« 原発再稼動の是非 倫理委員会を設立せよ | トップページ | 原子力規制委員会は中立か »

2012年8月23日 (木)

原発ゼロでも経済は失速しない

 8/23、日本商工会議所の岡村会頭は、「原発が0%になった時の状況が正しく理解されているか疑問。企業の生産拠点が海外流出して雇用が減る事態にならないようにすべきだ」と、首相との会見後、記者団に強調しました。原発を推進する経済界の主張は、ほぼこのような論調です。

 原発推進派の理由には、①経済問題のほか、②原子力研究の衰退、③地球温暖化、③軍事問題を挙げていますが、果たして真実なのでしょうか。疑ってみる必要があります。

 原発ゼロで経済は衰退するのでしょうか。今回は、この点を考えて見ます。識者の見解と私の意見を交え列挙します。

1 EU経済の中心であるドイツは、脱原発に舵を切った。経済問題が十分議論されたはずである(ものぐさ 原発再稼動の是非 倫理委員会を設立せよ)。福島原発事故を受けて、ドイツは全面的な脱原発に踏み出し、これをテコに世界の再生エネルギー市場の制覇を目指している。

2 原発には将来性はない。電力の自由化、スマートグリッド化、自然エネルギーへと舵を切ることが経済的な発展をもたらす。

3 オイルショックに見舞われたデンマーク政府は、電力不足を補うために原発を推進しようとした。住民による徹底的な討論の後、政府は原発の推進をあきらめた。デンマークの一人当たりのGDPは世界第6位で、日本の26位を大きく引き離している(ものぐさ 原発で幸せになるか)。

4 安全基準がますます厳しくなり、電力会社はその対策に迫られる。また、電気料金の算出根拠となる賠償費用も、今回の福島原発事故でわかるように膨大なものとなる。当然、電気料金は高くなる(ものぐさ 原発の電気料金は安くない)。フィンランドでの原発の建設コストは5倍に跳ね上がった。

5 太陽光発電、風力発電等の小規模分散型の自然エネルギーは、作れば作るだけ、性能が上がりコストは安くなる。太陽光発電と原子力発電の発電コストは、2010年時点で同額か逆転しているのではないか、と言うのがアメリカの調査結果である。イタリアでは太陽光発電のコストが、既に電気料金(平均値)よりも安くなった。

6 世界では、自然エネルギーへの投資額が毎年30~60%伸びている。10年後には100~300兆円に達し、20年後には数百兆円、今の石油産業に匹敵する。日本ではこの投資額の1~2%しか占めていない。

7 発送電分離によりコストは大幅に下がるのではないか。電電公社がNTTとなり、ソフトバンク、Auが参入し、電話料金が劇的に下がったように。

8 原発の建設は大手ゼネコン等が牛耳ってきた。逆に地域分散型の自然エネルギー施設の建設は、地方の中小企業でも可能となり、雇用が広がるのではないか。電気料金は地方に還元され、地方を潤す。地方再生にぴったりだ。

9 太陽光発電は大幅に安くなる。2004年時点における単結晶シリコン(発電モジュール)の発電効率は17.4%。開発中の集光型モジュールは38%である。NEDOは2030年時点の発電効率を40%と見込んでいる。半分の面積の太陽光パネルで同じ発電量を得ることができるのだ。政府は原発ゼロを達成するためには、1200万戸の住宅に太陽光パネルを設置しなければならないとしているが、発電効率が2倍になれば、600万戸で良いということになる。パネル設置は工場の屋根、ビル側面でも可能だ。2007年に30円/kw・hであった発電コストは、2030年には7円/kw・hと予想している。2003年に1kw当り68万円であった住宅用太陽光発電システムの価格は、2030年には20万円以下になると言う。政府は現時点の技術水準で2030年後の予想を行なうが、これをまともに受けてはならない。民間の知恵は、政府・官僚の知恵を遙かに凌ぐ。

10 約16億人とも言われる電気のない人々へ電気を供給する太陽光発電が活用され始めている。EUでは、2040年に太陽光発電で全世界の電力需要の25%を供給するとの予測をしている。

11 太陽光発電の将来展望について、「太陽光発電協会」は2030年には2兆2500億円の産業規模と30万人の雇用を創出し、将来を担う産業のひとつになる、としている。

 以上のような事実を知ると、「原発ゼロは日本を衰退させる」と言う経済界の論拠は疑問だらけで、自分たちの利権や裏の理由が隠されているように感じます。

« 原発再稼動の是非 倫理委員会を設立せよ | トップページ | 原子力規制委員会は中立か »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 原発再稼動の是非 倫理委員会を設立せよ | トップページ | 原子力規制委員会は中立か »