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2012年6月

2012年6月 1日 (金)

野田首相の責任で大飯原発再稼動

 野田首相は「関係自治体からは一定の理解は得られつつある。私の責任で最終判断したい」 と述べ、再稼動は時間の問題となりました。

 権力は恐ろしい。国民の言うことなど何も聞かない。原発事故の犠牲者など頭から消えている。主権在民など存在しない。これが報道に接した時の感想でした。気持ちが「フッ」と抜けていくような感じでした。残ったものは政治に対する不信でした。

 野田首相は、事故がおきた場合、どのような責任をとるというのでしょう。「私の責任で最終判断」すると言うだけで、その結果おきた原発事故の責任を自身がとると言っているのではありません。無責任な発言です。結局、国民の税金で賄うしかありません。なんと空虚な響きでしょう。 

 どうしたらよいのでしょうか。各地域では、原発差し止め訴訟がおきています。東京、大阪に続き、静岡でも原発再稼動の是非を問う県民投票の署名集めが始まっています。各地で、原発反対のデモも行なわれるでしょう。原子力規制庁、新安全基準、核燃料サイクル、事故調査委員会の報告書等、厳しくチェックし、自らの声を上げていくしかありません。1年以内には衆議院選挙が行なわれます。脱原発議員を国会に送り込むしかありません。折れそうになった気持ちを奮い立たせ、政府に言うべきことを発信していきましょう。

 もやもやした、やりきれない思いが浮かんできます。愚痴を言います。

1 再稼動を容認した「関西広域連合」のメンバーは誰だ。そしてその発言は、どう変節したのか。

 滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、徳島県、大阪市、堺市の6府県、2政令指定都市で構成されています。各自治体の首長、関西広域連合は大飯原発についてなんと言ってきたのでしょうか。順序不同。

 ・ 滋賀、京都府

 第三者委員会による電力受給状況の点検、福島原発事故の詳細なデータ公表など7項目の共同提言を提出・・・両知事。

 7項目の共同提言に対し、「受給検証委員会の設置」以外はまともに回答していない・・・滋賀県知事。

 再稼働に慎重姿勢を示す。・・・滋賀県知事。4/14

 上記7提言に関し、「国の回答が府民に説明できないなら、再稼動は待ってください・・・京都府知事。

 福島の教訓は、起こる可能性があることはすぐにも起こるということ。応急手当ではなく、耐震設計をやり直さないと、判断基準は全く意味をなさない・・・滋賀県原子力防災専門委員会。

 ・ 大阪市

 政治家が安全なんて確認できるわけがない。国民をバカにしている。国民が民主党政権を倒すしかない・・・市長。

 大阪市長は、原発再稼動の前提条件としての以下8条件を国民に提示した。3条委員会の規制庁を設立すること。新体制のもとで安全基準を根本から作り直すこと。新たな安全基準に基づいた完全なストレステストを実施すること。事故発生を前提とした防災計画と危機管理体制を構築すること。原発から100キロ程度の広域の自治体との安全協定を締結すること。使用済み核燃料の最終処理体制を確立すること。電力需給の徹底的な検証すること。原発事故で生じる倒産リスクを最小化すること・・・市長。(ものぐさ:良くぞ言った、大阪市長。原発再稼動8条件)。

 「行政的な権限のないこと」を理由に、再稼動8条件を先送りした。政治的なメッセージとして出したい。次期衆議院選挙で、国民にどっちをとるか選択してもらう・・・市長。4/11

 ピーク時にみんなで我慢できるかどうか。府県民に厳しいライフスタイルの変更をお願いする。それが無理なら再稼動しかない・・・市長。

 需要抑制策が効果を発揮すれば、原発を再稼動しなくても、この夏の電力不足は5%まで軽減できる・・・大阪府市エネルギー戦略会議。

 安全基準ではなく津波に備える対策で、原発が本当に安全なのかは別。1~3ヶ月という動かし方もある・・・市長。

 ・ 関西広域連合

 大飯原発再稼動に関し、安全基準の検証など6項目を政府に申し入れた。

 以上の発言を経て、関西広域連合は「原子力規制庁が発足していない中での暫定的な安全基準だが、限定的なものとして適切な判断を政府に求める」との声明を発表しました。

 「暫定安全基準」とは、電源車を高台に設置する程度です。福島原発事故を踏まえた対策を抽象的に漠然と網羅したに過ぎません。「限定的なもの」とは何を指すのでしょう。電力不足が懸念される夏の7~9月を言うのでしょうか。関電の運転する全原発のうち、大飯原発3、4号機を指すのでしょうか。浜岡原発だけを指すのでしょうか。何を言っているのか判りません。その都度、政府は、解釈を変えるでしょう。結局、関西広域連合はこれを認め、再稼動を容認したのです。期間限定とせず、数値をいれて欲しかった。

