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2013年7月

2013年7月 2日 (火)

米 放射性物質新たに漏出 最終処分場は大丈夫か

 6/21、ワシントン州のハンフォード核施設で、放射性廃棄物を貯蔵する地下タンクの外に、新たに放射性物質が漏れている可能性が明らかになりました。米エネルギー省の検査員が高いレベルの放射線を検知しました。同施設は、長崎に投下された原爆のプルトニウムを製造したことで知られています。1945年に太平洋戦争が終わりました。戦争後わずか68年で地下タンクから放射性物質が漏れ出たわけです。プルトニウムなら10万年以上安全に保管しなければなりません。

 この記事をどのように受け止めればいいのでしょうか。放射性廃棄物は10万年以上保管・管理できるのでしょうか。福島原発事故後の現実を拾い挙げます。

・ 8000ベクレル超10万ベクレル以下の放射性廃棄物について、「栃木、宮城、群馬、千葉の各県で最終処分せよ」、と政府は要求しています。「臭い物には蓋をし」「埋めて見えなく」すれば「見えないものはなかったこと」となります。政府は一刻も早く原発事故もなかったことにしたいのでしょう。何十年もしてから「漏れが発見された」では遅すぎます。一旦埋めたものは掘り起こせません。

・ 福島原発と海の間に設置した観測用井戸から、高濃度のトリチウムとストロンチウム90の漏出が、6/24明らかになりました。検出されたトリチウム濃度は1リットル当り1100ベクレルでした(6/21)。溶融した原発敷地内から漏れ出ているのでしょう。未だに、遮蔽することもできません。6/24には、トリチウムが1リットル当り1500ベクレル検出されています。更にストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質が6/28には、1リットル当たり3000ベクレル、7/1には、4300ベクレル、7/5には、90万ベクレル検出されています。トリチウムの濃度が上昇傾向にあるようです。

・ 東電の汚染水浄化システムや地下タンクからの汚染水の漏れもありました。今後もあるでしょう。

・ 敷地南側に新設する地上タンクに汚染水を移送することで、敷地境界の年間被曝量は最大7.8ミリシーベルトになりました。通常の7.8倍です。

・ J-PARC(日本原子力研究開発機構と高エネルギー研究所が共同で運営)の加速器施設から放射性物質が漏れ、敷地約1kmに拡散しました。

 放射性廃棄物の安全は確保できるのでしょうか。ある専門家は、汚染土壌を入れたコンテナを浅い地中に埋める方式を推奨しています。埋め立てた場所がわからなくなり、掘り直しが不可能になることを危惧しているのです(ものぐさ 埋め立て基準8000ベクレルは大丈夫か)。 

 放射性廃棄物の処分先も決まらない状況で、自民党は、原発再稼働に前のめりです。再稼動し、第二の福島原発事故が起きたら、同じように、放射性廃棄物を地元に押し付けるつもりなのでしょう。国策で進めてきた原発の尻拭いはいつも地元です。どこまで、地元住民を軽視しているのでしょう。

 原発がなかったならば、こんな心配をしなくてすみます。地元にとっては迷惑施設でしかありません。放射性廃棄物すら安全に管理・処分できない現実を前にすれば、政府の言うことは違ってくるはずです。

 全ての原発を廃炉とします。他県は放射性廃棄物を受け入れてくれません。申し訳ありませんが、地元に最終処分場を作らせてください。これが真っ当の人間の言う言葉です。

 

2013年7月 3日 (水)

映画「朝日のあたる家」

 6/29、湖西市民会館において、映画「朝日のあたる家」が上映されました。

 映画の舞台は静岡県湖西市、浜名湖に面し、海の幸に恵まれた自然豊かな人口6万人程度のごくありふれた町。いちご栽培で生計を立てている平田家を中心に物語は進む。お父さん(並樹史朗)はいちごを栽培。お母さん(斉藤とも子)は主婦。長女(平沢いずみ)は大学生。妹(橋本わかな)は中学生。そんな時に起こった大きな地震。そして原発の爆発。その後の進展はまさに、福島原発事故そのものだ。避難所生活で家に帰れない。長女と妹は放射能の影響で鼻から出血。妹は体調をくずし入院。そんな中で悩み、苦しみ、断腸の思いで故郷をを捨て、移住を決心する。

 お父さんは故郷を離れる前に、一目だけでも故郷を見て行こうと言う。住めなくなった我が家、父が丹精こめていちごを栽培をしたハウス、野原や畑、小川を車窓から見て泣き崩れる一家の姿。最後のそのシーンがとても印象的でした。

 上映に先立ち、出演したエキストラを監督(太田隆文)が紹介し、一人ひとりからのコメントがありました。地元の人達とともに映画を作り上げたんだという思いが伝わってきます。

 上映終了後、監督とお父さん(並樹史朗)、お母さん(斉藤とも子)、長女(平沢いずみ)、妹(橋本わかな)との楽しいトークが始まりました。

 この映画は、6/29と6/30に地元で上演されました。この上演に先立って、ロスアンゼルスで上演され、シンガポールからのオファーもあるようです。最後に登壇した三上湖西市長は、所属する全国の市長会でこの映画のPRをすると言う。小さな町からの情報発信。素晴らしいことだと思いました。

 福島原発事故から2年以上の月日がたち、人の心から、当時の気持ちが風化しつつあります。原発事故の悲惨さを思い起こすよい映画でした。改めて原発事故の悲惨さを思い起こし、今尚苦しんでいる福島県民の思いに心を馳せ、原発再稼動の是非を考えて欲しいものです。

 全国の脱原発グループを中心に、この映画の上映を企画してもらいたい。

 6/28~29、ツイッター利用者が話題にした政策テーマは、原発・エネルギー90,000件、尖閣.・北朝鮮42,000件、東日本大震災42,000件、憲法・改憲31,000件、年金・子育て29,000件、景気23,000件、TPP23,000件、消費税9,000件でした。

2013年7月 4日 (木)

