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2013年8月 9日 (金)

会計制度変更で福島原発廃炉にも電気料金の負担 ?

 原発の廃炉を容易にするために会計制度を変え、その負担を、電気料金で回収する案を経産省は了承し、年内にも新制度が適用される模様です。

 この制度がなく原発を廃炉にした場合、電力会社は債務超過(注1)となる可能性が出てきます。ちなみに、北海道電力の平成25年3月期決算短信(IRサイトマップ)と報道された原発設備の資産によれば、 

 平成25年3月期                     廃炉決定時

 資産の部は1,660,740百万円(286,600百万円)   資産の部は1,374,140百万円。

 負債の部は1,470,337百万円              負債の部は1,470,337百万円。

 資本の部は190,403百万円               資本の部は△96,197百万円

廃炉が決定すれば、資産の部から原発設備が減額されるので、△96,197百万円の債務超過となります。

 参考までに、その他の電力会社についても貸借対照表から試算しました(注2)。

 廃炉にすることで債務超過になり、場合によっては倒産する可能性があるので、何とか理由をつけて安全でもない原発を再稼動しようと電力会社は必死ですが、会計制度を変え、国民に電気料金を負担してもらって廃炉をしやすくする方が、電力会社にとっても国民にとって有難いことです。電気料金の負担が増えるではないかとの批判もあると思いますが、これは、原発を黙認してきた国民への責任対価であると思います。基本的には、この制度を容認するとしても、電気料金の上昇を押さえるためにも、以下の点での精査が必要です。

・ 今回の試算は全原発を廃炉とした場合のものです。その場合、企業の経営に廃炉は大きな負担となります。ところが、国は規制基準に適合した原発の再稼動を認める方針であり、廃炉となる原発は老朽化した原発等一部に限定されます。この場合、廃炉が経営に支障をきたすとは考えられません。全原発を廃炉とした場合の試算を突きつけ、経営に支障をきたす恐れがあるから、新たな会計制度を導入して、国民の負担を仰ぐなど、どさくさに紛れた電気料金の値上げであり、到底納得できません。

・ 自らの責任で原発事故を引き起こした東電の廃炉費用まで国民負担とすることには反対です。事故を起こしても、国民の負担で廃炉できるんだ、と言うような安易な考えは断じて認めません(注3)。電力会社や国のモラルハザードにつながります。

・ 廃炉費用に必要な積立額は、原発稼働率76%で40年間運転したとしてはじきだします。ただし、トラブルなどで稼働率が76%に到達しない年があると、単年度の電力会社の積立金は少なくなり、40年間で必要な額には達しない仕組みになっていると言います。日本原電敦賀1号機や関西電力美浜1号機は既に運転期間が40年を超えているのに、積立額はそれぞれ39億、93億円が不足している。7月に40年を迎える美浜2号機も66億円が不足している。電力会社も国も、40年での廃炉など念頭になかったのです。このような、積み立て不足額も国民負担ですか。

・ 電力会社自身のコストカット策が甘いようでは、電気料金の値上げに国民は納得しません。この結論に至った会議資料等を公開して、第3者の公正な立場でチェックする必要があります。

・ (注2)に見るように、全原発を廃炉にしても債務超過になる電力会社ばかりではありません。中電は資産額6兆円弱ですが、全原発を廃炉にしても、資本額は1兆2000億にもなります。一方、東電は、資産額は14兆円もあるにもかかわらず、資本額は、わずか1000億円程度です。ちなみに東電の(資本/資産)比率は8%、中電のそれは20%です。圧倒的に中電のほうが財務内容は優れています。中電は電気料金の値上げなどせず、安い電気料金で東京のユーザに販売したらどうでしょうか。電気料金の高い東電から顧客を奪うことができます。これこそ市場原理です。

(注1) 負債の部が資産の部を超過する場合を言う。すなわち資本の部はマイナスとなる。

(注2)

・ 東北電力

 平成25年3月期  (カッコ内は原発設備)          廃炉決定時                             

 資産の部は4,284,371百万円(406,200百万円)    資産の部は3,878,171百万円。

 負債の部は3,761,656百万円              負債の部は3,761,656百万円。

 資本の部は522,714百万円               資本の部は△116,515百万円

・ 東京電力

 平成25年3月期                      廃炉決定時

 資産の部は14,989,130百万円(1,024,300百万円)    資産の部は13,964,830百万円。

 負債の部は13,851,317百万円              負債の部は13,851,317百万円。

 資本の部は1,137,812百万円              資本の部は113,513百万円

・ 中部電力

 平成25年3月期                      廃炉決定時

 資産の部は5,882,775百万円(325,600百万円)    資産の部は5,557,175百万円。

 負債の部は4,391,669百万円               負債の部は4,391,669百万円。

 資本の部は1,491,105百万円               資本の部は1,165,506百万円

・ 関西電力

 平成25年3月期                      廃炉決定時

 資産の部は7,635,150百万円(559,900百万円)    資産の部は7,075,250百万円。

 負債の部は6,357,043百万円               負債の部は6,357,043百万円。

 資本の部は1,278,106百万円               資本の部は718,207百万円

 全原発を廃炉にした場合の東北電力の資本の部は約マイナス1000億円。同様に中部電力の資本の部は1兆1000億円。この差は、東北電力の原発数が1基多いことと、比較的新しい原発が多いことがその理由として上げられるのではないか。

(注3) 政府による東電支援は、①資本注入 1兆円(出資)、②賠償費用 3.8兆円(融資)、③除染費用 1兆円(立て替え)、④廃炉研究 1000億円(補助)。  

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