 上記首長は地元住民にわかりやすい言葉で容認に至った経緯を説明すべきです。

2 大阪市長が住民投票を拒否したことが悔やまれる。

 大阪市民は、原発再稼動の是非を問う署名活動を起こし、住民の50分の1以上の署名を集めました。大阪市長が住民投票を実施しない旨の声明を発したとき、多くの住民は、市長の強い意志を汲み取り、市長に原発対応を託したのです。ところが、腰砕けとなってしまいました。住民投票による住民の判断を政府に突きつけるべきでした。市長にはだまされたような気持ちです。 

3 何故、腰砕けになったのか。

 大阪市長は、「電力不足の根拠であるデータを公表せよ」と言ってきました。データを公表せず、計画停電だ、節電だ、と言っても納得できません。住民の率直な感情です。切迫した電力の状況を聞かされて容認したのでしょうか。それなら、そのデータ、資料なりを住民に公表してください。専門家の目にも耐えられるデータでしょうか。それならば納得します。

 次期衆議院選挙への深慮遠謀があったのでしょうか。ここは一旦引いて、政府を抵抗勢力に仕立て、住民の憎しみを増強させ、選挙に勝利するという図式でしょうか。肉を切らせて骨を切る。これなら納得します。

4 事故が起きたときの体制はこの程度

 環境相は再稼働にあたり、副経済産業省・政務官を現地に常駐させるなど、特別監視体制を取るようです。適切な事故対応を彼らはできるのでしょうか。放射能の拡散を食い止めることができるのでしょうか。そして、彼らは、何時まで常駐するのでしょう。早々に帰るのではないでしょうか。こんなポーズしかできない政府の状況です。

 副大臣がこんなところで原発の監視をしている状況ですか。もっと重要な解決すべき経済問題があるのではないですか。こんな所にいないで東京で本来の仕事をしてください。

 大飯原発、関電、原子力安全・保安院、首相官邸をテレビ会議で接続すると言います。保安院の職員が原発の中央制御室に常駐するようです。福島原発事故において、保安院は適切な事故対応ができたのでしょうか。検査要員の大幅増員もすると言っています。これが特別な監視体制です。

5 新安全基準ができれば、稼動継続の是非を検討する。

 原子力規制庁による新安全基準は何時できるのですか。皆目検討がつきません。推進派、反対派の意見が食い違い、何時までたっても新安全基準はできず、暫定安全基準のままで、原発は次々と再稼動するでしょう。ガソリン暫定税率は何年続いていますか。決めないでおくことが原子力村の陰謀でしょうか。

2012年6月 8日 (金)

使用済み核燃料 直接処分を

 6/6、内閣府原子力委員会の委員長代理は、同小委員会の報告書について、「使用済み核燃料をすべて再利用する全量再処理からの撤退を明確にした方がいい」と発言しました。同氏は「個人の意見」とした上で、核燃料サイクル政策の中心に位置づけられてきた高速増殖炉について、「実用化は不確実で、積極的合理性は見つからなかった」と断言しました

 委員長代理の言う「実用化は不確実」との発言は、同氏の立場上からの表現であり、「実用化は不可能」と読み替えたほうが良いと思います。

 更に、小委員会は、「再処理しつつ、一部を地中に埋める直接処分も併用する案を最も優位」と位置づけています。その一方で、トラブル続きの再処理工場の事業継続の可否について国が検証をするように求めています。

 「併用案を最も優位とする理由」が判りません。核燃料サイクルを堅持しようとする原子力村の思惑が透けて見えるとも言われています。これについて、以下検討してみます。

 使用済み核燃料の処分方法について、「全量を再処理」する方法、「全量を地下に埋設」する直接処分方法、「再処理・直接処分の併用」方法、と3種類があり、その処理コストが試算されています。最初に提示されたデータを下記に示します。(単位 兆円)

