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2013年2月 3日 (日)

疑問 浜岡原発津波対策

 浜岡原発の津波に対する安全対策が実施されていますが、果たして信用してよいものでしょうか。中電広報「安全性を一層高めるための津波対策の強化(平成25年12月工事完了)」について、素人が検証をします。間違っていたら指摘してください。

1 津波高さは防潮堤前面で海抜14.7~20.7m。海抜22mの防潮堤。

 2012.8.29発表の「南海トラフの巨大地震モデル検討会」(座長・阿部勝征東京大学名誉教授)によれば、M9.1の地震が起きた場合、浜岡原発付近は「震度7の地震動、最大19メートルの津波」に襲われます。

 津波は防潮堤に衝突すると前進できなくなり、津波の持つ運動エネルギーは位置エネルギーに変換され、衝突前の1.5倍くらいの高さまで盛り上がります。19mの1.5倍は28..5mです。この場合、防潮堤より6.5m高い津波が原発敷地内に流れ込みます。

 また、津波の遡上効果が織り込まれていません。1993年北海道南西沖地震では、奥尻島海岸線で15mであった津波は、海岸背後の谷筋を駆け上がり30.6mのところまで遡上しました。浜岡原発でも、津波は19mの高さを保ったまま砂丘を駆け上がります。18m防潮堤での試算によれば、地上高(原発敷地構内道路の高さ?。以下同じ)に対して、13~14mの津波が原発敷地内に押し寄せることになります(ものぐさ 浜岡原発 津波高さ19mは22mの防潮堤で安全か その3)。

2 原発敷地東西の盛土を20~24mにかさ上げ。

 盛土はなだらかな斜面なのでしょう。その場合、19mの高さを保ったまま、津波は敷地内に流れ込みます。

3 地震発生後20分で最大水位は19.5m。海抜18mの防潮堤を越えて敷地内に侵入している時間は1分程度。

 22mの防潮堤の場合、天端から6.5mの高さの津波が敷地内に流入します。しかも、津波は長周期で防潮堤を押し続けます。

 津波が1.6kmの幅で、10mの波高、時速36kmで押し寄せた場合、この貯水池を満たすのはわずか96秒との試算もあります(注1)。

4 5号機建屋側面の開口部からの海水の浸入に対処するため、(電気駆動によらず)波の浮力のみによる自動閉止装置を設置。

 地震により、自動閉止装置が歪んだ場合、海水の侵入を防ぐことができません。また、建屋側面にあった空調用排気口を屋上に移動したとしているが、屋上面の海抜は15mです。津波が海抜22mの防潮堤を乗り越え、敷地内が水没すれば、屋上の空調用排気口から海水が建屋内に流入します。

5 海水取水ポンプ周囲の防水壁の高さを3mかさ上げ。

 このかさ上げにより、防水壁天端は3~4号機で海抜9m(地上高は海抜6m)、5号機で海抜11m(地上高は、海抜8m)です。原発敷地は防潮堤で囲まれており、一旦海水が浸入すれば、ため池と化し敷地は10~12m水没(中電は2~3mの水没と試算している)し、海水ポンプも水没します

 海水取水ポンプは、原子炉建屋より海側に位置しています。5号機建屋の高所には開口部があり、海水の浸入を防ぐためにわざわざ自動閉止装置をつけました(前4項)。

6 建屋への海水侵入を防ぐための外側強化扉(厚さ1m、重さ40t)と内側水密扉(厚さ80cm、重さ23t)の設置。

 浸水を防ぐために変更した防水構造扉(外側強化扉は高さ6.9m、幅7.1m。内側水密扉は高さ5.8m、幅5.6m。)は、震度7の地震で歪み扉が閉まらず、海水が流入する可能性があります。しかも、地震発生後数分で津波が到来します。扉が電動でないとすれば、わずか数分以内に扉を閉じることは可能でしょうか。

7 (トンネルで海とつながっている)取水槽や津波の浸水などからあふれる海水により3、4号機周辺の浸水深さは1~3m、5号機周辺は1~6m程度。しかし、浸水から30分後には20cmを下回る。

 敷地内は、津波により10~12m水没します。しかも一旦水没したら、22mの防潮堤があるため、敷地内はため池と化します。中電の試算と大きく違います。

 このほか取水槽には大きな弱点があります。地震により海底トンネルが崩れ落ちたら、原子炉の冷却水を取り込むことはできません。津波は長周期で押し寄せたり、引いたりします。海底トンネルが無事であったとしても、引き潮により取水槽内の水はなくなり、原子炉を冷却することができません。いずれにせよ、炉心溶融の可能性があります。

 「19mの津波の可能性」という内閣府有識者の試算を受け、中電は数々の対策を実行しつつありますが、自然現象の大きさに、その対策はあまりにも貧弱に見えます。22mの防潮堤建設は、経済的な面からして、ギリギリの対応なのでしょう。防潮堤で盛りあがった28.5mの津波や遡上効果を加味した対応にはお手上げのようです。この指摘を真摯に捉えて対応しようという姿勢が見えません。「衝突前の1.5倍程度に津波が盛り上がるか」が争点のように思います。

 (注1) 浜岡原発の敷地面積は160万立方メートル。水深10mに渡って水没する場合の貯水池の容量は1600万立法メートル。

 <参考> 海岸から原発建屋に向かっての、主要構築物等の海抜高さ

砂丘堤防                     10~15m

防潮堤                          22m

敷地内道路                    10~12m

敷地                                               6~8m

海水取水ポンプ防水壁天端   3~4号機       9m       

海水取水ポンプ防水壁天端     5号機     11m  

原子炉建屋屋上                                      15m        

  

 

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