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2013年8月 8日 (木)

「第二種廃棄物埋設施設」・・・トレンチ処分とピット処分

 1986年、原子炉等規制法の改定により、固体の放射性廃棄物を埋設することが認められました。埋設の事業者である日本原燃は六ヶ所村に「埋設センター」を建設し、92年のからドラム缶を運び込んでいます。

 その「埋設センター」に貯蔵された放射性廃棄物は、徐々に下がる放射能レベル応じて管理を緩め、最終的には、放射能漏れの監視もやめることができ、当然、土地は誰に売っても良く、児童公園やリンゴ園にすることもできると、言われています。

 本当でしょうか。 詳細を説明します。

 さて、原子炉等規制法の第51条の2、第1項第2項は、「放射能濃度が人の健康に重大な影響を及ぼす恐れがあるものについての最終的な処分として、その濃度に応じて「第一種廃棄物埋設施設」、「第二種廃棄物埋設施設」を定めています。

 そして、原子力規制委員会は7/24、「第二種廃棄物埋設施設」の骨子案を作成し、7/25~8/15まで同骨子案に対するパブリックコメントを受け付けています。尚、同施設は「低レベル放射性廃棄物」の処分・貯蔵を目的としたものです。

 津波や地震力に対して、その骨子案は、「同施設は原子炉施設の新規制基準(地震・津波)を参考にせよ」と要求しています。更にその他の自然現象(火山、地すべり、液状化等)や火災・爆発、電源喪失、航空機等の落下などについても考慮せよと要求しています。この点ついては割愛し、今回は、同施設の埋設方法(トレンチ処分、ピット処分)について、骨子案及び資源エネルギー庁の資料、原子力安全委員会の「低レベル放射性固体廃棄物の埋設に係る放射能濃度上限値について・・・平成19年5月21日」及び「廃棄物埋設施設の新規制基準策定の基本方針・・・平成25年5月14日」を参考に詳述します。

1 トレンチ処分とは何か

・ コンクリートピットなどの人工構造物を設置せず、浅地中(地下6m程度)にフレキシブルコンテナに梱包した廃棄物を3.5mの高さに積み上げ、その上を透水性の小さい土砂で覆い、さらにその上を2.5mの土で覆う。そして、50年程度で一般の土地として利用できる。

・ 廃棄物は、コンクリートや金属等。

・ 放射性核種と濃度上限推奨値。

    核種            濃度上限推奨値      半減期

コバルト60         10 MBq/kg      5.27年

ストロンチウム90      10kBq/kg       28.8年

セシウム137        100kBq/kg         30.1年

・ 管理期間   埋設段階及びその後の50年。それ以降は一般の土地として利用できる。

・ 安全評価   管理期間中における公衆の受ける放射線量は50マイクロシーベルト/年以下。管理期間終了後は10マイクロシーベルト/年以下。

2 ピット処分とは何か

・ 地下12m程度の岩盤上に鉄筋コンクリートピットなどの人工構造物を設置して、そのピット内に廃棄物を埋設する処分方法。更に、ピット内にはポーラスコンクリート層、セメント系充填材が敷かれ、その上に、廃棄物の入ったドラム缶が横積みされる。コンクリートピットは8m程度のベントナイト混合土で覆われ、更に4m程度の土で覆われる。管理が必要な期間として、300~400年が一つの目安とされている。管理期間終了後は、一般的な土地利用が可能になる。

