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2012年8月

2012年8月 4日 (土)

浜岡原発訴訟 傍聴記 その2

 8/2、静岡地方裁判所で行なわれた浜岡原発訴訟の第五回口頭弁論を傍聴しました。第二回(ものぐさ 浜岡原発訴訟 傍聴記 その1)に続き2回目です。

 朝、10時05分までに裁判所に集合し、行列に並びました。定員オーバーした場合には抽選です。一般傍聴席38人に対し、希望者は35人。全員が入廷できました。比較的若い人が多く、印象的でした。特に子供2人を連れた母親が参加していました。夏休みなのでしょう。

 向かって左に原告、右が被告(中電)です。それぞれ10人程度の物々しさです。一般傍聴35人、裁判官3人です。報道関係者も20数人います。写真、録音禁止とのこと。メモは良いとのこと。開廷に先立ち、報道関係者による2分間の撮影がありました。写真に映りたくない人は、一時退席可能です。退席者は一人もいませんでした。

 10時30分に開廷です。全員起立、着席。

 この日の口頭弁論では、原告が前回提出した津波対策などについて質問した準備書面に対する被告(中電)側の対応の不誠実さを原告は指摘しました。メモ書きのため不正確です。悪しからず。

 (原告)内閣府に設置された「南海トラフの巨大地震モデル検討会」が指摘する危険性(震度7、21mの津波、スクラム)についての回答がない。

 (被告)詳細データが今後公表される予定であり、現時点では完全に把握していないため回答できない。

 (ものぐさ感想)「のらりくらり」と裁判を進めている。被告の真摯な姿勢が見られない。

 (原告)「再稼動ありき」で工事を進めている。データを把握する前に防波堤の工事を進めるのはおかしい。(震度7、21mの津波、スクラム)に関する被告からの回答を要求。

 (被告)データをみて何らかの回答をする。

 (傍聴席)野次「再稼動をやめろよ ?」。

 (裁判所)静粛に。

 (ものぐさ感想)これは、ドラマで良く見る光景だ。

 10時45分閉廷。次回は10/25、10時30分の予定。

 裁判終了後の11時30分から、「記者会見兼報告会」が隣接する弁護士会館で行なわれます。参加してみました。受付で「原告準備書面4」が配布されました。今回中電に提出した書面でしょう。興味深い内容でしたので後日紹介します 

 以下、弁護団の会見内容です。

 南海トラフの危険性(震度7、21mの津波、スクラム)について、「何も検討していない。データが出てから回答する」と、7/21に中電より回答があった。データが未検討な状態で、何を根拠に中電は工事を進めているのか。中電は「再稼動ありき」を表明している。更に、(いかなるデータが出ても)廃炉の選択肢はない、とも表明した。

 使用済み核燃料プールが危険な状態にある。使用済み核燃料の乾式貯蔵場所を作れ。

 3~5号機の再稼動を認めないとの仮処分申請を秋(10月頃)に提出予定。

 訴訟開始から1年もたつのに、旧の安全指針に基づいた回答しかしていない。福島の教訓と新知見を中電は一切考慮していない。

 政府のエネルギー政策には、ドイツが策定したような倫理的指針がない(ものぐさ 原発再稼動の是非 倫理委員会を設立せよ)。

 推進側は、「電力の安定供給、電気料金の安価、温暖化防止」を再稼動の根拠として主張するが、その論理は破綻している。ウラン価格は変動し、上昇傾向にある。その埋蔵量は65年分と少ない。電気料金については、試算により安価でないことは明らか(ものぐさ 原発の電気料金は安くない)。事故による損害賠償、バックエンド、除染費用は膨大になる。

 電力不足はピーク時のみ。再生エネルギー、原子力以外の他の発電でカバー可能。

 18mの防波堤は、津波の遡上高さを考慮すると10mの津波に耐えられない(ものぐさ 浜岡原発 津波高さ21mは18mの防潮堤で安全か その2)。更に、防波堤の内側は貯水槽になってしまう。

 次回は、国会事故調査報告書を踏まえた問題点の指摘、活断層の問題を取り上げる。アメリカでは、活断層の上には建物も建てられない。使用済み核燃料の処理は「トイレなきマンション」といわれているが、むしろ「トイレはあっても汲み取りができない」と言うことだ。次回から本格的審理となる。

