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2013年7月 9日 (火)

地震用語 基準地震動Ss、弾性設計用地震動Sdとは

 基準地震動、弾性設計用地震動とは何でしょう。用語の意味をネットで調べてみました。

・ 原発の設計の前提となる地震の揺れで、原発ごとに異なる。周辺の活断層などで起こりうる大地震を想定して、地盤の状態を加味し、原発直下の最大の揺れを見積もる。これをもとに原子炉、建屋、配管などの構造や強度を決める。単位はガル。

・ 原子力発電所の耐震設計において基準とする地震動。地質構造的見地から、施設周辺において発生する可能性がある最大の地震の揺れの強さのこと。

 以下、グチャグチャして判りにくいので、結論を先に示します。

 新指針 基準地震動      Ss > 弾性設計用地震動  Sd

 旧指針 設計用限界地震動 S2 > 設計用最強地震動 S1

 原子力規制委員会の資料「基準地震動及び耐震設計方針に係る審査ガイド 平成25年4月5日)」には、更に詳しく

① 基準地震動Ssとは、「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」及び「震源を特定せず策定する地震動」についての解放基盤表面(注1)における水平方向及び鉛直方向の地震動。

② Sクラスの各施設(原子炉、炉心冷却装置、放射性物質を内蔵している施設等)は、基準地震動Ssによる地震力に対してその安全機能が保持できること。また、弾性(注2)設計用地震力又は静的地震力のいずれか大きい方の地震力に対しては、概ね弾性状態に留まる範囲で耐えること。

③ 弾性設計用地震動Sdは、基準地震動Ssとの応答スペクトル(ものぐさ 地震用語 加速度時刻歴波形と加速度応答スペクトル)の比率が目安として0.5 を下回らないような値で工学的判断に基づいて設定すること(「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針 平成18 年9月19日 原子力安全委員会決定」における弾性設計用地震動Sd の規定と同様)。

 とあります。

 また、「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針・・・平成18年9月19日)」には、 

④ 基準地震動Ssは、「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」及び「震源を特定せず策定する地震動」について、敷地における解放基盤表面における水平方向及び鉛直方向の地震動。

⑤ 弾性設計用地震動Sdと基準地震動Ssの応答スペクトルの比率(Sd/Ss)の値は、弾性設計用地震動Sdに求められる性格上、ある程度以上の大きさであるべきであり、目安として、0.5を下回らないような値。

⑥ 弾性設計用地震動Sdは、旧指針における基準地震動S1が耐震設計上果たしてきた役割の一部。

 とあります。

 上記について、以下補足します。

・ 基準地震動Ssは解放基盤表面における水平方向及び鉛直方向の地震動を指し、この地震動に耐えうるように機器を設計しなさい、と言うことです。・・・上記①②④

・ 基準地震動Ssに対しては、安全機能が保持できることを要求しています。つまり、機器が変形してしまっても、最悪の事故だけは回避せよと求めているのです。・・・上記②

・ 機器が変形せず、もとの状態を維持できる地震動として、弾性設計用地震動Sdを定義しています。Ssに対するSdの比率は、Sd/Ss≧0.5なる関係を要求しています。つまり基準地震動Ssが1000ガルと見積もられた場合、弾性設計用地震動Sdは、少なくとも500ガル以上となります。つまり、500ガル未満の地震動では機器の変形はあってはいけないのです。500ガル以上1000ガル未満と幅を持たせているのは何故でしょう。恣意的に決めることができるのでしょうか。疑問です。・・・上記③⑤

・ 弾性設計用地震動Sdは、旧指針における基準地震動S1とほぼ同等であるとしています。・・・上記⑥

 しかし、某識者は次のように批判しています。

 第25回分科会の資料によれば、S1とS2による加速度の比率は0.68、速度の比率は0.7である。従って、事業者がSsをS2と同規模に設定すれば、SdがS1を下回るケースが生じ、係数倍の下限0.5の設定では、旧指針より後退した弾性設計となる。

 (以下、旧指針)

 前記において、突然旧指針が登場し、面食らったかと思います。旧指針の基準地震動とはどのようなものでしょう。ネット上で旧指針が見当たらなかったので、「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針・・・平成18年9月19日)」やネット情報から旧指針の基本方針を拾ってみました。

⑦ 基本方針は「発電用原子炉施設は想定されるいかなる地震力に対してもこれが大きな事故の誘因とならないよう十分な耐震性を有していなければならない」と述べています。

 某識者は、「いかなる地震力」とは、耐震設計のための基準地震動は想定しうる最大限の地震動として与えることを前提としている、と解説しています。

⑧ 基準地震動について、施設の建物・構築物及び機器・配管系の重要度に相応し、地震動S1 及び地震動S2 の2種類に区分。

⑨ 弾性設計用地震動Sdは、旧指針における基準地震動S1が耐震設計上果たしてきた役割の一部。

 原子力安全・保安院は「原子力発電所に係る耐震設計の概要」において、以下のように記述しています。

⑩ 「設計用最強地震」をS1地震力と規定。「設計用最強地震」よりも大きな「設計用限界地震」をS2地震力と規定。(ものぐさ 脆弱な原発構造

 また、小出氏」は次のように述べています。

⑪ Asクラスの各施設(原子炉、炉心冷却装置、放射性物質を内蔵している施設等)の機器は「設計用限界地震:S2」に襲われて、弾性限界を超えることがあっても、つまり機器が変形してしまっても、安全機能を保持すること。つまり、予想できる最強の地震「設計用最強地震:S1」をしのぐ強烈な地震に襲われた場合には、機器が変形するのはやむをえない。しかし、その場合でも、最悪の事故だけは回避せよと求めている。その基準は、変形してしまった機器の再使用を許可するための基準ではない。

 以下、補足します。

・ 想定されるいかなる地震動に対しても大きな事故の誘因とならないような耐震力を要求しています。機器の変形等があっても大きな事故にならなければ良いと言うことです。・・・上記⑦⑪

・ S2の地震動に襲われ、弾性限界を超えることがあっても、安全機能を保持することを要求しています。機器の変形はやむを得ないとしています。このS2を「設計用限界地震」としています。・・・上記⑦⑪

・ 旧指針のS2は新指針のSsに、旧指針のS1は新指針のSdに相当しています。・・・上記⑥⑨⑩⑪

(注1) 「解放基盤表面」とは、基準地震動(「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針 平成18 年9 月19 日 原子力安全委員会決定」における基準地震動Ss の規定と同様。)を策定するために基盤面上の表層や構造物が無いものとして仮想的に設定する自由表面であって、著しい高低差がなく、ほぼ水平で相当な拡がりを持って想定される基盤の表面をいう。ここでいう「基盤」とは、概ねせん断波速度Vs=0.7km/s 以上の地層であって、著しい風化を受けていないものをいう。

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(注2) 固体に外から力を加えると,力に応じて固体は変形する。力が小さい間は,力を0に戻すと形も元に戻る。このような性質を弾性と言う。

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