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2012年7月22日 (日)

ナンセンス 原発比率15%シナリオ

 エネルギー環境会議は、「エネルギー・環境に関する選択肢」として、総発電量に占める2030年時点の原発比率(ゼロ、15%、20~25%)を提示し、国民的議論を経て、8月にも結論を出すとしています。40年稼動した原発を廃炉とする基準(40年廃炉ルール)を適用した場合、2030年の原発比率は15%になるとも言っています。

 わずか1ヶ月間の議論です。これで十分なのでしょうか。また、「極端なことを嫌う、ほどほどが良い」とする日本人の気質を逆手にとって、15%シナリオに誘導しようとする魂胆も透けて見えます。わずか9人の意見聴取会などセレモニー、アリバイ作りの様相を呈しています。

 選択肢を国民に迫る前に、原発の安全性について徹底的に議論し、再稼動の条件となる安全基準を策定することが先でしょう。原子力規制委員会が発足する前に原発比率を決めてしまうなど、おかしくありませんか。

 専門家からは、活断層の存在する原発(関西電力の美浜、高浜、大飯原発、高速増殖炉もんじゅ、北陸電力の志賀原発、日本原電の敦賀原発、東北電力の東通原発)の指摘があり、原子力安全・委員会は、電力会社に活断層の調査を命じています。国会の超党派議員で作る「原発ゼロの会」は、6/28、即時廃炉とすべき24基の原発を発表しています。

 「原発ゼロの会」の主張する24基の原発と、活断層の存在する原発を即時廃炉とし、その他の原発は「40年廃炉ルール」で順次廃炉にするというシナリオを提案します。この場合、2030年時点で原発比率は何%になるでしょう。

 「40年廃炉ルール」を適用した場合、2030年の時点で稼動している原発は17基となり、総出力(設備の有している供給能力であって、実際に発電した総発電量とは異なる。総発電量には稼働率が加味されている)は1,859.9万kwとなります。

 原発              稼動年数(年)    総出力(万kw)

 泊(号機)           2              91.2

 東通(1号機)          6           110

  女川(2、3号機)       16 10           82.5    82.5

 柏崎刈羽(3、4号機)    18 17        110     110  

 柏崎刈羽(6、7号機)    15 15        135.6  135.6 

 志賀(1、2号機)       18 18                    54   135.8

 浜岡(4、5号機)       18  7         113.7  138

 大飯(3、4号機)       20 19         118   118

 伊方(3号機)         17               89

 玄海(3、4号機)       18 14          118     118

 上記原発から、「原発ゼロの会」の主張する24基の原発と、活断層の存在する原発を除くと、残りの原発は4基、416.2万kwとなります。

 原発              稼動年数(年)    総出力(万kw)

 泊(号機)           2              91.2 

 伊方(3号機)         17              89

 玄海(3、4号機)       18 14         118     118 

 上記4基のみ稼動していた場合の電力比率を求めてみます。ここでは、火力、原子力発電等の稼働率がわからないので、原発の総出力から換算して電力比率を求めてみます。

 政府資料によれば、2010年の総発電量の実績は1.1兆kw・hです。そのうち原子力は26%を占め、2,860億kw・hの発電量でした。

 現在の原発50基の総出力は4,620.6万kwであり、上記4基の総出力は416.2万kwです。

 2030年時点において、15%シナリオにおける原発の総出力は1,859.9万kwで、総発電量は1,500億kw・h(政府資料)です。

 さて、2030年時点において、原発が4基にまで減少し、総出力が416.2万kwとなれば、2030年時点の総発電量は

 1,500億kw・h×(416.2万kw÷1859.9万kw)=336億kw・hとなります。

 これを総発電量1兆kw・hで割ると、2030年時点での原発比率は0.3%となります。

 ほぼ、ゼロ%シナリオが妥当でしょう。計算するまでもなく当然のことです。安全でない原発や活断層が直下にある原発は、福島原発の現状を見れば廃炉とすべきでしょう。こんなことを無視して、15%シナリオに世論を誘導すべきではありません。 

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