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2011年11月29日 (火)

原発による精神的苦痛賠償金

 東電は原発事故により避難した住民に精神的な苦痛を賠償する基準を、月額10万円としていました。原子力損害賠償紛争審査会は、避難住民の大多数が仮設住宅などに転居し住環境が改善されるとの理由で9/1から来年2/29日は賠償額を半減するとしていました。東電はこれに従って、半額にする予定であったが、「避難生活が長期化すれば、むしろ苦痛は増す」との批判が強まり、東電は9/1以降も月額10万円の賠償額を支払うとしました。

 改めて、原子力損害賠償紛争審査会の中間指針と精神的苦痛の及ぶ対象、期間と賠償額の妥当性について考えてみます。

 原子力損害賠償紛争審査会の中間指針の「精神的損害」には次のように記載されています。不正確ですが、簡略して表現します。更に簡略化すれば赤字の部分になります。

1 対象

(1) 対象区域(注1)から実際に避難した上引き続き同区域外滞在を長期間余儀なくされた者が、自宅以外での生活を長期間余儀なくされ、正常な日常生活の維持・継続が長期間にわたり著しく阻害されたために生じた精神的苦痛

(2) 屋内退避区域の指定が解除されるまでの間、同区域における屋内退避を長期間余儀なくされた者が、行動の自由の制限等を余儀なくされ、正常な日常生活の維持・継続が長期間にわたり著しく阻害されたために生じた精神的苦痛

2 期間と賠償額

(1) 原発事故発生から6ヶ月間(第1期)     第1期については、一人月額10万円を目安とする。

(2) 第1期終了から6ヶ月間(第2期)       第2期については、一人月額5万円を目安とする。

(3)   第2期終了から終期までの期間(第3期)  第3期については、諸般の事情を踏まえ、改めて損害額の算定方法を検討する。

 このことについて、福島県は、東京電力が福島第1原発事故に伴う住民避難の「精神的苦痛」に対する賠償について不誠実な対応をとっているとして、市町村と連携し原子力損害賠償紛争解決センターへの集団申し立てを支援する方針を固めました。申し立ては市町村単位で代表的な集団を選び、弁護士による書類作成などを県が支援することで賠償に被災住民の声が反映されるよう目指しています。
 

 私ならこう要求します。福島原発事故以前とそれ以後に感じることになった精神的ストレスの増加分について、金銭的な補償を要求します。原発事故がなかった生活と今の生活との差分を賠償金として要求します。東電が事故を起こさなかったら、平穏な生活が送れていたのです。何故、加害者に遠慮しなければならないのでしょうか。

1 著しく阻害されたために生じた精神的苦痛」に対してみの支払いです。何故、「著しく」に甘んじなければならないでしょうか。私なら阻害されたために生じた精神的苦痛」に対して要求します。1~20ミリシーベルト以内の被曝でも苦痛を感じる人もいるでしょう。上から目線で、苦痛の程度を規定すべきではありません。

2 同様に、長期間余儀なくされ」という文言もおかしく感じます。私なら、「長期間」という部分を削除して「余儀なくされ」に対して要求します。

3 年間被曝20ミリシーベルト未満の区域の住民は補償の対象になっていないようです。20ミリシーベルト以下に除染して、政府は賠償金を払わない魂胆なのでしょうか。私なら5ミリシーベルトでも要求します。

4 精神的苦痛には、正常な日常生活の維持、継続ができないことのほか、下記の不安や恐れも含まれていると考えます。それらについても要求します。 

 放射線を浴びて暮らさなければいけないこと。  いつ帰れるかわからない状況であること。 生活再建の目途が立たないこと。 子供たちと離れて生活しなければならないこと。 癌発症の可能性を心配し続けないといけないこと。 コミュニティーが分断され離れ離れに生活しなければいけないこと。  美しく、自然豊かな山河を見て生活できないこと。 高放射線量であるがため遺体の捜索が不十分であること。 東電が誠意ある態度を示さないこと。  

5 災害発生から6ヶ月で賠償金を半額にしようとしています。精神的苦痛の程度が多様であるにも関わらず、期間で区切ってしまっています。10年でも20年でも精神的苦痛は引きずります。加害者である東電が、賠償金はこれしか出さないといっているのもおかしくありませんか。私なら、生涯にわたって要求します。

6 仮設住宅での生活はストレスそのものです。東電経営幹部は一度住んでみてください。

 「事故が起きた場合の精神的損害賠償額はこんな程度ですが、原発を作らせてください」と東電が言ったとしたら、住民は原発建設を許可していたでしょうか。

 (注1) 対象区域は以下のように定められています。簡略化します。

1 避難区域

 政府が首長に対して住民の避難を指示した区域
・ 福島第一原発から半径20km圏内(平成23年4月22日には、原則立入り禁止となる警戒区域に設定。)
・ 福島第二原発から半径10km圏内(同年4月21日には、半径8km圏内に縮小。)

2  屋内退避区域

 政府が首長に対して住民の屋内退避を指示した区域
・ 福島第一原発から半径20km以上30km圏内

3 計画的避難区域

 政府が各首長に対して計画的な避難を指示した区域
・ 福島第一原発から半径20km以遠の周辺地域のうち、積算線量が年間20ミリシーベルトに達する区域であり、同区域外に計画的に避難することが求められる区域

4 緊急時避難準備区域

 政府が首長に対して緊急時の避難又は屋内退避が可能な準備を指示した区域
・ 福島第一原発から半径20km以上30km圏内の区域のうち、常に緊急時に避難のための立退き又は屋内への退避が可能な準備をすることが求められ、引き続き自主避難をすること等が求められる区域

5 特定避難勧奨地点
政府が、住居単位で設定し、その住民に対して注意喚起、自主避難の支援・促進を行う地点
・ 計画的避難区域及び警戒区域以外の場所であって、積算線量が年間20ミリシーベルトを超える地点であり、政府が住居単位で設定した上、そこに居住する住民に対する注意喚起、自主避難の支援・促進を行うことを表明した地点

6 首長(南相馬市)が住民に一時避難を要請した区域

 

 

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