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2012年1月 2日 (月)

安井正也 原子力安全規制改革担当審議官は適任か

 報道によれば、安井審議官は、経産省原子力政策課長を務めていた04年4月、使用済み核燃料を再処理せず、そのまま捨てる「直接処分」のコスト試算の隠蔽を部下に指示しました。

 同氏は、原子力安全規制改革担当審議官という要職にあり、福島原発事故を受け、4月に発足する「原子力安全庁」の準備をしています。このような人を「原子力安全庁」の準備に関与させて良いものでしょうか。

 高速増殖炉「もんじゅ」を核とした「核燃料サイクル」は福島原発事故を契機に、政策転換を迫られています。この「核燃料サイクル」の一翼をになう六ヶ所村核燃料再処理工場は、97年に運転開始の予定であったが、数々のトラブルにより、08年に試験を中断しました。いわく付きの「核燃料サイクルシステム」です。

 「直接処分」のコストを隠蔽までして核燃料再処理を進めた背景は何でしょうか。これらに関する当時の経緯や関係者の発言を列挙します。

 98年    「原子力環境整備センター」(「現原子力環境整備促進・資金管理センター)」は「直接処分」コストを4兆2000億円~6兆1000億円と試算していた。

 02年5月  東電と経産省首脳は「使用済み核燃料再処理事業」からの撤退を協議していた。その理由は同施設からのトラブルの続発と2兆円超にもなる建設費。

 02年8月  東電のトラブル隠しが発覚し、当時の首脳は辞任し、再協議は頓挫した。

 02年10月 原子力委員会やエネルギー庁の一部幹部は使用済み核燃料の受け入れを提案するロシアの外交文書を隠した。 

 04年1月  再処理工場の稼動、約19兆円との試算が公表された。撤退は責任問題に発展しかねず、東電も経産省も撤退方針を出さなかった。

 04年2月  東電幹部と経産省は撤退を模索していた。

 04年3月  社民党党首が再処理をしない場合のコストを求めたのに対し、当時のエネルギー長官は「日本には直接処分コストの試算はない」と答弁している。答弁案は安井氏が作成した。安井氏は3ヶ月前からこの試算の存在を知っていたことが、今回明らかになった。

 04年4月  安井氏(元経産省原子力政策課長)は使用済み核燃料を「直接処分」する場合のコストの隠蔽(世の中の目に触れさせないようにとの指示)を部下に下した。

 04年5月  「総合資源エネルギー調査会・電気事業分科会」は「直接処分」に関するコストの算出を要求していたが、安井氏はその存在を伝えなかった。安井氏の所属する原子力政策課は分科会の担当課でした。

 04年6月  分科会は約19兆円を電気料金に上乗せする制度の導入案をまとめた。これにより、「国内全量再処理」が国策となった。

 04年7月  「直接処分」コスト試算の存在は報道で判明した。

 04年    再処理工場において、劣化ウランを流すウラン試験が稼動した。

 06年    そして、使用済み核燃料を流すアクティブ試験に移行した。

 08年12月 トラブルにより試験中断。

 11年11月 経産省幹部は文書の存在を初めて知り、「ロシアへの核燃料の排出が提示でき、事業撤退への道が開けたかも知れない」と悔しがった。 

 11年12月 再処理工場の緊急安全対策を知事が了承した。

 12年年明け  高レベル放射性廃棄物ガラス固化体の製造試験を再開予定。 

 以上から何が見えてくるでしょう。

 「原子力環境整備センター」(「現原子力環境整備促進・資金管理センター)」が98年、直接処分コストを4兆2000億円~6兆1000億円と試算。更にロシアによる使用済み核燃料の受け入れ提案。再処理工場の稼動には約19兆円との試算。

 そして、安井氏は使用済み核燃料を「直接処分」する場合のコストの隠蔽を部下に下した。

 安井氏は「日本には直接処分コストの試算はない」との答弁案を作成した。

 それらにより、「国内全量再処理」が国策となりました。

 再処理事業撤退の機会があったにも関わらず、隠蔽や噓によりその機会を逃しました。

 事実を隠蔽してまで、「核燃料サイクル」に固執する原子力村の体質が見えます。

 事故調査・検証委員会(畑村陽太郎委員長)は、従前の原子力政策や事故対応について数々の問題点を指摘しています。中間報告書は、「原子力安全規制機関」のあり方について、「同機関は、原子力安全関連の意思決定を実効的に独立して行うことができ、意思決定に不当な影響を及ぼす可能性のある組織から機能面で分離されていなければならない」と述べています。原子力政策を担当してきたのが原子力村住民でした。原子力安全規制改革を担当している人達は、経産省、原子力保安院、文科省、内閣府等の人達で構成されているのでしょう。原発に関係の無い人も参加しているのでしょうか。新たに組織化される「原子力安全庁」に不安を覚えます。骨抜きにされ、もとのもくあみにならなければ良いのですが。人選をし見直してください。泥棒と警官が談合しているようです。

 安井氏のデータ隠蔽指示はきわめて重いものです。この件に関して同氏は「記憶に無い」と述べています。このような人を「原子力安全庁」の準備に関与させて良いものでしょうか。

 また、「原子力安全庁」の名称を変更して「原子力規制庁」としなければなりません。「原子力安全PR庁」になってしまいそうです。

 

 

  

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