 原発比率      全量再処理    再処理・直接処分の併用   全量直接処分

 2030年に35%  9.7         9.1                11.5~11.9  

 2030年に20%   8.3         8.1                10.3~10.7

 2020年に0%   ―         ―                 6.7~7.1

 この試算によれば、全量直接処分が最も高コスト、併用する場合が最も安い。それに続く全量再処理は併用する場合と比べて高いもののそれほど高コストと言うわけではありません。

 世論の批判があったのでしょうか。原子力小委員会は、試算をやり直しました。その結果、前回最も高いとされた全量直接処分が最も安くなりました。以下、試算を示します。

 原発比率      全量再処理    再処理・直接処分の併用   全量直接処分

 2030年に35%  18         17~17.1           13.3~14.1  

 2030年に20%   15.4         15.4               11.8~12.6

 2020年に0%   ―         ―                 8.6~9.3

 以上に見るように、「全量直接処分」が最も安く、「全量再処理」は最も高くなりました。「再処理・直接処分の併用」は、「全量再処理」よりも若干安いものの、ほとんど変わりません。小委員会が安いとする「再処理・直接処分の併用」は「全量直接処分」に比べて、4兆円程度高いと算出されています。核燃料サイクルを堅持したい政府は、処理コストを安く見せることで、世論を誘導しようとしたのでしょう。

 このような試算があるにもかかわらず、何故、小委員会は。「再処理・直接処分の併用」を最も優位と、発言しているのでしょうか。委員長代理は、「全量再処理」からの撤退を明言したにも関わらず、「再処理・直接処分の併用」タイプへの言及を避けています。コスト以外の何らかの思惑が見えます。

 高速増殖炉(もんじゅ)はトラブル続きで、実用化は50年後を目標としていますが、外国は実用化を断念しています。実用化は、「不確実」というより「不可能」と言うことです。

 また、ウラン燃料を使用した現行の原発でさえ、安全神話が崩壊しています。再稼動には国民的大きな反対運動が起き、大方の国民は脱原発です。ましてや、再処理により製造されるMOX燃料を使った原発は、大変危険だといわれています。放射能の毒性はウランに比べ遙かに強く、事故発生時の原発の制御も現行の原発に比べ劣り、再処理の結果生ずるプルトニウムの半減期は数万年とも言われています。稼動は難しいでしょう。

 全ての状況は、核燃料サイクルを否定しています。高速増殖炉は実現できないでしょう。使用済み核燃料は、再処理するより直接処分するほうが4兆円も安いのです。

 「再処理・直接処分の併用」を優位と判断した理由が見当たりません。あるとすれば以下の理由でしょうか。

1 原子力村住民の天下り先の確保や日本原燃社員や青森県住民の生活確保。

 一部の人の生計を維持するために見込みのない政策を続けるべきではありません。

2 再処理することを前提に青森県は使用済み核燃料を受け入れています。再処理から撤退した場合、青森県はこれを各原発に返却するといっています。今年度から返却が始まると、2026年までに使用済み核燃料は冷却プールに満杯となり、全原発は運転停止となります。

 これは政治問題です。使用済み核燃料の処分は避けて通れません。日本全体で解決するしかないでしょう。原発は遅かれ早かれ廃炉となり、利用価値のない原発敷地は核のゴミ捨て場とするしかありません。燃料の冷却を水冷から空冷に変え、安定的にゴミ捨て場で保管するしかありません。また、青森県も、覚書(青森県を最終処分場にしない。再処理できなければ使用済み核燃料は速やかに施設外に搬出する。)を縦にとるのではなく、自らも直接処分に協力すべきです。再処理するより直接処分のほうが安全性の観点から優れているのです。

3 六ヶ所村に落ちる莫大な原発マネー。事故後青森県には13億円の寄付があったといいます。

 これはどの原発立地自治体でも抱える悩みです。原発交付金に変わる政策なり、自治体への支援金が必要です。福島原発事故に対する賠償金などの費用は5兆円とも言われています。一方、全国には50基の原発があります。単純に50基で割ると、一基あたり1000億円です。原発立地自治体には、累計で数百億円の原発マネーが落ちているとも言われています。福島原発並みの事故がもう一度起きるとしたら、数百億円など安いものです。

 再処理と直接処分の併用は、これら一部の利害関係者のみに歓迎されることです。全ての、国民にとって何らメリットもなく実害があるのみです。できもしないものに対する税金(既に2.2兆円)が投入されています。再処理工程により生ずる海水の汚染と、高濃度放射性廃棄物の生成も問題です。(ものぐさ 六ヶ所村 核燃料再処理工場再開か

