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2012年11月 1日 (木)

米原子力規制委員会(NRC)にみる原発再稼動の責任

 映画「東京原発」で、「国のやることに責任者などいない」と言っています(ものぐさ 面白いぜ 映画「東京原発」)。原発再稼動に対する責任は、今後、誰が負うのでしょうか。まさか、映画と同じように誰も責任を負わず、ウヤムヤとなってしまうのでしょうか。

 再稼働に関して関係者は次のように言っています。

1 政府

・ 電力会社が地元責任の説明を負う(経産相)。

 この政府見解は、「説明を受けた地元自治体が(再稼動について)責任をもって判断する」と言うことでしょうか。

・ 再稼動は、規制委員会が安全基準に基づいて判断するのがルール(首相)。

・ 原発の安全性について、(規制委員会)のゴーサインが出て、自治体の理解が得られれば、電源として活用する(経産相)。

・ 規制委員会が安全性を判断する以上、内閣の誰かが、「この原発は安全だ」と説明することはできない。

2 原子力規制委員会

・ 原発運転の是非は、社会的、政治的判断を伴う。規制委員会が再稼動を認めた原発を動かすかどうかは、政府、政治の問題だ(ものぐさ 原子力規制委員会 安全基準の策定 その1)。

・ 政治からの独立性を緩めれば基盤が崩れ、規制と推進を分けた意味がなくなる。政治に配慮し、信頼を失った保安院の二の舞にならないとの決意の表れだ。

・ 規制委員会は、原発の安全性を専門的に判断する権限しかなく、再稼動の是非を判断しない。

3 地元自治体

・ 原子力規制委員会が安全性を確認した原発の再稼動について、国が責任をもって対応する必要がある。・・・柏崎市長(10/18)

・ 規制委員会と政府が再稼働についてキャッチボールをしている。・・・北海道知事

・ 再稼動には政府の判断が必要・・・北海道、青森、宮城、茨城、静岡、石川、島根、愛媛、滋賀、京都、福岡、長崎の12府県知事

4 識者

・ 再稼動などで政治的判断に左右されないのは当然だ。・・・原子力資料情報室

・ 欧米では議会が規制機関を監視、監督している。・・・国会事故調査委員長

・ 意思決定の権限を明確にしておくことが重要。・・・米原子力規制委員

 以上見るように、どこも責任を取ろうとしていません。「政府が、再稼動の決定をすべきだ」との論調が目立ちますが、政治的な判断だとの理由で、なし崩し的な再稼動が行なわれるのではないかと心配します。大飯原発は、(安全性の根拠もなく)政治的判断で再稼動してしまいました。

 過日、米原子力規制委員会は、「使用済み核燃料の保管について問題があるため、規則が見直されるまで原発の新設や既存施設の運転期間延長を認めない」との決定をしています。この記事が、「米原子力規制委員会についての調査」の発端でした。日米原子力規制委員会の目的・職務について比較し、原子力規制委員会の権限は、どこまで及ぶのか考えて見ます。

 日本原子力規制委員会は、国家行政組織法3条に基づいて設置される行政委員会(3条委員会)です。環境省の外局として位置づけられ、委員長及び4名の委員による合議制を取っています。政治的中立性が求められる課題を扱うため、「庁」と同格の独立性の高い組織とされ、独自に行政処分なども下せます。内閣府の外局の公正取引委員会や国家公安委員会、厚生労働省の外局の中央労働委員会などがこれにあたります。

 それでは、日本原子力規制委員会の目的や所掌事務(注1)を見てみます。長くなるので、再稼動の部分のみ探してみます。

 残念ながら、見当たりません。しいて言えば、第四条一項「原子力利用における安全の確保に関すること」と「法律に基づき、原子力規制委員会に属させられた事務」程度です。これでは、再稼動の責任がどこにあるのかわかりません。原子力規制委員会の権限が明示されていないのが致命傷です。

