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2013年8月 3日 (土)

国は除染を放棄したのか

 7/26、国は避難区域に指定された福島県田村市の都路地区で、避難区域として初めて8~10月の3カ月間に限り、住民の長期宿泊を認めました。これを受けて、田村市長は、「避難区域の実質的な解除で喜ばしい」と話しています。

 昨年の7月27日に始まった除染作業で、どの程度の除染ができたのでしょう。環境省のHPから引用します。

 業者は鹿島建設。工期は平成24年7月5日~平成25年6月28日、除染場所は都路町字古道の生活圏及び林縁部から森林側に20m入った部分、除染対象は建物 228,249m2(121世帯) 道路 95.6km 農地 1,274,021m2 森林 1,921,546m2です。

 除染前後の宅地、農地、森林、道路を写真で見る限り、作業の大半は除草、堆積物除去だけのようです。家屋の屋根や壁面の洗浄も実施されたのでしょうが、洗浄前後のデータは見当たりません。

 地上1mにおける除染効果(平均値)は以下のようになりました。

              除染前             除染後

 宅地     11ミリシーベルト/年   4.7ミリシーベルト/年

 農地     10ミリシーベルト/年   6.7ミリシーベルト/年

 森林(※)  11ミリシーベルト/年   7.4ミリシーベルト/年

 道路     11ミリシーベルト/年   7.8ミリシーベルト/年

 ※ 林縁部から森林側に20m入った部分。

 地上1cmにおける除染効果(平均値)は以下のようになりました。

              除染前             除染後

 宅地     23ミリシーベルト/年   4.6ミリシーベルト/年

 農地     11ミリシーベルト/年   6.1ミリシーベルト/年

 森林     12ミリシーベルト/年   7.8ミリシーベルト/年

 道路     12ミリシーベルト/年   5.4ミリシーベルト/年

 平成23年12月22日の報告書において、低線量被曝の影響を有識者で検討する政府ワーキンググループは、「年20ミリシーベルト程度の被曝による健康影響は低く、政府の除染方針である年20ミリシーベルトの地域では2年後に年10ミリシーベルト、その後は5ミリシーベルトを中間的な目標とすべきだ」、更に、「通学路や公園など子どもの生活圏についても徹底した除染を行い、長期的に追加被ばく線量を年間1ミリシーベルト以下とすることを目指す」と提言しています(低線量被ばくのリスクに関するワーキンググループ)。

 このように提言していますが、子供の生活圏は通学路や公園だけではありません。森の中で茸を取り冒険ゴッコをしたり、川で魚を捕まえたり泳いだり、家の庭で泥まみれになって遊んだり、家の中での生活も8時間以上はあるでしょう。これが子供の生活圏です。

 しかし、除染完了説明会において、国は現時点での再除染に応じず、目標値について「1日外に8時間いた場合に1ミリシーベルト/年を超えないという前提で算出されており、心配なら新型の優れた線量計を希望者に渡すので自分で確認してほしい」と述べたそうです。 一般の人が立ち入ることのできない放射線管理区域内(年5.2ミリシーベルト以上)で生活していいよと、言っているのです。この時点で国は除染を放棄したようです。1ミリシーベルト以下まで除染する気が本当にあるのでしょうか。

 福島県森林・林業統計書(平成22年)によれば、福島県内の森林面積は972千haで県土の71%を占めています。都路地区の森林比率もこの程度でしょう。71%を占める森林の除染は手付かずのままで方向性すら提示されていません。再び草が伸び、風により落ち葉が飛散し、雨は森林の放射能を洗い流し、山から流れ出る水は農地に、宅地に、道路に放射能を拡散させ、再び放射線量は上昇するでしょう。除染前の放射線量に戻るのではないかと感じています。71%を占める森林を除染しなければ、問題は解決しません。これは不可能です。

 このような状況では、除染を放棄するしかないと思います。むしろ除染の限界を住民に知らせず、放射線量は減少していくと言う幻想を住民に抱かせるほうがタチが悪いでしょう。国は1ミリシーベルトまで除染するといっているようですが、何時までなのかも明示していません。国のずる賢さを感じます。除染は不可能であり、これを前提にして住民対応(移住を含む)をすべきです。

 何故、期待を持たせるような対応をするのでしょうか。「除染不可能」と宣言すれば、国策で移住政策を進めることになり、それは非常な困難を伴います。移住費用も莫大なものになります。できれば、このように曖昧な状態にしておき、住民の諦めを待ち、世間がこの事態を忘れ去るのを待っているとしか思えません。その結果、一部の住民は放射線管理区域内での生活を望まなくとも余儀なくされ、一部の住民は、自己責任のもと自らの資産を捨て移住することになります。

 こうすれば、故郷が消失する事実を国民にまざまざと見せつけることもなく、脱原発運動に更なる油を注ぐこともなく、大きなニュースにもならないと考えているのでしょう。これが国の狙いです。卑怯極まりない振る舞いです。

 最後に、私のアイデアを提案します。放射線量の低い森林を伐採し、平地に造成し、住民はそこに移住する。ゴルフ場をいくつか作る程度のことです。どうでしょうか。

(参考) 他地区の状況

                           業者         本格作業状況

 楢葉町             前田建設JV    平成24年9月 6日開始

 川内村               大林組JV    平成24年9月 4日開始 

 飯館村             大成建設JV     平成24年9月25日開始

南相馬市  大成・五洋・日本国土開発JV     平成25年6月28日開始

 葛尾村                奥村JV    平成25年4月25日開始

 川俣町               大成建設JV    平成25年4月25日開始

 浪江町                              調整中

 大熊町         清水・大林・熊谷JV    平成25年6月24日開始

 富岡町                              未着手

 双葉町                              未着手 

 

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