 利害関係者に対する思惑が先行し、全てのことをあいまいにしてしまう政治家を始めとするリーダーたちの事なかれ主義、将来を見据える感性の乏しさ、自らを捨てても行なう決断力の欠如、特権階級の仲間意識、このようなことが露骨に見えてきました。

   

2012年6月12日 (火)

野田首相 大飯原発再稼動決定

 関西広域連合が「原子力規制庁が発足していない中での暫定的な安全基準だが、限定的なものとして適切な判断を政府に求める」との声明を発表したのを受けて、6/8、野田首相は地元の理解が得られたとして、大飯原発再稼働を決定しました。関西広域連合が声明に織り込んだ「限定的」との要望は入っていません。

 野田首相は、従来の政府側の発言(安全性、電力不足)を繰り返しただけで、ここに至ったデータを示さず、納得のできる説明もしないまま、「再稼働」を決定しました。「原発を停止すれば日本社会は立ち行かない」との発言には違和感をおぼえます。国民はその発言に納得していません。国民のためといいながら、国民を脅しているようにも聞こえます。以下その会見内容を見てみます。

1 国民生活を守るため、関西電力大飯原発3、4号機を再稼動すべきだ。

 計画停電や電気料金の大幅な高騰といった日常生活への悪影響を避けて国民生活を守ると言っています。「病院が停電したら患者の命に関わる」とも言っているようです。これも脅しに聞こえませんか。病院等重要な施設の停電だけは回避する方法もあるでしょう。電力不足という関電側の見解を鵜呑みにしています。中立的な検証機関での判断ではないでしょう。客観的なデータを示し国民の理解を得るべきです。

 政府は「暫定的な安全基準」だと認めていますが、万が一事故が起きた場合、国民生活を守れるのですか。福島原発事故に見舞われた住民の生活を政府は守っていますか。賠償も不十分で、冷淡に突き放しているだけです。南相馬市長は「再稼動ありきの結論で話にならない」と言っています。「暫定的な安全基準」に国民は不安を感じています。

2 福島原発事故のような地震・津波でも事故防止は可能である。

 言い換えれば、福島原発事故以上の地震がくれば炉心溶融の可能性があるということです。

 では、福島原発(大熊町)を襲った地震の規模はどの程度でしょうか。震源地は200km遠方で、地震の規模はM9、津波高さは15.2m(地震前の想定津波対策はたったの5.7m)、震度6強の揺れ、最大加速度は550ガルでした。

 大飯原発の「暫定安全基準」とはどの程度でしょう。、想定の4倍の高さ(11.4m)の津波に見舞われても炉心溶融はないと言っています。

 11.4mという基準はどこから来たのでしょう。福島原発は、15.2mの津波に見舞われました。「事故前の想定津波高さは5.7mでした。更に9.5m高くしておけば福島原発の炉心溶融はなかった」と原子力・安全保安院は結論付けたのです。

 「大飯原発の想定津波高さは1.9mです。福島原発事故で不足していた9.5mを加算してして、11.4mの津波にも耐えられるようにしたから炉心溶融しません」というのが大飯原発の「暫定安全基準」です。

 福島でさえ9.5m超過だったので、9.5m足せば「大丈夫だろう」という安易な計算式で割り出されたものなのです。

 現在、大飯原発の防潮堤の海抜は8m(防潮堤高さ5m)です。関電はこの防潮堤を来年度までに3mかさ上げして、海抜11mにすると言っています。現在の防潮堤で11.4mの津波が防げるのですか。3m不足しています。来年度までに地震が来ないとも限りません。

 11.4mの津波に耐えうると言っても、それ以上の津波は来ないのでしょうか。若狭湾には、701年の大宝年間に40m超の津波が押し寄せたとの伝承があります。

 同原発の目前に広がる若狭湾で3つの断層が連動して地震を起こす可能性を考慮するよう、原子力・安全保安院専門部会が指摘していますが、関電は「3連動の可能性は極めて低い」と無視し、政府もこれを了承しました。福島原発の教訓は「最悪を想定する」と言うことではなかったのですか。

 福島原発(大熊町)を襲った地震は震度6強の揺れ、最大加速度は550ガル。震源地は200kmも離れています。

 政府は、「大飯原発は、ストレステストの耐震基準(700ガル)の1.8倍の揺れ(1260ガル)にも耐えられる」と言っています。新潟県中越沖地震はM6.8で、柏崎刈羽原発のタービン建屋では2058ガルが記録されました。3連動の地震に見舞われれば、この程度の揺れで済むでしょうか。

