« 2012年6月 | トップページ | 2012年8月 »

2012年7月

2012年7月 4日 (水)

それでも不安が残る 原子力規制委員会

 6/20、原子力の安全規制を一元化する「原子力規制委員会」設置法案が成立しました。経産省から分離され、独立性の高い委員会となるようです。

 同委員会は環境省に設置され、委員長及び委員4人の人選について、要件をまとめたガイドラインが、7/2の報道により明らかになりました。

 それによれば、就任前の3年間について、下記の要件に該当する人は、不適格であるとしています。

・ 原子力事業者(電力会社、原子炉メーカ、電気事業連合会等)、や関連団体の役員・従業員。

・ 同じ原子力事業者から一定額(年間50万円)以上の報酬を受けている人。

 その下部組織である「原子力規制庁」は、原子力安全・保安院や原子力安全委員会、文部科学省の規制部門、原子力安全基盤機構の寄せ集めで、1000人規模になると言います。

 「原子力規制委員会」及び「原子力規制庁」は国民の不安を取り除いてくれるような組織となるのでしょうか。形式だけ整えても、悪意があれば、いくらでも骨抜きにされかねません。

1 第一の心配

 新聞報道によれば、「原子力規制委員会設置法」は「原子力村」からの独立性確保のため、原子力事業者の役員・従業員が委員長・委員に就けないと規定しているとのことです。詳しくは「原子力規制委員会設置法案 第7条 5項」を見てください。しかし、ガイドラインでは3年以上経過すれば、原子力関係の組織に所属していたとしても、「原子力規制委員会」の委員長・委員となることができます。かつての組織との利害関係は3年程度で解消されるものではありません。「3年間」と言う文言ははずすべきです。

2 第二の心配

 従来、原子力関係に携わってきた人達の寄り合い所帯で、原子力村に所属していた人も少なからずいることでしょう。また「安全神話」を作り上げてきた人達で、身内に甘い体質からもなかなか抜け出せないでしょう。規制庁をチェックする(原発推進派、反原発派を含めた)専門委員会が必要です。

3 第三の心配

 「原子力規制委員会」が行う専門的、技術的な判断には、首相の指示が及ばないとする一方、技術的な分野を除く避難、放水などの自衛隊、警察、自治体への(指示する)権限は首相に残すとしています。

 「原子力規制委員会」がベント命令や海水注入を電力会社に出しても、電力会社がこれを実施しない場合、首相は何も指揮できないのでしょうか。

 問題は原発からの撤退です。電力会社が撤退を検討し、「原子力規制委員会」がこれを認めた場合、その判断を首相は覆せないのでしょうか。

 撤退すれば、炉心は溶融し、水素爆発が起き、最悪の場合、水蒸気爆発が起きるでしょう。原子炉内の燃料は粉々に壊れ、ウラン、プルトニウム、セシウム等、様々な放射性物資が空中高く舞い上がり、それは、日本全土の半分にも広がるかもしれません。急性障害でバタバタ倒れる人も出るでしょう。晩発性障害で癌・白血病を発症する人も出るでしょう。日本壊滅です。

 菅首相、経産相、官房長官は、「東電は全面撤退を打診してきた」と事故調で述べています。菅首相の「撤退はありえない」との決断で日本は救われたのだと思います。

 「原子力規制委員会」委員長は重要な責任を負うことになります。原子力関連に携わってきた人の中から、委員長は選ばれるのでしょう。腹の据わった決断のできる人はいるでしょうか。政府に責任を擦り付けることを前提に委員長を引き受けるつもりはないでしょうか。

4 第四の心配

 新安全基準、廃炉40年基準は「原子力規制委員会」が定めます。今でも、福島原発事故の原因は津波だと主張し、何がなんでも再稼動をしようとしている人たちがいます。原子力村の人達は真の安全基準を作れるのでしょうか。どんなことをしても「絶対的安全」はありません。だとすれば、原発事故が起き、全面撤退し、日本全土に放射能が撒き散らされる可能性があります。

5 第五の心配

 議事録は公開されるのでしょうか。不都合なことは非公開ですか。公開されなければ、国民の信頼を得ることは難しいでしょう。「原子力規制委員会設置法案 第11条」では守秘義務を課しています。

6 第六の心配

 委員長を含めた5人の委員で果たして、適切な判断ができるのでしょうか。規制庁の意見を丸呑みすることはないのでしょうか。「原子力規制委員会」は原子炉安全専門審査会、核燃料安全専門審査会、放射線審議会を置く(原子力規制委員会設置法案 第13条)としていますが、この審議会が正しく機能することを望むばかりです。

