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2012年10月11日 (木)

大間原発の危険性

 9/28、政府は大間原発の建設工事(進捗率 37.6%)を年内にも再開する方針を固めました。経産相は、「建設途上のものは原則の外側にある」として、再開を容認しました。

 9/14、政府は原発ゼロ政策の骨子の1つとして「原発の新増設はしない」と発表したばかりです(ものぐさ どう見る 民主党原発政策)。2030年に「原発ゼロ」とする方針と矛盾します。

 民主党の2枚舌、3枚舌には辟易していますが、より危険性の高いとされる大間原発の工事を何故再開するのでしょう。下北半島の海底には、活断層の存在が指摘されており(ものぐさ 原発直下の活断層)、大間原発は危険極まりない原発です。この危険な立地場所で、更に危険な「フルMOX燃料」によるプルサーマル発電をしようとしています。では、見てみましょう。

 プルトニウムの処理に困った政府は、ウラン燃料用に設計された原発に1/3程度のMOX燃料を装荷し、燃やしてしまおうと考えました。これがプルサーマル発電計画です(全17基・・・下記参照)。

 装荷1/3の原発でも危険であるのに、燃料の全てをMOX燃料としたプルサーマル発電を大間で運転しようとしています(国内唯一のフルMOX発電所)。使用済み核燃料から再処理されたプルトニウムを燃やすための原発です。政府は、「フルMOX燃料」用に原子炉を改良したとしていますが、果たして安全性でしょうか。推進派の言い分を検証します。

1 ウラン燃料とMOX燃料の燃焼 

 ウラン燃料は、最初はウランのみが燃焼(核分裂)しますが、時間の経過とともに、燃料中にプルトニウムが生成され、このプルトニウムが燃焼するようになります。最終的には発電で得られるエネルギーの約3分の1はプルトニウムによって得られます。一方、MOX燃料の場合には、最初から主としてプルトニウムが燃焼します。したがって、原子炉内全体を見ると、ウラン炉心でもMOX炉心でもウランとプルトニウムが混在した状態で燃焼することに変わりはありません。

 (反論) ウラン燃料でも、プルトニウムが燃焼しているから、危険度は、MOX燃料によるプルサーマル発電と何ら変わらないと言ってます。

 ウランの燃焼により生じたプルトニウムは燃料棒内に均一に存在しています。 ところが、プルサーマル発電では、使用されるMOX燃料は原子炉内に均一に存在しているのではなく、ウラン燃料とMOX燃料はまだら模様に原子炉内に配置されています。原子炉全体にMOX燃料やプルトニウムが均一に存在しているわけではありません。ここが大きな違いです。

 ウランやプルトニウムは熱中性子を吸収することにより核分裂がおきます。MOX燃料はウラン燃料に比べて20倍も熱中性子の吸収力が大きく、核分裂反応も強い。この性質により、燃え方にムラが生じ、良く燃える燃料棒が過熱・破損しやすくなります。燃え方を均一にするための対策が採られているが、ウラン燃料ほど均一に燃焼しません。

2 フルMOX炉心の燃焼

 プルトニウムはウランに比べて中性子を吸収しやすいことから、MOX炉心は、ウラン炉心に比べて相対的に制御材(ほう酸水、制御棒)に吸収される中性子が少なくなり、制御材の効きが低下する傾向があります。また、MOX炉心では異常発生時の圧力上昇が大きくなる傾向があります。これらの特性を勘案し、設備上の設計対応として「ほう酸水注入系容量を増加する」ほか、設計余裕を増すために「一部の制御棒(ボロンカーバイド型)の中性子吸収効果を高め」、また「主蒸気逃がし安全弁の容量を増加」し、ウラン炉心同様、十分な安全性を確保します。

(反論) 原子炉を停止するには、燃料間に制御棒を挿入する必要があります。この制御棒の挿入により熱中性子の数が減少し、原子炉は停止します。

 熱中性子を多く吸収する性質をもったMOX燃料の周辺では熱中性子の量が少なくなります。そのため、緊急停止等、熱中性子を吸収して核分裂を停止させる制御棒を挿入しても、停止機能が遅れます。100万分の1秒単位で、出力上昇する可能性のある原発では、わずかな停止の遅れも致命的な状態を引き起こす可能性があります。

