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2012年12月

2012年12月 6日 (木)

脱原発を拒むもの

 脱原発反対派は、電気料金の高騰、それに伴う産業の空洞化や企業倒産を懸念し、原発維持を主張し、脱原発派は、真っ向からそれを否定しています。原発推進の根底には電気料金の高騰等以上の問題が存在すると言われています。 

 報道によれば、政府関係者は以下の問題を指摘しています。カッコ内は(ものぐさ)の勝手なコメントです。

1 日本が原発ゼロにかじを切れば、石油や天然ガスの高騰を招き、中国やロシアなどが一層、原発への傾注を深める。

 (ものぐさ) 石油や天然ガスの高騰を招くでしょうか。アメリカでは大量のシェールガスが産出し、全世界の埋蔵量は400年分もあるといわれています(ものぐさ 脱原発はシェールガスとメタンハイドレードで)。

2 福島原発事故前から米日欧の原子力産業は斜陽化していた。今後、中国やロシアが原子力技術で優位に立ち、米日欧が主導してきた国際的な核管理体制が揺らぐ。日本がその連携から離脱すれば、米国の核政策が崩れる。

 (ものぐさ) 早晩、世界の原子力産業は斜陽化するでしょう。ウランは、利用できるエネルギー量換算で石油の数分の一、石炭の数十分の一しか地球上に存在しません。石油よりかなり早くウランは枯渇します。今後の核管理体制は廃炉産業に向かい、炉技術力を持つものが、今後の核管理体制を主導していくでしょう。

3 原発事業を主導してきたGEは日立と統合し、ウェスチングハウスは東芝の傘下にある。米国の原子力産業は日本に依存している。

 (ものぐさ) そこまで重要な原子力事業を、米国は何故日本に明け渡したのでしょうか。欧州もしかりです。原子力産業の展望が見えないからでしょう。米国は決して軍事機密を明らかにせず、世界最大の軍事力を擁しています。重要であれば、決して明け渡すものではありません。日本は利用されているようにしか思えません。

4 日米原子力協定は18年に改定時期を迎える。1~2年以内に改定交渉をする必要があり、核不拡散に最大の関心を払う米国が利用計画のないプルトニウム保有を認めることはない(ものぐさ 日本が怯える日米原子力協定)。

 (ものぐさ) 核燃料サイクルは破綻し、再処理できないプルトニウムは増加し続けます。米国も日本の核燃料サイクルの破綻はお見通しです。建前だけの協定のような気がします。核不拡散が心配なら、米国は日米原子力協定12条に基づき、さっさと核分裂生成物を回収すれば済むことです。

 これには、唖然としました。米国の都合で日本の原発政策が左右されています。米国の壁に跳ね返されて、民主党は2030年代原発ゼロの閣議決定を断念し、原発政策は腰砕けになりました。政府は日本国民のために存在するのでしょうか。それとも米国民のために存在するのでしょうか。この状況を打破できない限り、脱原発は不可能です。

 冒頭に書いた脱原発反対派のもっともらしい主張は、米国のご都合主義を隠蔽するための隠れ蓑のような気がしてなりません。そして、自民党も一部の民主党の政治家も日本国民の悲痛な「お願い」に耳を傾けず、原発推進を主張しています。そこには、米国のご都合主義に対抗する日本の戦略も外交努力も見えてきません。このような背景がある限り、原子力規制委員会の定義する新安全基準は都合よく解釈され、原発再稼動は強行されるのでしょう。あたかも暫定基準で安全性が確保されたとして大飯原発が再稼動したように(ものぐさ 野田首相 大飯原発再稼動決定)。日本の政治家はこんな程度かと悲しくなります。方針転換できない状況は、太平洋戦争に突入していった時代と重なって見えます(ものぐさ 太平洋戦争と原発)。

 願わくば、米国の壁や国際上の問題を明らかにし、それらを解決する行程表を国民に明示して欲しいものです。

 

 

2012年12月19日 (水)

敦賀原発 活断層調査

 原発敷地内において、活断層の可能性が否定できず、再調査を指示されている原発が相次いでいます(ものぐさ 原発直下の活断層)。活断層の評価も、原子力規制委員会の本気度を問う試金石です。国民は注視しています。玉虫色の結論になっては困ります。

