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2013年1月22日 (火)

浜岡原発 津波高さ19mは22mの防潮堤で安全か その3

 浜岡原発の津波対策として建設していた海抜18mの防潮堤が完成しました。「18mの防潮堤で19mの津波(注1)が防げるか」との批判もあったのでしょうか。中電は、13年12月までに更に4mかさ上げすると発表しました。19mの津波に対して、22mの防潮堤は3mの余裕があります。果たして、19mの津波から原発を守ることができるのでしょうか。

 津波対策の問題点を拾い上げて見ます。「浜岡原子力発電所運転終了・廃止等請求訴訟弁護団」の12/11付け仮処分申立書を参考にしました。

1 防潮堤を乗り越える津波

 津波は防潮堤に衝突すると前進できなくなり、津波の持つ運動エネルギーは位置エネルギーに変換され、衝突前の1.5倍くらいの高さまで盛り上がる。

 よって、津波高さは、19m×1.5=28.5mにまで盛り上がります。

2 洗掘による防潮堤の破壊

 防潮堤を乗り越えた水の固まりは20m以上の落差をもって内側に落下し、防潮堤の脚部を洗い流し、防潮堤は横倒しになる。

3 津波圧力による防潮堤の破壊

 津波高さ50cmの場合、水圧は、幅1mで1.125tとされており、津波のエネルギーは波高の2乗に比例する。15mの津波の水圧は1000t以上になる。

 19mの津波の水圧は1624t(4.5×19×19=1624)です。防潮堤の厚さはわずか2m(ものぐさ 浜岡原発 津波高さ21mは18mの防潮堤で安全か)です。

 液状化によっても防潮堤は大きな損傷を受ける恐れがあります。

4 なだらかな砂丘による遡上効果

 海岸に沿ってなだらかに盛り上がった海抜10~15mの砂丘があり、その内側に海抜18mの防潮堤が建設されました。防潮堤は、(原発敷地内の)地上からわずか10~12mの高さでしかありません。なだらかな斜面に対しては津波はその高さを保ったまま遡上する。津波が地上から19mの高さを保ったまま砂丘を遡上した場合、防潮堤を簡単に乗り越えることは明らかである。試算によれば、地上高に対して、13~14mの津波が原発敷地内に押し寄せることになる。

5 取水口からの逆流

 沖合い600mにある取水塔から海底トンネルを通って冷却水を原発まで導いている。津波により、取水塔の海面が上昇すれば、当然、敷地内の取水槽の海面も上昇する。更に津波の運動エネルギーによる動的圧力も加わり、取水槽内の海面は急上昇し、敷地内に海水が溢れ出る。

6 10mの深さで浸水する原発敷地

 原発敷地は防潮堤で囲まれており、一旦海水が浸入すれば、ため池と化し10~12m水没する(中電は2~3mの水没と試算している)。この場合、海水は屋上に設置した空調用排気口から流入する。浸水を防ぐために変更した防水構造扉(外側強化扉は高さ6.9m、幅7.1m。内側水密扉は高さ5.8m、幅5.6m。)は、震度7の地震で歪み扉が閉まらず、海水が流入する可能性が高い。

 18mの防潮堤の報道写真にはトリックがあります。1つは、下から上を見上げて撮影したものです。もう1つは、大写しの防潮堤の中に人が立っている写真です。至近距離から見る18mの防潮堤は確かに迫力があるでしょう。また人の高さに比べれば、18mの防潮堤は随分高いように感じます。このような写真は、「18mの防潮堤は安全である」と錯覚させる効果を持っています。中電は住民に対する防潮堤の見学会をたびたび行なっています。防潮堤からカメラを引いた状態で写真を撮ってみてください。原子力展示館の屋上から防潮堤を見てください。自然に対し、防潮堤がいかに小さいか実感できます。

 関連記事(ものぐさ 疑問 浜岡原発津波対策

 (注1) 内閣府の有識者会議は2012・3・31の第一次報告で「津波高さ21m」と試算したが、海岸の地形を正確に解析した結果、2012.8..29の第二次報告で「津波高さ19m」に変更した。

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