 福島原発を超える地震・津波が来ることも十分想定できます。「福島原発事故のような地震・津波でも事故防止は可能である」と言う首相の発言は意味をなさず、気休めにもなりません。

3 原発を停止すれば日本社会は立ち行かない。夏限定の再稼動では国民の生活は守れない。

 現在、大飯原発が停止していても、別に問題ありませんね。夏の電力不足を関電・政府は煽り大騒ぎしています。100歩譲って、夏限定の稼動であれば納得できるのですが、9月以降も稼動し続けるといいます。政府・関電の論理は支離滅裂です。

 本当に「日本社会は成り立たない」のでしょうか。民間の多様な省エネへの挑戦(省エネ家電、エコカー、ネガワット取引、レーザ溶接による90%の省エネ・・・トヨタ)、発電事業への新規参入等が発表されています。産業の多様化や広がりを感じます。硬直した日本の電気事業は「世界の非常識」にもなっています。

 不安だらけの「暫定安全基準」を振りかざし、電力不足データも示さないで「日本社会は立ち行かない」などと、国民を脅迫しているようにも聞こえます。万が一、事故がおきれば、立ち行かないどころか、日本壊滅です。

 

2012年6月13日 (水)

福島原発 刑事告訴を応援しよう

 福島原発事故で被害を受けたとして、福島県民1324人が、東電の勝俣恒久会長や原子力安全委員会の学者ら33人について、「福島原発事故の責任を問う」との告訴状を出しました。詳しくは「福島原発告訴団HP」を見てください。

 この意味は

 この国に生きる一人ひとりが大切にされず、誰かの犠牲を強いる社会を問うこと。

 事故により分断され、引き裂かれた私たちが再びつながり、そして輪を広げること。

 傷つき、絶望の中にある被害者が力と尊厳を取り戻すこと。

 にあるとしています。

 主な被告訴・被告発人は以下の通りです。

 ▽ 勝俣会長や清水正孝社長ら東電幹部15人。

 ▽ 原子力安全・委員会の斑目春樹委員長、経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭院長、原子力委員会の近藤俊介委員長ら国の機関の責任者15人。

 ▽ 県放射線リスク管理アドバイザーの山下俊一県立医大副学長ら専門家3人

 JR尼崎脱線事故で、業務上過失致死傷罪に問われたJR西日本前社長に対し、1/12神戸地裁は無罪を言い渡しました。この告訴は「自己に都合の良い結論のみを援用(自説のよりどころとして、他の文献や事実などを引用すること)し、表層的」と退けられました。

 これを教訓として、「原発事故に対する客観的な事実に基づく過失責任」が証明できれば、東電の幹部や原子力安全委員会の学者らを有罪にできるのではないでしょうか(ものぐさ 福島原発事故の刑事責任を東電幹部に問えないのか)。

 河合弘之弁護士は地検前で「刑事責任を問う世論をつくる一歩」と声を上げています。

 「事故によって受けた傷はあまりにも深い、深呼吸できる元の生活を返して」等、福島県民は悲痛な声を上げています。

 原発は一地方だけの問題ではありません。この裁判は国民全体の問題です。理不尽な政府の事故処理や原発推進を苦々しく思っている人は多いでしょう。福島県民ではありませんが私もそう思います。この裁判は、原発事故を起こした責任を明確にすること以外にも、安易な原発再稼動の抑止力にもなります。世論を喚起することで、検察も無視できなくなり、告訴を受け付けざるを得なくなります。また、世論の動向は裁判のいくえにも影響を与えます。

 尖閣諸島購入への寄付が10億円集まったと同様、この刑事裁判に多くの人が支援をしたいと思っているでしょう。カンパという支援もあります。

2012年6月20日 (水)

浜岡原発 津波高さ21mは18mの防潮堤で安全か その2

 5/17、静岡地方裁判所にて、「浜岡原発運転終了・廃炉等訴訟」の第4回口頭弁論が開かれました。同日提出された「原告準備書面3」に、防潮堤についての新たな問題提起があったので紹介します。詳細は、同HPの「原告準備書面3」を読んでください。

 2012.3.31、「南海トラフの巨大地震モデル検討会」(座長・阿部勝征東京大学名誉教授)によれば、M9.1の地震が起きた場合、浜岡原発付近は「震度7の地震動、最大21メートルの津波」に襲われます。

