« 2012年1月 | トップページ | 2012年3月 »

2012年2月

2012年2月 1日 (水)

国の設置した事故調査委員会に期待

 国会が設置した福島原発事故調査委員会(黒川清元委員長)は、「責任の所在を明らかにしつつ、真相究明を行うことが重要」と主張しました。更に、「地震・津波と原発事故の複合災害のおそれを関係者がなぜ無視してきたか、中間報告は内容が薄い」と指摘しました。

 これは、政府の事故調査委員会(畑中洋太郎委員長)の「政府や東電の責任追及は目的としない」との中間報告に対するもので、両事故調査委員会の姿勢の違いが浮き彫りになリました。

 これを受け、畑中氏は「事実の積み重ねからやっており、まだそこまで行っていない」と答えるに留めています。

 政府の事故調査委員会(畑中洋太郎委員長)の委員10名を指名したのは菅元首相です。これに対し野党側は「お手盛り調査になる」として、衆参両院議長が委員を任命する事故調査委員会を国会内に設けるように求めました。それにより設置されたのが福島原発事故調査委員会(黒川清元委員長)です。

 福島原発事故調査委員会(黒川清元委員長)のメンバー構成が気になります。私の知っている人だけ記載します。

・ 田中耕一島津製作所フェロー

・ 石橋克彦神戸大名誉教授(地震学) : 地震学の立場で「原発震災-破滅を避けるために」を1997年に発表しています。この中で、同氏は「地震の想定が根本的に間違っており、したがって、それに基づく地振動の評価と耐震設計はきわめて不十分」と述べています。また、東海地震による浜岡原発震災についても警告しています。 

・ 田中光彦(科学ライター) : 同氏は元原子炉製造技術者です。同氏は「津波が来なくてもメルトダウンは起きた。問題は耐震性だ」との論文を週間エコノミストに掲載しています。原発の冷却系配管が如何に脆弱であるかを他の著書でも明らかにしています。

 以上、3名です。

 更に、同委員会は、放射性物質の除染について、政府の対応を批判してきた児玉龍彦東大教授(内科学)、「発送電分離」論者の八田達夫大阪大教授ら5名の有識者を、参与に起用しました。同参与は審議を手助けするという立場です。児玉教授は低線量被曝の危険性についても言及しています。(ものぐさ 帰還困難区域指定より除染計画だろうが) 

 委員は全員民間人です。法律に基づき設置された同委員会は「国政調査権」に基づいき証人喚問や資料提出を要求でき、違反すれば、議院証言法違反で1年以下の禁錮となります。

 そして、2度と原発事故を起こさないよう、各電力会社や原子力安全・保安院は緊張感をもった対応をしてもらいたいものです。(ものぐさ 福島原発事故の刑事責任を東電幹部に問えないのか

 政府の事故調査委員会(畑中洋太郎委員長)の最終報告と国会が設置した福島原発事故調査委員会(黒川清元委員長)の報告を注視していきたいものです。

  

2012年2月 3日 (金)

IAEAストレステスト「妥当」の意味するものは

 原発が想定外の地震や津波に対し、どの程度の余裕があるかを調べるストレステストについて、IAEAは審査手法を妥当であると、原子力安全・保安員に報告しました。これに対し、保安院は「IAEAが指摘した勧告や助言について具体化を図っていきたい」と述べています。

 ここで注意してください。IAEAは「ストレステストの審査手法は妥当だが、個々の原発が安全かどうかを見たわけではない」と述べています。このIAEAの報告により、保安院は「ストレステストに合格した原発は再稼動可能」と言いだしそうです。当時の鉢呂経産相は「IAEAのお墨付き」をもらえば安全だともいってます(ものぐさ デタラメ 原発ストレステスト)。早速、保安院は大飯原発のストレステストは妥当」との評価結果を出すようです。IAEAの「妥当」発言は、原発再稼動にお墨付けを与えたわけではありません。

 さて、EUは各国の電力事業者が独自に行なったストレステストについて、電力事業者に安全性を強化するための改善措置や再調査を要求しました。ここでは、多国籍(ドイツ、オランダ、ハンガリー、ブルガリア)の専門家による相互チェックが働いています。そして、客観的な安全性が担保されています(ものぐさ EU ストレステスト見直し EUストレステスト合格)。これに関して、IAEAは関わっていないようです。

