« 原子力規制委員会は中立か | トップページ | 本当 原発ゼロで電気料金2倍の3万2243円 »

2012年9月 1日 (土)

核燃料サイクルは軍事目的だったのか

 8/27、原発事故担当相は、核燃料サイクルについて、「技術は残し、世界に貢献できる道を探るべきだ」と述べ、更に、「再処理技術の確立で世界の核不拡散に貢献でき、国連安保理常任理事国に核軍縮を迫れるかも知れない」と指摘しています。 

 この発言には「まやかし」が感じられます。第一に、高速増殖炉「もんじゅ」を核とする核燃料サイクルは破綻しています。第二に、核燃料サイクルは、軍事目的そのものだったのではないかとの疑念があります。第二の点について、記述します。

 「原子力の平和利用が原発である」、と洗脳されて、国民は原発を受け入れてきました。

 戦後、正力氏や中曽根元首相らの手によって、原発がアメリカから導入され、現在、世界第3位の原発保有国となっています。

 核燃料サイクルとは、使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを抽出し、これを高速増殖炉で燃やし、核分裂しないウラン238をプルトニウムに作り変える一連の工程です(注1)。しかも、発電しながら消費した以上のプルトニウムを再生産するので、これを繰り返せば、永久のエネルギー、夢のエネルギーを保有することができるはずでした。

 日本は、戦後、核兵器を所有したかったが、アメリカはこれを恐れ、核不拡散条約への署名を迫り、日本の核兵器開発を阻止しました。ドイツにも同様でした。

 日本は非核3原則を法制化し、核を「持たず、作らず、持ち込まず」を国是として、アメリカとの粘り強い交渉を経て、再処理、高速増殖炉という核燃料サイクルの研究、開発、利用の自由裁量を手に入れました。もっとも、これは、2018年までの30年間の期間限定の核燃料サイクルに関する包括的合意でした。

 核燃料サイクルの完成により、日本は、核兵器は持たないが、いざとなれば、いつでも核兵器を作れる施設と技術を持っているということを世界に示すことができるのです。これは、核兵器を持っている抑止力ではなく、「核の技術による抑止力」と言われています。このことから、核燃料サイクルは、軍事目的そのものだとも言われています。

 現在、再処理工場は稼動せず、高速増殖炉「もんじゅ」は破綻しています。現実問題としてプルトニウムは作れません。プルサーマルで誤魔化しているとも聞きます。こんな状態で、「核の技術による抑止力」を持っていると言えるのでしょうか。

 この技術により、日本が対外的なバランスを執っているとしたら、核燃料サイクルが廃止されてしまった場合の日本の安全保障はどうなるのでしょう。以下、3つの選択肢があります。

1 核兵器を持とうと思えばもてる経済力、技術力を持ちながら、核兵器の「持たず、作らず、持ち込まず」という「非核3原則」の立場。これは日本の表向きの立場です。かなりの外交力が必要です。

2 核兵器を持とうと思えばもてる経済力、技術力を持ちながら、核兵器の「持たず、作らず、持ち込まず」という「非核3原則」の立場をとりつつ、「核の技術による抑止力」を維持しようとする立場。これは日本の裏の立場です。核燃料サイクルは破綻しており、これは非現実です。外国も見透かしていることでしょう。

 核燃料サイクルは破綻し、プルトニウムは作れません。心配です。日本は「軍用プルトニウム」を既に保有していると聞きます。「常陽」で作られた19.2kg(純度99.2%)、「もんじゅ」で作られた17kg(純度99.8%)です。原爆製造に必要な純度は93%です。これで20発の原爆ができると言われています。これが抑止力になるのでしょうか。

3 一方、ドイツは、戦後、核不拡散条約に署名する時点で、、「核の技術による抑止力」を放棄し、周囲国の核武装への嫌疑を払拭して信頼を回復し、EUの中心的存在となっています。核燃料サイクルを持っていません。これで安全保障が担保できるのでしょうか。

 しかし、西ドイツは、アメリカの核兵器を国内に持ち込みたいと考え、ソ連がSS-20を配備した時に、上限150発に限ってアメリカの核弾頭を自由に使用できる「核シェアリング」を認めさせています。結果として、ドイツは核兵器を保有しているのです。

 以上、見てきました。政府は、いくら予算がかかろうと、国民の安全を脅かそうと、この(核燃料サイクルと言う)国策を続け、日本の安全保障を担保しようと考えています。しかし、核燃料サイクルは破綻し、軍用プルトニウムは製造できません。ドイツのように150発もの自由に使用できる核兵器も持っていません。日本は丸腰なのでしょうか。

 原発は平和利用ではなく、核燃料サイクルを前提とした軍事利用であることを国民に明確にし、日本の安全保障を担保するにはどうすべきかを、政府は国民に問う必要があります。日本の原子力、安全保障に関する戦略を国民に示すべきです。報道は、この問題点を明確にして国民に問いかける義務があり、国民は知る権利があります。

 私は、中国の脅威が現実化する中で、「非核3原則」の「持ち込まず」を削除して、核兵器を所有すべきだと考えます。この場合、近隣国に対して、無用の刺激を与えるかもしれません。

 ドイツ以外の核兵器を持たない国の軍事戦略も参考にすべきですが、政府は丸腰で戦う外交力を持てるでしょうか。

 軍事目的としての核燃料サイクルなど、「張子の虎」であり、「竹光」であり、「絵に描いた餅」だとも思います。

 関連記事(ものぐさ エネルギーの安全保障にもならない日本の原発)。

 (注1) ウランは、核分裂するウラン235(ウラン中の含量0.7%)と核分裂しないウラン238(99.3%)からなります。ウラン238に高速中性子を衝突させてプルトニウム239を生成する装置が高速増殖炉であり、純度98%のプルトニウム239が炉心のブランケット内に生成されます。原爆製造に必要な純度93%より遙かに高い純度です。

  

« 原子力規制委員会は中立か | トップページ | 本当 原発ゼロで電気料金2倍の3万2243円 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 原子力規制委員会は中立か | トップページ | 本当 原発ゼロで電気料金2倍の3万2243円 »