 このような津波に襲われた場合の原発の安全性について、疑問点が「書面3」に述べられています。私見を織り交ぜ、以下示します。

1 21mの津波が防潮堤に衝突した場合の実際の津波高さはどうなるのか。

 海岸で良く見る光景です。防潮堤に衝突した波は、その防潮堤にさえぎられて、一段と高い波しぶきとなります。

 津波が防潮堤にぶつかると、前進してきた津波の運動エネルギーは位置エネルギーに変換され、津波は垂直方向に波しぶきを舞い上げ、その津波高さは1.5倍にもなり、連続して前方の障害物を乗り越えていきます。従って、18メートルの防潮堤を津波は優に越え、大量の海水が猛烈な勢いで原発敷地内に流入し、全く想定し得ない重大な事態が生じることが考えられます。防潮堤は30メートル以上ないと津波の侵入は防げません。

2 なだらかな砂丘による遡上効果

 浜岡原発前面には10~15mのなだらかな砂丘があり、中電は、「その砂丘により原発は安全である」と主張していました。福島原発事故を経て、中電は突貫工事で18mの防潮堤を砂丘と原発の中間に建設しています。18mの防潮堤は、砂丘の上3~8mに首を出しているに過ぎません。先日、浜岡原発資料館の最上階から防潮堤を見ました。最上階から見る防潮堤はあまりにも低く貧弱でした。自然に対する人間の技術などこの程度のものです。新聞でよく見る下から見上げる防潮堤の巨大さとは異なった印象を受けました。

 一般に、津波の遡上高は、津波高さの1~4倍にもなるといわれています(ものぐさ 浜岡原発 津波高さ21mは18mの防潮堤で安全か)。

 その砂丘に津波が押し寄せた場合、そのままの高さを保ちながら、なだらかに津波は遡上します。21mの津波高さを保ったまま砂丘を遡上するので、防潮堤を優に乗り越えることは明らかであり、防潮堤を13~18メートルも上回る津波が施設内に流入することとなります。

3 浸水深さと浸水防止対策

 以上によれば、浸水深さも最大2~3メートル程度に止まるということはあり得ません。浜岡原発の防潮堤を10m上回る津波が押し寄せた程度の場合であっても、浸水高は16~18mとなり、強化扉や給排気口、配管貫通部の浸水防止対策として仮定している15メートルを上回ります。強化扉等の耐久力は15mが限度ということでしょうか。

4 浸水深さと災害対策用発電機

 防潮堤を18m上回る津波の場合、24~32メートルの深さで浸水することが予測できます。災害対策用発電機は16~30メートルの高さに設置されているようですが、上記のように、10~15メートルの砂丘堤防を、約21メートルの高さを保ったままの津波が遡上するのであるから、津波の遡上高は36メートルに達するおそれがあります。従って、30メートルの高さに設置した発電機であっても浸水する危険性が十分にあります。25メートル以上の高台に配備したという電源及び空冷式可搬式ポンプについても、同様に浸水を免れません。

 上述のように、18mの防潮堤では、21mの津波から原発を守ることができません。 

 関連記事(ものぐさ 疑問 浜岡原発津波対策

2012年6月21日 (木)

団塊の世代は脱原発に声を

 団塊の世代はその圧倒的多数により、各時代において、存在力を示してきました。

 小・中学校は1クラス55人、田舎においても、小学校で6クラス、中学・高校では9クラスでした。受験競争も大変でした。就職は、「婿1人に嫁7人」といわれるほど売り手市場でした。今でも団塊の世代は注目され、大文字表記の携帯電話、介護ビジネス、ファッション、高齢者向けがん保険等、多くの業界の商品戦略は団塊の世代を意識したものになっています。カルチャー教室、葬式ビジネスも盛況です。JAも葬式ビジネスに参入しています。

 団塊の世代は定年を迎え、子供は30歳前後となり、かわいい孫も数人いるでしょう。退職し、職場のしがらみもなく、発言の自由度は増していることでしょう。

 老後は、カルチャー教室に通い、スポーツを楽しみ、隣人と語らい、心穏やかに、平凡に暮らしたいと思いませんか。20年近くの余命があります。

 孫や子の健やかな成長と幸せを望んでいることでしょう。福島原発事故で人々は故郷を、コミュニティーを、職場を失ってしまいました。福島県民へのアンケートでは、妊婦や幼子を持つ母親の15%は「うつ傾向」にあるといわれています。生活の目途も立たない人も少なからずいることでしょう。マイナスからの出発です。2度とこんなことを繰り返したくありません。