 それでは、IAEA(国際原子力機関)とはどんな組織でしょう。

 IAEAは原子力の平和的な利用を促進しつつ、軍事目的に転用されることを防止するため、1957年に発足しました。2007年9月現在、加盟国144か国。本部はオーストリアのウィーンにあります。

 福島原発事故から半年を経て、原発の安全性強化に向けた行動計画がIAEAで承認されるようですが、原発大国が主張する国家主権の壁を越えることができず、IAEAの監視機能を強化する計画案は大幅に後退し、骨抜きにされました。当初、IAEAは多国籍の専門家チームによる原発の安全性を評価しあう「ピアレビュー」を、世界中の原発に、無作為、かつ定期的に行なうとしていました。しかし、このピアレビューの義務的要素が削除されました。その結果、原発の規制や査察などは各国の責任の下で行なわれることになります。専門家チームによる抜き打ち的な調査は行なわれないのです。要するに、(多国籍の専門チームによる)原発の客観的な安全性は担保されません。IAEAは原発に関して、あまり権限を持っていないようです。そのような組織です。そのような組織の「妥当」宣言を「お墨付き」と称して、政府が原発の再稼動を承認するなら、許されざることです。

 日本では、あいも変わらず、従来の耐震審査指針(2006年改定)によりストレステストを実施しています。この指針は、2007年におきたM6.8程度の中越沖地震で、大きく揺らいでいるのです。

 福島原発事故をふまえた新たな耐震審査指針を作ってください。そして、それに従って、真面目なストレステストを行なってください。(ものぐさ 原発はストレステストで安全か)。

 

2012年2月 8日 (水)

福島原発強度不足露呈

 1/31の報道によれば、原子力安全・保安院は「福島原発5号機で、国の新耐震審査指針(2006年)に基づく強度が十分に確認されていない配管や配管固定部があり、想定した揺れに襲われると、安全の目安の4.3倍の力がかかる部位もあった」と明らかにしています。

 そして、東日本大震災後に東電や保安院が実施した現場調査では、見た目は損傷が見つからなかったが、保安院はさらに詳しく調べる方針であるといいます。

 また、「新耐震審査指針」で地震の想定を引き上げたが、新たな想定での耐震性確認や補強工事が終わっていない」とも言っています。

 福島原発における原子炉の設計基準地震動(揺れに対する耐震性の加速度・・・ガル)は1981年には370ガルでした。1995年の阪神大震災で信頼を失った「旧耐震審査指針」は新耐震審査指針(2006年)として改定されました。それにより、福島原発の設計基準地震動は(補強工事により?)600ガルに引き上げられました。要するに600ガルが想定内です。

 新耐震審査指針(2006年)の基本方針には次のような記載があります。

1 耐震設計における地震動の策定について(簡略してあります)

 耐震設計においては、「施設の供用期間中に極めてまれではあるが発生する可能性があり、施設に大きな影響を与えるおそれがあると想定される地震動」を適切に策定し、この地震動を前提とした耐震設計を行うこと。

2  「残余のリスク」の存在について(簡略してあります)

 地震学的見地からは、策定された地震動を上回る強さの地震動が生起する可能性がある。したがって、策定された地震動を上回る地震動に対しても適切な考慮を払い、基本設計の段階のみならず、それ以降の段階も含めて、この「残余のリスク」の存在を十分認識し、それを実行可能な限り小さくするための努力が払われるべきである。

 残余のリスク: 策定された地震動を上回る地震動の影響が施設に及ぶことにより、施設に重大な損傷事象が発生すること、施設から大量の放射性物質が放散される事象が発生すること、あるいはそれらの結果として周辺公衆に対して放射線被ばくによる災害を及ぼすことのリスク。

 しかし、当時、審査委員であった石橋克彦神戸大教授(地震学)はこの指針に納得できず、委員を辞任したということです。

 要するに、阪神大震災以後、旧耐震審査基準の不十分さを認め、直下型地震、プレート間地震、海洋プレート内の地震等を考慮した新耐震審査指針が策定されたのです。しかし、想定外の地震(残余のリスク)が発生する可能性もあるので、その影響をできるだけ小さくするように努力しなさいとも言っています。想定外がおきてもしょうがないとも聞こえます。

