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2012年6月 8日 (金)

使用済み核燃料 直接処分を

 6/6、内閣府原子力委員会の委員長代理は、同小委員会の報告書について、「使用済み核燃料をすべて再利用する全量再処理からの撤退を明確にした方がいい」と発言しました。同氏は「個人の意見」とした上で、核燃料サイクル政策の中心に位置づけられてきた高速増殖炉について、「実用化は不確実で、積極的合理性は見つからなかった」と断言しました

 委員長代理の言う「実用化は不確実」との発言は、同氏の立場上からの表現であり、「実用化は不可能」と読み替えたほうが良いと思います。

 更に、小委員会は、「再処理しつつ、一部を地中に埋める直接処分も併用する案を最も優位」と位置づけています。その一方で、トラブル続きの再処理工場の事業継続の可否について国が検証をするように求めています。

 「併用案を最も優位とする理由」が判りません。核燃料サイクルを堅持しようとする原子力村の思惑が透けて見えるとも言われています。これについて、以下検討してみます。

 使用済み核燃料の処分方法について、「全量を再処理」する方法、「全量を地下に埋設」する直接処分方法、「再処理・直接処分の併用」方法、と3種類があり、その処理コストが試算されています。最初に提示されたデータを下記に示します。(単位 兆円)

 原発比率      全量再処理    再処理・直接処分の併用   全量直接処分

 2030年に35%  9.7         9.1                11.5~11.9  

 2030年に20%   8.3         8.1                10.3~10.7

 2020年に0%   ―         ―                 6.7~7.1

 この試算によれば、全量直接処分が最も高コスト、併用する場合が最も安い。それに続く全量再処理は併用する場合と比べて高いもののそれほど高コストと言うわけではありません。

 世論の批判があったのでしょうか。原子力小委員会は、試算をやり直しました。その結果、前回最も高いとされた全量直接処分が最も安くなりました。以下、試算を示します。

 原発比率      全量再処理    再処理・直接処分の併用   全量直接処分

 2030年に35%  18         17~17.1           13.3~14.1  

 2030年に20%   15.4         15.4               11.8~12.6

 2020年に0%   ―         ―                 8.6~9.3

 以上に見るように、「全量直接処分」が最も安く、「全量再処理」は最も高くなりました。「再処理・直接処分の併用」は、「全量再処理」よりも若干安いものの、ほとんど変わりません。小委員会が安いとする「再処理・直接処分の併用」は「全量直接処分」に比べて、4兆円程度高いと算出されています。核燃料サイクルを堅持したい政府は、処理コストを安く見せることで、世論を誘導しようとしたのでしょう。

 このような試算があるにもかかわらず、何故、小委員会は。「再処理・直接処分の併用」を最も優位と、発言しているのでしょうか。委員長代理は、「全量再処理」からの撤退を明言したにも関わらず、「再処理・直接処分の併用」タイプへの言及を避けています。コスト以外の何らかの思惑が見えます。

 高速増殖炉(もんじゅ)はトラブル続きで、実用化は50年後を目標としていますが、外国は実用化を断念しています。実用化は、「不確実」というより「不可能」と言うことです。

 また、ウラン燃料を使用した現行の原発でさえ、安全神話が崩壊しています。再稼動には国民的大きな反対運動が起き、大方の国民は脱原発です。ましてや、再処理により製造されるMOX燃料を使った原発は、大変危険だといわれています。放射能の毒性はウランに比べ遙かに強く、事故発生時の原発の制御も現行の原発に比べ劣り、再処理の結果生ずるプルトニウムの半減期は数万年とも言われています。稼動は難しいでしょう。

 全ての状況は、核燃料サイクルを否定しています。高速増殖炉は実現できないでしょう。使用済み核燃料は、再処理するより直接処分するほうが4兆円も安いのです。

 「再処理・直接処分の併用」を優位と判断した理由が見当たりません。あるとすれば以下の理由でしょうか。

1 原子力村住民の天下り先の確保や日本原燃社員や青森県住民の生活確保。

 一部の人の生計を維持するために見込みのない政策を続けるべきではありません。

2 再処理することを前提に青森県は使用済み核燃料を受け入れています。再処理から撤退した場合、青森県はこれを各原発に返却するといっています。今年度から返却が始まると、2026年までに使用済み核燃料は冷却プールに満杯となり、全原発は運転停止となります。

 これは政治問題です。使用済み核燃料の処分は避けて通れません。日本全体で解決するしかないでしょう。原発は遅かれ早かれ廃炉となり、利用価値のない原発敷地は核のゴミ捨て場とするしかありません。燃料の冷却を水冷から空冷に変え、安定的にゴミ捨て場で保管するしかありません。また、青森県も、覚書(青森県を最終処分場にしない。再処理できなければ使用済み核燃料は速やかに施設外に搬出する。)を縦にとるのではなく、自らも直接処分に協力すべきです。再処理するより直接処分のほうが安全性の観点から優れているのです。

3 六ヶ所村に落ちる莫大な原発マネー。事故後青森県には13億円の寄付があったといいます。

 これはどの原発立地自治体でも抱える悩みです。原発交付金に変わる政策なり、自治体への支援金が必要です。福島原発事故に対する賠償金などの費用は5兆円とも言われています。一方、全国には50基の原発があります。単純に50基で割ると、一基あたり1000億円です。原発立地自治体には、累計で数百億円の原発マネーが落ちているとも言われています。福島原発並みの事故がもう一度起きるとしたら、数百億円など安いものです。

 再処理と直接処分の併用は、これら一部の利害関係者のみに歓迎されることです。全ての、国民にとって何らメリットもなく実害があるのみです。できもしないものに対する税金(既に2.2兆円)が投入されています。再処理工程により生ずる海水の汚染と、高濃度放射性廃棄物の生成も問題です。(ものぐさ 六ヶ所村 核燃料再処理工場再開か

 利害関係者に対する思惑が先行し、全てのことをあいまいにしてしまう政治家を始めとするリーダーたちの事なかれ主義、将来を見据える感性の乏しさ、自らを捨てても行なう決断力の欠如、特権階級の仲間意識、このようなことが露骨に見えてきました。

   

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