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2011年12月 2日 (金)

浜岡原発 防波壁18m検証

 浜岡原発の津波対策として、中電は海抜18mの防波壁の工事に着工し、2012年12月に完成させると言っています。この防波壁で浜岡原発を津波から守ることができるのでしょうか。検証します。

 福島原発を襲った津波の映像は、今も目に焼きついています。まず津波の高さ等の定義をします(気象庁HP)。

 津波の高さ 津波がない場合の海岸線における潮位(平常潮位)から、津波によって海面が上昇したその高さの差を言います。

 遡上高    海岸から内陸へ津波がかけ上がる高さを言います。「遡上高」は気象庁から発表される「津波の高さ」と同程度から、高い場合には4倍程度までになることが知られています。

 津波において考慮しなければならないのは「津波の高さ」ではなく「遡上高」であることが分かります。そして、その「遡上高」は最大で4倍にもなリます。

 国、中電、過去の文献から津波の高さを調べてみます。

1 石橋克彦氏論文(原発震災)に対する科学技術庁原子力安全局の回答。

 津波による水位上昇は最大5m、満潮時と重なっても5.8mが妥当。海岸線に平行に10~15mの砂丘があり、安全性に問題ない。  1998.10.1

2 中電資料より  

 津波の「遡上高」は10m。18mの防波壁で津波は防げる。

3 日本地震学会(静岡市)  1498年の明応東海地震による遡上高は15~20m。 2011.11  

4 東海・東南海・南海地震の連動性評価研究プロジェクト  十数分~数十分の時間遅れを持って南海、東南海、東海地震が連動発生した場合には、浜岡原発付近の想定津波高さは11m程度に達する。 2009.5

 検証

 原子力安全局が言う水位上昇は、「津波の高さ」を指すのでしょうか。それとも「遡上高」を指すのでしょうか。あいまいな表現ですが、ここでは「津波の高さ」と解釈します。原子力安全局が予想する「津波の高さ」は6m弱です。気象庁が言うように、4倍を「津波の高さ」に乗ずると、「遡上高」は24mとなります。これでは、18mの防波壁は役に立ちません。

 中電は資料で「遡上高」は10mであり、18mの防波壁で津波は防げると言っています。明応東海地震による遡上高15~20mと大幅に違います。明応東海地震を考慮すれば18mの防波壁で津波を防ぐことができません。 

 日本地震学会(静岡市)の言う明応東海地震による遡上高は15~20mです。18mの防波壁は役に立ちません。

 東海・東南海・南海地震の連動性評価研究プロジェクトでは「津波の高さ」は11mとしています。これに気象庁が言う4倍を乗ずると、「遡上高」は44mになります。話になりません。  

 中電は上記の矛盾を感じているのでしょうか。その他、敷地内の対策として、防水構造扉の二重化や水密扉による津波の侵入防止を図っています。福島原発の津波による破壊状況を見れば、この対策は子供だましのように感じます。

 その他に、中電は津波の到達を20分と想定しています。県が予想する5分(第3次地震被害想定より)よりも4倍も遅く到達する前提で津波対策を進めています。県も自治体も「5分と言わずできるだけ早く」との目標で訓練や防災対策にあたっています。自治体の避難対応に比べ中電の対応は随分のんびりしています。到達時間を遅くすれば、それほど迅速な対応が必要ではありません。その分、津波対策にかける費用も安くなるのでしょう。

 「遡上高」も津波到達時間も最悪の状態を想定して、対策を立てて欲しいものです。これで「想定外」といわれればたまったものではありません。

 

 

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