 寄り道してしまいました。

 まず、新耐震審査指針で370ガルから600ガルに引き上げられているにも関わらず、補強工事が終わっていないとのこと。なんということでしょうか。

 それでは地震発生時における福島原発の加速度はどの程度だったのでしょうか。3/19の報道では最大加速度448ガルで、新耐震審査指針で定めた3/4に過ぎないと発表しています。想定は600ガルです。980ガルに耐えうる設計になっているとも言っています。しかしこの揺れによって送電線の鉄塔が倒れ、停電したわけです。想定内の448ガルで鉄塔が倒れたことになります。

 以下、間違っているかも知れません。見方がひねくれているかも知れません。政府や報道は、「福島原発強度不足」の意味するところを判りやすく伝えてください。

 報道によれば、5号機の配管や配管固定部には、想定加速度600ガルの4.3倍である2,580ガルの力がかかったことになります。

 この保安院の発表には興味がわきます。

 2,580ガルの力がかかったにも関わらず、5号機は健全であったといいたいのでしょうか。補強工事がしてないにも関わらず、目視では損傷が見つからなかった。よって、原発事故の原因は津波であると。

 それとも、想定の4.3倍もの力が加わったということは、「想定」がこのように甘いものであったと反省しているのでしょうか。

 それとも、想定の4.3倍もあり、これは「想定外」であったといいたいのでしょうか。

 それとも、四国電力の伊方原発3号炉(想定地震動570ガル)のストレステスト結果は、「地震に対しては想定の1.86倍」しかなく、とても合格とする訳にはいかないと警告するのでしょうか。 

    

2012年2月10日 (金)

「バックチェック」と「バックフィット」で原発は安全か

 福島原発事故の教訓を受け、1/6、原子炉等規制法改正案の骨子が政府より発表されました。その骨子は7項目よりなり、その中には「原発の40年廃炉」や「バックフィット制度導入」が含まれています。

 新たに加わる「バックフィット制度」と、今まで義務付けられてきた「バックチェック制度」の内容に触れ、原発の再稼動についてどうあるべきか考えてみます。

1 バックチェック

 原子力安全委員会は、「既設原子力施設の安全性評価(バックチェック)の概要」を次のように説明しています。詳しくは、同HPを参考にしてください。

 新耐震審査指針(2006年)の決定と同時に、原子力安全委員会は原子力安全・保安院に対し、既設の発電用原子炉施設等について、新耐震審査指針を踏まえた耐震安全性を確認するよう要請しました。

 その流れは

 原子力安全委員会から原子力安全・保安院への「バックチェック」の要請。原子力安全・保安院から事業者への「バックチェック」指示。事業者による「バックチェック」実施。それでは、事業者はどんな項目を実施するのでしょうか。

① 地質調査等
② 耐震安全性評価で用いる基準地震動の策定
③ 施設の耐震安全性評価の実施
④ 地盤の安定性評価の実施
⑤ 地震随伴事象評価の実施
◎ 新たな知見が得られれば、適切に反映

事業者は評価結果を原子力安全・保安院に報告。原子力安全・保安院は評価結果の妥当性を確認。原子力安全・保安院は妥当性確認の結果を原子力安全委員会に報告。原子力安全委員会は原子力安全・保安院の報告に関し検討。以上です。

 要するに、新耐震審査指針(2006年)を踏まえた耐震安全性を確認するように事業者に指示し、その結果を報告させるというものです。2006年以前に作られた原発についても、新耐震審査指針を満たしているかを事業者に評価させるものです。

 それでは、「バックチェック」はすべての原発で行なわれたのでしょうか。報道によれば、この「バックチェック」は多くの原発で終わっていないし、原子力安全・保安院の審査も遅いといいます。新耐震審査指針(2006年)に適合しているか評価されないまま多くの原発は稼動しています。

2 バックフィット

 今回、骨子である「バックフィット制度」については、「既存の原発にも最新基準への適合を義務付けるバックフィット制度」を導入する、としか記述されていません。

 たまたま、2011.1.25の「第3回原子力委員会定例会議議事録」を見つけたので、バックフィットに関する発言を紹介します(簡略化しています)。バックフィットに関する考え方が伝わってくると思います。詳しくは「第12回原子力委員会資料第2号」を見てください。この発言が福島原発事故1.5ヶ月前であることも興味深いですね。 