 (ものぐさ質問)原発が再稼動しても、しなくても、21mの津波の恐ろしさは変わらない。18mの防波堤があれば、今より安心だ。防潮堤工事を中止せよと言う論理がわからない。

 (弁護団)防波堤工事は、再稼動の必要条件を満たすこと。中電の「思うつぼ」となる。原告は工事中止による運転終了と廃炉を求めるというスタンスだ。

2012年8月 8日 (水)

原発の電気料金は安くない

  8/2、静岡地方裁判所で行なわれた浜岡原発訴訟の第五回口頭弁論(ものぐさ 浜岡原発訴訟 傍聴記 その2)後の「記者会見兼報告会」で配布された「準備書面」が大変興味深かったので紹介します。

 推進派は原発推進の根拠として「原子力発電は他の発電より低コストである」と主張し続けてきました。

 2011年12月7日「コスト等検証委員会」は原発の発電コストを8.9円/kw・hと算出しています(ものぐさ 原発コスト 8.9円/kw・hは目くらまし)。

 この結果を受けて、電事連会長は「他電源と比べて遜色ないことが示された。原発の経済的優位性は変わらない。仮に損害が20兆円としても遜色ないといえるのではないか。」と言っています。8.9円/kw・hという数値が一人歩きすることが心配です。

 「コスト等検証委員会」のコスト計算は甘い前提条件で算出されており、その問題点を「準備書面4」は厳しく指摘しています。以下、私見を交えて示します。

1 原子力発電所の稼働率を70%と高く設定している。

 2002年以降、稼働率が70%を超えた年は3年しかない。静岡県の「原子力経済性等検証委員会」は浜岡原発の稼働率を65%と見積もっている(過去20年の実績)。稼働率が高ければ、電気料金は低コストになります。実際の稼働率を適用すれば、電気料金はもう少し高くなるでしょう。

2 事故処理費用の算出が不十分。

 「コスト等検証委員会」事故処理のコストを5.7兆円としているが、広域にわたる低線量の汚染地域の除染費用や、将来の健康被害の賠償金等は含んでいない。

 福島原発並みの事故がドイツで生じた場合、ライプチヒ保険フォーラムは最大損害額を730兆円(2011年5月)と試算している。

 「核燃料サイクル等技術検討小委員会第2回」では、原発事故の総被害額を279兆円と見積もっている。

 文科省の汚染マップの空間線量率0.2~0.5マイクロシーベルト/h以上の汚染地域は、2万平方km、飯館村(230平方km)の除染推定費用3,224億円から単純計算すると、除染費用は28兆円となる。

 日本経済センターが原子力委員会に提出した被害総額は20兆円、除染費用を加えると48兆円になる。

 事故処理費用を低く抑えるほど電気料金は安くなる。除染費用や損害賠償費用が5.7兆円を超えれば、更に電気料金は高くなる。

 損害額が1兆円増加すれば、事故処理費用は0.1円/kw・h増加(ものぐさ 原発コスト8.9円/kw・hは目くらまし)します。事故処理費用を48兆円とすれば、電気料金は4.8円/kw・h上昇します。100兆円ならいくらになるでしょう。 

 福島原発事故では、最終的な廃炉費用も、森を含めた除染費用も、賠償金の総額も決まっていません。こんな状態で、電気料金は8.9円/kw・hなどと言えるでしょうか。

3 事故発生率が甘い。

 「コスト等検証委員会」は事故の確率をIAEAの基準に基づいて、1.0×10のマイナス5乗/年・炉(1基の原発であれば10万年に一回の事故)としているが、事故の発生頻度は過去の実績を基に試算すべきである。

 事故発生率を国内商業炉の運転年数から算定すると、事故の確率は、2.0×10マイナス3乗/炉・年(1基の原発であれば500年に一回の事故であり、国内には50基の原発があるので、10年に一回事故が起きる)となる。

 事故発生率を10年に一回とすれば、事故処理費用は「コスト等検証委員会」の試算に比べて200倍も増加します(ものぐさ)。

 日本経済センターが原子力委員会に提出した被害総額48兆円、稼働率70%の事故リスクコストは13.7円/kw・hとなり、事故リスクコストのみでも、他の発電コストを超えてしまう。