新潟県知事 規制基準不十分

 柏崎刈羽原発再稼動問題で、6/29、新潟県知事は以下の発言をしています。

・ 新基準は(事故を起こさないための)安全基準ではなく、「規制を実行すれば、後は知らないと言っているようなものだ。

・ 過酷事故が起き、高レベル放射能が出てている現場へ犠牲者を出す覚悟で作業員を出せるのか。現行制度では法律違反で誰も行かせられない。

 この発言は衝撃的です。福島原発事故において、当時の東電社長は、従業員の安全を守るために全員撤退を検討したと言われています(ものぐさ 政府よ 原発事故の初心を忘れるな)。当時の菅首相は「撤退などありえない」と激怒し、何とか原発の大爆発は免れたという。その記憶がよみがえりました。

 新規制基準に対して、原子力規制委員会は「世界一の規制基準だ」と胸を張るが、同知事の発言を聞くと、新たな不安が募ります。原発を再稼動するための新たな安全神話を作り上げただけなのですか。再稼動させるための規制基準で、住民の安全など考えていないようです。

 政府は、同委員会が「安全だ」と認定したものについては、再稼動すると言っているが、同委員会の「安全だ」はなんと、お粗末なものしょう。同委員会は住民不在の規制基準を作り、同基準に適合していれば安全だと認定し、政府は同委員会の安全宣言により、原発を再稼動する。住民の安全を考えていない規制基準は間違っています。政府と同委員会のにデキレースなのですか。

 同委員会は、事故の発生するリスクの存在を認めた上で、過酷事故に進展しないための各種シビアアクシデント対策(非常用電源、放水砲等)を義務付けています(ものぐさ 原発 新安全基準骨子にパブリックコメントを(シビアアクシデント))。放射能で住民が被曝する可能性があることを認めているのです。ここまでが、同委員会の役割のようです。その後放射能が放出されたあとのことを想像してみてください。

・ 原発から30kmの距離であるUPZ圏内では何十万人という住民が暮らしています。

・ 地方自治体は原発事故を想定した緊急避難計画を策定しているが、その実態は極めて不十分です。何十万人という住民を、どういう手段で、どこに搬送するのですか。十分な避難計画が示されていません。どれくらいの放射線量が検出されれば住民は避難を始めるのか。避難ルートは確保されるのか。原発から半径30キロ圏に大幅拡大された事故時の住民避難計画のモデルを示せず、自治体任せだ(ものぐさ 原発震災 緊急避難後どうするつもりだ)。

・ 高レベル放射能で被曝した地域に救援の手を差し伸べる法律はなく、現行では法律違反であるという。

・ 住民は自力で逃げろ。救援の手は差し向けられない。死んでくれ。そう言うことですか。

 経済を優先し、住民の生死など取るに足らない。その時は、また「想定外」で済ますつもりなのか。緊急避難計画はお粗末なものです。長期避難や、賠償のことはほとんど考えていないのでしょう。国も、同委員会もいい加減です。

 国も、同委員会もあてになりません。UPZ圏内の首長や住民で再稼動を阻止することが最後の砦でなのでしょうか。

 

 

2013年7月 6日 (土)

参院選後 自民原発推進か

 自民党は、12年の衆院選の公約(ものぐさ 自民党原発政策)で「原発再稼動の是非は順次判断し、全ての原発について3年以内の結論を目指す。原子力に依存しなくても良い経済・社会構造の確立を目指す。中長期的エネルギー戦略の確立に向け、遅くとも10年以内には持続可能な電源構成のベストミックスを確立。」としていたが、13年参院選の公約では「安全性については、原子力規制委員会の専門的判断に委ね、その上で、国が責任を持って、安全と判断された原発の再稼働については、地元自治体の理解が得られるよう最大限の努力をする。原子力技術等のインフラ輸出の支援体制を強化します。」と、方針の転換を明確に示しました。

 衆院選で「原発に依存しない経済を目指す。電源構成のベストミックスの確立」と言った公約が今回抜け落ちています。噓だったのでしょうか。そして参院選での勝利の目途が立った今、アリバイ作りのように、再稼動の姿勢を明確にしています。

 そして、自民党は、再稼動へと世論操作をし始めました。以下その発言を記します。

・ 原発は重要電源であり、安全性の確認を迅速に進め、早期再稼動を行なう。・・・電力安定供給推進議員連盟(6/25)

・ 「原発ゼロ政策」の議論の場である「総合資源エネルギー調査会問題委員会」を廃止する。・・・経産相(6/25)

 報道は「原発ゼロからの転換を組織の面からも行なった」との見解。

・ 国会事故調査委員会の「資料公開に待ったをかけている。・・・自民党

 報道は、「原発政策問題に再び焦点あたり、再稼動反対論が強まるの押さえる狙い」との見解。

 更に、参院選の公約で気になる点があります。

① 政府は「原子力規制委員会の専門的判断に委ね」としているが、額面通り受けとって良いのでしょうか。再稼動に対する単なる枕詞のように感じます。下記の状況に見るように、同委員会の安全宣言は不安だらけです。

 敦賀原発活断層問題では、ある委員が、「いろいろ圧力があった。だんだんこういう役職を受ける人はいなくなるのではないか」と述べています(ものぐさ 敦賀原発廃炉か 原子力規制委員会に圧力 ?)。底知れぬ恐ろしさを感じます。

 また、大飯原発の運転継続容認、第2制御室などの特定安全施設(中央制御室のバックアップ、電源や注水機能、非常時の海水利用)やフィルター付きベント装置の5年間猶予などに見るように、同委員会の規制基準は、原発推進側との妥協の産物ではないかと思わせるものが数多くあります。政治家の影を感じて腰の引けた発言をし始めたのですか(ものぐさ 田中原子力規制委員長 この頃なんか変よ)。

