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2012年9月11日 (火)

浜岡原発 津波以外の危険

 浜岡原発に建設される18mの防潮堤により、原発は安全である、と中電は主張していますが、果たして安全なのでしょうか。

 原発は、18mの防潮堤で守れないことを以前述べました(ものぐさ 浜岡原発 津波高さ21mは18mの防潮堤で安全か 浜岡原発 津波高さ21mは18mの防潮堤で安全か その2)。以下、簡単に復習します。

・ 18mの防潮堤では21mの津波(3月7日の時点で21mとした津波高さは修正され、19mとなる)を防げません。浸水深さは、1~4号機で4~6m、5号機で7~9mとも言われています。一旦、防潮堤内に浸水した海水は防潮堤にさえぎられて排水できません。対応は一秒を争います。可能でしょうか。

・ 津波の遡上高は、津波高さの1~4倍にもなる。(気象庁HP)。21mの4倍は84mです。海抜40mに設置されるガスタービン発電機、燃料タンクや電源盤は機能するでしょうか。

 今回は、上記以外の危険性について述べます。

1 50tもの(冷却材用)再循環ポンプは、フロアーに固定することができず、支持部材や同配管で支えられているだけです。宙吊り状態です(ものぐさ 脆弱な原発構造)。配管系は地震動を吸収できると言われているが、実証実験で安全性が確認されているわけではありません。また、同配管の固有振動は地震の振動と一致(共振)しないように設計されていますが、支持部材が外れるようなことが起きれば、地震動の周期と配管の固有振動が一致する可能性も十分出てきます。この場合、配管は地震の振動に共振し大きく揺れ、破断し、大量の冷却材が喪失し、炉心は溶融します。中でも再循環水出口部のノズルに接続する配管の内径は450mm以上と極めて大きい。この部分が破断すると、大量の冷却材が失われる大口径破断(LOCA)となり、炉心溶融に直結します。5号機ではこの宙吊り方式を変更しています。宙吊り方式は危険である、ということを語っています。

2 配管は横向きに設置されているので、地震の上下動の影響を強く受けます。上下動は水平動の1/2の想定です。上下動と水平動の比率0.5は、平均的な数値に過ぎず、地震によっては1.0を上回るものもあります(阪神大震災)。比率が0.5以上の地震が起きた場合、配管は無事でしょうか。

3 地震動の想定は1000ガルに過ぎず、この想定を超える地震動があった場合、複数本の配管が破断する可能性があります。配管の1本が破断した場合、30秒で燃料が露出するが、複数本の破断が起きれば、更に短時間で燃料が露出します。再循環系の安全審査では、配管1本の破断とポンプ1つの停止しか想定していません。

3 原子炉建屋はタービン建屋より高い耐震力を有しています。当然、地震による揺れ方は両建屋で異なり、揺れの位相がずれる可能性があります。原子炉建屋(Asクラスの耐震力)とタービン建屋(Bクラスの耐震力)は配管で接続されているので、両建屋間で異なる隆起(あるいは陥没)が生じ、配管破断の可能性が生じます。設計上は1mのギャップを想定しているに過ぎません。

4 600m離れた沖合いに取水塔が設置され、海底下20mに設けた直径約5~7mの海底トンネルで、原発と取水塔はつながっています。地震動で取水塔や海底トンネルが損傷すれば、冷却水が取り込めず、炉心は溶融します。

5 格納容器内の高温・高圧蒸気は、ベント管、ダウンカマーを経て圧力抑制室に導かれ、水により凝縮します。この凝縮により、格納容器内の蒸気圧力は一定に保たれます。ところが、地震によるスロッシング(容器内の液体が、外部からの比較的周期の長い振動によって謡動すること)が起きると、圧力抑制室内のダウンカマーが露出し、格納容器内の高温・高圧蒸気は凝縮されず、圧力抑制室、ダウンカマー、格納容器と再循環し、圧力が上昇し続け、格納容器は損壊に至るのです。地震が起きないアメリカでは、このような状況を想定していません。日本は、地震を想定していないアメリカの原発を導入しているのです。

6 使用済み核燃料プールは縦14m、横13m、水深12mの容器で、プール底部の高さは地上15mです。地震動により、スロッシングが始まると、プールの水は側壁を越え、原子炉建屋に溢れでます。水が失われれば、燃料の冷却機能は失われ、燃料の溶融に進展します。M6.8の新潟中越沖地震では、7基全てのプールから溢水しています。

7 志賀原発では制御棒の引き抜けにより、臨界事故が発生しています。駿河湾沖地震(M6.5)では、浜岡原発5号機の地下2階において426ガルの地震動が起き、制御棒30本の駆動装置が故障しています。M9の地震となれば、駿河湾沖地震(M6.5)の5620倍のエネルギーが原発を襲うこととなります。

8 震度7、M9の地震が発生し、上下動と水平動の比率が1.0程度の揺れに浜岡原発が襲われた場合、原子炉を緊急停止(スクラム)することができない可能性があります。

9 原発敷地は、砂浜や砂丘、河川を埋め立てて盛り土をして造成された土地です。旧浜岡町で液状化現象がみられたこと、静岡県も浜岡原発の敷地のほとんどで液状化の可能性があることを予測しています。液状化により、原子炉建屋が傾斜し、それによる配管の破断の可能性はないでしょうか。

 先日、アメリカの火星探査機が無事着陸しました。今後、生物の存在が調査され、数々の事実が地球にもたらされるでしょう。そのミッションは、1万とも10万(?)とも言われる鎖の連鎖にたとえられ、その1つでも切れれば、このミッションは成功しなかったと、担当者は述べていました。

 原発の部品点数は10万点以上(確か、車で3万点)でしょう。炉心溶融に達するまでのシナリオは、無数にあります。複合的なシナリオも想定されます。1つのシナリオだけをみても、炉心溶融を回避するには数多くのハードルがあります。防御システムの鎖のどれか1つでも切断されれば、事態は更に悪化していくでしょう。東電のテレビ会議で明らかになった担当者の右往左往ぶりを見れば、綱渡りの対応であったことは容易に想像できます。原子炉が爆発しなかったことは奇跡といっても良いでしょう。

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