 関連記事(ものぐさ 原発事故コスト 1.6円

4 廃炉やバックエンド費用を安く見積もっている。

 「コスト等検証委員会」は廃炉費用を680億円(モデルプラントは120万kw)としている。アメリカのスリーマイル島の原発は解体の途上であるが、これまでかかった費用は9億ドル(100円換算で900億円)以上である。出力16.6万kwの東海第一原発の解体費用は880億円と見積もられている。そのプラントの7倍(120万kw)もある原発の解体費用が680億円であるはずはない。

 更に、バックエンド費用として、使用済み核燃料の処理費用が含まれていない。新型転換炉実証炉「ふげん」は、本体の廃棄物処理に400億円、放射性廃棄物の処理に140億円必要であるという。

5 原発に要する膨大な政策コスト

 電源3法による原発立地自治体への交付金で、原発1基あたり40年間で1,240億円が交付されている。1970~2010年までにかかった政策コストを発電量で割ると、1.71円/kw・hである。

6 原発は揚水発電とセットである。

 原発は24時間一定の出力で運転しなければならない。当然夜間は電力が余る。その余った電力でダムに水をくみ上げるのが揚水発電である。この発電コストは1970~2010年の平均値で52.04円/kw・hである。この揚水発電に要するコストも原発コストに含めなくてはならない。原発がなければ揚水発電所は不必要であるから。

 以上見てきたように、コスト計算の根拠となった全ての費用に対し、「コスト等検証委員会」は最低限の数値を使って電気料金を算出しています。うがった見方をすれば、他の発電による電気料金と同程度となるように、計算したのではないかとの疑念がわきます。最悪の状態を想定した場合の電力料金も計算して欲しいものです。

 

 

 

2012年8月15日 (水)

原発再稼動の是非 倫理委員会を設立せよ

 国会の事故調査委員会は、事故原因を「人災」と位置づけ、今までの原子力行政を(人間の行動を含めた技術的側面)から厳しく糾弾しました。

 報告書は数多くの問題点を指摘していますが、それらを解決すれば原発は容認できるのでしょうか。原発推進派(原子力村)は安全基準のしきい値を甘く設定することもできます。「安全基準に適合したから再稼動可能」だと、原発推進派は「鬼の首」を取ったように言うでしょう。

 事故から1年以上たっても、原発事故は収束せず、除染の見通しも立っていません。全国各地では、毎週金曜日に「反原発」のデモが行なわれています。国民の原発に関する「恐怖」がこのような行動の動機となっているのでしょう。この「恐怖」を、新たに設置する「原子力規制委員会」は「技術論」でもって消し去ろうと考えているのでしょうか。

 いくら安全だと言ったとしても、国民から「恐怖」を取り除くことはできません。ドイツの「倫理委員会」の報告書は、この「技術論」至上主義に一石を投じるものでした。この議論を経て、ドイツ政府は、脱原発に踏み切ったのです。そして、同委員会は、平成23年5月30日、「ドイツのエネルギー転換-未来のための共同事業」という報告書を発表しました。

 この報告書の内容は、「浜岡原発訴訟第五回口頭弁論」後の、「記者会見兼報告会」で配布された「準備書面4」に記載されています。それは「エネルギー政策は無制限な自由裁量に委ねられるべきではなく、倫理的な指針が必要である」と、述べています。

 以下、紹介します。詳しくは「HP 浜岡原子力発電所運転終了・廃止等請求訴訟弁護団」を読んでください。

1 倫理的立場

 エネルギー政策の決定は、すべて、社会による価値決定に基づくものであって、技術的あるいは経済的観点よりも先行する。そして「環境を保存・保護し、破壊することなく、有用性を高め、未来における生活条件の保障と見通し」を目指すという生態的な配慮が必要である。

2 リスク

 福島原発事故は「大事故が生ずるリスクが、仮説的に存在していたのではなく、大事故が実際に起こりえるのだ」ということを多くの人に自覚させた。ドイツでは、そのようなことは起こりえないという確信は消滅した。そのことは、原発事故そのものについても言えるし、事故収拾が長期にわたって手の施しようがないことについても言える。