・ 新しい世代の原子炉ほど安全性が高くなる。

・ 古い世代の原子炉に対して、新しい原子炉並みの安全性を要求される。その対策が低コストで、安全性がかなり向上するならその対策は実施すべきである。

・ 既存の他のタイプの原子炉について、同じ種類の対策の実施を求めて、同様の安全性の向上を実現しようとすると、とてもお金がかかると分かっていたらどうでしょうか。

・ こういう場合、米国では、その原子炉は現在十分安全であるか、その新しい対策の費用は、その効果から考えて過剰といえる金額かどうかを検討して、そうだと判断されれば、それを強制されないことになります。

・ 耐震設計審査指針(2006年)の通りに設計すると著しい補強作業が必要なときは、他の方法で同等の安全性を達成しても良いとして欲しかった。

・ 国際社会では、炉心溶融事象が起きるとして、それが災害をもたらす可能性を減じるために、溶融炉心を受けるコアキャッチャーと呼ばれる対策を安全設計要求の一部にしようという議論がなされていることです。

・ そんな対策を追加することは難しい古い原子炉には、何か、もっと費用の安い代替策で置き換えてこの目標を達成することを認めるという、そういうバックフィットルールを合わせて定める必要があるのではないかと考えているのです。

・ 炉心溶融を一遍見てしまうと、深層防護の観点から、そこまでは起きるとして、その結果に対する対策を用意すべきだという意見が強くなるのですね。チェルノブイリ事故の影響を経験したヨーロッパは、伝統的にとりあえず炉心溶融は発生するとして、その対策はと話を進めるところが昔からあったんですが、それがいまや最近国際社会で主流になりつつあると聞いています。

以上です。

 「バックフィット」とは、古い世代の原子炉を、新しい世代の原子炉に適合させることであるが、費用の点で困難ならば、もっと費用の安い代替案で置き換えて、この目標を達成しようというものらしい。福島原発事故以前には、相変わらず、人命よりも「費用対効果」のほうを重視しています。炉心溶融対策としてのコアキャッチャーの例でよく判ると思います。決して、最新のものに置き換えるわけではありません。これでは、「バックチェック」も「バックフィット」も同じで、言葉を変えただけではないかと勘ぐってしまいます。いつか聞いたことのある「ストレステスト」と同じような響きです。代替案の妥当性についても注視していく必要があります。さも思い切ったことをすると見せかける「カタカナ標記」には気をつけましょう。

3 再稼動の条件

 最も新しい原発は、2004年建設着工、2009年運転開始の泊原発3号機です。建設着工前に設計は終了しているのだから、最新の原発でさえ新耐震審査指針(2006年)前の原発でしょう。M6.8の中越沖地震で信頼性の失われた新耐震審査指針に「バックフィット」させることにどのような意味があるのでしょう。

 地震学者の知見や福島原発事故の検証をふまえた新基準に従って、再稼動の是非を判断すべきです。新基準に対し、どの程度の余裕があるのかのストレステストの実施も必須事項です。

 

2012年2月11日 (土)

脱原発はシェールガスとメタンハイドレートで

 報道によれば、米国シェル社は65億ドルの利益を計上したといいます。同CEOは「北米でのシェールガス開発が相次ぎ、過剰生産により値崩れが生じているので、減産体制に入る」と言っています。

 このようなシェールガスとはどんなものでしょうか。

・ シェールガスとはメタンを主成分とする天然ガスでシェール(頁岩-けつがん・・・粘土が水底に積み重なって固まったもの)の隙間に入り込んでいる。

・ 2005年版の米エネルギー情報局(EIA)の天然ガス輸入依存度は2025年で28%の予測であったものが、2011年版では4%と激減し、35年には0.8%に低下するといいます。

