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2012年10月21日 (日)

浜岡原発県民投票条例 県議会否決

 5/13~7/11の2ヶ月にわたり、「浜岡原発再稼動の是非を問う県民投票条例」の制定を求める署名活動が行なわれました。受任者(署名活動をする人)8,229名、署名数(8/16現在)178,240名、有効署名数165,127名で、条例制定の規準となる62,000名の3倍弱を集めることができました。

 この結果を受け、「原発県民投票静岡」は、知事に署名簿と条例案を提出しました。県議会は、原案と修正案(有志議員による提出)を共に否決し、住民投票は実現しませんでした。原案は、賛成0、反対64、有志議員による修正案は、賛成17、反対48でした。

 ここで、原案において、不備と指摘された部分と、その修正案を記しておきます。

(原案)

・ 投票年齢は18歳以上。

・ 条例の施行日から6ヶ月以内の投票。

・ 市町に義務づけられていない投開票事務への協力を求めている。

(修正案)

・ 投票年齢は20歳以上。

・ 中電の安全対策が終わり、国が浜岡原発の再稼動の検討を開始た時に知事が実施する。

・ 市町が1つでも投開票事務を受託しないと決めた場合、県民投票は実施しない。

・ 県全体の投票率が50%未満の場合は開票しない。 

 福島原発事故以降、原発周辺の多くの市町が原発反対の決議等(ものぐさ 浜岡原発周辺自治体の動き 12/26)をしているにも関わらず、県議会の動きは鈍く、市民団体から提出された「永久停止・廃炉を求める」意見書を県議会は不採択とし、旗色を明確にしませんでした。その頃から、県議会は「何かおかしい」と感じていましたが、案の定、県議会は条例案を否決しました。原発推進の立場なのでしょうか。県議会議員には、切実な県民の声が届いていないのでしょうか。市町民の思いとあまりにも乖離しています。県民のための県議会議員ではないのですか。

 条例案に反対した県議会には、それなりの理由があるはずです。報道による情報から、その言い分を見てみます。結論から言うと、その理由は、説得力がなく、訳のわからない言葉の羅列でした。国や政府の意向ばかりを気にし、県民の声に耳を傾けず、本心は原発推進のようです。

1 再稼動するには極めて専門的な知識が必要で、(判断を)多くの住民に求めるのは適当でない。・・・御前崎市

(反論) 福島原発事故以降、マスコミや事故調査委員会は多くの報道をしています。県民が判断できる情報は開示されています。県民投票の実施にあたって、県民が再稼動の是非を判断できるように、第三者の作成した「賛成・反対論」の見解が開示されるとも聞いています。政府は討論型世論調査を実施し、同時に、国民の意見を広く聞くためパブリックコメントも募集しました(ものぐさ エネルギー・環境会議 3つのシナリオ)。 

 原発問題は、技術論だけで解決できるのでしょうか。政府も「原発に絶対安全はない」と認めています。県民の素直な感覚も尊重されるべきです(ものぐさ 原発再稼動の是非 倫理委員会を設立せよ)。

 この辺で、率直な県民の声を聴くことに、何か問題があるのでしょうか。

2 県議の中で原発に関する議論が不十分であったとの反省はある。党として議員連盟設立を提案する。・・・自民党

(反論) 原発事故から1年半以上経過しています。多くの市町議会は浜岡原発に対する決議を可決しています。県議会は職務怠慢です。「議員連盟設立」は、条例案を否決したことに対する県民への言い訳・ごまかしのように聞こえます。

3 会派の考えが同じ方向を向いていることがわかった。・・・自民改革会議

(反論) 「県議会議員のほぼすべてが、原発推進の方向で安心した」と言うことでしょうか。「赤信号、みんなで渡れば怖くない」をもじって、「条例案、みんなで否決、怖くない」。

4 修正案を持ち出すことで県民の気持ちに沿うことができた。・・・公明党

(反論) 「市町が1つでも投開票事務を受託しないと決めた場合は県民投票を実施しない」とした修正案では、県民投票の実施は困難です。御前崎市やいくつかの市町は、「投開票事務」を受託しない可能性があります。そうすれば、県民投票は実施できません。修正案はアリバイ作りのようにしか見えません。

