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2013年4月19日 (金)

老朽化原発 シュラウド・再循環系配管のひび割れ 配管の減肉

 40年廃炉問題に関して、昨年の9/19に発足した原子力規制委員会は「①40年ルールの延長は相当困難。②安全性にわずかでも曇りがあれば躊躇なく運転終了を判断する。③40年廃炉ルールの妥当性を検討。」と発言しています(ものぐさ 原子力規制委員会 安全基準の策定 その1)。

 その後、トーンダウンしたのでしょうか。規制基準案には、40年廃炉に関する記述はなく、報道において「40年運転制限制については4月段階で織り込む方向」と述べられているに過ぎません。骨抜きになり、なし崩し的に60年まで延長されてしまいそうです。

 老朽化原発の問題について考えて見ます。

 老朽化の1つとして、脆性破壊について指摘しました(ものぐさ 原発廃炉 40年は本当か 廃炉の基準は その1)。まず、おさらいをしておきます。

 圧力容器は、中性子を浴び続けると、容器内部に微小な欠陥が生じ、その結果、金属は粘りを失って脆くなります。この脆くなる境界の温度を脆性遷移温度と言います。運転当初、ー16℃であった玄海原発1号機の脆性遷移温度は2009年4月時点において、98℃に上昇しています。この温度以下になると、炉心はガラスのように破壊されると言われています。冷却材喪失事故により、緊急冷却装置が稼動した場合を想像してみてください。原子炉自体が爆発する可能性もあります。

 その他、老朽化の典型として、シュラウド(注1)や再循環系配管類(注2)のひび割れ 配管の減肉があります。これらの事実は隠蔽されたり、「大きな問題ではない。放射能漏れはない。」と言うように過小に報道されてきました。

 今回は、ひび割れ等の発生件数と事故の怖さを明らかにします。

 まず、2005年/末時点で稼動していた53基の原発の事故件数を示します。

 1994年から2005年2月までに、17基の原発において、26件のシュラウドのひび割れが報告されています。早いものは運転開始8年(女川原発2号機)で発生しています。

 2002年から2005年3月までに、18基の原発において、29件の再循環系配管のひび割れが報告されています。これについても、早いものは運転開始8年(女川原発2号機)で発生しています。

 2002年から2005年2月までに、18基の原発において、22件の配管類の減肉が報告されています。これについても、早いものは運転開始9年(女川原発2号機)で発生しています。

 上記損傷事故は、30年以上運転した原発で5件、25年以上30年未満で15件、20年以上25年未満で7件、15年以上20年未満で27件、10年以上15年未満で15件、10年未満で8件発生しています。最も早い原発は運転開始後わずか8年で損傷しています。8年以上経過すれば、ひび割れ等の損傷は何時おきてもおかしくない状況です。あまりにも事故件数が多く、国民はその怖さを感じなくなってしまいました。 ひび割れや減肉とはどういったもので、どのような危険性を秘めているのでしょうか。以下記します。

1 シュラウドのひび割れ

・ 初期、原発のシュラウドの材質はSUS304ステンレス鋼でした。溶接時、材料が鋭敏化しやすく、応力腐食割れ(注3)が起きやすいと言われてます。福島第二原発2号機では中央リング(注4)の内側に、円周にわたるひび割れが公表されました。

・ 改良され、応力腐食割れに強いと言われたSUS316Lステンレス鋼でも大きなひび割れを起こしています(福島第二3号機)。これまでにないひび割れで、グラインダ等により表面に生じた加工層が変形し、硬化することが原因です。

2 再循環系配管類のひび割れ

・ 応力腐食割れに強いSUS316Lステンレス鋼に交換しても、配管のひび割れが起きています(浜岡原発1号機)。水があって、腐食しやすい配管内面で腐食は生じます。特に、管と管のつなぎ目、弁とのつなぎ目、ヘッダーと呼ばれる枝分かれ部、原子炉とのつなぎ目で起きやすいと言われてます。

3 原子炉上蓋のひび割れ

・ 大飯原発3号機では、上蓋の制御棒案内管から白い粉(ホウ酸)が析出。これは原子炉からの水漏れを意味します。その他、美浜原発3号機、高浜原発1、2号機でも上蓋が交換され、その数は、交換予定を含めると18件に上ります。原子炉緊急停止に支障を来たし、炉心溶融の可能性も捨て切れません。

4 配管類のひび割れ

・ 2004年、美浜原発3号機で、直径56cm、肉厚1cmの配管が破裂し、140℃の蒸気が噴出し、4名が即死、7名が全身やけど(内1名は2週間後に死亡)する事故が起きました。

・ 減肉に強いと言われるSTPA23低炭素合金鋼やSUS304Lステンレス鋼に変えても、減肉傾向は変わりません(女川原発1号機)。

5 ひび割れの計測は信頼性できるか

・ 超音波検査(UT)はひび割れを過小評価する傾向があります。極端な例として、12mmの深さのものを2mmと計測したり、7mmの深さのものをひび割れなしと計測しています。

・ これを改良した超音波検査(改良UT)はひび割れを過大評価する傾向があります。極端な例として、7mm弱の深さのものを13.5mmと計測したり、5mm程度の深さのもの10mmと計測しています。

・ どちらにしても検査の信頼性を疑わせるものです。

 10年以上経過すれば、ひび割れ等の損傷は何時おきてもおかしくない状況です。原子炉や再循環系配管類以外にも、タービン・復水器等、原発のほとんどの個所で事故・故障が起きています。こんな状況で、地震に襲われたらどうなるでしょう。ひび割れの進んだ配管は、破断しやすく、冷却水が喪失し、炉心溶融する可能性もあります。人間の手に負えない、なんと不条理な機械でしょう。 

(注1) 原子炉圧力容器内で燃料集合体と制御棒が配置された原子炉中央部を覆っている円筒状のステンレス容器。

(注2) 原子炉圧力容器内の冷却水を、再循環ポンプ、ジェットポンプを介して炉心へ強制循環させ、炉心で発生した熱を除去する機能のほか、ポンプの速度を制御し、冷却水供給量を変化させて原子炉熱出力を制御する機能をもつ。

(注3) 粒界腐食が起こり、割れが進展する現象。ステンレスを溶接する時、近傍が熱を受け(熱影響部)、この部分では、800~600℃の温度を通過するとき、クロム炭化物の粒界析出鋭敏化が起き、溶接部の不均一な収縮により内部に引っ張り応力が残留する。この材料を水中の酸素イオンがアタックすると、材料は結晶粒界から割れていく。

(注4) シュラウドは上部、中間部、下部リングからなり、使用条件が厳しい中間部以外にも、上部や下部リング、シュラウドサポート等あらゆる場所の溶接近傍や母財部にひび割れが見つかっている。

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