« 地震用語 基準地震動Ss、弾性設計用地震動Sdとは | トップページ | 福井県の緊急避難計画 »

2013年7月11日 (木)

安心できない緊急避難計画なら再稼動するな 

 北海道電力(泊原発1~3号機)、関西電力(大飯原発3~4号機、高浜原発3~4号機)、九州電力(川内原発1~2号機)、四国電力(伊方原発3号機)は7/8、原子力規制委員会に対し、原発再稼動の申請書を提出しました。

 6/19に規制基準を決定した同委員会は、いよいよ審査を開始します。同委員会が原発の安全を確認し、原発立地自治体の理解が得られれば、再稼動は出来るのでしょうか。

 同委員会は2/27、原発立地自治体に対して、原子力災害対策指針(平成24年10月31日)に基づき、原発立地地域は「具体的な緊急避難計画を立案せよ」と要請しています(ものぐさ 原発震災 緊急避難後どうするつもりだ)。想定外の事故が起きるリスクを抱えた原発の再稼働に関しては、絶対反対の立場ですが、百歩譲っても、住民が安全に緊急避難できることは、再稼動条件の1つです。

 これに先立ち、同委員長は2/13の記者会見で次のような見解を述べています。

 再稼働に足るかどうかという安全の評価をするかどうか私どもとして評価することと防災計画とは、法的にはつながってはいないのですが、実際問題として、再稼働という段階は、これは前々から申し上げているように、私たちが判断することではなくて、最終的には、政治とか、事業者とか、地域とかがいろいろ相談して、合意で動くのだと思うのですが、その時の条件としては、必ず防災計画というのがきちっとして、地域の方が安心できるかどうかが大きな条件になるでしょうということで、私は車の両輪になるだろうということで、私たちの規制委員会の任務として、防災指針というのを急いで検討してきたという経過があるということでございます。

 同委員会も過酷事故が起き、放射性物質が拡散する可能性を認めています。そうであれば、住民の安全な緊急避難は再稼動の絶対条件です。一方、地方に丸投げされた緊急避難計画の策定は困難を極め、UPZ圏(半径30km)内の住民避難の実効性は疑問視されています。UPZ圏内の123市町村で「逃げられずに孤立の恐れのある集落」は約半数に上ると言います(7/10報道)。以下、立地自治体の困惑を列挙します。

・ 限られた避難路しかなく、それが通行止めになると、迂回路がない。

・ 避難用の自衛隊のヘリ、海上保安庁の船舶、漁船での輸送能力には限界がある。

・ 最悪の場合、屋内退避しかない。

・ 過酷事故が起き、高レベルの放射能が出てている現場へ犠牲者を出す覚悟で作業員を出せるのか。現行制度では法律違反(ものぐさ 新潟県知事 規制基準不十分)。

・ 中部電力浜岡原発を抱える静岡県では、策定の目途すら立っていない。UPZ圏内の人口は94万人。巨大地震が起きれば近県6県も甚大な被害が予想されるため、場合によっては、6県以外にも範囲を広げて避難先を探さなければならない。避難先を確保できたとしても96万人の県外避難には何重もの壁が立ちはだかる。自家用車を主体に避難せざるを得ないが、秩序立った避難ができるかどうか懐疑的な見方も根強い。

 地震により避難路が遮断され、自家用車による避難も不可能だ。「絵に描いた餅」のような貧弱な輸送能力は、住民を現場に孤立させたままだ。放射性物質が降り注ぐ中、一次退避所で救援の手を待っているだけ。津波の襲来で集落は壊滅状態だ。原発が爆発し、被曝を恐れ、救援作業員は来ない。

 そんな光景が目に浮かびます。まさに地獄絵図です。政府は、これも想定外だと言い訳をするつもりなのでしょうか。

 (参考)

 敦賀原発、もんじゅ、美浜原発、大飯原発、高浜原発が立地する福井県の緊急避難計画は、平成25年3月時点で「原子力発電所近接5km圏の住民避難計画」として文書化されているだけで、UPZ圏内の避難計画の策定はこれからだと言っています。詳しくは別の機会に譲ります(ものぐさ 福井県の緊急避難計画)。 

« 地震用語 基準地震動Ss、弾性設計用地震動Sdとは | トップページ | 福井県の緊急避難計画 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 地震用語 基準地震動Ss、弾性設計用地震動Sdとは | トップページ | 福井県の緊急避難計画 »