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2011年12月21日 (水)

「冷温停止状態」と「梅もどき」

 原子炉が「冷温停止状態」になったとして、政府は12/16にステップ2の達成を宣言しました。

 健全な圧力容器が100℃以下に冷却された状態が「冷温停止」である。専門家はこのように定義しています。メルトダウンで燃料の一部が圧力容器から格納容器に溶け落ちた福島原発に「冷温停止」を適用することに、専門家は疑問を呈しています。

 専門家の言う「冷温停止」とはどんな状態なのでしょうか。

1 原子炉停止後の圧力容器内の水温が100℃未満まで冷えて安定している状態。放射性物質が放出していない。

2 「圧力容器を開けても放射物質が放出されない状態である」とも九大教授は言っています。

 当然、圧力容器内部は水で満たされ、均一な温度を保ち、圧力容器内面も核燃料も100℃未満です。また、圧力容器は密閉されており、放射性物質は外部に漏れていません。このような状況を専門家は「冷温停止」と言っていたのです。

 それでは、政府の言っている「冷温停止状態」とは何でしょうか。

 「圧力容器底部の温度が100℃以下」かつ、「敷地境界での被曝線量が1ミリシーベルト未満」のクリアを、政府は「冷温停止状態」と定義しています。更に、放射性物質の放出量が管理・抑制されていることをステップ2の条件にも上げています。しかし、放出量は9/1~15時点で2億ベクレル/時、10/3~13時点で1億ベクレル/時、11/1~12/6時点で0.6億ベクレル/時と推移し、ここ1ヶ月は減少していません。

 「冷温停止状態」と本来の「冷温停止」の定義は、このように異なっています。更に詳しく見ていきましょう。

 1~3号機はメルトスルーし、核燃料は格納容器下部にまで落下しています。当然、圧力容器下部には穴が開き、圧力容器内部に冷却水は存在していないでしょう。圧力容器下部の温度といっても、その部分の空気温度を計測しているに過ぎません。そして、格納容器下部の温度は測定できていません。100℃以上となり沸騰しているかも知れません。

 格納容器は破壊され、汚染水は建屋内にたまり続けています。地下水に侵入しているかもしれません。

 事故当時に比べ、放射性物質の放出量は大幅に減少したとはいえ、0.6億ベクレル/時程度放出しています。放出量が管理・抑制されているのではなく、たまたま、敷地境界で1ミリシーベルト以下になっているに過ぎないのかも知れません。

 九大教授は次のように言っています。

 冷温停止状態であるといっても、原子炉の状態が好転したわけでも、健全な原子炉と同等の安全性を確保できたわけでもない。潜在する危険性が見えにくく、国民に誤解を与える。「冷やす」、「閉じ込める」機能がいまだ喪失している。燃料がどの程度冷やせているか不明で「止める」も完璧ではない。余震で水と燃料の構成が変われば「再臨界」の可能性もゼロではない。

 以上から、「冷温停止状態」は「冷温停止」と大きく異なります。圧力容器または格納容器の穴の開いた箇所を塞ぎ、放射性物質を閉じ込め、水を循環して冷却水、容器、核燃料の温度を100℃未満にして、初めて本来の「冷温停止」といえるのでしょう。

 原子炉が「冷温停止」し、住民が被曝しないことが帰宅条件の1つになっています。住民を危険な状態におくことはできません。その意味でも、「冷温停止」の定義を明確にすべきです。

 政府はステップ2を達成したように見せたかったのでしょう。そこで政府は、止むを得ず、本来の「冷温停止」という定義を変えてしまいました。そして「冷温停止状態」といった新造語を作ったのでしょうか。

 「梅もどき」という植物があります。決して「梅」ではありません。梅はバラ科、落葉樹、梅干として食用に供されます。「梅もどきは」モチノキ科、落葉樹、赤い実は観賞用です。「冷温停止もどき」というのが正しいでしょう。

 政府は、原発問題への世論の高まりを「冷温停止」にしたいのでしょうか。一旦、噓をつくと、その噓を隠すために噓を更に重ねてしまいます。我々国民にも、このような経験が少なからずあります。そして後で「しまった」と後悔します。今、国民の政府への信頼は大きく崩れています。真正面から問題に取り組まず、小手先の対応で、言葉遊びに終始しています。正直に実態を把握・説明し、その結果を国民に任せるしかないでしょう。野田首相は「不退転の決意」とよく言っています。指導力とは「決断力」と「説得力」だと言われています。野田首相は「説得力」に欠けていると感じます。何事も決まりません。説得するためには、誤魔化しがあってはいけません。正直でなくてはいけません。

 

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