 次に、米原子力規制委員会の目的や所掌事務(注2)を見てみます。長くなるので、再稼動の部分のみ探してみます。

 「既存の原子炉の安全性に関する検査、既存の原子炉の運転許可の更新」が再稼動の部分に該当します。米原子力規制委員会が再稼動を許可し、責任を負うとしています。

 両者を比べてください。日本の原子力委員会は「具体的に何をするのか」全く記述されていません。「安全を確保」するために何をするのか書かれていません。情けない。似て非なるものです。就任直後の同委員長の勇ましい再稼動発言(ものぐさ 原子力規制委員会 安全基準の策定 その1)はどの規定に該当するのでしょう。

 これに対し、米原子力安全委員会の職務は具体的に規定され、許認可の権限も与えられています。

 日本政府が再稼動の是非を決定するのではなく、法律の不備な部分を改定してでも、日本原子力規制委員会が再稼動の是非を決定すべきです。そして、今後発生した原発事故の全ての責任を原子力規制委員会が負うべきであると考えます。

                                                  

(注1) 日本の原子力規制委員会設置法・・・詳しくは条文を読んでください。

(目的)
第一条  この法律は、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的とする。

(任務)

第三条  原子力規制委員会は、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資するため、原子力利用における安全の確保を図ること等を任務とする。

(所掌事務)

第四条  原子力規制委員会は、前条の任務を達成するため、次に掲げる事務をつかさどる。
 原子力利用における安全の確保に関すること。
 原子力に係る製錬、加工、貯蔵、再処理及び廃棄の事業並びに原子炉に関する規制その他これらに関する安全の確保に関すること。
 核原料物質及び核燃料物質の使用に関する規制その他これらに関する安全の確保に関すること。
 国際約束に基づく保障措置の実施のための規制その他の原子力の平和的利用の確保のための規制に関すること。
 放射線による障害の防止に関すること。
 放射性物質又は放射線の水準の監視及び測定に関する基本的な方針の策定及び推進並びに関係行政機関の経費の配分計画に関すること。
 放射能水準の把握のための監視及び測定に関すること。
 原子力利用における安全の確保に関する研究者及び技術者の養成及び訓練に関すること。
 核燃料物質その他の放射性物質の防護に関する関係行政機関の事務の調整に関すること。
 「原子力事故」の原因及び原子力事故により発生した被害の原因を究明するための調査に関すること。
十一  所掌事務に係る国際協力に関すること。
十二  前各号に掲げる事務を行うため必要な調査及び研究を行うこと。
十三  前各号に掲げるもののほか、法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき、原子力規制委員会に属させられた事務
                                                  
                                                                        
(注2) アメリカ合衆国原子力規制委員会(NRC)・・・国立国会図書館調査から

(目的)

 放射線による被害から公衆の健康と安全及び、環境を守ることである。主要な規制の対象は、民生用の原子炉(商用原子炉と研究用原子炉等)、核燃料サイクル施設、核物質(原子炉で利用される核物質、研究用・医療用・工業用核物質等)、放射性廃棄物等である。これらに対して、安全基準や規則の制定、許認可、基準等が遵守されているかの監視や検査を行う。

(主要な業務)

・ 原子炉の新設の際の、設計、立地、建設、運転の許認可、ウラン濃縮施設等のその他の原子力施設に対する同様の許認可
・ 既存の原子炉の安全性に関する検査、既存の原子炉の運転許可の更新
・ 各種使用目的の核物質の保有、利用、処理、輸出入の許可や監視
・ NRC の管轄下にある低レベル放射性廃棄物処理施設の建設や運営の許可、高レベル放射性廃棄物貯蔵施設の建設や運営の許可
・ 低レベル放射性廃棄物及び高レベル放射性廃棄物の管理
・ 安全性等に関する規則や基準の制定と施行
・ 業務に関連する調査・研究等

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