 大飯原発の活断層については、(ものぐさ 大飯原発 活断層調査)に詳しく記述しました。「明らかに活断層」、「先走って活断層との結論を出すのは危険」と専門家の意見は真っ二つとなりました。活断層の疑いが指摘されている問題で、関電は来年2月までの追加調査計画を原子力規制委員会に提出しました。焦点の破砕帯が想定した場所で見つからず、違う位置にある可能性が高まり、同委員会は関電に追加調査を指示したのです。再稼動したままでの先送り戦術のように見えますが、今後の調査内容に注目していきます。

 今回は、敦賀原発の活断層の調査内容を見てみます。

 同原発敷地内を通る「浦底断層」から枝分かれするように伸びる複数の破砕帯の一部が、1、2号機の直下を通り、浦底断層と連動する危険性が指摘されています。

 12/1~2、原子力規制委員会は、敦賀原発直下の断層が活断層か否かを判定するため、現地調査を行いました。

 現地調査の結果を受けた評価会合で、2号機直下を通る「D-1破砕帯」について、同委員会は、活断層として活動し浦底断層と同時にずれたと結論付けました(12/10)。

 現地調査後及び評価会合における各専門家の見解を示します。

 島崎邦彦・原子力規制委員長代理・・・浦底断層は大変活動的な断層。それが原発敷地内にあること自体がかなり特殊。「D-1破砕帯」は活断層で、浦底断層と連動して活動したと考えられる。1号機は原電が今後も調査するし、必要なら我々も調べる。

 鈴木康弘・名古屋大教授・・・浦底断層は縄文時代くらいに活動している。「D-1破砕帯」は活断層の可能性が高い。これ以上調査しても(活断層かどうかの)明確な証拠を得るのは容易ではなく、安全側に判断するのが重要だ。2号機の設置許可が下りた当時の審査が検証されるべきだ。

 堤浩之・京都大准教授・・・新たに見つかったずれは、「D-1破砕帯」の延長である可能性がある。浦底断層に誘発されて活動すると考えるのが自然だ。

 藤本光一郎・東京学芸大准教授・・・「D-1破砕帯」は活断層と言えるが、どの程度の規模かわからない。深いところで地震性の滑りを起こしたと確認できれば(活断層という判断は)100%だと思うが、現段階でそのデータはない。

 宮内崇裕・千葉大教授・・・一級の活断層。これが動けば、周辺では揺すられていろんなことが起こると直感的に思った。浦底断層は長大な活断層帯の一部で、阪神大震災を上回る地震を起こす可能性がある。破砕帯以上の脅威ではないか。

 浦底断層は、80年代に複数の専門家が活断層の可能性を指摘し、91年発行の学術書「新編日本の活断層」で活断層と指摘されました。それを放置していた国の安全審査の限界が浮き彫りにされました。

 想定していなかった別の破砕帯が発見されるなど、日本原電は破砕帯の実態を正確につかんでいないようです。

 廃炉の可能性が高くなり、日本原電の経営危機が現実的となりました。敦賀原発と東海第2原発の廃炉で資産価値の喪失は2559億円、純資産額1626億円を上回ります。更に敦賀原発1、2号機の廃炉費用は1000億円とも言われています。政府は、日本原電を廃炉専門会社に衣替えさせることも検討しているようです。発電事業から撤退し、新会社に生まれ変わってくれることを期待します。また、地元の財政に及ぼす影響も甚大です。しかし、危険な原発を再稼動することで、地元民の生命・財産が脅かされることは、福島原発事故が教えてくれました。廃炉は避けて通れない課題でもあります。廃炉という現実を直視せず、困難な課題から目をそらすような問題解決は絶対にしないでください。

 地元財政が破綻しないような政策や電力会社の経営負担を軽減する政策が必要です。廃炉をスムーズに行なうためにも、電力会社や株主の負担はもとより、国民も応分の負担が必要と考えます(ものぐさ 原発廃炉交付金の新設をせよ)。

  

