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2013年5月22日 (水)

大飯原発3・4号機 「熊川断層」「FO-A断層」「FO-B断層」の三連動 

 大飯原発周辺には、南東の陸側にある「熊川断層」、北西側の若狭湾内に延びる「FO-A断層」「FO-B断層」の三つの活断層があります。更に、「FO-A断層」の南東端には原発が位置し、敷地内には活断層の疑いのある「Fー6破砕帯」が存在します。

 大飯原発の危険性に関しては、以下2点が上げられています。まず、第一点として「Fー6破砕帯」に活断層の疑いがあることです。もしこれが活断層であるならば、当然原発の継続運転はできず、大飯原発は廃炉になります(ものぐさ 大飯原発 活断層調査)。この問題については、別の機会に譲ります。

 第二点として、冒頭に掲げた3つの活断層が連動(三連動)する可能性が指摘されています。この点について、今回は焦点を当てます。平成25年4月19日に行なわれた、第一回大飯原発3・4号機に関する評価会合議事録(2013.5.1掲載)と各社報道から、その論点を挙げてみます。

 関電は以下のように主張しています。

・ 陸上の熊川断層の3連動を想定しないまま、周辺海底にある二つの断層を想定した基準地震動を700ガルと評価(赤旗 4/20)。

・ 敷地高さが9.7m、設計津波高さは2.85mであるので、基準津波により安全性が損なわれないことはない(議事録)。

・ 「熊川断層」「上林川断層」「FO-A断層」「FO-B断層」の地震を設定し、平成20年から22年にかけての耐震バックチェックで700ガルの基準地震動を策定(議事録)。

・ 「熊川断層」「FO-A断層」「FO-B断層」の三連動については6月までに評価(議事録)。

・ 基準地震動策定のため、ボーリング調査等から地下構造を三次元的に把握し、硬質岩盤を確認。地下構造は成層として深さ4kmまでの地盤モデルを設定している(議事録)。

・ 「熊川断層」の長さを18kmとしていたが、地下探査の結果から14kmに修正。若狭湾内に延びる「FO-A断層」「FO-B断層」との間隔が約15kmと離れており三連動しない(東京 5/11)。

・ 活断層が三連動した場合でも、想定される基準地震動は760ガル。大飯原発での対策で1260ガルまで耐えられることから、「耐震性に問題はない」と主張(NHK 5/10)。

・ 同原発沖の二つの断層約35kmの連動を考慮し、最大の揺れを想定(毎日 5/10)。

 一方、原子力規制委員会は以下のように指摘しています。

・ 小浜湾内において、音波探査による活断層の存在を示す構造を確認した旨の学会発表が最近行われている(議事録)。

・ 地震動評価を行う上で、地下構造を十分に把握して地震動に対する増幅分があれば、これを適切に考慮する必要がある(議事録)。

・ 連動の問題が非常に重要な問題だ。三連動を前提とした計算をお願いしたい。三連動することをまず考えて、基準地震動がどのくらい変わるかということを先に見ておかないといけない(議事録)。

・ 津波波源を適切に設定しているか(議事録)。

・ 産総研等で指摘されている「若狭湾沖の地滑り地形」を考慮しているか(議事録)。

・ 溯上・浸水域を把握しているか(議事録)。

・ 三連動(総延長約63キロ)を前提に揺れを計算するよう求めた(毎日 5/10)。

・ 関電の地下探査の不備を指摘。地形や地質の調査結果を踏まえて「構造的にみても三連動は非常にあり得る」(東京 5/11)。

 同委員会は三連動の可能性を指摘し、関電は、三連動を否定しています。更に、同委員会は地下探査の不備を指摘し、「地下構造を十分に把握して地震動に対する増幅分があれば、これを適切に考慮する必要がある」と述べています。津波の高さも違ったものになるでしょう。断層の長さが63kmと35kmでは、地震動がどの程度違うのでしょうか。断層の長さ(Lkm)とマグニチュード(M)の関係は松田の経験式により

 logL=0.6M-2.9       (1式)

 となっています。更に、マグニチュード(M)と地震のエネルギー(E)ジュールとの関係は、グーテンベルグとリヒター半理論半実験式により

 logE=4.8+1.5M       (2式)

 となっています。

 活断層の距離がL=35kmの場合、M=7.4、E=7.95×10の15乗ジュール。

 活断層の距離がL=63kmの場合、M=7.83、E=3.17×10の16乗ジュール。

 となり、地震のエネルギーは約4倍の違いとなります。

 三連動と評価されたり、地質の調査結果次第では、地震動の大きさが増大し、関電は原発の耐震力の強化や津波対策の見直しを迫られます。そのため、三連動を否定しているのです。

 更に、予防線を張るように、関電は「熊川断層を含めた耐震バックチェックは700ガル」であるとか、「三連動でも想定される基準地震動は760ガルで、対策では1260ガルまで耐えられる」と述べています。約4倍もの地震エネルギーの違いがあるのに何故、三連動の基準地震動は760ガルで収まるのでしょう。地震のエネルギー、加速度、岩盤の質量と断層面のズレとの関係を記しておきます(注1)。関電の数値がころころ変わり、一貫性がありません。何とか誤魔化そうとの思惑があるのでしょうか。

 また、関電は二連動を想定した制御棒の挿入時間を2.16秒と評価していました。基準値2.2秒(注2)までの余裕はたった2%です。三連動では基準値を超えてしまうことは確実です。ところが3/13、制御棒の挿入時間は2.16秒ではなく1.88秒という数字をだしてきました(美浜の会)。三連動と評価されても、基準値2.2秒を超えないよう操作したとも疑われています。

 関電の姑息な側面が透けて見えます。「三連動」「1260ガルの耐震力」「制御棒挿入時間」「基準津波の高さ」について、関電と同委員会の議論を見ていきましょう。もちろん、原発直下の「Fー6破砕帯」も注視しましょう。

 (注1) 

 力の単位N=質量×加速度=kg・m/sの2乗

 仕事(エネルギー)の単位J=力×距離=Nm

 以上の関係から

 仕事=力×距離=(kg・m/sの2乗)×m=(m/sの2乗)×kg・m=加速度×(質量×距離)

 このことから、地震エネルギー(J)は、ある質量を持った岩盤の断層がずれた距離に岩盤の加速度(ガル)を乗じたものと解釈できます。要するに、岩盤の質量が大きく、断層が長く、岩盤の移動する加速度が大きいほど地震エネルギーは大きくなります。

 地震のエネルギーが4倍になった場合、加速度がどの程度増加するのか。良く判りませんでした。

 (注2)  基準を超える原発は動かしてはいけないとのことです。

 関連記事(ものぐさ 大飯原発 三連動 その後

 

 

 

 

 

  

 

 

 

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