« 4月の庭 | トップページ | 敦賀原発破砕帯その後 K断層とG断層 »

2013年5月 1日 (水)

よくわからん 大飯原発 規制基準適合

 4/19、関電は、大飯原発3、4号機が新基準に適合しているとする報告書を原子力規制委員会に提出しました。これを受け、同委員会は新基準に適合しているか否かを6/末までに評価し、安全上の重大な問題がなければ、9月の定期検査まで運転を継続するといいます。以下、安全を主張する関電の根拠を掲げます。

・ 関電の過酷事故への対応策は、①電源車4台の追加、②原子炉に注入する移動ポンプ6台と外部への放射能拡散を防ぐ放水砲2台の整備。

・ 更に、「基準津波」は2.85mと想定。よって、敷地の海抜は9.7mで問題ない。

・ 敷地内に同委員会が指摘するような活断層はない。

・ 中央制御室の隣にある会議室に放射性物質を遮断するフィルターを取り付け、緊急時避難対策所の代用とする。積算被曝量は1週間で14ミリシーベルトで、基準100ミリシーベルト未満を十分満たす。

・ 特定安全施設は17年度に完成。

・ 基準地震動、航空機落下、テロ対策等7項目については未回答。

 それでは、同委員会の再稼働に関する主張はどのように変化していったのでしょうか。以下、追ってみます。

1 発足まもない昨年9/19、同委員長は再稼動について、「①大飯原発については、防災対策もできていないなか、夏の電力受給などを考えた政治的な判断である。基準には抜けがあると思うので今後詰めたい。②(再稼動を判断する)政府の暫定基準を見直すまでゴーサインを出すのは無理。③見直し作業が終わるまで再稼動の判断はしない。④活断層の影響があると判断された原発は再稼動を認めない。」と記者会見で発言(ものぐさ 原子力規制委員会 安全基準の策定 その1)し、政府の定めた暫定基準に疑問を呈しています。

2 同年11/5、大飯原発の敷地内を通る断層「Fー6破砕帯」に活断層(注1)の指摘がされている問題で、同委員会は現地調査をしました。その結果、同断層は12~13万年前以降に動いた可能性が高いことで意見は一致したものの、動いた原因が断層活動でなく、地すべりであるとの意見も出て、結論には至りませんでした(ものぐさ 大飯原発 活断層調査)。専門家の間で、活断層か否かで、意見は真っ二つに分かれました。

3 同委員長は1月、「基準を満たしていない場合は、運転を停止してもらう」と主張。

4 3/19、1つ2つ足りない可能性はあるだろうが、規制基準をクリアできなくても安全上重大な問題でなければ継続を認める(同委員長)。

5 更田委員は3/31、大飯原発3、4号機について、「新たな安全基準の施工時点で(基準を?)満たしていなければ、それ以前に止まっている」と発言。

6 同委員長は「大飯原発の対策は進んでいる。津波より原発の敷地は高い。」と予断をもって発言(注2)。

7 4/19、同委員長は、「定期点検に入った段階で基準適合を求める」と述べ、運転継続を容認。

8 4/20、更田委員は、「緊急時避難対策所が仮設では難しい」と発言。島崎委員長代理は、熊川断層など三つの断層が連動した場合の影響を要求。

 当初、同委員長は暫定基準による大飯原発の再稼働に疑問を呈し、活断層の影響があるとみなされた原発の再稼動は認めない等、勇ましい発言をしていました。ところが、徐々に発言はトーンダウンし、「1つ2つ足りない可能性はあるだろうが、規制基準をクリアできなくても安全上重大な問題でなければ継続を認める」など、とんでもないことを言い出しました。

 継続運転を判断する基準と再稼動を判断する基準が何故異なるのか理解できません。

 更に、活断層について、専門家の間ではグレーです。グレーである場合、(原発は動かさないという)安全側に立った決定をすべきです。

 猶予期間中(例えば、第2制御室などの特定安全施設、フィルター付きベント装置、緊急時対策所など)の事故に対する納得できる対策がなければ、猶予を許すべきではないとの意見もあります。

 結局、原子力村住民の「化けの皮」が剥がれたということでしょうか。どこからか圧力があったのでしょうか。

 4/16、大阪地裁は、関西の住民らが大飯原発の運転停止を求めた仮処分申請を、「合理的な安全基準を満たし、具体的な危険性も認められない」として却下しました。福島原発事故後に国が定めた暫定基準に適合しているというのが、その根拠です。司法は何を見ているのでしょう。住民の原発停止の訴えを退けてきた司法判断の結果が、福島原発事故ではないのですか。

(参考)  大飯原発3、4号機は規制基準に適合するか。私の判断ですが、備忘として記します。

 適合する項目に○、異論のある項目に△、適合しない項目に×、先送り項目に-、私にとって不明な項目を?としました。

× 第2制御室などの特定安全施設(中央制御室のバックアップ、電源や注水機能、非常時の海水利用)。・・・5年の猶予。

× (7日の積算値が100ミリシーベルト以下とする)放射能の遮蔽能力の高い緊急時対策所(免震機能や自家発電機)。・・・完成は2015年

× フィルター付きベント装置。・・・加圧水型原発は当面猶予。

○ 古い原発で使われている可燃性ケーブルの難燃性への交換。

? 延焼を食い止める防火壁。

○ 電源や冷却装置の多重化・多様化(高台への電源車、可搬型ポンプの配備)。

× 外部電源の多重化。(12月完成予定)

△ 活断層(注2)の直上にある重要施設の運転は認めない。

△ 基準津波の大きさに応じた防潮堤(原発ごとに最大津波を想定、防潮堤には高い耐久性を要求)。

- テロによる航空機の衝突を想定。

? 格納容器破損対策(落下した核燃料の冷却手段、水素除去装置)。

- 長期間使用する配管など安全上重要な機器の多重化。

○ 放射性物質の拡散を抑える放水設備(注3)。

○ 重要施設への浸水防止(水密扉)。

- 周辺地下の立体的構造の把握。

 (注1) 12~13万年前以降の活動が否定できなければ、40万年前以降にさかのぼって活断層の是非を判断。

 (注2) 若狭湾には、701年の大宝年間に40m超の津波が押し寄せたとの伝承があります(ものぐさ 野田首相 大飯原発再稼動決定)。

 (注3) 福島原発の事故では放水したにも関わらず放射能は拡散しました。

 

 

 

« 4月の庭 | トップページ | 敦賀原発破砕帯その後 K断層とG断層 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 4月の庭 | トップページ | 敦賀原発破砕帯その後 K断層とG断層 »