 考えると、本当にノイローゼになりそうです。今回の杜撰な福島原発事故の対応が物語っています。「今回は、心を入れ替え、反省して万全を期す」と関係者は言うでしょう。JCO事故のときもそうだったと記憶しています(ものぐさ 要監視 原子力安全庁)。本当に反省したのでしょうか。現に福島原発事故が起きてしまいました。今回もお茶を濁されそうです。

 「原子力規制委員会」は本当の安全を考えてくれるでしょうか。撤退を想定しなければいけないような原発は動かしてはいけません。「絶対安全」との結論に至らなければ、原発は廃炉にしなければなりません。撤退ということの意味と、その後における地獄絵図を頭の中で描いて見てください。本当にノイローゼになりそうです。

 

 

2012年7月10日 (火)

エネルギー・環境会議 3つのシナリオ

 7/8、内閣府は「どう考える?2030年の日本のエネルギーと環境」として、4つの視点を定め、3つのシナリオを国民に提示しました。国民から様々な意見を拾い上げ、それを礎にして、政府は責任ある選択をするとしています。詳細は、HP「エネルギー・環境会議」の中にある「エネルギー・環境に関する選択肢」を見てください。

 まず、4つの視点を上げてみます。生命・財産と経済の両立をどう図るのかといった論点で述べられています。

1 原子力の安全確保と将来リスクの低減

 徹底した安全対策の強化によってリスクを最小化するとともに、使用済み核燃料や放射性廃棄物の発生を抑制することにより、将来世代への負担を軽減させることが不可欠である。

2 エネルギー安全保障の強化

 エネルギー安全保障(注1)やエネルギー源の多様化と両立できる形で原発依存を低減する。

(注1) 2010年エネルギー基本計画では「ウラン燃料は特定の国・地域に頼ることなく、安く買うことができ備蓄効果が高く、発電時にCO2も出さない。核燃料サイクルと組み合わせることにより、準国産電源としての原発の優位性は高い」とされていた。

3 地球温暖化問題解決の貢献

 原発依存度を低減していく中でも、国内CO2を削減する。

4 コスト抑制と空洞化防止

 エネルギーコストの上昇による産業や経済への影響、空洞化を回避する。

 これらを踏まえて、2030年時点での原子力依存度に関する3つのシナリオ(ゼロ、15%、20~25%)による比較が提示されています。

 全体として、生命・財産と経済の両立を図るため、原発の必要性が強調されているように感じました。経済界、原子力村の思惑が感じられます。2030年の「原子力依存度15%」に誘導されてしまうのではないかとの危惧が頭をよぎりました。原発15%では、再処理・直接処分の可能性があることにも言及しています。核燃料サイクルは破綻しています。15%の選択は再処理・直接処分(核燃料サイクル)を認めてしまうことになります。このイベントが原発維持のアリバイ作りされてしまいそうです。民主党のお家芸「国民の前で大々的に行なわれた行政のムダを省くセレモニー:事業仕分け」のように。

 このような選択を国民に迫る前に、事故調査委員会の指摘に真摯に向き合い、事故原因の究明を徹底的に行い、廃炉基準を明確にし、新たな安全基準について国民の納得を得ることが必要です。

 4つの視点を順次見ていきます。

1 原子力の安全確保と将来リスクの低減

 「徹底した安全対策の強化によってリスクを最小化する」と言っていますが、絶対安全はないと政府も認めています。上記でも、リスクを認めています。赤字が怖いところです。このような状態で、3つのシナリオ(ゼロ、15%、20~25%)などと、国民の選択を迫るべきものでしょうか。

 国の事故調査委員会(黒川委員長)も、「全ての点で人災だ」と言っています。また、地震による原発破壊の可能性についても言及しています。徹底的な事故原因の追究も行なわれていません。

 国民には、「どこかの原発で第二の福島原発事故が起きるかも知れないが、原発ゼロ以外を選択するのですか」と言うべきでしょう。

 15%を主張する人は「総論賛成、各論反対」なのでしょう。すなわち、経済のこともある、電気料金が高くなるのも困る、極端な節電もゴメンだ。よって、「どこかの原発は再稼動して欲しい。しかし、自分の近くに原発があるのはまっぴらゴメンだ」と言っているようです。

 経済性を考えれば多少のリスクは止む得ないと考えているのでしょうか。オスプレイの利便性(航続距離の長さとスピード)と兵士の生命を天秤にかけて、アメリカはオスプレイを採用していると聞きます。沖縄住民の命を引き換えに、オスプレイの配備を政府は容認しようとしています。原発に関する方針も同様なのでしょうか。

