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2011年12月 1日 (木)

本気度を疑う核燃料サイクル撤退

 もんじゅをめぐって、行政刷新会議は「存続の是非を含め抜本的に見直すべきだ」と提言しています。本当にそうなのだろうか。本気度を疑ってしまいます。昨年の事業仕分けで凍結されたもの(例えば公務員宿舎)が解凍され、着工されようとしたのですから。来年度の「もんじゅ」関連予算215億円のうち22億円がムダと指摘されただけでした。残りの193億円は、もんじゅ関連として使われるのです。言っていることと、やっていることが正反対です。推進派は騒がない。その沈黙には「言うだけ言わせておけ」という含みがあるといわれています。

 この政策提案を受け、原発事故担当相は「一つの曲がり角に来ている。廃炉を含めた抜本的な対策が必要」との考えを示しました。

 その一方で、電気事業連合会は「核燃料サイクルは不退転の決意で取り組む」と述べています。

 更に、日本原撚は、原発事故担当相の見解に対し、「高速増殖炉(もんじゅ)の研究開発は国としてしっかり進めるべきだ」と反対しました。

 このように執着している「もんじゅ」とは何者でしょうか。

1 「もんじゅ」の目的

 原発がある限り、使用済み核燃料は増え続けます。これを保管している六ヶ所村の貯蔵量は90%を超え、新たに受け入れる余地はほとんどないと言われています。その結果、行き場を失った使用済み核燃料は各地の原発敷地内に保管され続けています。今度の福島原発事故で「保管プール」の存在が明らかになりました。その「保管プール」も残り30%程度で、あと6年弱で満杯になります。そのため、「保管プール」の設計容量を超えて使用済み核燃料をプールに保管しようと計画しています。(リラックキング)。過密状態となり、冷却機能が失われたときの危険度は更に大きくなります。

 このような事態を解消する手法として、核燃料サイクルという概念があります。これについて説明します。

 天然ウランは濃縮・加工されウラン燃料となります。原発はウラン燃料を消費して発電します。その発電によって燃やされた燃料(使用済み核燃料)は、六ヶ所村再処理工場で新たな燃料であるMOX燃料やプルトニウム燃料に加工されます。MOX燃料は福島原発でも使われていました。プルトニウム燃料は「もんじゅ」の燃料となります。更に、「もんじゅ」で使用済みとなった燃料は、再処理工場で再びプルトニウム燃料に再生されます。このループが半永久的に行なわれ、天然ウランの輸入は不要となるわけです。「夢の原子炉」となる皮算用でしたが、そのサイクルは六ヶ所村再処理工場と「もんじゅ」の事故で絶たれています。

2 外国における開発と撤退

 アメリカの場合

 1955 高速増殖炉(FBR1)が暴走し、炉心溶融する。

 1966 高速増殖炉(Eフェルミ1号)が炉心溶融する。

 1984 高速増殖炉の研究を中止し、全面的に断念する。

 イギリス、ドイツ、フランス、ロシアの場合

 全て重大事故を続発し、開発に失敗し断念した。

 「夢の原子炉」は「悪魔の原子炉」であった。

 日本の場合

 1985 「もんじゅ」の建設着工

 1995 出力5%で発電を開始したが、3ヶ月後に出力を40%に上昇したところ、冷却系配管からナトリウム(冷却材)が漏洩して火災事故が発生した。

 2010 「もんじゅ」の運転を再開したが、機器の一部が炉内に落下し運転を停止した。

 2025 実証炉、2050までに実用炉の計画を立てている。

3 日本における開発予算

 2010までにつぎ込んだ費用は1兆810億円にも上るといわれています。それだけつぎ込んでも完成の目途は立っていません。こんな状況で2050まで更に経費を投入するのでしょうか。外国の例を見ても明らかなように、失敗は目にみえています。

4 原発より危険なプルトニウム発電

 原子炉の冷却材はナトリウムで、水に触れれば爆発し、空気に触れれば火災を起こします。危険極まりない冷却材です。

 炉心を冷却するためのナトリウム配管と発電用タービンを回すための水蒸気配管は金属の壁1枚を隔てて熱交換を行います。そこの圧力差は130気圧にもなります。ナトリウムと水が接触すれば大爆発となり手の施しようがありません。 

 運転中の炉心温度(軽水炉では300℃)は500℃にもなリます。当然、ナトリウムの流れている配管は高温となります。運転時の配管は大きく熱膨張し、停止時は大きく熱収縮します。この膨張・収縮を吸収するため、配管は肉厚を薄く、複雑に曲がりくねっています。地震に対する強度は原発よりも弱く、地震に見舞われれば、配管は破断し、ナトリウムが漏れ火災や爆発を引き起こします。

  プルトニウムはウランの数十万倍もの毒性を持っています。再処理するより、そのまま処理するほうが毒性は少ないと言われています。 

 ここまで述べてきて、このような「もんじゅ」に何故こだわるのか、疑問が湧いてきます。何故でしょうか。

1 日本は使い道のないプルトニウムを持たないことを国際的に公約させられています。プルトニウムを処分するために、何が何でも「もんじゅ」を作ろうとしてます。

2 いつでも核兵器を作れるのだというアピール。(ものぐさ 核武装と原発)

3 諸般の状況からみて、プルトニウム発電の可能性がゼロであることは関係者の間では周知の事実でしょう。まだ見込みがあると考えているとしたら大ばか者です。そうであるとすれば、その理由の一つは天下り先の確保でしょうか。この関係者の老後のために、貴重な税金を今後もつぎ込んでいくのです。

 たったこれだけの理由で、国民は原発の恐怖におびえながら生活していかなければならないのでしょうか。

 消費税論議の前に、このようなムダ使いをなくして欲しいものです。

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