 読者の欄を見てください。団塊の世代以上の投稿が多数を占めています。時間はたっぷりあるでしょう。団塊の世代はもっと発言してください。その言動を政府は無視できません。孫・子のためにも、「原発の再稼働賛成・反対、廃炉等」多様な意見を発信してみませんか。できれば、脱原発の声を上げてみませんか。

2012年6月24日 (日)

脱原発学会を設立せよ

 原発を推進する政府や電力事業者は、原発推進のため様々な小手先を労しているようです。内閣府原子力委員会は原発推進側だけを集めて「勉強会」と称する秘密会議を開いていました。使用済み核燃料の直接処分方式が最も高コストとする試算を発表しました。その後、世論の批判があったのでしょうか。原子力小委員会は、試算をやり直し、前回最も高いとされた全量直接処分を最も安いと訂正しました(ものぐさ 使用済み核燃料直接処分を)。日本の原発の使用済み核燃料をロシアで中間貯蔵したり、再処理を提案する外交文書の握りつぶし(ものぐさ 原子力村 隠蔽体質)、40年にもわたる安全神話、玄海原発の再稼動を巡る「九電やらせメール」事件、SPEEDIのデータの隠蔽等あります(ものぐさ 裏目に出た原発事故収束宣言)。

 東大など11国立大学の原子力関連研究に対し、06~10年度、国や原子力関連企業から104億円の資金が提供されていました。「原子力推進」に沿う限り、研究資金を安定的に得られる仕組みです。一方、京大の小出・今中助教への「原子力マネー」の提供はありません。今回は、政府よりの発言をしている、いわゆる御用学者について焦点を当ててみます。

 上記のように大学等の研究機関は莫大な研究資金を電力関係者や政府から受けていました。御用学者は、金で魂を売ったとも言われています。

 原子力村を構成する御用学者の人材は豊富で、政府側の組織の様々な委員会や報道に登場し、(良い方向にも、悪い方向にも)世論を大きく誘導する力を持っています。

 原発訴訟についても同様です。被告である電力会社は、その組織力を背景に多数の学者を証人出廷させ、その理論武装を固めます。一方、原告側は、数少ない勇気ある反原発学者を証人として戦いますが、その組織力の違いがあったのでしょうか、敗訴の連続でした。もちろん、国策という名の下で、裁判官自身の腰が引けていることも確かでした。しかし、福島原発事故を目の当たりにして、司法もこれではいけないと思っていることでしょう(ものぐさ 原発訴訟 裁判所は機能したか)。

 今まで、全国各地で提訴された原発訴訟のほとんどが原告側敗訴でした。その理由の一つとして、各原発訴訟弁護人の横の連絡が不十分であったとも言われています。原発訴訟の各弁護人が孤立して戦っていました。その反省から、昨年8/9、「脱原発弁護団全国連絡会」が結成され、全国で戦いを始めました。会長は河合弁護士です。全国の弁護士を糾合して北は北電・泊から南は九電・川内まで全国で差し止め訴訟を起こそうと呼びかけたら、「待ってました」と130人の弁護士が「脱原発弁護団全国連絡会」に入会しました。横のつながりが強くなり、技術知識、ノウハウの共有化も進み、強固な弁論が期待できます。

 弁護団は強固なネットワークを築きました。その次は、その弁護を支える専門的な知識をもった研究者等のネットワークが必要です。そこで、提案します。脱原発学会を設立したらどうでしょうか。メンバーは大学・研究機関の先生、原発メーカの元技術者、評論家、ジャーナリスト、文化人、NPO法人、政治家、元官僚、作家、などです。

 東洋大学の教授は「変動地形学の専門家で新たな断層を発見し」、立命館大学の教授は「原発は安くないと主張し」、元原発メーカ技術者は「津波到達前に原発は壊れていたとの証拠を示し」、某氏は「再生可能エネルギーを唱え」、東大教授は「低線量被曝の危険性を訴え」、某ジャーナリストは「原発の存在が日本の安全保障を脅かしていると発言」。多様な専門家が数多くいることを福島原発事故を通して知りました。