 先日、新潟県知事は「新基準は(事故を起こさないための)安全基準ではなく規制を実行すれば、後は知らないと言っているようなものだ」とか、「過酷事故が起き、高レベル放射能が出てている現場へ犠牲者を出す覚悟で作業員を出せるのか。現行制度では法律違反で誰も行かせられない」と発言しています。同委員会は「住民の安全を本当に守ろうとする意思があるのか」、疑問を抱かざるを得ません(ものぐさ 新潟県知事 規制基準不十分)。

② 「地元自治体の理解」と言っているだけで、「地元住民の理解」とは言っていない点です。

③ 「地元」とは原発立地自治体だけを指すのでしょうか、半径30km内のUPZ圏内を含めるのでしょうか。

④ 「最大限の努力」目標であり、地元自治体の理解が得られない場合であったとしても、再稼動は強行すると言うことでしょうか。

2013年7月 9日 (火)

地震用語 基準地震動Ss、弾性設計用地震動Sdとは

 基準地震動、弾性設計用地震動とは何でしょう。用語の意味をネットで調べてみました。

・ 原発の設計の前提となる地震の揺れで、原発ごとに異なる。周辺の活断層などで起こりうる大地震を想定して、地盤の状態を加味し、原発直下の最大の揺れを見積もる。これをもとに原子炉、建屋、配管などの構造や強度を決める。単位はガル。

・ 原子力発電所の耐震設計において基準とする地震動。地質構造的見地から、施設周辺において発生する可能性がある最大の地震の揺れの強さのこと。

 以下、グチャグチャして判りにくいので、結論を先に示します。

 新指針 基準地震動      Ss > 弾性設計用地震動  Sd

 旧指針 設計用限界地震動 S2 > 設計用最強地震動 S1

 原子力規制委員会の資料「基準地震動及び耐震設計方針に係る審査ガイド 平成25年4月5日)」には、更に詳しく

① 基準地震動Ssとは、「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」及び「震源を特定せず策定する地震動」についての解放基盤表面(注1)における水平方向及び鉛直方向の地震動。

② Sクラスの各施設(原子炉、炉心冷却装置、放射性物質を内蔵している施設等)は、基準地震動Ssによる地震力に対してその安全機能が保持できること。また、弾性(注2)設計用地震力又は静的地震力のいずれか大きい方の地震力に対しては、概ね弾性状態に留まる範囲で耐えること。

③ 弾性設計用地震動Sdは、基準地震動Ssとの応答スペクトル(ものぐさ 地震用語 加速度時刻歴波形と加速度応答スペクトル)の比率が目安として0.5 を下回らないような値で工学的判断に基づいて設定すること(「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針 平成18 年9月19日 原子力安全委員会決定」における弾性設計用地震動Sd の規定と同様)。

 とあります。

 また、「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針・・・平成18年9月19日)」には、 

④ 基準地震動Ssは、「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」及び「震源を特定せず策定する地震動」について、敷地における解放基盤表面における水平方向及び鉛直方向の地震動。

⑤ 弾性設計用地震動Sdと基準地震動Ssの応答スペクトルの比率(Sd/Ss)の値は、弾性設計用地震動Sdに求められる性格上、ある程度以上の大きさであるべきであり、目安として、0.5を下回らないような値。

⑥ 弾性設計用地震動Sdは、旧指針における基準地震動S1が耐震設計上果たしてきた役割の一部。

 とあります。

 上記について、以下補足します。

・ 基準地震動Ssは解放基盤表面における水平方向及び鉛直方向の地震動を指し、この地震動に耐えうるように機器を設計しなさい、と言うことです。・・・上記①②④

・ 基準地震動Ssに対しては、安全機能が保持できることを要求しています。つまり、機器が変形してしまっても、最悪の事故だけは回避せよと求めているのです。・・・上記②

・ 機器が変形せず、もとの状態を維持できる地震動として、弾性設計用地震動Sdを定義しています。Ssに対するSdの比率は、Sd/Ss≧0.5なる関係を要求しています。つまり基準地震動Ssが1000ガルと見積もられた場合、弾性設計用地震動Sdは、少なくとも500ガル以上となります。つまり、500ガル未満の地震動では機器の変形はあってはいけないのです。500ガル以上1000ガル未満と幅を持たせているのは何故でしょう。恣意的に決めることができるのでしょうか。疑問です。・・・上記③⑤

・ 弾性設計用地震動Sdは、旧指針における基準地震動S1とほぼ同等であるとしています。・・・上記⑥

 しかし、某識者は次のように批判しています。

 第25回分科会の資料によれば、S1とS2による加速度の比率は0.68、速度の比率は0.7である。従って、事業者がSsをS2と同規模に設定すれば、SdがS1を下回るケースが生じ、係数倍の下限0.5の設定では、旧指針より後退した弾性設計となる。

 (以下、旧指針)

 前記において、突然旧指針が登場し、面食らったかと思います。旧指針の基準地震動とはどのようなものでしょう。ネット上で旧指針が見当たらなかったので、「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針・・・平成18年9月19日)」やネット情報から旧指針の基本方針を拾ってみました。

⑦ 基本方針は「発電用原子炉施設は想定されるいかなる地震力に対してもこれが大きな事故の誘因とならないよう十分な耐震性を有していなければならない」と述べています。

 某識者は、「いかなる地震力」とは、耐震設計のための基準地震動は想定しうる最大限の地震動として与えることを前提としている、と解説しています。

⑧ 基準地震動について、施設の建物・構築物及び機器・配管系の重要度に相応し、地震動S1 及び地震動S2 の2種類に区分。

⑨ 弾性設計用地震動Sdは、旧指針における基準地震動S1が耐震設計上果たしてきた役割の一部。

 原子力安全・保安院は「原子力発電所に係る耐震設計の概要」において、以下のように記述しています。

⑩ 「設計用最強地震」をS1地震力と規定。「設計用最強地震」よりも大きな「設計用限界地震」をS2地震力と規定。(ものぐさ 脆弱な原発構造

 また、小出氏」は次のように述べています。

⑪ Asクラスの各施設(原子炉、炉心冷却装置、放射性物質を内蔵している施設等)の機器は「設計用限界地震:S2」に襲われて、弾性限界を超えることがあっても、つまり機器が変形してしまっても、安全機能を保持すること。つまり、予想できる最強の地震「設計用最強地震:S1」をしのぐ強烈な地震に襲われた場合には、機器が変形するのはやむをえない。しかし、その場合でも、最悪の事故だけは回避せよと求めている。その基準は、変形してしまった機器の再使用を許可するための基準ではない。