・ 米国天然ガスの輸出は2035年には2009年の2.5倍に達する。

・ 全世界の埋蔵量は188兆立法メートルで、少なく見積もっても400年分ある。

・ ガス・コンバインド発電と組み合わせれば、CO2排出量を1/3(対石炭排出量)にまで減じることができる。

・ 日本には存在しないが、価格低下し大きな魅力。

・ 日本商社は2009年以降、米国、カナダ、オーストラリア、インドネシアのプロジェクトに投資している。

 一方、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は次世代エネルギー資源として期待が高い「メタンハイドレート」の産出試験に向けた事前掘削作業を、2/14ごろから愛知県渥美半島沖海底で始めると発表しました。メタンハイドレートを海底で掘削して産出する試験は世界初と言います。安定的に取り出すことに成功すれば、2018年度の商業化を目指ことができるようです。静岡県沖から和歌山県沖に広がる「東部南海トラフ」周辺の海域で、日本の天然ガス消費量の十数年分に当たる約1兆立方メートルのメタンハイドレートが埋蔵されているとみられます。

 メタンハイドレートとはどんなものでしょうか。

・ 「燃える水」とよばれ、水分子の作るかご状の中にメタンガスが存在する。

・ 日本列島周辺や米国西海岸に存在する。

・ 全世界の埋蔵量は数千兆立法メートルで、日本列島周辺海域だけでも100年分ある。

・ 現場で算出試験をしているのは日本だけで、産出効率の高い減圧法(注1)を開発。

商業生産するためには多くの課題もあるが、メタンハイドレートは日本を資源大国に変える可能性をも秘めています。そのつなぎとしてのシェールガスは日本のエネルギー政策を脱原発に転換させるための大きな役割を果たすでしょう。

 さて、2010年における主要国のエネルギー開発費を見て、日本の極端な偏重に愕然としました。以下、原子力関連に対する総エネルギー開発費の割合を見てみます。

国         原子力関連予算額   原子力に対する総エネルギー開発割合

日本        2,500億円      70%

米国          800         19

フランス        500         42

ドイツ          200         28

 日本の原子力開発費用が、他国に対して突出していることがわかります。異常と言うべきでしょう。その大半は、高速増殖炉(もんじゅ)、核燃料サイクル、新型原子炉開発関連です。福島原発事故があったにも関わらず、12年度の原子力関連研究予算は13.5%減の2,095億円です。その分、安全・事故対策費は783億円と前年対比2.5倍の783億円(この中には、重大事故を防ぐ研究や廃炉のための技術開発が含まれている)に膨れ上がっています。それに電源立地交付金を加えれば2011年度とほぼ変わらない予算額となっています。この金を原子力村が吸い込んでいるのです。

 この原子力関連予算の大半をシェールガスやメタンハイドレート、その他自然エネルギー開発予算に振り向けてください。高速増殖炉(もんじゅ)や核燃料サイクル予算を切れば済むことです。さもなくば、原子力以外のエネルギー開発において、日本は対外的な遅れを取ってしまいます。

注1) 減圧法 : メタンハイドレート層にまで掘削した穴にポンプを埋設し、水をくみ上げると、坑内は減圧状態となり、シェール内に閉じ込められていたメタンガスが分離回収される。

2012年2月27日 (月)

自民 原発棚上げ

 自民党の「総合エネルギー政策特命委員会(山本一太委員長)」はエネルギー政策見直しに関する中間報告案を提出しました。原発政策については「10年かけて結論を出す」として棚上げしてしまいました。

 これは何を意味するのでしょう。原発については、検討しないことにしたといっているのです。原発問題について、世論が高まっているなか、今も尚、多くの問題を抱えています。国会議員の役割を放棄したのでしょうか。

 同委員長のブログに「総合エネルギー政策中間報告」の内容が記載されていたので、拾い出してみます。

 その中で、「自民党は、脱化石燃料の中核として、原子力政策を推進してきたが、安全神話に依拠しすぎてしまった結果、このような惨禍を招いたことにつき深く反省をしなければならない。そしてこの事故の原因を解明し、教訓を活かすことが全世界に対するわが国の責務である」と述べています。

 エネルギー政策の見直しに際して、以下、掲げています。

1 省エネルギーの推進や新エネルギーの活用など、あらゆる他の可能性を精一杯に検討し、追求すること。シェールガス、実用化の見込みは先だが日本近海に多数賦存しているメタンハイドレードなどもある。

