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2013年6月 1日 (土)

「原発は高い 201円/kw・h」 三上元湖西市長

 「どう計算しても 原発は高い」と主張する三上湖西市長のB4両面カラーコピーを入手したので、以下概略を紹介します。

・ 経産省エネルギー白書(平成21年)は原子力発電コストは6円/kw・hとしていましたが、その後、これはウソだとばれました。

・ 1970~2010年の有価証券報告書から大島教授が算出した火力発電のコストは9.91円/kw・hです。

・ 一方、原子力発電のコストは、核のゴミの10万年の保管料、廃炉コスト、賠償保険料を加えると、東海第二原発で116円/kw・h。浜岡原発で201円/kw・hです。これは、三上元氏の概算によるものです。思わず「エエ~」です。本当でしょうか。

 賠償や除染費用を加味し、「コスト等検証委員会」は原発による発電コストを8.9円/kw・hと算定しました(ものぐさ 原発コスト 8.9円/kw・hは目くらまし)。しかし、この算定の前提条件は、10万年にも及ぶ核のゴミの保管料は考慮されておらず、廃炉費用と賠償費用の合計額は5.8兆円と少なく、除染費用は1.1兆円です。これらの費用を過少に見積もったことにより、この程度の電気料金で収まったのです。そこに飛び込んできたのが、このコピーでした。

 同氏は次のように計算しています。判りにくい所等には私のコメントも追加しました。

 前提として、1基の発電量を100万kw、稼働率を70%、1年間フル稼動。その場合、年間発電量=100万kw・h(1時間の出力)×0.7×24×365=61.32億kw・hとなります。

 発電コストは(燃料費+人件費+修理費+その他の各費用)/年間発電量です。また別の見方をすれば、各費用を年間発電量で除したものの合計額が発電コストでもあります。更にしつこく言えば、燃料費に対する発電コストは、(燃料費/年間発電量)であり、人件費に対する発電コストは、(人件費/年間発電量)であり、ここで問題とするその他の各費用に対する発電コストは、(その他の各費用/年間発電量)です。そして、それぞれの発電コストを合計したものが電気料金となります。

 さて、その他の各費用を含む項目毎に発電コストを算出してみます。そして、下記ピンクの数字の合計額が最終的な電気料金です。以下、浜岡原発で試算します。

A 発電コストは8.53円研究費・安全点検費は1.46円迷惑料(交付金や核燃料税)は0.26円。・・・40年間の有価証券報告書から大島教授が算出。

B バックエンドコスト(再処理や核のゴミ処理)を大島教授は19兆円と推論しており、全50基の原発が40年間でバックエンドコストを回収(子孫にツケは残せない)しようとすれば、1基当りの年間費用は19兆円÷50基÷40年=95億円/年・基となり、バックエンドコストは95億円/61.32億kw・h=1.55円/kw・h

C 核のゴミ10万年の保管コストを1ケ所10億円/年。10ケ所の最終処分場を建設したと仮定すると年間費用は100億円。10万年の保管コストは1000兆円。全50基の原発が40年間でバックエンドコストを回収(子孫にツケは残せない)しようとすれば、1基当りの年間費用は1000兆円÷50基÷40年=5000億円/年・基となり、保管コストは5000億円/61.32kw・h=82円/kw・h

D 事故炉の廃炉コストを25年間で19兆円(チェルノブイリと同額)。30年以内に87%の確率で事故が発生(浜岡原発)すると仮定。浜岡原発3基の廃炉コストを40年で回収(子孫にツケは残せない)しようとすれば、年間費用は19兆円÷3基÷(30年÷0.87)=1837億円/年・基となり、廃炉コストは1837億円/61.32kw・h=30円/kw・h

E 除染は困難と考え、転居してもらうと仮定した場合、東海村における事故損害賠償保険料(東海村から半径30kmの土地の西側半分で計算)は、土地の買い上げ金額を21兆円(土地単価1.5万円/平方m、面積を1413平方km)、家の買取り金額を10兆円(1人あたり1000万円で100万人が対象)、オフィスや工場の買取金額も10兆円、所得・健康保障を5兆円(1人あたり500万円で100万人が対象)、故郷を捨てる見舞い金額を3兆円(1りあたり300万円で100万人が対象)と試算。合計額は49兆円となる。浜岡の場合も同額と仮定し、30年以内に87%の確率で事故が発生すると仮定すると、浜岡原発3基で事故損害賠償保険料を確保(子孫にツケは残せない)しようとすれば、年間費用は49兆円÷3基÷(30年÷0.87)=4737億円/年・基となり、事故損害賠償保険料4737億円/61.32kw・h=77円/kw・h

 A~Eのピンクの数字を加算すると、原発のコストは201円/kw・hとなります。

 コスト計算において、以下の前提条件があります。

・ 10万年の保管コストやバックエンドコストを40年間で確保。

・ 30年以内に87%の確率で地震が発生し、廃炉となる。

・ 除染は困難で転居する。

・ 家やオフィスの買取金額は、同程度の物件を建築する費用とする(注1)。

 バックエンドコスト、核のゴミ10万年の保管コスト、廃炉費用コストは、子孫にツケを残すことはできず、原子力を利用した現世代がその責任を負うべきです。巨大地震が起きた場合の過酷事故の発生確率が考慮されていませんが、最悪の場合に備えて引き当てておくべきでしょう。当然の費用見積もり額だと思います。ムチャクチャな試算であるとは思いません。

 ちなみに、ジュネーブ大学のヴァルター・ヴィルディ教授は、スイスで同じような福島原発事故起きたという想定で、損害賠償額を366兆円と見積もっています(ものぐさ 福島原発損害額366兆円)。

 原発事故で将来を悲観して自殺した酪農家の遺族は、東電に1億2600万円の損害賠償訴訟を東京地裁に起こしました。浪江町は精神賠償額を10万円/月から35万円/月に増額することを求め、1万1602人が和解仲介手続きを申したてました。当然です。

(注1) 再調達価格をさしていると思います。再調達価格とは「保険の対象と同等の物を新たに建築あるいは購入するために必要な金額のこと」をさします。この再調達価額から経過年数や使用損耗による減価を差し引いた額が時価(額)です。 

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