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2011年10月19日 (水)

報道されない内部被曝

 食品安全委員会は七月下旬、規制の目安を「生涯累積で100ミリシーベルト」(自然放射線と医療被曝は除く)とする評価書案をまとめました。更に100ミリシーベルトは内部被曝と外部被曝の合計です。人生を100年とすると年間1ミリシーべルトです。厳しい規制値です。

 それ以後、この数値に基づく食品摂取量と被曝量との関係が示されていません。結局、よくわからない数値です。現時点で、野菜、茶、米、肉等の放射能濃度は、1kgあたり500ベクレルと規定されています。これをを超えない食品は、出荷可能です。

 それでは、400ベクレルの野菜、400ベクレルの米、400ベクレルの肉を1年とり続けたらどうなるのでしょう。数値に具体性がなく不安がつのります。

 ドイツ放射線防護協会による内部被曝に対する提言(3/20)が日本に対してありました。ドイツにおける年間被曝線量0.3ミリシーベルトを基準に算出されています。それは

 「乳児、子供、青少年に対しては、1kgあたり4ベクレル以上のセシウム137を含む食品を摂取しないこと、成人に対しては8ベクレル以上を摂取しないことを推奨する。」

と述べています。

 乳児の食物摂取量を年間325kgとすれば、乳児の許容限度は年間1,300ベクレルとなり、成人の食物摂取量を年間830kgとすれば、成人の許容限度は年間6,640ベクレルとなります。

 1kg当り500ベクレル未満は安全だと言う政府方針と大きく異なります。

 ドイツ放射線防護協会が計算過程を示していないので独自に計算してみます。

 前提条件

 成人の食物摂取量 年間511kg、1日当たり1.4kg。

 年間許容被曝量 0.3ミリシーベルト。

 成人に対するセシウム137の線量係数 1.4×E-8とします。ここで、E-8とは10のマイナス8乗です。

 計算式は 年間食物摂取量(kg)×放射能濃度(ベクレル/kg)×線量係数(シーベルト/ベクレル)=年間被曝線量(シーベルト)とします。求める放射能濃度をAとします。

 簡単のため、半減期30年のセシウム137のみとして、半減期2年のセシウム134は除外しました。

 計算

 511×(A×1.4×E-8)=0.3×E-3となり、

 A=42ベクレル/kgとなります。すなわち、42ベクレル/kgのセシウム137を含む食物を1年間取り続けた場合、年間0.3ミリシーベルト被曝したことになります。

 成人は1kgあたり42ベクレルのセシウム137を含む食物を、年間で511kg摂取することになります。そして、年間におけるセシウム137の許容量は、21,462ベクレルとなります。

 それでは、1kg当り400ベクレルの食物を1日当り1.4kg摂取したとすれば、何日で年間許容量21,462ベクレルになるでしょうか。21,462÷(400×1.4)=38日となります。仮に、食品安全委員会が許容した年間被曝量1ミリシーベルトであったとしても、被曝量は126日で1ミリシーベルトに達してしまいます。

 このことは何を意味しているのでしょうか。できるだけ放射能汚染されていない食品を摂取しなければならないと言うことです。138ベクレル/kgの食品を毎日摂取した場合は、年間被曝量は1ミリシーベルトになります。今回は食品だけを対象としました。その他、空気や水からの内部被曝と外部被曝を加味すれば、もっと厳しい数値になります。

 間違っているかもしれませんが、驚きの数値です。政府は500ベクレル以下は安全であると言うような漠然とした数値を示すのではなく、内部被曝と外部被曝を加味した上で、許容できる食物の放射能濃度を計算し、健康を損なわないための食物摂取基準を示してほしい。

 ここで、チェルノブイリ原発事故から3年経過後のヨーロッパにおける食品汚染度を見てみます。乳製品、魚、肉、果実、野菜、穀類、茶、キノコ、香辛料130品目程度です。数値としての絶対値ではなく傾向を見てください。

 セシウム 10ベクレル/kg未満        63%

        10~50ベクレル/kg以下     9%

        50~100ベクレル/kg以下    8%

       100ベクレル/kg以上         19%

 あながち、ドイツ放射線防護協会の許容値が厳しすぎるわけではありません。福島原発事故直後の緊急時であるため、やむを得ないでしょうが、本来は上記ヨーロッパ程度の数値でしょうか。

 ご飯1杯、魚1匹、肉100gなどの保有カロリーを個々に明示し、健康維持のために、1日当たりの食事の摂取カロリーの限界を定めた栄養指導のような方法が良いかもしれません。この意味でも、暫定基準値以下だから安全だというのではなく、個々の食品の放射能濃度を測定し、公表すべきでしょう。

 世界中で、核実験が行われていた1960年当時、政府は一般家庭の日常食を集めて放射能を測り、数値を公表していました。一般市民の放射性セシウムの体内量の測定と線量推定も行われていました。

 今回は国民のパニックや政府責任を追及されかねないので、数値を曖昧にしようとしているのでしょうか。正確な数値を公表すれば、国民はパニックなど起こしません。放射線障害は5~10年以上で発症します。そのときになって、因果関係がないと言って、突き放すのでしょうか。住民は泣き寝入りです。

 関連記事(ものぐさ 内部被曝評価はシーベルトではなくベクレルで)。

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