 「科学的に、原発と他のエネルギー源の欠点は比較衡量(対象を比較し、その軽重を判断し、一定の評価、決断をすること)できる」という見解は、説得力を失った。

 想定外と言われたように、「技術的なリスク評価の限界」が明るみに出てくる。

 短期的な利益を優先して未来の何世代にも負担をしいるような決定に対しては、社会が責任を負わねばならず、何が受け入れ可能で、何が受け入れ不可能と判断されるべきかを決定していかなければならない。

 リスクの問題を単に技術的な側面へと狭めてしまうことは正しくない。

 原発の平和利用は、これまでのところ、進歩と豊かな生活を約束し、リスク制御可能な無限のエネルギーを約束するものであった。それは、大それた未来のユートピアであり、当時の技術水準に従って倫理的な議論によって根拠付けられていたユートピアであった。今日では、ドイツにとっては、それはもはや妥当でない。

3 絶対的な拒否の立場から

 原発事故の規模を発生率によって判定するという技術的なリスクの定義は、原発に関する評価に対しては十分でない。それは、システム上、リスクを相対化するという受け入れがたい結果を導く。それは事故の可能性を容認しているものであり、それを「残余のリスク」として片付けることは倫理的に受け入れることはできない(ものぐさ 残余のリスク)。

 事故の可能性、世代への負担や放射線による遺伝子損傷の可能性は、そのリスクを比較衡量してはならないほど大きなものだと評価される。

 原発事故は、最悪のケースの場合どんな結果になるかは未知であり、その結果は、空間的にも時間的にも社会的にも限界付けることはできない。よって、原発をもはや使用すべきではないということになる。

4 リスクの相対的な比較衡量の立場から

 巨大技術施設の場合、リスクがゼロと言うことはあり得ないし、そのリスクは比較可能だ。受容可能かどうかの判断は、あらゆる利用可能な選択肢から、期待される効果を科学的な事実や倫理的な衡量基準に基づいてなされなければならない。そのリスクとチャンスが科学的に可能な限り見積もられ、それには生態圏全体にわたる直接的また間接的な影響が算入されなければならない。

 以上の観点からドイツでは、原発はもっとリスクの少ないエネルギーに代替することができるし、筋も通っているはずだと考えた。というのも、ほぼ全ての学術的な研究が、「原発と比べて、再生可能エネルギーと省エネのほうが、健康リスクや環境リスクを低くする」という結論に至っているからである。

5 結論

 ドイツでは「絶対的な拒否」と「リスクの相対的な比較衡量」という立場から議論され、どちらの立場からも同じ結論に達した。

 すなわち、原発からの電力が、生態的、経済的、社会的な配慮の基準に即してリスクのいっそう少ないエネルギーによって代替され得る限り、速やかに原発の利用を終わらせるということである。

 (ものぐさ) どんなに技術を高め、安全基準を定めたところ、一旦事故が起きてしまえば、原発周辺の住民は大きな損害を被ります。そして、住民が生きがいにしてきた自然や住民のコミュニティーは破壊され、元には戻りません。「こういう現実が起きるのだ」と言うことを、一番大切なものとして意識しなければなりません。

 これを第一義的とした時、経済界や政府関係者が原発推進の根拠として揚げる「経済成長」、「国際競争力」、「雇用維持」、「電力不足」等の言葉の羅列は、何と空しい響きであり、浅薄な主張でしょう。

 さて、夏本番になって原発が稼動していなくても、「電気予報」や「計画停電」は聞こえてきません。実は電気は余っているのでしょう。電力会社や政府の言う「電力不足」は、「噓」だったのでしょう。経済界や政府関係者の主張する「経済成長」、「国際競争力」、「雇用維持」等も噓のような気がします。

  

 

 

 

 

 

 

2012年8月23日 (木)

原発ゼロでも経済は失速しない

 8/23、日本商工会議所の岡村会頭は、「原発が0%になった時の状況が正しく理解されているか疑問。企業の生産拠点が海外流出して雇用が減る事態にならないようにすべきだ」と、首相との会見後、記者団に強調しました。原発を推進する経済界の主張は、ほぼこのような論調です。

 原発推進派の理由には、①経済問題のほか、②原子力研究の衰退、③地球温暖化、③軍事問題を挙げていますが、果たして真実なのでしょうか。疑ってみる必要があります。

 原発ゼロで経済は衰退するのでしょうか。今回は、この点を考えて見ます。識者の見解と私の意見を交え列挙します。

1 EU経済の中心であるドイツは、脱原発に舵を切った。経済問題が十分議論されたはずである(ものぐさ 原発再稼動の是非 倫理委員会を設立せよ)。福島原発事故を受けて、ドイツは全面的な脱原発に踏み出し、これをテコに世界の再生エネルギー市場の制覇を目指している。