 以下、補足します。

・ 想定されるいかなる地震動に対しても大きな事故の誘因とならないような耐震力を要求しています。機器の変形等があっても大きな事故にならなければ良いと言うことです。・・・上記⑦⑪

・ S2の地震動に襲われ、弾性限界を超えることがあっても、安全機能を保持することを要求しています。機器の変形はやむを得ないとしています。このS2を「設計用限界地震」としています。・・・上記⑦⑪

・ 旧指針のS2は新指針のSsに、旧指針のS1は新指針のSdに相当しています。・・・上記⑥⑨⑩⑪

(注1) 「解放基盤表面」とは、基準地震動(「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針 平成18 年9 月19 日 原子力安全委員会決定」における基準地震動Ss の規定と同様。)を策定するために基盤面上の表層や構造物が無いものとして仮想的に設定する自由表面であって、著しい高低差がなく、ほぼ水平で相当な拡がりを持って想定される基盤の表面をいう。ここでいう「基盤」とは、概ねせん断波速度Vs=0.7km/s 以上の地層であって、著しい風化を受けていないものをいう。

関連記事(ものぐさ 地震用語 解放基盤 はぎとり波 基準地震動 基礎版

(注2) 固体に外から力を加えると,力に応じて固体は変形する。力が小さい間は,力を0に戻すと形も元に戻る。このような性質を弾性と言う。

2013年7月11日 (木)

安心できない緊急避難計画なら再稼動するな 

 北海道電力(泊原発1~3号機)、関西電力(大飯原発3~4号機、高浜原発3~4号機)、九州電力(川内原発1~2号機)、四国電力(伊方原発3号機)は7/8、原子力規制委員会に対し、原発再稼動の申請書を提出しました。

 6/19に規制基準を決定した同委員会は、いよいよ審査を開始します。同委員会が原発の安全を確認し、原発立地自治体の理解が得られれば、再稼動は出来るのでしょうか。

 同委員会は2/27、原発立地自治体に対して、原子力災害対策指針(平成24年10月31日)に基づき、原発立地地域は「具体的な緊急避難計画を立案せよ」と要請しています(ものぐさ 原発震災 緊急避難後どうするつもりだ)。想定外の事故が起きるリスクを抱えた原発の再稼働に関しては、絶対反対の立場ですが、百歩譲っても、住民が安全に緊急避難できることは、再稼動条件の1つです。

 これに先立ち、同委員長は2/13の記者会見で次のような見解を述べています。

 再稼働に足るかどうかという安全の評価をするかどうか私どもとして評価することと防災計画とは、法的にはつながってはいないのですが、実際問題として、再稼働という段階は、これは前々から申し上げているように、私たちが判断することではなくて、最終的には、政治とか、事業者とか、地域とかがいろいろ相談して、合意で動くのだと思うのですが、その時の条件としては、必ず防災計画というのがきちっとして、地域の方が安心できるかどうかが大きな条件になるでしょうということで、私は車の両輪になるだろうということで、私たちの規制委員会の任務として、防災指針というのを急いで検討してきたという経過があるということでございます。

 同委員会も過酷事故が起き、放射性物質が拡散する可能性を認めています。そうであれば、住民の安全な緊急避難は再稼動の絶対条件です。一方、地方に丸投げされた緊急避難計画の策定は困難を極め、UPZ圏(半径30km)内の住民避難の実効性は疑問視されています。UPZ圏内の123市町村で「逃げられずに孤立の恐れのある集落」は約半数に上ると言います(7/10報道)。以下、立地自治体の困惑を列挙します。

・ 限られた避難路しかなく、それが通行止めになると、迂回路がない。

・ 避難用の自衛隊のヘリ、海上保安庁の船舶、漁船での輸送能力には限界がある。

・ 最悪の場合、屋内退避しかない。

・ 過酷事故が起き、高レベルの放射能が出てている現場へ犠牲者を出す覚悟で作業員を出せるのか。現行制度では法律違反(ものぐさ 新潟県知事 規制基準不十分)。

・ 中部電力浜岡原発を抱える静岡県では、策定の目途すら立っていない。UPZ圏内の人口は94万人。巨大地震が起きれば近県6県も甚大な被害が予想されるため、場合によっては、6県以外にも範囲を広げて避難先を探さなければならない。避難先を確保できたとしても96万人の県外避難には何重もの壁が立ちはだかる。自家用車を主体に避難せざるを得ないが、秩序立った避難ができるかどうか懐疑的な見方も根強い。

 地震により避難路が遮断され、自家用車による避難も不可能だ。「絵に描いた餅」のような貧弱な輸送能力は、住民を現場に孤立させたままだ。放射性物質が降り注ぐ中、一次退避所で救援の手を待っているだけ。津波の襲来で集落は壊滅状態だ。原発が爆発し、被曝を恐れ、救援作業員は来ない。

 そんな光景が目に浮かびます。まさに地獄絵図です。政府は、これも想定外だと言い訳をするつもりなのでしょうか。

 (参考)

 敦賀原発、もんじゅ、美浜原発、大飯原発、高浜原発が立地する福井県の緊急避難計画は、平成25年3月時点で「原子力発電所近接5km圏の住民避難計画」として文書化されているだけで、UPZ圏内の避難計画の策定はこれからだと言っています。詳しくは別の機会に譲ります(ものぐさ 福井県の緊急避難計画)。 

2013年7月16日 (火)

福井県の緊急避難計画

 原発の再稼動の条件の1つである「緊急避難計画」の策定が進んでいます。原子力規制委員長は2/13の記者会見において、同計画が「再稼動の条件の1つ」となるとの見解を述べていました(ものぐさ 安心できない緊急避難計画なら再稼動するな)。ところが、その計画の実効性に疑問を呈する自治体は少なくありません。

