも知れないので心配な方は調べてください。いずれにせよ、各設備毎に耐震基準を変えているのです。

 地震に対して、原子炉だけ安全なら良いという考えです。耐震強度の違いにより、原子炉とタービンは異なった振動形態になり、これらをつなぐ配管類はこの振動の違いにより断裂することになります。阪神淡路大震災では、ビルの破壊は免れたものの、2つのビル間の空中通路は落下してしまいました。ビルのゆれが異なり、その歪が空中通路に影響を及ぼしました。空中通路を配管と見なしてください。

 注) 新耐震指針にはM6.5の記述はありません。

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