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2012年7月10日 (火)

エネルギー・環境会議 3つのシナリオ

 7/8、内閣府は「どう考える?2030年の日本のエネルギーと環境」として、4つの視点を定め、3つのシナリオを国民に提示しました。国民から様々な意見を拾い上げ、それを礎にして、政府は責任ある選択をするとしています。詳細は、HP「エネルギー・環境会議」の中にある「エネルギー・環境に関する選択肢」を見てください。

 まず、4つの視点を上げてみます。生命・財産と経済の両立をどう図るのかといった論点で述べられています。

1 原子力の安全確保と将来リスクの低減

 徹底した安全対策の強化によってリスクを最小化するとともに、使用済み核燃料や放射性廃棄物の発生を抑制することにより、将来世代への負担を軽減させることが不可欠である。

2 エネルギー安全保障の強化

 エネルギー安全保障(注1)やエネルギー源の多様化と両立できる形で原発依存を低減する。

(注1) 2010年エネルギー基本計画では「ウラン燃料は特定の国・地域に頼ることなく、安く買うことができ備蓄効果が高く、発電時にCO2も出さない。核燃料サイクルと組み合わせることにより、準国産電源としての原発の優位性は高い」とされていた。

3 地球温暖化問題解決の貢献

 原発依存度を低減していく中でも、国内CO2を削減する。

4 コスト抑制と空洞化防止

 エネルギーコストの上昇による産業や経済への影響、空洞化を回避する。

 これらを踏まえて、2030年時点での原子力依存度に関する3つのシナリオ(ゼロ、15%、20~25%)による比較が提示されています。

 全体として、生命・財産と経済の両立を図るため、原発の必要性が強調されているように感じました。経済界、原子力村の思惑が感じられます。2030年の「原子力依存度15%」に誘導されてしまうのではないかとの危惧が頭をよぎりました。原発15%では、再処理・直接処分の可能性があることにも言及しています。核燃料サイクルは破綻しています。15%の選択は再処理・直接処分(核燃料サイクル)を認めてしまうことになります。このイベントが原発維持のアリバイ作りされてしまいそうです。民主党のお家芸「国民の前で大々的に行なわれた行政のムダを省くセレモニー:事業仕分け」のように。

 このような選択を国民に迫る前に、事故調査委員会の指摘に真摯に向き合い、事故原因の究明を徹底的に行い、廃炉基準を明確にし、新たな安全基準について国民の納得を得ることが必要です。

 4つの視点を順次見ていきます。

1 原子力の安全確保と将来リスクの低減

 「徹底した安全対策の強化によってリスクを最小化する」と言っていますが、絶対安全はないと政府も認めています。上記でも、リスクを認めています。赤字が怖いところです。このような状態で、3つのシナリオ(ゼロ、15%、20~25%)などと、国民の選択を迫るべきものでしょうか。

 国の事故調査委員会(黒川委員長)も、「全ての点で人災だ」と言っています。また、地震による原発破壊の可能性についても言及しています。徹底的な事故原因の追究も行なわれていません。

 国民には、「どこかの原発で第二の福島原発事故が起きるかも知れないが、原発ゼロ以外を選択するのですか」と言うべきでしょう。

 15%を主張する人は「総論賛成、各論反対」なのでしょう。すなわち、経済のこともある、電気料金が高くなるのも困る、極端な節電もゴメンだ。よって、「どこかの原発は再稼動して欲しい。しかし、自分の近くに原発があるのはまっぴらゴメンだ」と言っているようです。

 経済性を考えれば多少のリスクは止む得ないと考えているのでしょうか。オスプレイの利便性(航続距離の長さとスピード)と兵士の生命を天秤にかけて、アメリカはオスプレイを採用していると聞きます。沖縄住民の命を引き換えに、オスプレイの配備を政府は容認しようとしています。原発に関する方針も同様なのでしょうか。

2 エネルギー安全保障の強化

 原発抜きで、エネルギー多様化と経済の両立を目指すべきです。

 原発はエネルギーの安全保障を担保していません。むしろ「脱原発は日本を救う」とも言われています。ウラン燃料購入には輸出国からの数々の縛りがあり、日本の外交・防衛は、「ウラン」と言う切り札に首根っこを押さえられているのです。そして、核燃料サイクルは破綻し、純国産電源は夢物語です。(ものぐさ エネルギーの安全保障にもならない日本の原発

3 地球温暖化問題解決の貢献

 CO2を放出するより放射能を撒き散らすほうが、世界に対してもっと迷惑です。CO2吸収により植物は成長します。CO2を固体化し貯蔵する方法もあると聞いています。CO2は地球上の生命体にとってなくてはならないものです。一時的な迷惑を、堂々と世界に発信すべきです。

4 コスト抑制と空洞化防止

 再稼動すれば、電気料金の上昇は抑えられるでしょう。これは短期的なことでしかありません。第二の福島原発事故が起きたときの賠償金を見積もってください。いまだに、福島原発事故の賠償費用、廃炉費用、核燃料サイクル費用の実態は見当もつきません。これらの費用を加算すれば、原発によるコストは最も高くなる可能性もあります。むしろ、発送電分離がコスト低減に寄与するでしょう。

 空洞化は進むのでしょうか。事故以前も、円高の影響で空洞化が起きています。再稼動しても空洞化は進むでしょう。むしろ、新しい産業への転換のチャンスです。原発がないから空洞化するなどと近視眼的に見ないでください。

 原発廃炉事業は有望です。世界中の原発数百基が廃炉を迎えます。

 再生エネルギー導入、発送電分離により、原発関連メーカ以外の参入や雇用は増大します。原発では大企業だけが潤っていました。脱原発により中小企業の参入が可能となり、地方の経済はむしろ好転します。

 高齢化時代を迎えます。介護費用、医療関係の雇用も増大します。

 先進国が歩んできたように、日本でも労働集約的な大量生産の時代は終わりました。ロボットを使った生産、サービス産業、知識労働、観光等への転換を図るべきです。

 日本近海で、シェールガス、メタンハイドレード、レアメタルも見つかっています。

 マイナス思考しないでください。

 全国11都市による意見聴取会、パブリックコメントの受け入れ、討論型世論調査等を通して、国民の様々な意見を政府は聞こうとしています。反原発の意見でも良いし、上述のように、3つのシナリオに対する疑問点でも良いそうです。多くの国民の参加を期待します。

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