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2012年11月18日 (日)

浜岡原発訴訟 傍聴記(構造の欠陥と海水流入 取水塔 アスペリティー) その3

 10/25、静岡地方裁判所で行なわれた浜岡原発訴訟の第六回口頭弁論を傍聴しました。第五回(ものぐさ 浜岡原発訴訟 傍聴記 その2)に続き3回目です。

 朝、10時05分までに裁判所に集合し、行列に並びました。定員オーバーした場合には抽選です。一般傍聴席44人に対し、希望者は22人。全員が入廷できました。

 向かって左に原告、右が被告(中電)です。それぞれ10人程度の物々しさです。一般傍聴22人、裁判官3人です。報道関係者も20数人います。

 10時30分に開廷です。全員起立、着席。

 裁判内容については、裁判後の記者会見で配布された「準備書面5」に詳しく書かれているので省略します。

 「準備書面5」は、以下の指摘をしています。

1 5号機の構造的な問題

 5号機は改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)であり、従来の軽水炉に比べて数々の改良等が行なわれています。原告は、その改良部分の欠点を以下指摘しています。

・ 冷却用再循環ポンプにインターナルポンプを採用しているが、原子炉内部に位置し、点検や交換が極めて困難である。

・ ポンプ内の部品が応力腐食割れ等で破損した場合、配管や燃料棒の破損等壊滅的な被害となる。

・ 制御棒の駆動には、従来の水圧駆動に加えて電動駆動方式を併用しているが、構造が複雑となり、故障の可能性が増大する。

・ 鉄筋コンクリート製の原子炉格納容器を採用しており、重心が低く、耐震性が向上するとしているが、機密性を保持するための鋼鉄製ライナーは厚さ10mmに満たなく、地震・高熱の影響や腐食によって損壊する可能性がある。

2 5号機の海水流入

 福島原発事故では全ての電源が喪失し、原子炉冷却機能が失われ、炉心冷却のため政府は海水注入を指示しました。この期に及んでも、東電は海水注入を躊躇しました。その理由は、原子炉内部が海水により腐食し、廃炉が決定的となるためです。

 浜岡原発5号機においても、原子炉減圧操作中、主復水器の細管が幅14cm、深さ70cmの範囲で43本が損傷し、2本が変形したことにより、海水(原子炉施設内に400t、原子炉内に5t)が流入するという事故が発生しました。海水流入による錆の問題が指摘されています。

・ 海水流入によりステンレスが腐食している。平均的な肉厚は減少していないにも関わらず、1箇所または複数個所で針穴状に侵食が深く進むという特徴をステンレスは持っている。

・ 塩化物イオンの存在下で、応力腐食割れ(特定の腐食環境でひび割れを伴いながら腐食する現象)のリスクが増大する。

・ 制御棒駆動機構、冷却材再循環ポンプ等、腐食を原因とすると思われる茶褐色の付着物が生成されている。復水貯蔵槽においては、腐食孔40箇所、うち11箇所については、孔が貫通している。点検ができない部分の健全性の確保の目途はたっていない。

3 取水塔の欠陥

 沖合い600mから、トンネルを介して冷却用海水を取り込んでいます。海洋構造物であるという性質上、津波等による損壊リスクが問題となります。取水塔の損傷もしくは取水口の閉塞時には、冷却機能喪失により炉心損傷に至る可能性が指摘されています。

・ 19mの津波が到来した場合、取水塔の機能喪失や全交流電源喪失に起因する炉心損傷を引き起こす可能性は極めて高く、原子力安全基盤機構(JNES)の報告によればその確率は100%である。

4 アスペリティー(一部、東京高裁資料等より)

 アスペリティーは、震源域の中で大きくずれ、大きな揺れを起こす地震波が出ると考えられる部分を指します。断層面で通常は強く固着しているが、地震時に大きくずれ動く領域です。

 もともと、シュミュレーションのための便宜上の概念であり、誰も見たことはありません。東海地震が起きてみなければ、アスピリティーの位置はわかりません。

・ 平成13年8月、中央防災会議は、想定東海地震の震度分布を発表。このモデルでは興津川上流をアスペリティー直上地域とし、工学的基盤(注1)の最大加速度は895.9ガル。

・ この地点の加速度応答スペクトルは、原子炉施設の固有周期が集中する0.1~0.5秒の領域で、中電の想定(S1:1500ガル S2:2000ガル 注2)を上回る3500ガル。

・ 最大加速度が興津川上流になったのは、そこにアスペリティーを置いたからである。

・ 上記中央防災会議の試算は、東海地震(M8)を想定したものであり、東南海地震(M9)を想定したものではない。

・ 浜岡原発直下にアスペリティーを設定し、加速度応答スペクトルを計算すべきである。M9の東南海地震を想定すれば、さらに大きな加速度応答スペクトルとなる。

(注1) 「工学的基盤」とは、地表近くの柔らかい堆積層を取り除いた状態の基盤を指し、最終的な揺れの強弱は地表近くの堆積層で増幅され、その程度は堆積層の柔らかさや厚さで異なります。

(注2) S1は、地震で変形しても、地震後は元に戻る加速度。S2は、地震後の変形は残るが機能は失わない「粘り」を有する加速度。

 

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