5 国家の基本政策である原子力行政の一端を県民投票で問うことは適当でない。・・・自民党

(反論) デンマーク(ものぐさ 原発で幸せになるか)は国民投票を実施し、その結果を受けて、政府は原発推進をあきらめました。リトアニア、イタリアア、スイスでも実施したと聞いています。地震の多い日本で原発推進を国策としたことに、国民は疑問を持ったのです。

6 18~19才は選挙人名簿に登録がなく、事務作業が膨大になる(原案に対する否決理由)。・・・全県議

(反論) 住民基本台帳があります。そんなに難しいことでしょうか。そのほかに工夫はないのでしょうか。やる気の問題です

7 既に浜岡の運転は停止している。10億円以上の費用をかけてやる必要があるのか。・・・自民改革会議(採決前)

(反論) 来年の県知事選と同時に実施すれば、問題はないでしょう。

8 再稼動の議論は13年度末の津波対策工事が完了してから。・・・民主党・ふじのくに県議団(採決前)

(反論) 中電は、18mの防潮堤の見学会を実施したり、広報誌でその安全性を強調しています。津波対策工事の完了まで県民投票を待つ理由がどこにあるのでしょうか。それこそ先送りです。

9 会派が割れないための最大公約数が原案否決と修正案の不提出だ。・・・ベテラン県議(採決前)

(反論) 誰のための県議会議員なのでしょうか。党利党略が県議会でも行なわれています。

10 修正案を提出しない。・・・自民党・民主党ふじのくに県議団(採決前)

(反論) 9項と同じ。

11 修正案は原案とかけ離れている。投票期日がはっきりしないような条例案には反対。・・・自民党(採決前)

(反論) 修正案に対する難癖のように感じます。条例案に署名した県民の思いを斟酌してください。間接民主主義が機能していません。県民は自らの意思を県議会に示したいのです。枝葉末節的な発言は、反対するための口実にしか聞こえません。

12 条例案の不備を指摘。・・・自民党改革会議・民主党ふじのくに県議団(採決前)

(反論) 11項と同じ。

13 原子力規制委員会の検証作業が必要で、安全性が判断できない状況だ。投票実施は困難。・・・自民党改革会議(採決前)

(反論) 福島原発の状況を見てください。検証作業は不可能です。同委員会の検証作業や安全基準の策定とは別個のものであると考えます。原発に関して、県民が判断できる様々な意見が出ています。

14 署名をした16万人に条文を十分に伝えきれていない。署名者の意向が十分反映された条例案でない。・・・民主党ふじのくに県議団(採決前)

(反論) 署名した人には条例案(原案)を明示し、その趣旨は十分伝えているはずです。十分伝えるには逆にどうすればいいのでしょうか。修正案に言及しているのであれば、反論は11項と同じです。

 「採決は、無記名投票。その理由として、個々の議員には事情がある。それぞれの意見を尊重しやすい環境を作るための配慮だ。条例案に反対を表明することへのためらいが個々の議員にあり、無記名投票は反対しやすくするための配慮だ」とも言っています。何故、(記名投票をして)正々堂々とその意思を県民に示すことができないのでしょか。

 「原発県民投票静岡」の代表は、「理由に説得力がなく、議会の形骸化だ」と述べています。正にその通りです。

 最終的な判断は県民がすべきではないでしょうか。なぜなら、事故が起こってしまった場合の結果は、県民が受け入れざるを得ないからです。

 県のマニュアルには、「条例制定案は完全である必要はなく、立法技術上の多少の不備は問わない」とあります。何故、法整備の問題だけに終始し、署名した県民の趣旨を理解しないのでしょうか。むしろ、県民の意志を(投票により)明確化したくないために、法整備を問題とし、条例案の否決に回ったとしか考えられません。県民に対して不誠実です。県民のための議員ではありません。

 政治家、電力会社、経済界からの圧力がかかり、各議員の体に毒が回ったのでしょうか。10/11、JA全中は、「脱原発」を決議し、太陽光発電等の導入や省エネルギーに取り組む姿勢を明確にしました。JA全中は、全国に709組合、組合員数949万人です。脱原発に向けて、大きなうねりのようなものを感じます。

 同代表は、「このままでは、県民の願いが空しいものになる。12月定例議会で、知事が条例案を(新たに)提案することを強く要望する」と述べています。

 

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