2 エネルギー安全保障の強化

 原発抜きで、エネルギー多様化と経済の両立を目指すべきです。

 原発はエネルギーの安全保障を担保していません。むしろ「脱原発は日本を救う」とも言われています。ウラン燃料購入には輸出国からの数々の縛りがあり、日本の外交・防衛は、「ウラン」と言う切り札に首根っこを押さえられているのです。そして、核燃料サイクルは破綻し、純国産電源は夢物語です。(ものぐさ エネルギーの安全保障にもならない日本の原発

3 地球温暖化問題解決の貢献

 CO2を放出するより放射能を撒き散らすほうが、世界に対してもっと迷惑です。CO2吸収により植物は成長します。CO2を固体化し貯蔵する方法もあると聞いています。CO2は地球上の生命体にとってなくてはならないものです。一時的な迷惑を、堂々と世界に発信すべきです。

4 コスト抑制と空洞化防止

 再稼動すれば、電気料金の上昇は抑えられるでしょう。これは短期的なことでしかありません。第二の福島原発事故が起きたときの賠償金を見積もってください。いまだに、福島原発事故の賠償費用、廃炉費用、核燃料サイクル費用の実態は見当もつきません。これらの費用を加算すれば、原発によるコストは最も高くなる可能性もあります。むしろ、発送電分離がコスト低減に寄与するでしょう。

 空洞化は進むのでしょうか。事故以前も、円高の影響で空洞化が起きています。再稼動しても空洞化は進むでしょう。むしろ、新しい産業への転換のチャンスです。原発がないから空洞化するなどと近視眼的に見ないでください。

 原発廃炉事業は有望です。世界中の原発数百基が廃炉を迎えます。

 再生エネルギー導入、発送電分離により、原発関連メーカ以外の参入や雇用は増大します。原発では大企業だけが潤っていました。脱原発により中小企業の参入が可能となり、地方の経済はむしろ好転します。

 高齢化時代を迎えます。介護費用、医療関係の雇用も増大します。

 先進国が歩んできたように、日本でも労働集約的な大量生産の時代は終わりました。ロボットを使った生産、サービス産業、知識労働、観光等への転換を図るべきです。

 日本近海で、シェールガス、メタンハイドレード、レアメタルも見つかっています。

 マイナス思考しないでください。

 全国11都市による意見聴取会、パブリックコメントの受け入れ、討論型世論調査等を通して、国民の様々な意見を政府は聞こうとしています。反原発の意見でも良いし、上述のように、3つのシナリオに対する疑問点でも良いそうです。多くの国民の参加を期待します。

2012年7月16日 (月)

黒川事故調査報告書 津波前、原発破損の可能性あり

 7/6、国会事故調査委員会(黒川委員長)の最終報告書が公開されました。

 それによれば、重要な機器・配管類のほとんどが実際に調査・検証できない原子炉格納容器内にあり、多くの重要な点が未解明であるにも関わらず、東電は事故の主因を津波とし、「安全上重要な機器で地震により損傷を受けたものはほとんど認められない」と中間報告に明記し、政府事故調査委員会も同じ趣旨を記しています。

 国会事故調査報告書は、具体的な証言や数値を示しながら、「津波到達前の地震動により、小規模の冷却材喪失事故が起きた可能性がある」と明記しています。

 近く、政府事故調査委員会は「津波原因説」で最終報告書を提出するようです。この差異を明確にするためにも、時系列的に国会事故調査報告書の要点をまとめてみます。

 この報告書は、HP「国会東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」からダウンロードすることができます。報告書は「ダイジェスト版」、「要約版」、「本編」からなります。是非、「本編」を読んでみてください。

 1号機の事故進展の経緯を以下示します。

14時46分頃      M9の地震発生、福島原発は震度6強。

14時46分直後    原子炉建屋4階で出水(作業員証言)。この付近にはIC(非常用復水器 注1)の大型タンク2基が設置されている。5階の使用済み核燃料プールの地震時のスロッシングによる溢水でないことを確認しているが、現場調査ができないため出水元は不明。

14時47分33秒    スクラム(原子炉緊急停止)開始。

14時47分33秒直後 MSIV(主蒸気隔離弁 注2)は突然閉止し、原子炉圧力は上昇。通常運転時の原子炉圧力は6.8MPa。

14時48分03秒    激しい揺れが襲う。

14時48分53秒    激しい揺れ(はぎとり波は最大675ガルで、基準地震動600ガルを上回る)が50秒程度続き、その後、急速に収まるものの揺れは40秒間続く。

