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2012年8月25日 (土)

原子力規制委員会は中立か

 7/26、政府は「原子力規制委員会」の人事案を国会に提示しました。以下の5名です。

委員長 田中俊一・高度情報科学技術研究機構顧問 放射線の遮蔽などを研究する放射線物理学の専門家 

 日本原子力研究開発機構の特別顧問、高度情報科学技術研究機構(旧(財)原子力データセンター)の会長、顧問を歴任し、原子力発電の推進に一貫して関わり、2007年から2009年まで、原子力委員会委員長代理を務めていた。同機構は、高速増殖炉もんじゅを設置し使用済み核燃料の再処理を行う原子力事業者である。

 昨年の4/1、田中氏ら16名は「福島原発事故についての緊急建言」において「原子力の平和利用を進めてきた者として、事故を極めて遺憾に思うと同時に国民に深く陳謝する」と、述べています。以下、各委員の発言を下記に示します。

 原子力技術は人類が手に入れた大きな資産。手に入れたものを放棄するのはもったいない。

 原子力は極めて素晴らしい。世界のエネルギー競争が始まり、脱原発など言っていられない。

 エネルギーの足りない時代を生きた自分としては、今の日本の人口で生活レベルを維持しようとしたら原子力の安全を確保しながら使わないとやっていけない。

 彼ら原子力村住人は「ざんげ」しても、原子力は必要とのスタンスのようです。このような原発推進方向に一定のバイアスがかかった人を委員長にして良いのでしょうか。

委員  大島賢三・元国連大使 幼少時に広島で被曝

委員  島崎邦彦・地震予知連絡会会長 原発事故まえから政府の地震・津波対策の不備を指摘

委員  中村佳代子・日本アイソトープ協会プロジェクトチーム主査 放射線防護の専門家

 同協会は、研究系・医療系の放射性廃棄物の集荷・貯蔵・処理を行っており、「原子力に係る貯蔵・廃棄」の事業を行う者であり、法の施行後は原子力規制委員会による規制・監督に服することになる。同氏は、現在においても同協会の従業員でもある、

委員  更田豊志・日本原子力研究開発機構原子力基礎工学研究部門副部門長 原子炉の専門家 

 同機構は、高速増殖炉もんじゅを設置し使用済み核燃料の再処理を行う原子力事業者である。同氏は、現在においても同機構の従業員です。また、大飯原発再稼動に向けたストレステストの妥当性を議論する原子力安全委員会の検討会に専門家としても参加していた。

 田中氏、中村氏、更田氏について、脱原発弁護団全国連絡会共同代表 河 合 弘 之氏らは、2012年8月1日、内閣総理大臣に「原子力規制委員会委員長及び委員候補3名の人事案の撤回を求める緊急要請」を提出しています。文書には、上記3名の経歴を記載するとともに、政府が定めた欠格要件(ものぐさ それでも不安が残る 原子力規制委員会)に該当するため、委員候補を差し替えるよう求めています。

 原発事故担当相は、原子炉、放射線防護、地震などの専門家をリストアップし、個別に面会し業界との距離や意欲を確認しつつ、原発事故などの事態に即応できる人物を絞り込んだとしています。しかし明確な「反原発」論者は起用していません。

 8/23、衆院議院運営委員会の理事会に、田中氏は「電力事業者と一線を画した規制行政を必ず実現する。活断層の影響があると判断された原発は再稼動を認めない。40年廃炉ルールについては、安全性にわずかでも曇りがあればちゅうちょなく運転終了を判断する。」との書面を提出しています。

 この人事に関し、自民党は「国会同意人事」が事前に漏れたことを理由に反対しています。これは反対理由にもならず論外です。政局がらみの発言か、若しくは「もっと、原発推進派」を入れたいと思っているのかも知れません。

 民主党の一部は、田中氏の所信聴取での発言や経歴に疑問を呈しています。民主党の反対理由は選挙対策用メッセージであるかも知れません。

 この人事に関して、「国会事故調査委員会」の報告書は、「人選を第三者機関に任せるべきだ」と提言していますが、原発事故担当相は、これに否定的です。政府は「国会事故調査委員会」の報告書を無視しています。何のための報告書だったのでしょうか。政権取得直後、民主党は日本郵政社長に元大蔵次官斉藤次郎氏を任命し、自らの国民に対する約束「天下り禁止」を反古にしてしまいました。これ以後、民主党のマニュフェスト違反は、目に余るものがあります。報告書無視は、蟻の一穴になりそうです。

 よくわかりませんが、政府が定めた欠格要件に該当する人物や該当しなくても灰色とみなされる人物は除外すべきです。国民は、原子力行政に多くの不信を抱いています。このまま、この人事を押し通せば、更に国民の不信感は募ります。原子力規制委員会の発言や方針を国民は信用しません。遠回りであっても、、「国会事故調査委員会」の報告書が言うように、人選を第三者機関に任せるべきであると考えます。

   

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