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2012年2月 8日 (水)

福島原発強度不足露呈

 1/31の報道によれば、原子力安全・保安院は「福島原発5号機で、国の新耐震審査指針(2006年)に基づく強度が十分に確認されていない配管や配管固定部があり、想定した揺れに襲われると、安全の目安の4.3倍の力がかかる部位もあった」と明らかにしています。

 そして、東日本大震災後に東電や保安院が実施した現場調査では、見た目は損傷が見つからなかったが、保安院はさらに詳しく調べる方針であるといいます。

 また、「新耐震審査指針」で地震の想定を引き上げたが、新たな想定での耐震性確認や補強工事が終わっていない」とも言っています。

 福島原発における原子炉の設計基準地震動(揺れに対する耐震性の加速度・・・ガル)は1981年には370ガルでした。1995年の阪神大震災で信頼を失った「旧耐震審査指針」は新耐震審査指針(2006年)として改定されました。それにより、福島原発の設計基準地震動は(補強工事により?)600ガルに引き上げられました。要するに600ガルが想定内です。

 新耐震審査指針(2006年)の基本方針には次のような記載があります。

1 耐震設計における地震動の策定について(簡略してあります)

 耐震設計においては、「施設の供用期間中に極めてまれではあるが発生する可能性があり、施設に大きな影響を与えるおそれがあると想定される地震動」を適切に策定し、この地震動を前提とした耐震設計を行うこと。

2  「残余のリスク」の存在について(簡略してあります)

 地震学的見地からは、策定された地震動を上回る強さの地震動が生起する可能性がある。したがって、策定された地震動を上回る地震動に対しても適切な考慮を払い、基本設計の段階のみならず、それ以降の段階も含めて、この「残余のリスク」の存在を十分認識し、それを実行可能な限り小さくするための努力が払われるべきである。

 残余のリスク: 策定された地震動を上回る地震動の影響が施設に及ぶことにより、施設に重大な損傷事象が発生すること、施設から大量の放射性物質が放散される事象が発生すること、あるいはそれらの結果として周辺公衆に対して放射線被ばくによる災害を及ぼすことのリスク。

 しかし、当時、審査委員であった石橋克彦神戸大教授(地震学)はこの指針に納得できず、委員を辞任したということです。

 要するに、阪神大震災以後、旧耐震審査基準の不十分さを認め、直下型地震、プレート間地震、海洋プレート内の地震等を考慮した新耐震審査指針が策定されたのです。しかし、想定外の地震(残余のリスク)が発生する可能性もあるので、その影響をできるだけ小さくするように努力しなさいとも言っています。想定外がおきてもしょうがないとも聞こえます。

 寄り道してしまいました。

 まず、新耐震審査指針で370ガルから600ガルに引き上げられているにも関わらず、補強工事が終わっていないとのこと。なんということでしょうか。

 それでは地震発生時における福島原発の加速度はどの程度だったのでしょうか。3/19の報道では最大加速度448ガルで、新耐震審査指針で定めた3/4に過ぎないと発表しています。想定は600ガルです。980ガルに耐えうる設計になっているとも言っています。しかしこの揺れによって送電線の鉄塔が倒れ、停電したわけです。想定内の448ガルで鉄塔が倒れたことになります。

 以下、間違っているかも知れません。見方がひねくれているかも知れません。政府や報道は、「福島原発強度不足」の意味するところを判りやすく伝えてください。

 報道によれば、5号機の配管や配管固定部には、想定加速度600ガルの4.3倍である2,580ガルの力がかかったことになります。

 この保安院の発表には興味がわきます。

 2,580ガルの力がかかったにも関わらず、5号機は健全であったといいたいのでしょうか。補強工事がしてないにも関わらず、目視では損傷が見つからなかった。よって、原発事故の原因は津波であると。

 それとも、想定の4.3倍もの力が加わったということは、「想定」がこのように甘いものであったと反省しているのでしょうか。

 それとも、想定の4.3倍もあり、これは「想定外」であったといいたいのでしょうか。

 それとも、四国電力の伊方原発3号炉(想定地震動570ガル)のストレステスト結果は、「地震に対しては想定の1.86倍」しかなく、とても合格とする訳にはいかないと警告するのでしょうか。 

    

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