2012年12月23日 (日)

国民の選択は原発維持か

 某識者は、衆議院選挙の結果を受け、「原発ゼロは無責任と主張した自民党が圧勝した。リスクに留意し、安全に十分配慮しながら原発を維持するのが望ましい、とのしたたかな民意の表れではないか」と述べています。

 更に、「ポーランドは石炭に頼る成長から低炭素経済に移行するため原発を導入しようとしている。原子力は他国からの独立を守るための切り札である。」とも述べている。

 果たして、そうでしょうか。以下、私の考えを述べます。

1 リスクに留意

 リスクに留意とは「リスクに気をつける」との意味です。どの程度のリスクなら構わないのでしょうか。

 福島原発事故以前の耐震設計審査指針(現時点でも改定されていません)では、基本方針の中で、「残余のリスク」とは、

 「想定された地震動を上回る地震動が施設に影響及ぼし、重大な損傷が発生し、大量の放射性物質が放散され、住民に放射線を被ばくさせるリスク」

 と定義しています(ものぐさ 残余のリスク)。

 事故は起きるかも知れないがそれでも構わないと思っているのでしょうか。事故が発生した場合、放射能を閉じ込める保証ができるのでしょうか。多少の被曝はかまわないのですか。

 「リスクに留意」ではなく、「リスクをゼロ」とすべきです。

2 安全に配慮

 安全に配慮とは、「安全のために心を使うこと」との意味です。原発にリスクがあるのに、国や事業者が安全に配慮したところで、何の意味があるのでしょう。気休めでしかなく、安全が担保されたわけではありません。

 原発事故が起きる原因は単純な事象かも知れません。しかし、人的なミス、今回のような津波、直下型地震や腐食による配管断裂、航空機の墜落等がきっかけとなり、あたかも臓器不全に陥って病状が悪化するように、予想もしない経路を経て、複合的に原発事故はシビアアクシデントに至る可能性を持っています。

3 原発維持は民意か

 「2030年代の原発稼動ゼロ」方針に関する、毎日新聞の全国世論調査結果では、支持するは60%を占め、支持しない36%を大きく上回っています。

 7/2~8/12までの42日間、エネルギー戦略会議は広くパブリックコメントを受付ました。その意見総数は89,124件で、2030年代の原発ゼロ支持は87%、原発不要は84%でした。

 8/25、朝日新聞の世論調査では、 「すぐにやめる」16%、「5年以内」「10年以内」が各21%で、10年以内に脱原発を望む人が計58%でした。他の選択肢は「20年以内」16%、「40年以内」6%、「40年より先」2%、「将来もやめない」8%でした。

 ほぼ、60~87%は脱原発を希望しています。同氏は上記の結果をどう説明するのでしょうか。 

 民主党に裏切られたとの実感や少数政党の乱立等により、消去法で自民党が支持されたに過ぎません。それは、選挙前の自民党支持は20%程度である事からも明らかです。残り80%は自民党を支持しているわけではありません。小選挙区という制度が、このような極端な結果(自民党大勝)を生んだわけで、自民党に投票した人すべてが原発維持であるとは限ません。

 原発維持が民意とは思えません。

3 ポーランドの原発選択理由

 日本列島、米西海岸、東南アジア、中東は地震多発地域です。米西海岸は地震多発地域であり、アメリカはこの地域を避けて原発を設置しています。フランスを始めとしたヨーロッパにおいても地震はありません。ポーランドでも地震はありません。ポーランドが原発を選択したからといって、地震多発国である日本が原発を選択する理由にはなりません。

4 原発で低炭素経済となるのか

 原発建設には、膨大な量の資材(セメント、鉄、建設のための燃料等)が使用されます。その資材は石油等を使って作られるのです。また、ウランの採掘、加工、再処理をするにも石油が必要です。

 また、原発は一定出力でしか運転できず、需要にあわせて出力を増減することができません。昼夜の電力を平準化するために、「オール電化」や「夜間電力の使用」が推進されました。需要にあわせて供給量を調整する部分は火力発電が担っています。原発が増えれば増えるほど、供給調整用の火力発電も必要になります。