2 原発には将来性はない。電力の自由化、スマートグリッド化、自然エネルギーへと舵を切ることが経済的な発展をもたらす。

3 オイルショックに見舞われたデンマーク政府は、電力不足を補うために原発を推進しようとした。住民による徹底的な討論の後、政府は原発の推進をあきらめた。デンマークの一人当たりのGDPは世界第6位で、日本の26位を大きく引き離している(ものぐさ 原発で幸せになるか)。

4 安全基準がますます厳しくなり、電力会社はその対策に迫られる。また、電気料金の算出根拠となる賠償費用も、今回の福島原発事故でわかるように膨大なものとなる。当然、電気料金は高くなる(ものぐさ 原発の電気料金は安くない)。フィンランドでの原発の建設コストは5倍に跳ね上がった。

5 太陽光発電、風力発電等の小規模分散型の自然エネルギーは、作れば作るだけ、性能が上がりコストは安くなる。太陽光発電と原子力発電の発電コストは、2010年時点で同額か逆転しているのではないか、と言うのがアメリカの調査結果である。イタリアでは太陽光発電のコストが、既に電気料金(平均値)よりも安くなった。

6 世界では、自然エネルギーへの投資額が毎年30~60%伸びている。10年後には100~300兆円に達し、20年後には数百兆円、今の石油産業に匹敵する。日本ではこの投資額の1~2%しか占めていない。

7 発送電分離によりコストは大幅に下がるのではないか。電電公社がNTTとなり、ソフトバンク、Auが参入し、電話料金が劇的に下がったように。

8 原発の建設は大手ゼネコン等が牛耳ってきた。逆に地域分散型の自然エネルギー施設の建設は、地方の中小企業でも可能となり、雇用が広がるのではないか。電気料金は地方に還元され、地方を潤す。地方再生にぴったりだ。

9 太陽光発電は大幅に安くなる。2004年時点における単結晶シリコン(発電モジュール)の発電効率は17.4%。開発中の集光型モジュールは38%である。NEDOは2030年時点の発電効率を40%と見込んでいる。半分の面積の太陽光パネルで同じ発電量を得ることができるのだ。政府は原発ゼロを達成するためには、1200万戸の住宅に太陽光パネルを設置しなければならないとしているが、発電効率が2倍になれば、600万戸で良いということになる。パネル設置は工場の屋根、ビル側面でも可能だ。2007年に30円/kw・hであった発電コストは、2030年には7円/kw・hと予想している。2003年に1kw当り68万円であった住宅用太陽光発電システムの価格は、2030年には20万円以下になると言う。政府は現時点の技術水準で2030年後の予想を行なうが、これをまともに受けてはならない。民間の知恵は、政府・官僚の知恵を遙かに凌ぐ。

10 約16億人とも言われる電気のない人々へ電気を供給する太陽光発電が活用され始めている。EUでは、2040年に太陽光発電で全世界の電力需要の25%を供給するとの予測をしている。

11 太陽光発電の将来展望について、「太陽光発電協会」は2030年には2兆2500億円の産業規模と30万人の雇用を創出し、将来を担う産業のひとつになる、としている。

 以上のような事実を知ると、「原発ゼロは日本を衰退させる」と言う経済界の論拠は疑問だらけで、自分たちの利権や裏の理由が隠されているように感じます。

2012年8月25日 (土)

原子力規制委員会は中立か

 7/26、政府は「原子力規制委員会」の人事案を国会に提示しました。以下の5名です。

委員長 田中俊一・高度情報科学技術研究機構顧問 放射線の遮蔽などを研究する放射線物理学の専門家 

 日本原子力研究開発機構の特別顧問、高度情報科学技術研究機構(旧(財)原子力データセンター)の会長、顧問を歴任し、原子力発電の推進に一貫して関わり、2007年から2009年まで、原子力委員会委員長代理を務めていた。同機構は、高速増殖炉もんじゅを設置し使用済み核燃料の再処理を行う原子力事業者である。