・ 廃棄物は、廃液・廃器材・消耗品等を固形化したもの及び配管やフィルター等。

・ 放射性核種、濃度上限推奨値と半減値。

    核種            濃度上限推奨値      半減期

コバルト60              1TBq/kg      5.27年        

ストロンチウム90      10GBq/kg       28.8年

セシウム137        100GBq/kg       30.1年

炭素14             100MBq/kg      5710年

ニッケル63             10GBq/kg        100年

テクネチウム99           1MBq/kg        21万年

アメシウム241         10MBq/kg        432年

・ 管理期間   300~400年。

・ 安全評価   埋設段階及び保全段階における公衆の受ける放射線量は50マイクロシーベルト/年以下。保全段階終了以後は10マイクロシーベルト/年以下。

3 素人が心配する点。

・ トレンチ処分におけるセシウム137の濃度上限推奨値は10万Bq/kg。半減期は30年であるので、60年後の濃度は2.5万Bq/kgです。

 ピット処分におけるセシウム137の濃度上限推奨値は1000億Bq/kg。半減期は30年であるので、300年後の濃度は1024分の1の1億Bq/kgです(注1)。

 いくら、コンクリートや土で覆われているといっても、途方もない数値です。日本弁護士連合会は「100ベクレル/kg 以上のものについては、放射性廃棄物として厳重な取扱いが必要であるものと意見書を提出しています(ものぐさ 埋め立て基準 8000ベクレルは大丈夫か)。また、平成24年4月以降の食品中の放射性物質の基準は、一般食品100Bq/kg、牛乳・乳幼児食品50Bq/kg、飲料水10Bq/kgです(政府広報オンライン)。あまりにも大きな違いがあります。300~400年程度でその上を宅地にしたり、農地にしても良いのでしょうか。地下10m程度の場所に、数万から数億ベクレルの放射性物質が埋設されているのです。

・ 原子力安全委員会の資料は「濃度上限値の位置づけとは、それが埋設事業申請にあたっての最大放射能濃度に関する一種の「めやす」であり、具体的な安全評価は申請ごとの個別の安全審査で詳細に行われ、安全性が確認されることを前提としている」と述べています。「めやす」という点に不安を感じます。

・ コバルト60を除いた放射性各種の半減期は20年から21万年にも及びます。鉄筋コンクリートの寿命はどの程度でしょう。

 税法上の耐用年数は、地下トンネンルで60年、水道用ダムで80年です。一般建造物では、高度成長時代に建設した橋梁やトンネルの老朽化が進み、コンクリートの劣化が社会的問題となっています。わずか40年程度です。地下水等によりコンクリートの劣化が進み、ひび割れし、鉄筋が腐食し、コンテナ内に横済みしたドラム缶が錆び、放射性廃棄物が地下水に流れ出ることはないのでしょうか。

・ トレンチ処分で使用するフレキシブルコンテナの寿命はどの程度でしょうか。フレキシブルコンテナはポリエチレン・ポリエステルの袋状容器か?。

・ 埋設段階及び保全段階において、第二種廃棄物埋設施設は、「廃棄物埋立地の外に漏出し生活環境に移行する放射性物質の濃度等を適切に測定及び監視できるような設計」を要求しています。しかしそれ以外の記述はありません。漏出が見つかれば掘り起こし、対処するのでしょうか。

 米ハンフォード核施設では、戦争後わずか68年で地下タンクから放射性物質が漏れ出ました(ものぐさ 米 放射性物質 新たに漏出 最終処分場は大丈夫か)。

 足尾銅山の開発により、1885年頃から渡良瀬川の魚類の大量死が発生し、鉱毒ガスやそれによる酸性雨により近辺の山は禿山となり、木を失い土壌を喪失した土地は次々と崩れ、渡良瀬川から取水する田園や、洪水後、足尾から流れた土砂が堆積した田園で、稲が立ち枯れ、2011年に発生した東北大震災により、源五郎沢堆積場が決壊し、鉱毒汚染物質が再度渡良瀬川に流下し、下流の農業用水取水地点において、基準値を超える鉛が検出されるなど、21世紀となった現在でも影響が残っています(ものぐさ 放射性焼却灰埋め立てと足尾鉱毒事件)。

・ 放射線等の監視は保全段階終了までとなっています。300~400年程度で、放射線等の監視を止め、一般的な土地利用が可能となります。この時点で、コンクリートピット内の放射性セシウムは1億ベクレル/kgもあります。

・ 保存期間終了後には管理不要とするようなものに、「第二種廃棄物埋設施設」と名づけるべきではありません。いかにも、保存管理し続けるように聞こえます。

(注1) 時間の経過による放射性廃棄物の濃度

 セシウム137の半減期は30年です。埋設時の放射能濃度1000億Bq/kgを経過年数に応じて、次の数値で徐して求めます。  

 2(30年経過) 4 8 16 32 64 128 256 512 1024(300年経過) 2048 4096 8192 16384 32768 65536 131072 262144 524288 1048576 2097152 4194304 8358608(690年経過) 16772216(720年経過) 

 よって、

 300年後の濃度は、(1000億Bq/kg)÷1024=1億Bq/kg。

 同様に、720年後の濃度は、(1000億Bq/kg)÷16772216=5880Bq/kg。

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