14時52分        原子炉圧力は7.2MPaに上昇し、ICが自動起動。

15時少し前       「ゴー」と言う音。ICの配管から出る音ではないか(運転員証言)。「ICタンクの水温はせいぜい70℃、蒸気どころか湯気も出ない」と事故調は蒸気説を否定。

15時02分        ICの起動により、原子炉圧力は6.8MPaから4.5MPaに急降下。

15時03分        ICを手動停止し、原子炉圧力は急上昇。

15時27分        津波第1波(沖合い1.5km)を観測、波高は4.5m。

15時29分        津波第1波原発到達。東電の写真により、海水ポンプ(注3)の被水停止はない。海水ポンプが被水すると、60秒後に非常用ディーゼル発電機は停止(2、4、6号機)するが、1号機の海水ポンプは停止しない設計となっている。

15時35分        津波第2波(沖合い1.5km)を観測。波高は7.5m。

15時35~36分     非常用電源喪失。

15時37分        津波第2波原発到達。

 以上の証言及びデータから、津波到達前に原子炉は破損していたのではないかの疑問が生じます。以下、列挙します。

1 津波第2波の原発到達時刻15時37分前に、非常用電源は喪失しており、津波以外の原因による喪失の可能性があります。その原因は不明ですが、「津波による電源喪失」と断定することはできません。

2 14時48分53秒に始まった激しい揺れは最大675ガルで、基準地震動600ガルを上回っています。この長く激しい揺れは、原発全体に「繰り返し荷重」として作用し、疲労破壊が起きやすく、機器・配管系への影響を増大させます。このようなことは、耐震設計上、あってはならないことです。

 この揺れによる小破口冷却材喪失事故(SB-LOCA)が起きた可能性については、(独)原子力安全基盤機構(JNES)も否定できないとしています。原子炉の水位・圧力に関する東電の実測値(14時45分~15時45分)は、配管の微小な貫通亀裂(0.3平方cm)から冷却材が噴出したとするシミュレーション(ものぐさ 津波到着前に原発はつぶれていた)と一致しています。この場合、10時間で72tの冷却材が失われ、燃料損傷が起きても不思議ではありません。15時少し前に運転員が聞いた「ゴー」と言う音も(SB-LOCA)の可能性を否定していません。

 この事実は、政府事故調査委員会の主張「もし配管が破断すれば、原子炉圧力と水位が急激に低下する。よって地震による配管の破断はなかった」を否定しています。

3 14時46分直後における原子炉建屋4階からの原因不明の出水も、配管類の破損による可能性を否定できません。

4 ICを手動停止(15時03分)したのは、原子炉冷却材の1時間当りの温度変化を55℃以下とする運転規則によるものだと、東電は主張しています。ところが、運転員は、原子炉圧力の降下が早いので、IC系配管や他の配管から冷却材が漏れていないのかを確認するため、ICを手動停止したと述べています。この時、運転員は配管類の破損を疑っていたのです。運転員の説明は合理的で判断は適切であるのに対して、東電の説明は合理性を欠いています。

5 14時47分33秒直後 MSIV(主蒸気隔離弁)が突然閉止し、原子炉圧力は上昇しました。配管類の破損がなければ、上昇した原子炉圧力により、SR弁(蒸気逃がし弁 注4)が開放され、主蒸気はサプレッションチェンバーに流入し、水で凝縮され、原子炉圧力は下降する。この動作を自動的に繰り返し、原子炉内の圧力を一定に保ちます。ところが、運転員はSR弁の開閉音を聞いていません(2号機の運転員はこの開閉音を聞いています)。このことからも、地震動による原子炉系配管の破損の可能性は否定できません。

6 このように重要なSR弁の作動圧力が記述されていません。インターネットによれば、「原子炉圧力7.3MPaで逃がし弁機能が作動し、7.7MPaで安全弁機能が作動する」とあります。運転員はICの操作により、1時間程度原子炉圧力を7MPaに制御していました。SR弁の作動圧力7.3MPaに到達しません。この操作によってSR弁は作動しなかったとは考えられないでしょうか。素人考えです。

 以上、多くの事実が地震動による原発破損の可能性を示唆しています。津波対策はもちろん大事ですが、最大の地震動を想定して原発の安全性を再評価すべきです。バックチェックもなしに再稼動してはなりませんし、原発敷地内の活断層が指摘されているにも関わらず、原発再稼動など論外です。