 敦賀原発、もんじゅ、美浜原発、大飯原発、高浜原発が立地する福井県の緊急避難計画はどの程度のものでしょう。

 同県の緊急避難計画は、「原子力発電所近接5km圏の住民避難計画」として、平成25年3月に策定されたが、UPZ圏内の同計画の策定はこれからだ。以下が、その計画の概要です。

・ すべてが半島部に位置することから、即時避難が必要となる原発近接地域の避難対応に当たっては、県、市町をはじめ、消防、警察、海上保安庁、自衛隊等の防災機関が一体となって、陸・海・空路あらゆる搬送手段により、迅速、確実に住民の避難を行う。消防、警察、海上保安庁、自衛隊等の防災機関と、具体的な運用等について調整を継続し、さらに実効性のある計画としていく。

・ 避難対象者は7631人(敦賀原発、もんじゅ、美浜原発は3~4kmと接近しており、複数の原発から5km以内の集落があり、その重複部分を除く)。

・ 原発事故の緊急事態を3つのレベルに区分。「警戒事態・・・第1段階」とは原発の重要な故障等、「施設敷地緊急事態・・・第2段階」とは冷却機能喪失や制御室の制御不能等、「全面緊急事態・・・第3段階」とは炉心冷却装置による注水不能や炉心溶融等を指す。

・ 国、県、市町、消防、警察、自衛隊、海上保安庁等への通報や連絡規定を明示(第1~3段階)。警戒本部やオフサイトセンターの設置(第1段階)。

・ バスの派遣準備を要請(第1段階)。自衛隊と海上保安庁に対し、緊急輸送の支援を行なうための出動準備を要請(第1段階)。

・ 一時集合施設を開設(主に学校)し、施設に対して、換気設備や窓・扉の気密性の向上等の放射線防護対策を実施(第1段階)。

・ 住民の避難準備(第2段階)。

・ バスの派遣要請(第2段階)。

・ 避難車両中継所の開設(第2段階)。・・・ここに集合後、住民は避難先に避難。

・ 避難先への住民受け入れの要請と住民の避難(第3段階)。

・ バスの派遣要請(第2・第3段階)。自衛隊と海上保安庁へ緊急輸送の支援を要請(第3段階)。

 以下、避難ルールです。

・ 自家用車により避難可能な住民は、自家用車による避難。

・ 自家用車により避難しない住民は、あらかじめ定めた一時集合施設に集合し、応急出動した自衛隊車両または県・市町が確保した避難用のバスによる避難。

・ 自衛隊車両等により避難車両中継所まで避難した住民は、緊急車両中継所から避難用のバスに乗り、県内の避難先へ避難。

・ 船舶およびヘリコプターにより避難を行う住民は、半島部の港湾・漁港または臨時ヘリポートから、避難先近辺まで移動し、その後、避難用のバスに乗り、県内の避難先へ避難。

・ 病院の入院患者、社会福祉施設の入所者は、バスによる避難。介助が必要な入院患者・入所者については、消防機関の救急車、福祉車両または自衛隊・海上保安庁の応急出動したヘリコプターにより搬送.。

・ 健康福祉センター及び市町に安定ヨウ素剤の備蓄を行い、住民に対する迅速な配布体制を整備。

 以下、検討します。

 各原発間の直線距離は、敦賀原発ーもんじゅ間3.7km、もんじゅー美浜原発間4.3km、美浜原発ー大飯原発間34.2km、大飯原発ー高浜原発間13.6kmです。敦賀原発、もんじゅ、美浜原発は驚くほど接近しています。

 事故が第1段階から第3段階まで順を追って進展することを前提に、計画が作られているように感じました。もし、直下型地震に襲われ、原子炉が緊急停止に失敗し暴走した場合、事態は崩壊熱による炉心溶融のような穏やかなものではありません。核分裂反応が継続し、瞬く間に炉心冷却材が失われた場合でも、住民の安全は担保されるのでしょうか。このような事故には対応できない。よって、このような事態は起きないこととする。これでは、今までの安全神話と全く同じではないですか。

 一時集合施設に対する放射線防護対策はあらかじめ実施しておくのではなく、第1段階になって実施するようです。教室等は窓が多く、防護対策の実効性は保たれるのでしょうか。校庭から廊下を通って、教室に至るまでの防護対策は実施するのでしょうか。

 自宅・勤務先等から一時集合施設への避難は原則徒歩です。一時集合施設に集合した住民は、自衛隊車両等で緊急避難中継所に移動し、更に指定した避難先に移動することになります。

 緊急輸送用のバス、ヘリコプター、船舶は足りているのでしょうか。

 それでは、原発から一時集合施設、一時集合施設から避難車両中継所までの移動距離と時間はどの程度でしょうか。カーナビで拾って見ました(車による移動)。

原発       一時集合施設(距離/時間)       緊急避難中継所(距離/時間)

敦賀原発  → 西浦小・中学校(2.1km/3分)      → 敦賀市総合運動公園(15km/28分)

もんじゅ   → 常宮小学校(12km/19分)        →  敦賀市総合運動公園(8.6km/17分) 

美浜原発  → 丹生介護予防センター(1.5km/2分) → 美浜町総合体育館(19km/31分) 

           菅浜小学校                  → 美浜町総合体育館(12km/21分) 

           岬小学校                    → 美浜町総合体育館(23km/37分)

大飯原発  →  大島小学校(2km/3分)          → おおい町総合町民体育館 8.6km/13分

             はまかぜ交流センター           → おおい町総合町民センター(8.1km/13分)

           県栽培漁業センター             → 小浜市民体育館(12km/19分)

高浜原発  → 旧音海小・中学校(3.1km/5分)    →  和田小学校(14km/22分)

 上記に見るように、原発から一時集合施設までの距離は2~12km程度であり、徒歩による所要時間は30分~3時間です。また、道路の通行止めによる迂回路の有無も気になるところです。