 学会が設立できれば、原発に関する総合的、多面的な議論や論文発表、情報発信が可能となります。学会メンバーの力は結集します。御用学者に対抗できる理論武装も強力なものになるでしょう。学会の発表内容は原発関係者に、報道を通して国民にも伝わり、世論や司法にも大きく影響を及ぼすでしょう。横のつながりができ、法廷証人も得やすくなるでしょう。

  

2012年6月29日 (金)

怖い 六ヶ所村再処理工場

 6/18、日本原燃は青森県六ヶ所村の使用済み核燃料再処理工場で高レベルガラス固化体製造試験を再開しました。08年にトラブルで中断して以来の再開です。以前にも六ヶ所村再処理工場の危険性について言及(ものぐさ 六ヶ所村 核燃料再処理工場再開か)していますが、今回は、再処理工場から放出される放射能の怖さについて、改めて紹介します。

1 再処理工場の製造工程

 再処理工場は、各地の原発で使用済みとなった「使用済み核燃料」を再処理し、新たにプルトニウム燃料を製造します。製造されたプルトニウム燃料は、「もんじゅ」の発電用燃料となります。この再処理工程では、まず「使用済み核燃料」が細かく裁断されます。そして、硝酸と有機溶剤によりプルトニウムが抽出されます。その過程で生じた副産物が「高レベル放射性廃液」です。その廃液にガラスを加え、高温状態で溶融し、それを固めたものが「高レベルガラス固化体」となります。

2 放出される放射能 クリプトン85(注1)

 「使用済み核燃料」内のプルトニウムは被膜管で閉じ込められていましたが、再処理工程において裁断・溶融されると、溶液中に溶け出てきます。当然、再処理工場から放出される放射能は桁違いに多く、原発から1年間に放出される量を、わずか1日で放出すると言われています。本格稼動すれば、日常的に大量の放射能を放出し続けます。

 「使用済み核燃料」を裁断・溶融したとき、気体状のクリプトンが排気塔から全量垂れ流されます。管理目標値でいうと、柏崎刈羽原発の5000倍とも言われています。

3 薄めずに海洋放出 トリチウム(注2)

 「原子炉等規正法」において、原発からの放射能は一定の濃度以下でないと捨てることができません。ところが、再処理工場は、この規制の適用除外となっています。

 再処理工場の放水管から放出される放射能の1種、トリチウムは1日あたり60テラベクレルとのことです。ところが、「原子炉等規正法」で許される濃度まで薄めようとすれば、毎日100万トンの水が必要になります。これは不可能なので、猛毒をそのまま海洋放出することになります。こちらは8万倍とも言われています。

 福島原発事故でも汚染水の流出が問題になりました。薄めて放出したとしても、放射能は小魚に蓄積され、大きな魚へ、そして人へと広がります。福島原発事故での海洋放出は短期間でしたが、再処理工場からの放出は何年も継続します。

4 事故がおきたときの被害範囲

 高い放射線レベルのもとで引火性の高い有機溶剤や硝酸を扱うため、火災や爆発事故が起きやすいと言われています。また、上空には自衛隊の軍用機が日常飛び交っています。北朝鮮がテポドンを打ち込んだらどうなるでしょう。核兵器を搭載していなくても、再処理工場は爆発し、全国に放射能をばら撒きます。

 大事故が起きたら、どの程度の被害となるでしょう。

 高木仁三郎氏は、廃液100立方メートルのタンクが破壊され、1%の放射能が外部に放出したときの試算をしています。雨天の場合、半径100kmを超える範囲が緊急避難地域(100ミリシーベルト)となり、半径360kmの範囲は10ミリシーベルトになると言います。240立方メートルの廃液が放出すれば、全土は終わりになると言います。

 明石昇次郎、小出裕明氏らは、3,000トンの使用済み核燃料のうちの5%が放出した場合、汚染値は関東にまで及び、最大で1.9万人が急性障害で死亡、190万人が後に癌死すると試算しています。急性障害は六ヶ所村に集中しています。 

 本当でしょうか。にわかには、信じられない数値です。「原子炉等規正法」において、再処理工場は、この規制の適用除外となっていることも信じられません。日本原燃、原子力安全・保安院は、再稼働において、この危険性の有無を国民に説明すべきです。

(注1) クリプトン 半減期は10.8年。ガンマ線による全身被曝と、ベータ線による皮膚癌が問題。

(注2) トリチウム 半減期12.3年。水の中の水素と置き換わってトリチウム水となる。内部被曝が問題。

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