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2012年4月 4日 (水)

改めて年間被曝 20ミリシーベルトとは

 現行の「警戒区域」と「計画的避難区域」の2区分は、「避難指示解除準備区域」、「居住制限区域」と「帰還困難区域」の3区分に再編されます。

 これに伴い、4/1から田村市と川内村は、「避難指示解除準備区域」と「居住制限区域」に再編されることとなりました。前者は年間被曝量20ミリシーベルト以下の地域であり、後者は年間被曝量20ミリシーベルト超から50ミリシーベルト以下の地域です。

 この地域は、宿泊はできないものの、立ち入り許可は不要となり、出入りが自由となリます。住民は早速、自宅を訪れて片付けるなど帰還へ向けた準備を始めました。放射線の健康への不安や除染の効果がはっきりしない中での帰還準備だと思います。

 特に、健康への影響については、識者の間でも分かれています。「1ミリシーベルトを越えると発癌のリスクが増加する」という識者もいれば、「100ミリシーベルトでも健康に影響がない」という識者もいます。

 「避難指示解除準備区域」は、年間被曝20ミリシーベルト以下の地域です。ここで、改めて20ミリシーベルトとは何かを考えてみます。

 国際放射線防護委員会(ICRP)は、原発事故が起きた後に、周辺に住む人の年間被曝限度量は、2007年の勧告に基づき、1~20ミリシーベルトの範囲が妥当とする声明を発表しました。日本における現在の基準は、一律に1ミリシーベルトです。福島原発事故の影響が収まっても、放射能汚染は続く可能性があると指摘し、汚染地域の住民が移住しなくても良いよう、ICRPは、日本政府に配慮を求めたようです。

 福島原発事故以降における識者の主張を見てみましょう。

 一部の識者は次のように言っています。

・ 100ミリシーベルト以下なら、健康への影響は心配ない。

・ ICRPの基準はもともと、余裕をもって設定している。1~20ミリシーベルトという数字なら、健康に全く影響ない。

・ 世界平均の年間被爆量2.4ミリシーベルトに比べ、日本は1.5ミリシーベルト。ガン患者が多いというデータはない。

・ 成田からニューヨークを航空機で往復すると0.2ミリシーベルト。7往復すると日本国内の年間被爆量に達する。商社マンにガンが多いわけではない。

・ イランのラジウム温泉で有名な保養地では年間200ミリシーベルト。ガンの増加は認められていない。

・ 「1ミリシーベルトを超える被曝は危険だ」には科学的根拠はない。

・ 生き物には放射線被曝で生じる傷を修復する機能が備わっている(修復効果)。

・ 被曝すると免疫が活性化されるから、少ない被曝は安全、むしろ有益(ホルミシス効果)。

 一方、これに異を唱える識者は

・ ICRPの言う「一般人の被曝は、年間1ミリシーベルト以下」は「放射線と人体に関する考え方」において世界のコンセンサスとなっている。欧州の学者は年間0.1ミリシーベルトを主張している。

・ 事故前、年間被曝量の限度が1ミリシーベルトであったのに、事故後20ミリシーベルトまで安全というのはおかしい。事故を境にして、放射線に対する耐力が増すものではない。

・ 「年間被曝量20ミリシーベルト」と言うのは、安全だから20ミリシーベルトにしたわけではない。「健康上は20倍の危険があるが、緊急事態だから、汚染地域の住民が移住しなくても良いように配慮をしてくれ」ということだ。

・ 被曝のリスクは低線量にいたるまで直線的に存在し続け、しきい値はない。最小限の被曝であっても、人類に対して危険を及ぼす可能性がある。・・・アメリカ科学アカデミーの委員会(BEIR:電離放射線の生物学的影響に関する委員会)。

・ 「低線量の被曝では細胞の修復効果自体が働かない」というデータがある。

 といっています。

 後者が真実を言っているとすれば、前者を唱える識者や住民帰還を進める政府関係者の本音は以下のようなものでしょうか。

1 20ミリシーベルト程度に基準値を上げなければ、かなり多くの住民が移住しなくてはならず現実的ではない。10ミリシーベルトとすると帰還できない人が増加する。

2、健康に被害はあるものの、発癌リスクは小さいので、この程度で我慢してくれ。

 ICRPは低被爆でも発癌リスクがあるといっているのに、一部の識者は100ミリシーベルトでも心配ないといっています。何らかの意図があるように感じます。正直に言うと住民がパニックを起こすと考えているのでしょうか。それとも、住民に噓を言っているのでしょうか。

 「この程度の発癌リスク(下記参照)なら、不慣れな土地で暮らすストレスより、故郷で今まで通りの生活をしたい。早く自由に出入りできるようにしてくれ」と思っている住民も少なからずいるでしょう。故郷は放射能で汚染されてしまいました。除染効果もはっきりしません。政府は、放射能に対するリスクを住民に向かってはっきり言うべきです。そして、故郷に戻るか、離れるかの選択を住民に委ねるべきです。政府は卑怯です。

 原発再稼動問題に話を移します。原発立地自治体及びその周辺の自治体に聞きたい。福島原発事故と同等な事故が起きた場合、放射能が飛散します。年間20ミリシーベルト以下であれば、帰宅可能となるが、発癌リスクは事故前の20倍に上昇します。そして、東電や政府の賠償額も今まで見てきた通りです。一旦、事故が起きれば、東電も政府も冷酷で不誠実です。それでも貴方は原発の再稼動を認めますか。

 追記) 首相官邸HPから引用した文章を抜粋します。

 「放射線から人を守る国際基準 ~国際放射線防護委員会(ICRP)の防護体系~」によれば

 平常時には、身体的障害を起こす可能性のある被ばくは、絶対にないように防護対策を計画します。その上で、《将来起こるかもしれないがんのリスクの増加もできるだけ低く抑える》ことを、放射線防護の目的としています。
そのため、放射線や放射性同位元素を扱う場所の管理をすることにより、一般人の被ばくは年間1ミリシーベルト以下になるようにしています(公衆の線量限度)。また、放射線を扱う業務に従事し、被ばく線量を常時観測できる人には、5年間に100ミリシーベルトという被ばく線量限度を定めています(職業被ばくの線量限度)。

 と記載されています。

 また被曝を受けた場合の癌発症率はどうでしょうか。識者によると

年間1ミリシーベルトでは    1万人に1人

年間10ミリシーベルトでは   1000人に1人

年間20ミリシーベルトでは   500人に1人

と書かれています(注1)。

 (ものぐさ:日本人の自然被曝 5ミリシーベルト

 

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