 一時集合施設、避難車両中継所、半島部の港湾・漁港及び臨時ヘリポート、避難先は確定しているものの、避難経路の通行止めや台風等で船舶が接岸できない場合等、想定外への対応マニュアルは見当たりません。

 報道によれば、UPZ圏内の123市町村で「逃げられずに孤立の恐れのある集落」は約半数に上ると言われています。その内、福井県で孤立する集落は、高浜町、おおい町、美浜町、小浜市、若狭町、池田町、敦賀市、越前町、南越前町です。また、電気事業連合会資料(2011.2.3)によれば、UPZ圏内の人口は、敦賀原発では75.5万人、美浜原発では39.8万人、大飯原発では32.9万人、高浜原発では41.3万人。緊急避難者は30~75万人です。緊急避難計画の策定など、ほとんど不可能でしょう。できたら見てみたいものです。

 このように、避難計画は様々な問題を抱えています。福井県の避難計画が「絵に描いた餅」とならないことを祈るばかりです。悪く解釈すれば、「絵に描いた餅」でもかまわないから、計画をでっち上げ、再稼動の体裁を整えて良しとすることも考えられます。

 原子力規制委員会が規制基準を作成し、同委員会は規制基準への適合性を確認する。緊急避難計画と避難は自治体任せ。政府は経済優先で何が何でも再稼動する。3つの部署がてんでんバランバラで典型的な行政の縦割り。各部署が夫々最適であれば、全体の安全はどうでもよいと言うことでしょうか。

 重大事故が起きたら大量放射性物質が拡散する。→緊急避難計画は完全でない、またはその実効性が担保されていない。→それでも再稼動する。この論理はおかしくありませんか。

 (原発所在地)

 敦賀原発   福井県敦賀市明神町1番地

 もんじゅ    福井県敦賀市白木2丁目1番地

 美浜原発   福井県三方郡美浜町丹生66

 大飯原発   福井県大飯郡おおい町大島1-1-1

 高浜原発   福井県大飯郡高浜町田ノ浦1

2013年7月18日 (木)

世界の原子力情勢を見れば脱原発はできない ?

 7/16、某理事長は「世界の原子力情勢を正しく認識すれば、一定度の原発は必要だ」と述べています。「世界の原子力情勢」について同氏は次のように言っています。

・ 東芝が米ウェスチングハウス社を買収し、日立は米GEと合弁会社を設立。原子力技術で指導的立場をとりたいオバマ大統領にとって日本の原子力産業は不可欠。

・ 米国の核の傘に守られているのに、日本が脱原発とは言えない。「甘えの構造」と写る。

・ 脱原発なら日米同盟に変化をきたす。

・ 中国と米国は「トリチウム発電」の共同研究を始めた。

・ 再稼動させて優秀な技術者を育成していくのが現実的だ。

・ 自国の原発の安全性に疑問を持ちつつ、海外では「安全」と言って原発を売り込む。辻褄が合わない。

 なんとも米国の出方を伺うような同氏の論理です。米国のために、国民が不安に思っている原発を再稼動するのですか。原発事故後の福島県民の塗炭の苦しみを感じていますか。福島原発のような放射性廃棄物の放出は、今後絶対起きないと確信しているのでしょうか。疑問です。米国のご都合主義から原発問題を考えると、同氏のような論理となるのでしょう。近視眼的な見方で、視野狭窄に陥っているようです。

 米国では、寿命を残して廃炉を決定する原発が相次ぎ、30数年ぶりの新設計画も頓挫する例が出てきました。シェールガス革命に加え、安全対策強化の影響で、原発が割高となったためだと言われています。市場原理が働けば、当然の結果です。

 トリチウム発電の共同研究云々は取って付けたような話です。価値があれば、日本も研究を始めれば良いだけのことです。トリチウム発電と再稼動は別問題です。

 ほとんどの国民が不安を持ち、安全神話を始めとする闇の部分を見た以上、国民は生理的に原発を嫌っています。このような技術に進んで有能な技術者は集まるでしょうか。技術者は、国民のためになり、国民に喜ばれるために、その技術を磨き、製品を世に送りたいと考えます。50年も経てば、ウランが枯渇し、衰退する産業です。果てしなく続く廃炉技術の研究にこそ、技術者は人生をかけて良いと思うのです。政府は早く方針を転換すべきです。さもなければ、廃炉技術においても外国の後塵(車・馬の走った後に立つ土ぼこり)を拝するでしょう。

 福島原発事故で原発の安全性は否定されました。原子力規制委員会は「過酷事故による放射能の拡散」の可能性を認めています(ものぐさ 原発 新安全規準骨子にパブリックコメントを(シビアアクシデント))。日本が原発の安全に疑問を持っていたとしても、日本が「安全だ」と言う原発を、海外の新興国は購入するでしょう。購入側は「安全だ」と言う言質が欲しいだけです。一旦事故が起きれば、その言質を盾に、多額の賠償金を要求するかも知れません。昨年1月、米サンオノフレ原発で、蒸気発生器から放射能漏れが起きた問題で、同原発を所有するSCE社は三菱重工に損害賠償を請求する方針を表明しています。契約上の最大賠償額は132億円のようです。

 同氏は、別の視点から柔軟に原発問題を考えて欲しい。「脱原発」をする。そのために何をしたら良いのか。そういう発想をして欲しい。その中には、米国への説得と代替案の提示。安全保障問題。核燃料サイクル撤退と再処理工場の閉鎖に伴う六ヶ所村対策。廃炉をし易くするための会計基準の見直し(これは既に始まっているようだ)。原発立地自治体への財政支援。国策で進め、嫌々これに従った電力会社への支援。色々あるでしょうが、問題解決できないことはありません。同氏は「脱原発には相当の覚悟が必要」と言っています。その覚悟は何かを示して欲しい。