 昨年の4/1、田中氏ら16名は「福島原発事故についての緊急建言」において「原子力の平和利用を進めてきた者として、事故を極めて遺憾に思うと同時に国民に深く陳謝する」と、述べています。以下、各委員の発言を下記に示します。

 原子力技術は人類が手に入れた大きな資産。手に入れたものを放棄するのはもったいない。

 原子力は極めて素晴らしい。世界のエネルギー競争が始まり、脱原発など言っていられない。

 エネルギーの足りない時代を生きた自分としては、今の日本の人口で生活レベルを維持しようとしたら原子力の安全を確保しながら使わないとやっていけない。

 彼ら原子力村住人は「ざんげ」しても、原子力は必要とのスタンスのようです。このような原発推進方向に一定のバイアスがかかった人を委員長にして良いのでしょうか。

委員  大島賢三・元国連大使 幼少時に広島で被曝

委員  島崎邦彦・地震予知連絡会会長 原発事故まえから政府の地震・津波対策の不備を指摘

委員  中村佳代子・日本アイソトープ協会プロジェクトチーム主査 放射線防護の専門家

 同協会は、研究系・医療系の放射性廃棄物の集荷・貯蔵・処理を行っており、「原子力に係る貯蔵・廃棄」の事業を行う者であり、法の施行後は原子力規制委員会による規制・監督に服することになる。同氏は、現在においても同協会の従業員でもある、

委員  更田豊志・日本原子力研究開発機構原子力基礎工学研究部門副部門長 原子炉の専門家 

 同機構は、高速増殖炉もんじゅを設置し使用済み核燃料の再処理を行う原子力事業者である。同氏は、現在においても同機構の従業員です。また、大飯原発再稼動に向けたストレステストの妥当性を議論する原子力安全委員会の検討会に専門家としても参加していた。

 田中氏、中村氏、更田氏について、脱原発弁護団全国連絡会共同代表 河 合 弘 之氏らは、2012年8月1日、内閣総理大臣に「原子力規制委員会委員長及び委員候補3名の人事案の撤回を求める緊急要請」を提出しています。文書には、上記3名の経歴を記載するとともに、政府が定めた欠格要件(ものぐさ それでも不安が残る 原子力規制委員会)に該当するため、委員候補を差し替えるよう求めています。

 原発事故担当相は、原子炉、放射線防護、地震などの専門家をリストアップし、個別に面会し業界との距離や意欲を確認しつつ、原発事故などの事態に即応できる人物を絞り込んだとしています。しかし明確な「反原発」論者は起用していません。

 8/23、衆院議院運営委員会の理事会に、田中氏は「電力事業者と一線を画した規制行政を必ず実現する。活断層の影響があると判断された原発は再稼動を認めない。40年廃炉ルールについては、安全性にわずかでも曇りがあればちゅうちょなく運転終了を判断する。」との書面を提出しています。

 この人事に関し、自民党は「国会同意人事」が事前に漏れたことを理由に反対しています。これは反対理由にもならず論外です。政局がらみの発言か、若しくは「もっと、原発推進派」を入れたいと思っているのかも知れません。

 民主党の一部は、田中氏の所信聴取での発言や経歴に疑問を呈しています。民主党の反対理由は選挙対策用メッセージであるかも知れません。

 この人事に関して、「国会事故調査委員会」の報告書は、「人選を第三者機関に任せるべきだ」と提言していますが、原発事故担当相は、これに否定的です。政府は「国会事故調査委員会」の報告書を無視しています。何のための報告書だったのでしょうか。政権取得直後、民主党は日本郵政社長に元大蔵次官斉藤次郎氏を任命し、自らの国民に対する約束「天下り禁止」を反古にしてしまいました。これ以後、民主党のマニュフェスト違反は、目に余るものがあります。報告書無視は、蟻の一穴になりそうです。

 よくわかりませんが、政府が定めた欠格要件に該当する人物や該当しなくても灰色とみなされる人物は除外すべきです。国民は、原子力行政に多くの不信を抱いています。このまま、この人事を押し通せば、更に国民の不信感は募ります。原子力規制委員会の発言や方針を国民は信用しません。遠回りであっても、、「国会事故調査委員会」の報告書が言うように、人選を第三者機関に任せるべきであると考えます。

   

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