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2012年5月19日 (土)

都知事 原発発言 「国民はヒステリー」

 5/16、フジテレビにおいて、東京都知事は、「原発問題に関して、国民はヒステリーだ」と発言していました。15分程度の番組の中で、この発言を5回程度繰り返していました。余程、頭にきているのでしょう。都知事は自らを「原発維持派」であるとも言っていました。これは個人の信条の問題で、とやかく言う筋合いのものでもありません。以下、反論します。

1 「国民はヒステリー」発言 

 まず、福島原発事故で故郷を失い、物質的ばかりか、精神的にも大きな被害を被っている住民の実情をどう思っているのでしょうか。経済発展のためには、この程度の事故は止むを得ないとの思いが根底にあるようにも感じられます。

 「国民はヒステリー」発言の背景には、危険なものを田舎に押し付けて良しとする政府の方針と同じものがあるのでしょう。この方針の法的根拠は、原子炉立地審査指針「17条 立地」にあります。乱暴に言えば、人口密集地帯の近くには建設しないで、人口密度の低い地帯に建設しろと言っているのです(ものぐさ:沖縄基地問題と原発 東海第2原発廃炉要望に続け)。

 国民はヒステリー状態にあるのでしょうか。ちなみに、国語辞典によれば、ヒステリーとは「女性に多い神経症の一種。感情の起伏が激しく、その結果気絶したり痙攣を起こしたりすることがある」と書かれています。

 一年以上たっても、国民の6~7割が原発反対です。ヒステリー状態は一年以上続くものでしょうか。むしろ、時が経過するにつれ、福島原発の惨状を見るにつけ、反原発の思いは、人の心に深く静かに浸透しつつあるように見えます。福島原発事故を「明日はわが身か」と、国民の大多数は思っているでしょう。 政府、東電の不誠実さ。情報を小出しにし、真実を明らかにしない原発関係者の態度。安全でもない新安全基準で再稼動を進める政府。いつまでたっても収束しない原発事故。30年以上かかる廃炉作業。使用済み核燃料をどうするのか、明らかに破綻している核燃料サイクル。国民生活を無視した鈍感な電気料金の値上げ。目に見えない放射能の恐怖。だから国民は不安を感じているのです。

 これを「ヒステリー」と言うのでしょうか。

 「女房の無念を訴えたい」として、自殺した女性の夫は、東電を提訴しました。自殺前夜には、夫の腕をつかんで泣きじゃくったと言います。そしてガソリンをかぶって焼身自殺をしました。地獄絵図です。

 原発事故後、ある有名な詩人は、仙台を捨て石垣島に移住しました。「裕福な人は、いいなあ」と思いました。この行為を批判するつもりはありません。個人の自由です。もちろん、裕福な人でも、故郷を愛し、福島を離れたくないと思う人もいるでしょう。しかし、経済的な理由から、離れたくても離れられない人が、大多数でしょう。

 「いざとなれば、被災地を捨てればいい。アメリカに移住すればいい」などと、政治家、経済界のリーダ等、裕福な人は、思っていませんか。こんな気持ちで、原発再稼動などと発言しているなら、たまったものではありません。

 「ヒステリー」と一言で片付けられるものではありません。

2 「フランスで原発が安全に稼動しているのに、それが何故、日本でできないのか」発言

 フランスで原発事故はなかったのでしょうか。インターネットで調べてみます。

 サン・ローラン・デ・ゾー原子炉・・・原発での核燃料溶融事故はレベル4の重大事故だった。1963年

 サン・ローラン・デ・ゾー原子炉・・・上記と同じ溶融事故が繰り返される。1980年

 ラアーグ再処理工場・・・貯蔵所で火事が起こり、電源部が燃え、冷却装置が稼働しなくなり、移動発電機をシェルブール軍港から急遽運んで難を逃れた。1981年

 シヴォー原発・・・配管破断事故が起き、冷却機能が失われて、すんでのところで苛酷事故になるところだった。1998年

 ブライ原発・・・嵐に見舞われ、洪水が起こって、冷却機能がストップし、緊急システムもストップして、この事故も苛酷事故が起こる寸前で、一難を免れた。1999年

 ゴルフェック原発・・・冷却用の水を取り入れている河の水位が猛暑で下がり、炉の温度が上がりすぎて、緊急停止した。2003年

 トリカスタン原子力発電所・・・ウラン溶液貯蔵タンクのメンテナンス中、 タンクからウラン溶液約3万リットルが溢れ出し、職員100人余が被曝し、付近の河川に74kgのウラニウムが流れ出した。原発は一時閉鎖され、水道水の使用や河川への立ち入りが禁止されるなどした。2008年

 マルクール原子力施設にある低レベル放射性廃棄物処理・調整センター・・・フランス南部の同施設で爆発があり、1人が死亡、4人が負傷した。2011年
 
 冷却機能が失われた事故もあります。炉心溶融の可能性はなかったのでしょうか。

 原子力に携わる日本の関係者の傲慢、安全軽視、経済優先。その体質にはあきれるばかりです。その点を改めることの必要性に都知事は触れていますが、日本は地震多発国であることを忘れていませんか。マグニチュード4以上、震源深さ100km未満の地震発生地点と原発立地点を重ね合わせると、重なっているのは世界のなかで日本しかありません。104基の原発が運転中の世界一の原発大国・アメリカでも、原発は地震のない中・東部に集中しており、西部の地震地帯にはほとんど立地していません。第2位のフランスは地震のない国です。この点からしても、日本は原発をもってはいけないのです。

3 「福島原発事故は津波だ」発言

 津波対策をすれば問題のないような発言です。一部の識者は津波到着前に原発は壊れていた、と発言しています(ものぐさ:津波到着前に原発は壊れていた)。国の事故検証委員会からも最終報告書が出ていません。多くの地震学者が、新たに見つかった活断層、それに続く破砕帯の存在を明らかにし、その危険性を指摘しています。

 被災者の心情を逆なでするような「ヒステリー」発言、「津波原因説」発言。都知事の人間性を疑ってしまいます。脱原発に関する書籍が多く出版されています。是非、原発推進の立場から、本を書いてみてください。そして、脱原発派の言い分を見事論破してみてください。納得できれば、大いに応援します。

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