 地震で原子炉が揺すぶられると、燃料の表面にある泡(ボイド)がいっせいに流れ出し、そのために出力が急上昇する性質もあります。

 ほう酸水の増加等の対策を採らざるを得ないことが、装置の不安定さを物語っています。

3 段階的なMOX燃料の装荷

 初めに、3分の1程度のMOX燃料を装荷し、運転開始後5年から10年程度かけて段階的に全炉心までMOX燃料の装荷割合を増やしていきます。

 (反論) 従来の原発では、運転中のプルトニウムは、最大でも1%程度です。日本では、(装荷率1/3の原発で)プルトニウム含有率が最大13%(注1)という「世界で経験のない高濃度」で運転します。未知のMOX燃料を、試験もせずにいきなり商業利用で使うのが日本のプルサーマル発電です。大間原発では、高含有率のプルトニウムを炉心全部に装荷するのです。

4 MOX燃料の使用実績

 海外では、プルサーマルは早くから実施されており、フランス、ドイツ、ベルギーなどの欧州を中心とする各国で約40年にわたり、6,350体(2008年12月末現在)のMOX燃料が問題なく使用されています。日本では、これまでに軽水炉で合計6体のMOX燃料を使用し、燃料の健全性等に問題がなかったことが確認されています。

 (反論) 試験も含め過去40年間世界中で使われたMOX燃料の合計数だけを根拠にしているに過ぎません。ドイツ・スイス・ベルギーでは、抽出済みのプルトニウムの在庫を燃やしたらプルサーマル発電を終了します。今後も再処理を行ってプルトニウムを抽出し、積極的にプルサーマル発電を続けようとしているのはフランスだけとなっています。日本の使用実績が6体と言うのもあまりにも少ない。

 未知のMOX燃料を、試験もせずにいきなり商業利用で使うのが日本のプルサーマル発電です。

 以上見てきました。如何に、プルサーマル発電が危険かと言うことがわかります。プルサーマル発電は根源的な危険性を持っており、その危険性を極力低下するために数々の対策が採られているのです。過酷事故が起き、その対策が効を奏しなかった場合、原子炉は爆発し、放射能がばら撒かれます。しかも、MOX燃料の放出する放射能の毒性は、ウラン燃料に比べて、α線で15万倍、中性子線で1万倍、γ線で20倍です。

 現在の軽水炉でプルサーマル発電を計画しているのは17基(大間原発含む)、導入されたのは4基です。4/12、内閣府原子力委員会・小委員会の後の「秘密会議」では、「10基程度の運転でプルトニウムは処理できる」との発言がありました。それならば、大間原発は不要です。

・ 導入済みのプルサーマル発電・・・4基

 玄海原発3号機(2009年運転開始)。福島第一原発3号機(2010年運転開始)。伊方原発3号機(2010年運転開始)。高浜原発3号機(2010年運転開始)。

・ 合意のとれているプルサーマル発電・・・5基

 浜岡原発4号機。高浜原発4号機。島根原発2号機。泊原発3号機。女川原発3号機。

 9/25、経産相は電力会社に対して、未着工の建設計画(注2)の自主的な撤回を促す姿勢を示しているが、どうなることやら。

(注1) 実証例は6.4%で試験炉でのデータに過ぎない。国内では3%。国内外3ヶ所と敦賀原発1号機の少数体試験の結果を使って実証したもの。敦賀原発1号機で試験されたMOX燃料は安全のため中心部に穴を開けており、穴のない燃料とは全く異なり、実証の役に立っていない。燃焼度の最も高い試験では、燃料棒が破損し、その破損形態はウラン燃料に見られないものだった(フランス)。

(注2) 敦賀原発3、4号機。浪江・小高原発。東通原発2号機(東北電力)。東通原発2号機(東京電力)。浜岡原発6号機。上関原発1、2号機。川内原発3号機。

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