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2013年1月26日 (土)

自民党原発政策

 先の衆議院選挙で大勝した自民党は原発政策をどのように進めるつもりでしょうか。

 自民党は選挙前に次のような公約を掲げています(11/22)。

 社会・経済に支障がないエネルギー需給の安定に万全を期す。原子力に依存しなくても良い経済・社会の確立を目指す。当面の優先課題として3年間、再生可能エネルギー、省エネの最大限の推進。原子力は「安全第一」の原則の下、原子力規制委員会の専門的判断をいかなる事情より優先。原発の再稼動の可否は順次判断し、全原発について3年以内の結論を目指す。中長期的エネルギー戦略の確立に向け、遅くとも10年以内には持続可能な電源構成のベストミックスを確立。

 さて、選挙後の発言は変わったのでしょうか。以下、列挙します。

・ 原子力規制委員会などの判断を踏まえたうえで再稼動を積極的に進める。・・・自民党政調会長

・ 原子力規制委員会が安全だと判断しない限り再稼動はない。安全だと判断されたものは再稼動を進める。「30年代原発ゼロ」や原発新増設の禁止などの民主党方針の見直し。大間原発、島根原発3号機の建設を容認。着工前の原発の新増設についても、専門的知見を十分蓄積したうえで政治判断していきたい。・・・経産相

・ 原発ゼロ政策は踏襲しない。3年間に再生可能エネルギーをはじめ、代替エネルギーに集中的に投資し、技術革新を促していく。エネルギーの最適な電源構成を10年間で確立する。・・・首相

・ 新たに作っていく原発は、40年前の古いもの、事故を起こした福島第一原発のものと全然違う。何が違うのかについて国民的な理解を得ながら、それは新規に作っていくことになるだろう・・・首相

・ 新政権の最大4年で新設が認められる状況にはない。・・・公明党幹事長代行

・ 再稼動の可否について、3年以内に結論を出す。・・・自民党

 注目すべき点は以下の項目です。

1 規制委員会が安全だと判断した原発は再稼動する。

 「原子力規制委員会が新たな安全基準を策定し、それに適合した原発は再稼動てもかまわない」と私は考えます。但し、万が一事故が起きたときの住民避難やその後の賠償、住民の新たな移転先の確保、被曝量を年間1ミリシーベルト以下にするための方策等ができていることが前提です。最悪事態を想定して、避難範囲は瀬尾試算を参考にすべきです(ものぐさ 「大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害額に関する試算」と「瀬尾試算」)。その他、私の試算は(ものぐさ 放射能拡散 30km圏内は7日で100ミリシーベルト)に記してあります。

 活断層について、原子力規制委員会は、誠実に評価していると感じます(ものぐさ 東通原発 活断層調査 敦賀原発 活断層調査 大飯原発 活断層調査)。

 引き続き、策定する新たな安全基準に注視していかなければなりません(ものぐさ 原子力規制委員会 安全基準の策定 その1)。再稼動のハードルを下げるような基準にならないか。再稼動しやすくするために、自民党が新安全基準の策定に圧力をかけないか。自民党におもねり、同委員会が再稼動ありきの妥協した安全基準を策定しないか。色々心配です。

2 新たに作っていく原発は、40年前の古いもの、事故を起こした福島第一原発のものと全然違う。

 1978年9月、原発の耐震設計審査指針(以後、旧指針)が始めて策定されました。策定以前に着工した原発は23基にもなります(東海第一原発、福島原発1~6号機と浜岡原発1~2号機を含む)。これらの原発は全くあぶなっかしい原発です。40年前の古いものとは、これらの原発を指すのでしょうか。その後、阪神淡路大震災が起こり、2006年に新たな耐震設計審査指針(以後、新指針)が策定されました。現在稼動している最新の原発(泊原発3号機)でさえ、着工は2003年、営業運転は2009年です。この原発は新指針に適合しているのでしょうか。いくつかの原発については、新指針適合しているか評価(バックチェック)されていますが、バックチェックなしで多くの原発が稼動しています(ものぐさ 「バックフィット」と「バックチェック」で原発は安全か)。

 建造中の島根3号機(2005年着工)や大間原発(2008年着工)は新指針で作られているのでしょうか。未着工の敦賀原発3、4号機。浪江・小高原発。東通原発2号機(東北電力)。東通原発2号機(東京電力)。浜岡原発6号機。上関原発1、2号機。川内原発3号機も新指針で設計されているのでしょうか(ものぐさ 大間原発の危険性)。

 首相は、1978年9月以前の原発は古く、それ以降に着工した原発は旧指針に適合しており、安全であると言うのでしょうか。再稼動ありきの論理でムチャクチャです。再稼動や新増設は、2013年に作られる耐震設計審査指針(以後、2013年指針)に適合しているかで判断されるべきでしょう。

 原発は、無数の配管で連結されており、その構造は極めて脆弱です(ものぐさ 脆弱な原発構造)。まさか小手先の改造で2013年指針に適合していると判断されないことを祈ります(ものぐさ 「バックフィット」と「バックチェック」で原発は安全か)。2013年指針に基づいて設計された原発しか稼動できないのです。

3 再稼動の可否について、3年以内に結論を出す。

 原子力規制委員長は、「36ヶ月(3年)で50基を審査すると1基当たり20日となり、常識的には難しい。どんなに速くても1基に最低、半年や1年はかかる。」と述べています。自民党は同委員会にムチャクチャな要求をしています。住民の安全より、何が何でも再稼動したい姿勢が透けて見えます。

4 公明党の新増設反対

 公明党はマニュフェスト(11/17)で次のように述べています。

 原発の新規着工を認めず、原発の40年運転制限を厳格に適用する。1年でも5年でも10年でも早く、可能な限り速やかに原発ゼロを目指す。再稼動は原子力規制委員会が策定する「安全基準」を満たすことを大前提に、国民、住民の理解を得て判断する。使用済み核燃料の再処理は直接処分への転換を含め見直しを検討。高速増殖炉もんじゅは廃止する。

 脱原発を主張していますが、40年の運転制限を守ったところで、最も新しい泊原発3号機(営業運転は2009年12月)が停止するのは2049年です。大間原発が完成すれば、全原発の停止は、少なくても2053年まで待たなくてはなりません。建設中3基、計画中10基の原発が営業運転すれば、全原発の停止は何時になるでしょう。

 自民党の不気味さが伝わってきます。おとなしくしてるのは、参議院選挙前まででしょう。2013.1.1、「原発13基に防火に不備なケーブルが使われている」との報道がありました(経産省公表)。一方、「経産省の積極姿勢には裏がある。電力会社に古い原発の廃炉をのませ、変わりに新増設を進める作戦。首相の脱・脱原発を見越した動きだ。」と関係者は、明かしています。経産省は、安全には厳しく望むとのポーズを国民に見せ、世論の風当たりを少しでも和らげようとしているように見えます。再稼動するためには手段は選ばない。あらゆる手段で原発再稼動を進めようとする思惑が透けて見えるような発言に国民はますます不信感を募らせます。

 

 

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