 以下の現実を見つめてください。米国の「ご都合主義」に追従している場合ではありません。

 プルトニウムを燃料として発電する「もんじゅ」の実現性は技術的に不可能であり、世界は核燃料サイクルから撤退している。そして、ウランの埋蔵量は少なく、石油の数分の1、石炭の数十分の1と言われています。新興国が原発を稼動すれば、50年足らずでウランは枯渇し、原発は運転できなくなるでしょう(注1)。

 たった50年間原発を運転するだけで、膨大な量の高濃度放射性廃棄物が生成され、無害となるまでに10万年もかかります。

 シェールガスの埋蔵量はウラン燃料を遥かに凌ぎます。埋蔵量は188兆立法メートルで、その可採年数は400年と言われています。メタンハイドレードの埋蔵量は数千兆立法メートルで、日本列島周辺海域だけでも可採年数は100年と言われています。エネルギーを何故ウランに頼らなければならないのか理解に苦しみます(ものぐさ 脱原発はシェールガスとメタンハイドレードで)。

 日本は地震国であり、日本にとって原発は不向きなシステムです。外国に比べてその危険性は遥かに大きいのです。

 ドイツは脱原発を宣言しました。ドイツに出来ることがなぜ日本で出来ないのでしょうか(ものぐさ ドイツ前首相 脱原発を)。

(追記)

 同氏の発言から、米国は日本の原発維持を願っているように感じました。それなら、2018年に期限を迎える日米原子力協定に日本がビクビクすることはありません(ものぐさ 日本が怯える日米原子力協定)。使用済み核燃料の再処理ができず、プルトニウムが溜まり続けたとしても、スンナリ、同協定は再延長され、ウラン燃料の輸入は継続出来るでしょう。締結当初より、同協定の意味合いが変わってきているのでしょう。

 世界に対して、日本も米国も「できもしない再処理」を方便として使っているようです。日本も米国も同じ「穴の狢」となったのです。方便のために、国民を不安に陥れるのですか。マッピラです。

(注1) ウラン埋蔵量550万t。IAEAによれば、ウラン消費量は年7万t。よって、ウランの可採年数は約80年。世界の電力を全て原発で補うと仮定すると、ウラン消費量は年120万t。可採年数はたった5年。

2013年7月26日 (金)

三菱重工 米サンオノフレ原発に数千億円の賠償 ?

 2012年1月、米サンオノフレ原発3号機(注1)の配管で冷却水漏れが起き緊急停止した事故で、同原発を保有するSCE社は三菱重工宛てに賠償請求書を送付しました。契約上の賠償金額は三菱重工によれば132億円とのことです(ものぐさ 世界の原子力情勢を見れば脱原発はできない ? )。現地メディアによれば、請求額は数千億円とも報道されています。このほか2号機でも配管に磨耗が見つかり、運転は停止したままです。

 同社は、2009年に蒸気発生器を三菱重工製に交換したばかりです。たった5年での事故です。この事故により、周辺住民が再稼働に反対し、今年6月に廃炉が決定しました。

 さて、数千億円という賠償金額を、国内における原発1基当りの建設費から実感してください。一例として、九州電力・玄海原子力発電所の建設費を引用します。

  号機         運転開始      電気出力      建設費

 1号機    昭和50年10月   55万9000kw    545億円

 2号機     昭和56年 3月   55万9000kw   1236億円

 3号機    平成 6年 3月      118万kw   3993億円

 4号機        平成 9年 7月      118万kw   3244億円

 上記に見るように、1基当りの建設費は3000億円程度で、米サンオノフレ原発事故の賠償金額は、原発建設に要する費用と同額です。こんな割りにあわないことがあるでしょうか。放射能漏れがあり、除染費用が加わったとしたら天文学的な賠償を請求されるでしょう。

 国内では、このような配管類の事故は起きないのでしょうか。そんなことはありません。国内における配管類の事故件数を見ましょう。18基の原発において、29件の再循環系配管のひび割れ(2002年~2005年3月)が報告され、18基の原発において、22件の配管類の減肉(2002年~2005年2月)が報告されています(ものぐさ 老朽化原発 シュラウド・再循環系配管のひび割れ 配管の減肉)。なんと、3年程度で51件の事故が報告されています。1年間で17件です。

 以上のように、原発輸出のリスクは非常に大きいのです。九州大学副学長は、対外補償問題について次のように言っています。

 原発の輸出は、運転管理や人材育成、燃料供給や廃棄物処理までを請け負う「フルパッケージ」型である。民間企業だけではリスクが大きすぎるので、官民一体の輸出であり、万が一事故があった場合、賠償金全てが、国民の税金となる(ものぐさ 原発輸出)。

 ジュネーブ大学のヴァルター・ヴィルディ教授は「スイスで福島原発並みの事故が起きれば、その賠償額は366兆円に上る」と言っています(ものぐさ 福島原発損害額 366兆円)。

 売り上げ利益は、三菱重工、日立、東芝等の製造メーカへ、賠償金の支払いは、国民の税金でと言うことでしょうか。

(注1) 加圧水型 開始:1983年 終了計画:2022年 開始から30年で廃炉決定。

2013年7月28日 (日)

福島・田村市都路地区 5ミリシーベルト超でも帰還 ?

 7/26、国は、避難区域に指定された福島県田村市の都路地区で、避難区域として初めて8~10月の3カ月間に限り、住民の長期宿泊を認めました。自宅の修繕や農地の管理など、帰還に向けた準備を進めてもらうのが狙いとしています。

 しかし、学校や運動場等を除く12地区の測定ポイント30カ所に対して、14カ所が目標としていた年間被ばく線量(自然放射線量を加えた2ミリシーベルト/年)を下回っていません。そして、国道399号掛札地内(第5区)の空間線量は5.3ミリシーベルト/年にもなっています(田村市HP→環境放射線モニタリング測定値)。国は「健康に影響を与える数字ではない」と説明しています。

 国は現時点で再除染に応じず、目標値について「1日外に8時間いた場合に1ミリシーベルト/年を超えないという前提で算出されており、心配なら新型の優れた線量計を希望者に渡すので自分で確認してほしい」と述べたそうです。 この時点で国は除染を放棄したようです。

