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2011年10月 6日 (木)

年間被曝量20ミリシーベルトとは

 年間被曝量「20ミリシーベルト」が緊急時避難準備区域を解除する条件です。20ミリシーベルト以下は安全だという意味でしょう。

 では、20ミリシーベルトと言う数値の持つ意味について、考えていきましょう。

 福島原発事故以前、一般人の放射線被曝限度量は1ミリシーベルトでした。

 放射線業務従事者の被曝限度量を見ていきましょう。

 「電離放射線障害防止規則」第三条において、「年間被曝量5.2ミリシーベルとなる区域は標識によつて明示(管理区域)しなければならない」と規定されています。 もちろん、この区域は一般人の立ち入りが制限されているのでしょう。

 同第四条において、「放射線業務従事者の被曝限度は5年間で100ミリシーベルトを超えず、かつ、1年間で50ミリシーベルトを超えないこと」と規定されています。放射線業務従事者とは、病院勤務のX線検査技師(原発労働者含む)を想定すればいいでしょう。100ミリシーベルトを5で割れば、年間被曝量は20ミリシーベルトになります。

 同第六条において、「妊娠中は1ミリシーベルトを超えないこと」と規定されています。放射線業務従事者であったとしても、ほぼ一般人並の被曝量に抑えられています。

 政府は、「X線検査技師や原発労働者並みに、年間20ミリシーベルトの被曝を一般人や子供、妊婦が受けても良い」と言っているのですか。また、年間被曝量が5.2ミリシーベルトの区域は、管理区域として表示されないのですか。

 更に、文科省の発表する累積放射線量が新聞等に記載されています。驚くことに、この値は3/23以降のものです。原発事故は3/11でした。11日間の累積量は含まれていないことになります。3/23における飯館村の累積値は14ミリシーベルト、浪江町は19ミリシーベルトとも言われています。なぜ、新聞等はこの事実を伝えないのでしょうか。知っていて公表しないのでしょうか。

 以上は、外部被曝ですが、校庭で子供たちが吸い込む土埃、強風時に巻き上げる土埃、飲料水、食品等は体内に吸収され内部被曝の原因となります。

 内部被曝は外部被曝の3~4倍と言われています。チュルノブイリ原発事故におけるオーストリアのデータでは、15%の外部被曝、5%が呼吸からの内部被曝、残りの80%は食品からの内部被曝と言われています。

 放射線によるDNA損傷ついて簡単に示します。

 体内の各細胞に平均1本の放射線が通過した場合、被曝量は1ミリシーベルトとなります。20本の放射線が通過すれば、20ミリシーベルトです。放射線が細胞を通過したとき、DNAが損傷します。この1本の放射線の性質は、1ミリシーベルトでも20ミリシーベルトでも変わりません。放射線が多いか少ないかの違いでしかありません。多くの放射線が通過した場合、DNA損傷の確率が高くなります。これ以下の被曝量なら安全と言うものではありません。

 さて、被曝を受けた場合の癌発症率はどうでしょうか。ICRPによると

年間1ミリシーベルトでは    1万人に1人

年間10ミリシーベルトでは   1000人に1人

年間20ミリシーベルトでは   500人に1人

年間100ミリシーベルトでは  100人に1人

が癌患者となります。20ミリシーベルトの地域に50万人がいれば、1000人が癌患者になります。

 以上から、「20ミリシーベルト」と言う値は、とんでもない数値です。枝野元官房長が言う「直ちに影響はありません」は本当です。

 地上の放射線量は、航空機によりリアルタイムに測定することができます。政府は、そのデータを公表し、呼吸や食品からの内部被曝量を推定し、住民に現状を正直に伝えるべきです。それによって、緊急時避難準備区域の解除が行われるべきです。また、土壌の除染は、早ければ早いほど、年間被曝量を少なくすることができます。漠然としたメッセージを発するのではなく、科学的データを基にした事故対応が必要です。さもなくば、政府の言うことを誰も信用しません。今現在、政府の言うことを国民は信じていないでしょう。9800円の家庭用放射線測定器に注文が殺到しています。まさに象徴的なことでしょう。

 一般人の被曝限度量は1ミリシーベルトでした。それが、福島における被曝限度量は20ミリシーベルトになってしまいました。

 原発作業員の1年間の被曝限度量は50ミリシーベルト、5年間の累積値は100ミリシーベルトでした。ところが、被曝量が100ミリシーベルトを超えるや否や、福島原発の復旧作業に限り、累積値は250ミリシーベルトに引き上げられました。基準を決めたときの根拠は何だったのでしょう。国民の安全を守るためだったのでしょう。基準がころころ変わるなんて、おかしいですね。 

 国民を欺いて原子力を推進し、事故が起きれば、安上がりな対応で国民をだまそうとしているように感じられます。

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