 原発の熱効率は30%です。すなわち核分裂反応で発生したエネルギーの30%が電気となり、残り70%は冷却水として海に捨てられます。一方、火力発電の効率は、60%程度にまで達しています。

 以上見るように、「ウランを使って発電=低炭素経済である」と考えるのは正しいのでしょうか。機会があれば勉強をしてみます。

 最後に、「オール電化」の問題について考えます。当てずっぽうの独り言です。

1 原発で作られた電気で調理する場合を考えて見ましょう。原発の熱効率を30%、IH調理器の変換(電気から熱への変換)効率を30%とすると、最終的な熱効率は0.3×0.3=0.09となり、最終的な熱効率はたった9%です。91%が捨てられます。

 一方、ガスで直接調理する場合を考えましょう。ガス調理器の変換(ガスから熱への変換)効率を30%とすると、30%が調理に使用され、70%が熱として捨てられます。熱源として電気を使うことの効率の悪さが分かります。熱効率の点から言えば、暖房、調理、湯沸しはガスや石油等を使うほうが良いようです。

2 北海道が大雪に見舞われて、多数の家屋が長時間にわたり停電しました。電気のない生活も困るが、電気だけの生活もこのような災害が起きた時大きな問題となります。災害に対するリスクを分散するためにも、ガスと電気の上手な使い分けが必要です。

 

2012年12月28日 (金)

東通原発 活断層調査

 原発敷地内において、活断層の可能性が否定できず、再調査を指示されている原発が相次いでいます(ものぐさ 原発直下の活断層)。活断層の評価も、原子力規制委員会の本気度を問う試金石です。国民は注視しています。玉虫色の結論になっては困ります。

 敦賀原発の活断層(ものぐさ 敦賀原発 活断層調査)に引き続き、今回は、東通原発の活断層の調査内容を見てみます。

 12/13~14、原子力規制委員会は、東通原発の断層について現地調査を実施しました。12/20の評価会合において、同委員会は、「Fー1」から「Fー10」の10本の断層を活断層であると認定しました。同活断層は長さ数100mから3.5km以上で、原子炉建屋から西200mに延びる「F-9」、400mを南北に縦断する「F-3」断層を含んでいます。

 東北電力は、これらの断層について、粘土を含む地層が地下水を含んで膨張する「膨潤」が原因として「活断層ではない」と主張してきました。

 評価会合における専門家の見解を示します。

 島崎邦彦・委員長代理・・・結論として、(東北電力の)活断層ではないとの主張は受け入れがたい。考え方を直していただけなければ、同じ土俵で議論できない。活断層があると(建設)前に分かっていればわざわざそこに造らないだろう。

 粟田泰夫・産業技術総合研究所主任研究員・・・敷地のかなり広範囲で断層による変異がある。おそらく隣接する東京電力東通原発の建設予定地まで続いている。活断層ではないと判断するのは困難だ。

 金田平太郎・千葉大准教授・・・一部は活断層と異なる特徴を持つが、東北電力が主張する「膨潤」ですべてを説明できない。少なくとも2ヶ所は活断層と判断でき、マグニチュード7級の地震を想定すべきだ。

 熊本洋太・専修大教授・・・地殻変動で生じた地形を敷地内に多数確認できた。実際に地震を起こした断層と良く似ており、同じようなことが起きたと考えるのが自然。「膨潤」との説明には疑問がある。 

 佐藤比呂志・東京大教授・・・F-3、F-9は火山灰層に繰り返し変位を与えており、活断層と考える。ただ、活動性はそれほど高くはない。今回は敷地内だが、敷地外を含めた断層の調査が重要だ。

 原発直下の活断層ではなく、安全が確認できれば再稼動の可能性があります。ただ、200mという至近にある活断層の揺れを正確に予測する評価手法は確立されていません。同委員会は来年1月にも骨子案を提示する予定です。東北電力が、想定していた揺れは450ガル、M6.8相当の地震を想定していました。

 東北電力はこの断層を「膨潤」と主張したり、今回は、「断層は地中深くで固まっており、活断層ではない」と主張しました(12/26)。主張が一貫していません。

 

 

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