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2012年12月23日 (日)

国民の選択は原発維持か

 某識者は、衆議院選挙の結果を受け、「原発ゼロは無責任と主張した自民党が圧勝した。リスクに留意し、安全に十分配慮しながら原発を維持するのが望ましい、とのしたたかな民意の表れではないか」と述べています。

 更に、「ポーランドは石炭に頼る成長から低炭素経済に移行するため原発を導入しようとしている。原子力は他国からの独立を守るための切り札である。」とも述べている。

 果たして、そうでしょうか。以下、私の考えを述べます。

1 リスクに留意

 リスクに留意とは「リスクに気をつける」との意味です。どの程度のリスクなら構わないのでしょうか。

 福島原発事故以前の耐震設計審査指針(現時点でも改定されていません)では、基本方針の中で、「残余のリスク」とは、

 「想定された地震動を上回る地震動が施設に影響及ぼし、重大な損傷が発生し、大量の放射性物質が放散され、住民に放射線を被ばくさせるリスク」

 と定義しています(ものぐさ 残余のリスク)。

 事故は起きるかも知れないがそれでも構わないと思っているのでしょうか。事故が発生した場合、放射能を閉じ込める保証ができるのでしょうか。多少の被曝はかまわないのですか。

 「リスクに留意」ではなく、「リスクをゼロ」とすべきです。

2 安全に配慮

 安全に配慮とは、「安全のために心を使うこと」との意味です。原発にリスクがあるのに、国や事業者が安全に配慮したところで、何の意味があるのでしょう。気休めでしかなく、安全が担保されたわけではありません。

 原発事故が起きる原因は単純な事象かも知れません。しかし、人的なミス、今回のような津波、直下型地震や腐食による配管断裂、航空機の墜落等がきっかけとなり、あたかも臓器不全に陥って病状が悪化するように、予想もしない経路を経て、複合的に原発事故はシビアアクシデントに至る可能性を持っています。

3 原発維持は民意か

 「2030年代の原発稼動ゼロ」方針に関する、毎日新聞の全国世論調査結果では、支持するは60%を占め、支持しない36%を大きく上回っています。

 7/2~8/12までの42日間、エネルギー戦略会議は広くパブリックコメントを受付ました。その意見総数は89,124件で、2030年代の原発ゼロ支持は87%、原発不要は84%でした。

 8/25、朝日新聞の世論調査では、 「すぐにやめる」16%、「5年以内」「10年以内」が各21%で、10年以内に脱原発を望む人が計58%でした。他の選択肢は「20年以内」16%、「40年以内」6%、「40年より先」2%、「将来もやめない」8%でした。

 ほぼ、60~87%は脱原発を希望しています。同氏は上記の結果をどう説明するのでしょうか。 

 民主党に裏切られたとの実感や少数政党の乱立等により、消去法で自民党が支持されたに過ぎません。それは、選挙前の自民党支持は20%程度である事からも明らかです。残り80%は自民党を支持しているわけではありません。小選挙区という制度が、このような極端な結果(自民党大勝)を生んだわけで、自民党に投票した人すべてが原発維持であるとは限ません。

 原発維持が民意とは思えません。

3 ポーランドの原発選択理由

 日本列島、米西海岸、東南アジア、中東は地震多発地域です。米西海岸は地震多発地域であり、アメリカはこの地域を避けて原発を設置しています。フランスを始めとしたヨーロッパにおいても地震はありません。ポーランドでも地震はありません。ポーランドが原発を選択したからといって、地震多発国である日本が原発を選択する理由にはなりません。

4 原発で低炭素経済となるのか

 原発建設には、膨大な量の資材(セメント、鉄、建設のための燃料等)が使用されます。その資材は石油等を使って作られるのです。また、ウランの採掘、加工、再処理をするにも石油が必要です。

 また、原発は一定出力でしか運転できず、需要にあわせて出力を増減することができません。昼夜の電力を平準化するために、「オール電化」や「夜間電力の使用」が推進されました。需要にあわせて供給量を調整する部分は火力発電が担っています。原発が増えれば増えるほど、供給調整用の火力発電も必要になります。

 原発の熱効率は30%です。すなわち核分裂反応で発生したエネルギーの30%が電気となり、残り70%は冷却水として海に捨てられます。一方、火力発電の効率は、60%程度にまで達しています。

 以上見るように、「ウランを使って発電=低炭素経済である」と考えるのは正しいのでしょうか。機会があれば勉強をしてみます。

 最後に、「オール電化」の問題について考えます。当てずっぽうの独り言です。

1 原発で作られた電気で調理する場合を考えて見ましょう。原発の熱効率を30%、IH調理器の変換(電気から熱への変換)効率を30%とすると、最終的な熱効率は0.3×0.3=0.09となり、最終的な熱効率はたった9%です。91%が捨てられます。

 一方、ガスで直接調理する場合を考えましょう。ガス調理器の変換(ガスから熱への変換)効率を30%とすると、30%が調理に使用され、70%が熱として捨てられます。熱源として電気を使うことの効率の悪さが分かります。熱効率の点から言えば、暖房、調理、湯沸しはガスや石油等を使うほうが良いようです。

2 北海道が大雪に見舞われて、多数の家屋が長時間にわたり停電しました。電気のない生活も困るが、電気だけの生活もこのような災害が起きた時大きな問題となります。災害に対するリスクを分散するためにも、ガスと電気の上手な使い分けが必要です。

 

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