 帰還を歓迎する住民がいる一方、「都路は、今暮らしている仮設住宅より線量は高いし、山林は全く除染されていない。避難指示が解除されるとともに、賠償も切られ、我々は放り出されるんじゃないか」と不安を訴える住民もいます。

 田村市長は、「避難区域の実質的な解除で喜ばしい」と話しています。

 いくつかの懸念があります。

・ 住民の意見が2分されており、人間関係も分断されるのではないか。特に、解除慎重派の人たちが、白い目で見られるような気がする。仮設住宅や県内外のアパートで生活し、放射能の影響に不安を感じて「帰還したくても、帰りたくない」人達の心情にどう寄り添うかだ。弱者に対する配慮を欠いた一方的な決定は、住民に大きな「しこり」を残す。

・ 昨年の7月27日に除染が始まったが(注1)、除染後の空間線量は、宅地で4.7ミリシーベルト/年、農地で6.7ミリシーベルト/年、森林で7.4ミリシーベルト/年、道路で7.8ミリシーベルト/年でした(注2)。ほとんど放射線管理区域(5.2ミリシーベルト/年)を上回っています(ものぐさ 年間被曝量20ミリシーベルトとは 改めて年間被曝20ミリシーベルトとは)。この状況で安心して生活できるのか。

・ 山林の除染は手付かずであり、山林で生計を立てている人をどうするか。

・ 除染効果を「疑問視」する意見もある。山林は全く除染されていない。避難区域の解除が決定したあと、高線量である山林から放射能が放散し、再び線量の上昇する心配はないだろうか。帰還と言う既成事実が出来てしまえば、国の思う壺となる。

・ 賠償金も打ち切られる可能性もあり、田村市は何事もなかったように世間から忘れられていく。

 このように、除染は不十分で、将来線量が上がるかもしれない現状において、早急な決定は避けるべきだ。この期におよんで、何をモタモタしているのか。何も前進しないのではないかとの意見もあると思う。しかし、除染が不十分である現在、帰還する自由も帰還しない自由もあるはずだ。この視点に立てば、国や田村市の対応も変わってくるのではないか。以下、私の提案です。

・ 帰還する自由も帰還しない自由も認める。

・ 山林の除染をどうするか。線量が再び上昇した場合どうするか。除染が出来なかった場合どうするか。国、市、住民の考えを明確にしておく。当然、賠償金等の追加や移住支援金が必要になる。後になっての再交渉では遅すぎます。是非、弁護士に相談して欲しい。

・ 帰還の形態により精神的賠償金額に差をつけるべきか、よく判らない。帰還した人は、高い放射線の中で、しかも、「新型の優れた線量計」で被曝量を確認しながら生活する。大変なストレスだ。また、帰還しない人は、放射線被曝を心配しなくてもよい代わりに、不慣れな場所で、孫が泊まれないような狭い住宅で生活しなければならず、これも大きなストレスだ。いずれにしても、精神的賠償金は継続しなければならない。精神的賠償金は「精神的苦痛×期間」で算出されなければならない。

・ 帰還しない人たちの家や土地等の固定資産は再取得価格で買い取る。これは、新居を構え、新たな出発をするための住民に対する支度金でもある。この対応で、帰還しない人も増えるのではないか。当然だ。誰も放射能のないところで安心して暮らしたいのだ。その結果、人口は更に減少するだろうが、悲惨な状態を生む原発事故に対する国の責任でもあり、国は真摯にこれに向き合わなければならない。

 (注1) (除染対象)・・・環境省HP

 工期  平成24年7月5日~平成25年6月28日

 場所 都路町字古道の生活圏及び林縁部から森林側に20m入った部分

 対象 建物 228,249m2(121世帯) 道路 95.6km 農地 1,274,021m2 森林 1,921,546m2

 (注2) (除染効果)・・・環境省HP

              除染前             除染後

 宅地     11ミリシーベルト/年   4.7ミリシーベルト/年

 農地     10ミリシーベルト/年   6.7ミリシーベルト/年

 森林(※)  11ミリシーベルト/年   7.4ミリシーベルト/年

 道路     11ミリシーベルト/年   7.8ミリシーベルト/年

 ※ 林縁部から森林側に20m入った部分。

 

2013年7月29日 (月)

7月の庭

00002 7月の庭の全景写真です。花も一段落し、新緑が眩しくなりました。

00003 いらっしゃい。左からシラカシ、朝鮮マキ、高尾モミジ、キンメツゲが見えます。                  

00021 ベンチを通り過ごし、左に曲がります。

00004 階段の手前を左に折れてください。

                            

                        

                                       

00028 前方に見えるのはアオギリです。

00005 近づいてください。高木で、葉が大きく、涼しい木陰を作ってくれます。落葉樹です。      

           

              

                                                  

00011 アオギリの花です。

00078 アオギリの手前がアメリカフヨウです。10センチ程度の花びらです。                       

                                 

00029 階段を上りきり左に進みます。

00014_3右手にナンキンハゼが見えます。美しい紅葉となります。白色で覆われた種は有毒です。鳥が食べ、糞として排出されて初めて発芽します。                               

                                      

                               

                                   

00016_2拡大したナンキンハゼの花です。                

00034 展望台に向かいます。右からシラカシ、吉野ツツジです。                

               

              

                

                                                    

                                                

00036 さらに進んでください。右はクロガネモチ、秋に赤い実をたくさんつけます。左は手前からサザンカ、ロウバイです。ロウバイの花は1月に咲き、甘い香りを放ちます。                                         

00042 展望台に進みます。                                                               

                           

                          

                     

                

                    

                                   

00081 展望台にはエゴノキとヤマモミジがあります。これはエゴノキで花後の白い実です。有毒ですがヤマガラの大好物です。

00045 展望台を左に折れ、日陰の庭に向かいます。                                

                                 

                                     

                                

                                    

                                 

00052 更に進みます。

00053 正面はブルーベリーですが熟していません。

00057 終点です。

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