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2013年7月28日 (日)

福島・田村市都路地区 5ミリシーベルト超でも帰還 ?

 7/26、国は、避難区域に指定された福島県田村市の都路地区で、避難区域として初めて8~10月の3カ月間に限り、住民の長期宿泊を認めました。自宅の修繕や農地の管理など、帰還に向けた準備を進めてもらうのが狙いとしています。

 しかし、学校や運動場等を除く12地区の測定ポイント30カ所に対して、14カ所が目標としていた年間被ばく線量(自然放射線量を加えた2ミリシーベルト/年)を下回っていません。そして、国道399号掛札地内(第5区)の空間線量は5.3ミリシーベルト/年にもなっています(田村市HP→環境放射線モニタリング測定値)。国は「健康に影響を与える数字ではない」と説明しています。

 国は現時点で再除染に応じず、目標値について「1日外に8時間いた場合に1ミリシーベルト/年を超えないという前提で算出されており、心配なら新型の優れた線量計を希望者に渡すので自分で確認してほしい」と述べたそうです。 この時点で国は除染を放棄したようです。

 帰還を歓迎する住民がいる一方、「都路は、今暮らしている仮設住宅より線量は高いし、山林は全く除染されていない。避難指示が解除されるとともに、賠償も切られ、我々は放り出されるんじゃないか」と不安を訴える住民もいます。

 田村市長は、「避難区域の実質的な解除で喜ばしい」と話しています。

 いくつかの懸念があります。

・ 住民の意見が2分されており、人間関係も分断されるのではないか。特に、解除慎重派の人たちが、白い目で見られるような気がする。仮設住宅や県内外のアパートで生活し、放射能の影響に不安を感じて「帰還したくても、帰りたくない」人達の心情にどう寄り添うかだ。弱者に対する配慮を欠いた一方的な決定は、住民に大きな「しこり」を残す。

・ 昨年の7月27日に除染が始まったが(注1)、除染後の空間線量は、宅地で4.7ミリシーベルト/年、農地で6.7ミリシーベルト/年、森林で7.4ミリシーベルト/年、道路で7.8ミリシーベルト/年でした(注2)。ほとんど放射線管理区域(5.2ミリシーベルト/年)を上回っています(ものぐさ 年間被曝量20ミリシーベルトとは 改めて年間被曝20ミリシーベルトとは)。この状況で安心して生活できるのか。

・ 山林の除染は手付かずであり、山林で生計を立てている人をどうするか。

・ 除染効果を「疑問視」する意見もある。山林は全く除染されていない。避難区域の解除が決定したあと、高線量である山林から放射能が放散し、再び線量の上昇する心配はないだろうか。帰還と言う既成事実が出来てしまえば、国の思う壺となる。

・ 賠償金も打ち切られる可能性もあり、田村市は何事もなかったように世間から忘れられていく。

 このように、除染は不十分で、将来線量が上がるかもしれない現状において、早急な決定は避けるべきだ。この期におよんで、何をモタモタしているのか。何も前進しないのではないかとの意見もあると思う。しかし、除染が不十分である現在、帰還する自由も帰還しない自由もあるはずだ。この視点に立てば、国や田村市の対応も変わってくるのではないか。以下、私の提案です。

・ 帰還する自由も帰還しない自由も認める。

・ 山林の除染をどうするか。線量が再び上昇した場合どうするか。除染が出来なかった場合どうするか。国、市、住民の考えを明確にしておく。当然、賠償金等の追加や移住支援金が必要になる。後になっての再交渉では遅すぎます。是非、弁護士に相談して欲しい。

・ 帰還の形態により精神的賠償金額に差をつけるべきか、よく判らない。帰還した人は、高い放射線の中で、しかも、「新型の優れた線量計」で被曝量を確認しながら生活する。大変なストレスだ。また、帰還しない人は、放射線被曝を心配しなくてもよい代わりに、不慣れな場所で、孫が泊まれないような狭い住宅で生活しなければならず、これも大きなストレスだ。いずれにしても、精神的賠償金は継続しなければならない。精神的賠償金は「精神的苦痛×期間」で算出されなければならない。

・ 帰還しない人たちの家や土地等の固定資産は再取得価格で買い取る。これは、新居を構え、新たな出発をするための住民に対する支度金でもある。この対応で、帰還しない人も増えるのではないか。当然だ。誰も放射能のないところで安心して暮らしたいのだ。その結果、人口は更に減少するだろうが、悲惨な状態を生む原発事故に対する国の責任でもあり、国は真摯にこれに向き合わなければならない。

 (注1) (除染対象)・・・環境省HP

 工期  平成24年7月5日~平成25年6月28日

 場所 都路町字古道の生活圏及び林縁部から森林側に20m入った部分

 対象 建物 228,249m2(121世帯) 道路 95.6km 農地 1,274,021m2 森林 1,921,546m2

 (注2) (除染効果)・・・環境省HP

              除染前             除染後

 宅地     11ミリシーベルト/年   4.7ミリシーベルト/年

 農地     10ミリシーベルト/年   6.7ミリシーベルト/年

 森林(※)  11ミリシーベルト/年   7.4ミリシーベルト/年

 道路     11ミリシーベルト/年   7.8ミリシーベルト/年

 ※ 林縁部から森林側に20m入った部分。

 

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