« エネルギーの安全保障にもならない日本の原発 | トップページ | 埋め立て基準 8000ベクレルは大丈夫か »

2012年4月27日 (金)

浜岡原発 津波高さ21mは18mの防潮堤で安全か

 「原子力安全・保安院は浜岡原発に21mの津波が襲来しても、18mの防潮堤で安定冷却ができることを確認した」と、報道は伝えています。

 18m-21m=マイナス3mです。小学生でも理解できます。防潮堤を3m超えた津波が原発を襲います。この保安院の発表には唖然としました。以前は津波の高さを10m程度と中電は見積もっていました。だから18mの防潮堤で大丈夫だと(ものぐさ:浜岡原発 防波壁18m検証)。ところが内閣府の有識者検討会が21mの津波襲来の可能性を発表するや、中電は、あわてて安全性を再検討し、保安院は、中電の安全評価を了承したのでしょう。住民を不安に陥れないための保安院の優しさでしょうか。

 素人なりに検証してみます。

1 現在18mの高さの防潮堤を中電は建設しています。しかし、1.6kmにも及ぶ防潮堤の厚さは、たった2mです。18mという高さに目を奪われがちですが、この厚さ2mで十分安全なのでしょうか。

 東日本大震災の津波は、釜石湾口の巨大な防波堤を押し流しました(注1)。なんと防波堤の厚さは20mと巨大で、浜岡原発防潮堤の厚さ2mとは比べ物になりません。(ものぐさ:浜岡原発訴訟 傍聴記 その1

2 津波の周期は長く30分以上です。押しては返す波とは違います。21mの津波の壁が30分以上にわたって防潮堤を押し続けます。当然、原発は水没してしまいます。中電は防水構造扉の二重化や水密扉により津波の侵入を防止すると言ってますが、地震による防水扉の破壊は考えられないでしょうか。建屋自体をも押し流してしまわないでしょうか。

3 一旦、敷地内に津波が侵入し、建屋が水没すれば、津波が引いたとしても防潮堤が邪魔をして、建屋は水没したままです。こんな状態で、24.5mの高台に配置した移動式ポンプのホースを接続できるのでしょうか。あらかじめホースが接続されているのであれば、津波によりホースは引きちぎられてしまいます。笑い話。原発が水没すれば冷却は必要ないね。

4 地震で海底が隆起すれば、沖合い600mから取水槽までのトンネルは陥没し、取水槽に海水を引き込めなくなります。従って、高台の移動式ポンプでの冷却は不可能になります。

5 津波の遡上高は、津波高さの1~4倍にもなるといわれています(気象庁HP)。21mの4倍は84mです。24.5mの高台にある移動式ポンプは跡形もなくなります。

6 防潮堤の上3mの高さから滝のように津波は内側に流れ込みます。津波が内側を浸食し、防潮堤は、ひっくり返らないでしょうか。台風による堤防の決壊は、このメカニズムによると言われてます。釜石湾口防波堤もケーソン前後の水位差8.2m(港外側の最高水位10.8m、港内側の水位2.6m)により、大きな水平力が働き、押し流されました。

7 津波の圧力や地震動による冷却用配管の破断はないのでしょうか。冷却用配管の一部でも穴が開けば、高台にセットした移動式ポンプが働いたとしても炉心の冷却はできません。

 保安院の統括安全審査官は「津波の高さだけを考慮した暫定的な評価だ。」と言っています。津波の破壊力、直下型地震動による配管の致命的な破断等について検証されていません。この対策の占める割合は全体の1割程度で、残り9割の対策が欠落している、と言われています。しかし、多重防護の設計思想は福島原発事故で破綻しているとも言われています。

 関連記事はこちら (ものぐさ 浜岡原発 津波高さ21mは18mの防潮堤で安全か その2 疑問 浜岡原発津波対策)。

 (注1) 水深63mの海底に、東京ドームの7倍に当たる700万立方メートルの巨大なコンクリートの塊を沈め、その上にコンクリート壁を構築。厚さ20m、全長2km。海面高さ8m。

« エネルギーの安全保障にもならない日本の原発 | トップページ | 埋め立て基準 8000ベクレルは大丈夫か »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« エネルギーの安全保障にもならない日本の原発 | トップページ | 埋め立て基準 8000ベクレルは大丈夫か »