(注1) 冷却水を蓄えた「復水タンク」に、原子炉圧力容器で発生した高圧蒸気を通し、蒸気を凝縮し、再び原子炉に戻す装置

(注2) MSIVの閉止により、タービン建屋への蒸気の流れは止まる

(注3) 非常用ディーゼル発電機(敷地高さ10m)を冷却する海水ポンプ 

(注4) バネ式安全弁で開閉動作に電源を必要としない 

2012年7月22日 (日)

ナンセンス 原発比率15%シナリオ

 エネルギー環境会議は、「エネルギー・環境に関する選択肢」として、総発電量に占める2030年時点の原発比率(ゼロ、15%、20~25%)を提示し、国民的議論を経て、8月にも結論を出すとしています。40年稼動した原発を廃炉とする基準(40年廃炉ルール)を適用した場合、2030年の原発比率は15%になるとも言っています。

 わずか1ヶ月間の議論です。これで十分なのでしょうか。また、「極端なことを嫌う、ほどほどが良い」とする日本人の気質を逆手にとって、15%シナリオに誘導しようとする魂胆も透けて見えます。わずか9人の意見聴取会などセレモニー、アリバイ作りの様相を呈しています。

 選択肢を国民に迫る前に、原発の安全性について徹底的に議論し、再稼動の条件となる安全基準を策定することが先でしょう。原子力規制委員会が発足する前に原発比率を決めてしまうなど、おかしくありませんか。

 専門家からは、活断層の存在する原発(関西電力の美浜、高浜、大飯原発、高速増殖炉もんじゅ、北陸電力の志賀原発、日本原電の敦賀原発、東北電力の東通原発)の指摘があり、原子力安全・委員会は、電力会社に活断層の調査を命じています。国会の超党派議員で作る「原発ゼロの会」は、6/28、即時廃炉とすべき24基の原発を発表しています。

 「原発ゼロの会」の主張する24基の原発と、活断層の存在する原発を即時廃炉とし、その他の原発は「40年廃炉ルール」で順次廃炉にするというシナリオを提案します。この場合、2030年時点で原発比率は何%になるでしょう。

 「40年廃炉ルール」を適用した場合、2030年の時点で稼動している原発は17基となり、総出力(設備の有している供給能力であって、実際に発電した総発電量とは異なる。総発電量には稼働率が加味されている)は1,859.9万kwとなります。

 原発              稼動年数(年)    総出力(万kw)

 泊(号機)           2              91.2

 東通(1号機)          6           110

  女川(2、3号機)       16 10           82.5    82.5

 柏崎刈羽(3、4号機)    18 17        110     110  

 柏崎刈羽(6、7号機)    15 15        135.6  135.6 

 志賀(1、2号機)       18 18                    54   135.8

 浜岡(4、5号機)       18  7         113.7  138

 大飯(3、4号機)       20 19         118   118

 伊方(3号機)         17               89

 玄海(3、4号機)       18 14          118     118

 上記原発から、「原発ゼロの会」の主張する24基の原発と、活断層の存在する原発を除くと、残りの原発は4基、416.2万kwとなります。

 原発              稼動年数(年)    総出力(万kw)

 泊(号機)           2              91.2 

 伊方(3号機)         17              89

 玄海(3、4号機)       18 14         118     118 

 上記4基のみ稼動していた場合の電力比率を求めてみます。ここでは、火力、原子力発電等の稼働率がわからないので、原発の総出力から換算して電力比率を求めてみます。

 政府資料によれば、2010年の総発電量の実績は1.1兆kw・hです。そのうち原子力は26%を占め、2,860億kw・hの発電量でした。

 現在の原発50基の総出力は4,620.6万kwであり、上記4基の総出力は416.2万kwです。

 2030年時点において、15%シナリオにおける原発の総出力は1,859.9万kwで、総発電量は1,500億kw・h(政府資料)です。

 さて、2030年時点において、原発が4基にまで減少し、総出力が416.2万kwとなれば、2030年時点の総発電量は

 1,500億kw・h×(416.2万kw÷1859.9万kw)=336億kw・hとなります。

 これを総発電量1兆kw・hで割ると、2030年時点での原発比率は0.3%となります。

 ほぼ、ゼロ%シナリオが妥当でしょう。計算するまでもなく当然のことです。安全でない原発や活断層が直下にある原発は、福島原発の現状を見れば廃炉とすべきでしょう。こんなことを無視して、15%シナリオに世論を誘導すべきではありません。 

« 2012年6月 | トップページ | 2012年8月 »