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2013年3月 6日 (水)

六ヶ所再処理事業に関する覚書

 核燃料サイクルからの撤退は何故できないのか。青森県の立場、燃料高騰理由、米国核政策の立場、日米原子力協定の立場(ものぐさ 脱原発を拒むもの 日本が怯える日米原子力協定)がありますが、今回は青森県の立場を見ましょう。

 青森県と六ヶ所村は、同地域を最終処分場としないことを前提に再処理事業を受け入れました。その契約は、「①使用済み核燃料の最終処分場としない。②再処理が困難になれば、使用済み核燃料は青森県から搬出する。」と書かれているそうです。②によれば、六ヶ所村の使用済み核燃料は、全国の原発に送り返され、全原発は、たちどころに停止に追い込まれます。

 また、青森県は、「再処理に代わる振興策などありえない」と、核燃料サイクルの維持を訴えています。当然、核燃料サイクルの破綻や再処理の怖さは認識しているはずですが、再処理事業がなくなれば、自治体財源となる電源3法交付金が入らなくなります。青森県としてはお金の問題です(ものぐさ どう見る 民主党原発政策)。

 「再処理が継続できないなら、核燃料を全国の各原発に送り返す」と、脅されているようです。さて、本当でしょうか。再処理に関する覚書をHPで見ることができました。平成10年7月29日、電気事業連合会の立会いのもと、青森県及び六ケ所村と日本原燃株式会社は、次の覚書を締結していました。

                     記

 再処理事業の確実な実施が著しく困難となった場合には、青森県、六ケ所村及び日本原燃株式会社が協議のうえ、日本原燃株式会社は、使用済燃料の施設外への搬出を含め、速やかに必要かつ適切な措置を講ずるものとする。

 この覚書には、「再処理事業が困難になった場合、必ず使用済み核燃料を施設外に搬出しなければならない」とは書いてありません。「な~んだ」と言う感想です。

 この覚書の内容は、前記①~②のような一般的認識と異なります。政府はこの部分を正確に国民に説明していませんでした。あえて言えば、政府は詳細を国民に意図的に伝えることをせず、騙してきたとも勘ぐることができます。搬出しないで済む「適切な措置」による問題解決の方法もあったのです。もちろん、青森県や六ヶ所村には事情を十分説明し、納得を得て、問題解決の方策を検討していく必要があります。そこには、お金の問題で青森県や六ヶ所村が困らないような手立てをする必要があります(ものぐさ 原発廃炉交付金の新設をせよ)。 

 (参考)

 再処理問題はどのように検討されてきたのか。以前の記事(ものぐさ 安井正也 原子力安全規制改革担当審議官は適任か)に追加(赤字)します。

 90年代前半 原子力産業課の課員が「再処理工場は当面ストップし、中間貯蔵案する案(X作戦)」を検討していた。

 98年    「原子力環境整備センター」(「現原子力環境整備促進・資金管理センター)」は「直接処分」コストを4兆2000億円~6兆1000億円と試算していた。

 02年5月  東電と経産省首脳は「使用済み核燃料再処理事業」からの撤退を協議していた。その理由は同施設からのトラブルの続発と2兆円超にもなる建設費。

 02年8月  東電のトラブル隠しが発覚し、当時の首脳は辞任し、再協議は頓挫した。

 02年10月 原子力委員会やエネルギー庁の一部幹部は使用済み核燃料の受け入れを提案するロシアの外交文書を隠した。 

 03年7月 電力側から、安井氏に対し再処理から撤退するための条件(①国から撤退したいと言う。 ②使用済み核燃料は国の責任で処理。 ③電気料金に上乗せして集めた再処理費用(2.7兆円)は再処理をやめても電力会社が自由に使う。)の提示がありました。経産省事務次官は「電力側が撤退したいと言え。」と言っています。言い出したほうが責任を負うというなすりつけの構図になっています。

 03年8月 学者や電力中央研究所の職員らで作る「原子力未来研究会」は、サイクルは原子力の未来を危機に陥れる。国策を変えるべきだ。」と発言。その記事は闇に葬られた。

 03年秋 経産省幹部と関電幹部が会合。官民共に「六ヶ所村は危険」との認識で一致。「投資が巨額で自分たちからはやめられない。国がやめろといえば辞めれるかも知れない。」と幹部は言った。

 04年1月  再処理工場の稼動、約19兆円との試算が公表された。撤退は責任問題に発展しかねず、東電も経産省も撤退方針を出さなかった。

 04年2月  東電幹部と経産省は撤退を模索していた。

 04年3月  社民党党首が再処理をしない場合のコストを求めたのに対し、当時のエネルギー長官は「日本には直接処分コストの試算はない」と答弁している。答弁案は安井氏が作成した。安井氏は3ヶ月前からこの試算の存在を知っていたことが、今回明らかになった。

 04年4月  安井氏(元経産省原子力政策課長)は使用済み核燃料を「直接処分」する場合のコストの隠蔽(世の中の目に触れさせないようにとの指示)を部下に下した。

 04年4月 経産省職員は、自民党大臣経験者と面会。「再処理工場は安全性に疑問がある。行政も電力も動かしたくないと思っている。原発自体は維持し、再処理は凍結すべきだ。」と訴えるものの、大臣経験者は「主張はわかるが、サイクルは神話だ。神話がなくなると、核のゴミの問題が噴出し、原発そのものが動かなくなる。六ヶ所村はずっと試験中でいいんだ。あそこが壊れた。ここが壊れた。今直しています。」でいい。

 04年5月  「総合資源エネルギー調査会・電気事業分科会」は「直接処分」に関するコストの算出を要求していたが、安井氏はその存在を伝えなかった。安井氏の所属する原子力政策課は分科会の担当課でした。

 04年5月 自民党政調内のエネルギー関係の委員会で、自民党議員は「直接処分のコストについて強引に試算を作ればいい」と発言。この意味は「意図的に直接処分のコスト試算を膨らませろ。」と言う意味。

 04年5月 電力業界はサイクル推進に関する決議をした。

 04年5月 学者や「日本エネルギー経済研究所」の理事らは、サイクル是非の報告書を作成。同報告書には、「六ヶ所をやめる」パターンも含まれていたが、東電幹部がクレーム。報告書は闇に葬られた。

 04年6月  分科会は約19兆円を電気料金に上乗せする制度の導入案をまとめた。これにより、「国内全量再処理」が国策となった。

 04年6月 経産省「サイクル撤退派」は次々に更迭される。

 04年7月  「直接処分」コスト試算の存在は報道で判明した。

 04年    再処理工場において、劣化ウランを流すウラン試験が稼動した。

 06年    そして、使用済み核燃料を流すアクティブ試験に移行した。

 08年12月 トラブルにより試験中断。

 以上が、再処理問題に関する発言や経緯です。再処理事業からの撤退が幾度となく検討されていたことがわかります。政治家の発言は国民をバカにしたものです。これからも変わりそうもありません。

  

 

 

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