2 原発については、安全性の徹底した確保や地元の理解・納得を前提として、短期的な必要最小限の電力量をまかなうべく活用すること。

3 様々な状況変化を踏まえた国民的議論を喚起し、10年かけ原子力の利用について結論を出すこと。

 後半には、以下の項目が羅列されています。

・ 原子力は夢のエネルギーとして推進されてきた。

・ 石油ショックにより原子力推進に拍車がかけられた。

・ 原子力の安全神話に過度に依拠し、原発建設を推進してきた。

・ 使用済燃料に関しては、放射性廃棄物の処理方法や核燃料サイクル技術の確立が鍵になるが、これまで巨額な投資をしてきたにも関わらずその解決の目処がたっていない。

・ 電力業界や原子力を推進してきた官庁との過度な相互依存関係がなかったのか。

・ 事故調査委員会の調査結果を見極め、原発の再稼働を、万全な安全確保(有事・テロ対策も含む)と地元住民の理解・納得を前提に行っていく。

・ 「電源構成のベストミックス」を早急に確立する。

・ 原子力に関しては、国民的な議論を喚起し、結論を出していく。

・ 最低限必要な限りにおいて中長期的に原子力を活用するか否かに関して議論していくこと。

・ 再生可能エネルギー、宇宙太陽光や地中熱等の新しいエネルギー源についても可能性を探る。

・ 省エネ商品、スマートグリッドの導入、火力発電所の高効率化等。

・ 省エネ機器等の積極的な海外展開などについて検討する。

・ 化石燃料(石油、天然ガス)や試掘が始まったメタンハイドレードなど安定的調達を推進する。

・ 電力の東西融通、政府や石油会社間等の石油の供給体制整備を進める。

・ 電力関連会社間の競争原理の導入などを内容とする電力システム改革についての検討を進め、電力料金の低減を図る。

・ 核技術の保持、より安全な原子力発電等、原子力の利活用や研究をどのように続けるべきかについて検討する。

・ 核燃料サイクル開発はどうするのか。

・ 使用済み核燃料廃棄物及び高レベル放射性廃棄物処理については、「ドライキャスク」等の新しい技術などによって安全で確実な方法で処理すべきである。

 まず、反省と業界癒着及び言い訳があります。

 次は、「原発の安全確保と地元の理解を得て、再稼動する」と言っています。核燃料サイクル、使用済み核燃料及び放射性廃棄物の処理については現状の把握のみで、これといった方向性が出ていません。上記において、何をもって「安全が確保された」といえるのでしょうか。これについては、改めて検討します。

 全体として、専門家や評論家等が散々言ってきた言葉の羅列です。国民的議論を積極的に喚起し、具体的に政策を遂行していくのが政治家たるものの仕事ではないでしょうか。評論家の言葉のようで、希望がわいてきません。問題点の羅列だけです。「いつ・どこで・誰が・何を・どうするのか」がなく、迫力がありません。福島原発事故を目の当たりにして、政治家自身の哲学が、原発の是非に反映されなければなりません。状況を見極めつつ判断するような問題ではないはずです。

 エネルギー政策見直しを訴えてきた議員からは「年内に結論を出すべきだ。ほとぼりが冷めるのを待つような対応は、国民の不信感を買う」(河野太郎衆院議員)と反発が出ています。同感です。

 当委員会の設立の目的として、「脱原発」を争点とする「解散・総選挙」への警戒感もあったとも言われています。総選挙対策としてのポーズなのですか。

 選挙対策、そして問題の先送りといわれれば、「さもありなん」と納得してしまいます。これが本当のところでしょう。

 自民党からは、「原発をやめる選択肢はない」、「再稼動が必要」との声が相次いでいます。

 選挙において、民主党は「電力会社の労組などが加盟する「電力総連」の支援を受け、自民党は、電力会社の経営側から支援されていると聞いています。大多数の国民の声は、このような利害関係者によって、無視されています。自民党も民主党も頼りになりません。

 脱原発を唱える日本版「緑の党」の動きがあります。脱原発や環境問題に取り組む著名人や文化人らと協力し、まずは2、3議席の確保を目指すというようです。

 次回の国政選挙では、脱原発を唱える候補者に一票を投じようと考えています。

« 2012年1月 | トップページ | 2012年3月 »