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2012年2月 3日 (金)

IAEAストレステスト「妥当」の意味するものは

 原発が想定外の地震や津波に対し、どの程度の余裕があるかを調べるストレステストについて、IAEAは審査手法を妥当であると、原子力安全・保安員に報告しました。これに対し、保安院は「IAEAが指摘した勧告や助言について具体化を図っていきたい」と述べています。

 ここで注意してください。IAEAは「ストレステストの審査手法は妥当だが、個々の原発が安全かどうかを見たわけではない」と述べています。このIAEAの報告により、保安院は「ストレステストに合格した原発は再稼動可能」と言いだしそうです。当時の鉢呂経産相は「IAEAのお墨付き」をもらえば安全だともいってます(ものぐさ デタラメ 原発ストレステスト)。早速、保安院は大飯原発のストレステストは妥当」との評価結果を出すようです。IAEAの「妥当」発言は、原発再稼動にお墨付けを与えたわけではありません。

 さて、EUは各国の電力事業者が独自に行なったストレステストについて、電力事業者に安全性を強化するための改善措置や再調査を要求しました。ここでは、多国籍(ドイツ、オランダ、ハンガリー、ブルガリア)の専門家による相互チェックが働いています。そして、客観的な安全性が担保されています(ものぐさ EU ストレステスト見直し EUストレステスト合格)。これに関して、IAEAは関わっていないようです。

 それでは、IAEA(国際原子力機関)とはどんな組織でしょう。

 IAEAは原子力の平和的な利用を促進しつつ、軍事目的に転用されることを防止するため、1957年に発足しました。2007年9月現在、加盟国144か国。本部はオーストリアのウィーンにあります。

 福島原発事故から半年を経て、原発の安全性強化に向けた行動計画がIAEAで承認されるようですが、原発大国が主張する国家主権の壁を越えることができず、IAEAの監視機能を強化する計画案は大幅に後退し、骨抜きにされました。当初、IAEAは多国籍の専門家チームによる原発の安全性を評価しあう「ピアレビュー」を、世界中の原発に、無作為、かつ定期的に行なうとしていました。しかし、このピアレビューの義務的要素が削除されました。その結果、原発の規制や査察などは各国の責任の下で行なわれることになります。専門家チームによる抜き打ち的な調査は行なわれないのです。要するに、(多国籍の専門チームによる)原発の客観的な安全性は担保されません。IAEAは原発に関して、あまり権限を持っていないようです。そのような組織です。そのような組織の「妥当」宣言を「お墨付き」と称して、政府が原発の再稼動を承認するなら、許されざることです。

 日本では、あいも変わらず、従来の耐震審査指針(2006年改定)によりストレステストを実施しています。この指針は、2007年におきたM6.8程度の中越沖地震で、大きく揺らいでいるのです。

 福島原発事故をふまえた新たな耐震審査指針を作ってください。そして、それに従って、真面目なストレステストを行なってください。(ものぐさ 原発はストレステストで安全か)。

 

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