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2012年11月 5日 (月)

放射能拡散 30km圏内は7日で100ミリシーベルト

 10/24、原子力規制委員会は、福島原発事故と同様の過酷事故が起きたときの緊急避難範囲を公表しました。同委員会は、この予測を各自治体の防災計画に役立てて欲しいとし、避難先の確保や避難手段の計画を要請しています。これが決まらなければ、原発の再稼動ができないとも言われています。この計画策定が再稼動の口実とならないことを祈るばかりです。

 全ての原子炉が溶融した場合、原発から30km前後の住民は、7日間で100ミリシーベルトも被曝します。たった7日間で、一生分の被爆量です。年間被爆量に換算すると、5214ミリシーベルトになります。

 昨年末、政府は被爆線量に応じた三つの区域を設定しました。三区分は、年20ミリシーベルト未満の「避難指示解除準備区域」、年20ミリシーベルト以上50ミリシーベルト未満の「居住制限区域」、年50ミリシーベルト以上の「帰還困難区域」です(ものぐさ 帰還困難区域指定より除染計画だろうが)。この区分によれば、年50ミリシーベルトの地域は故郷を捨てることになります。改めて、100ミリシーベルトと言う数値に驚かされます。

 今回の拡散予測は、各原発立地地点における平均的な年間気象条件下で、どの方向にどれだけの放射能が飛散しやすいかを計算したものです。山岳地などの地形の影響を考慮してない上、放射性物質は放出時の風向き、風速で一方向に飛散していくという単純化した仮定であり、信頼性には限界があります。

 全ての原子炉が溶融した場合、「帰還困難区域」はどこまで広がるのでしょうか。気になるところです。同委員会は、早急に試算して欲しいものです。

 そこで、素人なりに試算してみます。空間線量は一定の比率(比例とは限らない)で減少します。原発から遠いところほど空間線量は小さくなります。福島周辺の年間空間線量の実際を下表に示します(文科省 11/5のデータ)。この数値は、どのような法則で減少しているのでしょう。一般に、①距離の2乗に反比例して減少する場合と、②指数関数的に減少する場合が考えられます。両方を比較した結果、指数関数的に減少する方が、実際に即しているようでした。指数関数モデルによる試算結果も下表に示します。

原発からの距離(km)              20   26  33  40  46  53  60  66   

福島周辺の年間空間線量          166   83  83  33  16  16  8.7  8.7

指数関数モデルによる年間空間線量    160   96  51   28  16  8.3  4.5  4.5

 指数関数モデル式を導いてみます。ここで、原発からの距離をr、放射能拡散定数(空間線量減少割合)をL、原発立地点の空間線量をSv0、距離rの空間線量をSvとすると、以下のようになります。

 Sv=Sv0×exp(-r/L)      (1)

 LogSv=LogSv0ーr/2.3L    (2)

 20km地点の空間線量166ミリシーベルト、46km地点の空間線量16ミリシーベルトを(2)式に代入すると、

 LogSv0=3              (3)

 L=11.11                (4)

となり、Sv0とLは決定しました。これを(2)式に代入すると、

 LogSv=3-r/25.55       (5)

となり、距離rの空間線量Svは、(5)式で算出できます。指数関数モデルにより計算した結果が福島周辺の年間空間線量と一致しているので、放射能拡散係数は、L=11.11となります。

 さて、本題に入ります。7日間の累積被爆量が100ミリシーベルトの地点の年間空間線量はSv0=5241ミリシーベルトであるので、これを(2)式に代入すると、

 LogSv=3.719ーr/25.55    (6)

となります。(6)式で、距離r(r=0は7日間の累積被爆量が100ミリシーベルトの地点)における年間空間線量を求めると、下記のようになります。

r=0からの距離(km)        0       20     40      60     

距離rの年間空間線量     5237     800    141   23.5 

よって、年間50ミリシーベルトの距離rは40~60kmの間となります。以下、r=50kmとします。

 浜岡原発の場合、同委員会の数値は東に30.9km、西に30.2kmであるので、年50ミリシーベルト以上の「帰還困難区域」となる地点は、原発から東は80.9(50+30.9)km、西は80.2(50+30.2)kmとなります。東は沼津市、西は豊川市にまで及びます。この地域の住民は故郷を捨てることになります。

 直感としても、違和感がないように感じます。 

 拙い数学の知識から試算したので、放射能拡散定数等間違いがあるかも知れません。間違っていたら指摘してください。再稼動の判断をする前に、このような試算を同委員会が明らかにすることを希望します。

 

 

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